2012年2月28日 (火) 掲載

◎函館積雪過去最大91センチ

 発達した低気圧の影響で26日未明から降り始めた道南の雪は27日に入っても続き、再び道路や街を白く覆った。函館海洋気象台によると、函館市(美原)の積雪は91aとなり、これまでの最大記録(1977年、85年)と並び、このほか5カ所で記録を更新した。木古内町では町民プールの屋根が雪の重みで押しつぶされて建物が全壊したほか、JR江差線でダイヤが乱れた。

 同気象台によると、27日午前9時までの最大積雪は、八雲町八雲121センチ、森103センチ、大沼108センチ、函館市高松(函館空港)45センチ、厚沢部町鶉142センチで、これまでの記録を更新した。また、福島町千軒は201センチで2月として最大となった。

 この冬(11月1日〜2月26日)の降雪量は、函館で平年比1.24倍の387センチ、七飯町大沼で同比0.85倍の362センチなど、各地で0.85倍〜1.26倍で推移しているが、1月中旬から低温が続き雪解けが進まないことや、2月下旬に入っても降雪が続いていることで積雪が多くなった。函館の積雪は同比3.75倍、七飯町大沼は2.4倍で2倍以上の所が多くなっている。函館は2月の降雪量が26日現在157センチで、2月として2番目の多さ。

 同気象台によると28日は冬型の気圧配置が弱まり、その後、気圧の谷や寒気の影響で曇りや雪となる所があるものの、29日〜3月1日にかけて最高気温が5度前後まで上がる見込み。なだれに注意を呼びかけている。



◎市の除雪進まず…予算過去最多6億円突破へ

 函館市は職員、重機ともフル回転で除排雪に当たっているが、「降雪量の多さと低温続きのダブルパンチ」(市土木部)で作業は難航。予算も追加補正や予備費などを融通しても足りない状況で、最終的な経費は過去10年で最多となる6億円を突破するのは必至な情勢だ。

 週末の降雪の影響で、陣川、東山、亀田中野町など北東部を中心に道路などの一部に1b近い高さの吹きだまりができ、「車が走れない」といった市への要請も寄せられた。

 市は雪面を平らに削る「グレーダー」のほか、トラック除雪車やショベルカーなど除雪用の重機14台を所有しているが、「これだけの降雪を想定した体制がない」(土木部)のが実情。27日も早朝から市民の苦情が相次いだ。

 市は昨年度から除雪業者に対し、重機の維持費や出動回数に応じて経費を補てんする「最低保証制度」を導入。本年度の委託業者数は昨年度より2社増の24社で、車両数も同46台増の341台だが、公共事業の削減で絶対数が減少傾向にあり、不足感は否めない。

 市は定例市議会に本年度の除雪費4000万円を追加する補正予算案を提出。加えて「道路橋梁維持費」から8000万円、予備費から1億3000万円を充当する考えだったが、さらなる上積みは避けられそうにない。

 過去10年での除雪費は昨年度の5億3500万円が最も多かったが、本年度は更新する公算が大きい。一方、少雪だった06年度は当初予算2億5000万円(旧市内分)に対し、消化額が8400万円と3分の1程度だったこともあり、土木部は「ピーク時に合わせて除雪体制を対敷くのは難しく、手持ちの中で努力するしかない」と頭を悩ませている。(森健太郎)



◎ベビーリーフ 栽培技術確立…道南農試

 道総研道南農試(北斗市本町)は、5種類以上の葉菜類の若葉をミックスした「ベビーリーフ」の栽培技術を確立した。軽量で高齢者でも扱いやすい上、離農の増加により遊休化するハウスを有効利用できるのが特徴。高齢化率が全道一高い桧山管内に適した新顔野菜≠ナ、同農試は新年度から道南での希望者への栽培指導を本格化させる。

 ベビーリーフは、ミズナやホウレンソウ、レタスなどの若芽を収穫しミックスした商品。サラダや料理のつけ合わせとして使われ、異なる野菜の味と香りが楽しめる。栄養バランスにも優れる。

 研究の背景には、農村部で急速に進む高齢化の現状がある。桧山管内の高齢化率は、7町平均で33・6%(2011年10月1日現在)に達し、道内14振興局・総合振興局管内で最も高く、地域の活力維持に向けた対策が課題だ。

 同農試は高齢者でも営農が継続でき、地域活性化に結びつく作物としてベビーリーフに着目。09年度から3カ年計画で、栽培法を研究してきた。

 同農試のビニールハウスでは22品目を栽培。無加温ハウスで土耕栽培し、4〜10月に栽培が可能なことが分かった。

 早いもので2週間、遅くても3週間程度で収穫できる。十分な収量を確保するには、1作で収穫を終えるのが望ましい。収量は平均すると1平方b当たり500cで、春先や秋口は同700〜800cと増え、逆に夏場は同300cと減る。収穫後に冷蔵庫で5度で保存すると約2週間もつという。

 ビタミンC含有量は、ミズナや小松菜、カラシナなどのアブラナ科は高く、レタスなどのキク科は低かった。同農試の高浜雅幹(まさよし)研究主任は「1作当たりの収量は少ないが、短期間で収穫でき、同じ面積で何回も収穫できる。トータルすると、通常の野菜に比べ収量は同じくらいになる」と強調する。

 栽培面では、種をまく量は1平方メートル当たり1000〜2000粒、施肥量は窒素で同6グラムが適当とした。作業時間は、火ばさみを加工した収穫補助具と包丁を使うと、通常のはさみを使った収穫に比べ半分になる。

 10、11年度の2カ年で今金町内の3戸で試験栽培し、試験物が同農試の成果と変わらないことを確認。商品を直売したほか、地元飲食店で使ったところ「評判は上々」(同農試)と手応えをつかんだ。

 市販品の価格は直売だと100〜150円(20〜30グラム入り)、スーパーだと100〜200円(20〜50グラム入り)。高浜さんは「除草を手作業に頼らざる得ないのが課題。まずは直売や飲食店向けに普及を進め、将来的には大規模生産につなげたい」と夢を膨らませる。(山崎大和)


◎太陽光発電設置費用 本年度の3倍 助成拡大へ…市が新年度

 函館市は、住宅用の太陽光発電システム設置費用の助成制度について、新年度の対象を本年度の3倍に拡大する方針を決めた。本年度は昨年9月からの募集に対し、当初予算の2倍を超える申し込みが殺到。原発事故の影響などで関心が高まる自然エネルギーの利用を促し、市民の環境意識の向上につなげる。

 市は2003〜05年度に道の補助金を財源に太陽光発電の設置費を助成していたが、国の補助制度の打ち切りに伴い廃止。その後は厳しい財政事情から、市単独の補助には二の足を踏んでいたが、青森県の大間原発の凍結を求める工藤寿樹市長の政策で、昨年6月の補正予算で復活した。  当初は30件分に当たる630万円を計上していたが、締め切り前の昨年12月1日時点で64件の申し込みがあり、市は急きょ60件分・1260万円を追加補正した。市工業振興課によると、最終的には73件(新築29件、既存44件)の応募があり、助成額は約1500万円に上る見通し。

 新年度も、本年度と同じく出力1`h当たり7万円、最大3キロワット・21万円を助成。申し込み1件当たり3キロワットとして、100件分相当の2100万円を予算案に盛り込んだ。国の補助制度も現在は出力1キロワット当たり4万8000円(最大10キロワット・48万円)を補助していて、市の制度と併用できる。

 本年度の申し込みでは、システムの平均出力は4.05キロワット。標準世帯で主流の4キロワットの場合、設置費用は約240万円で、このうち国から約19万2000円、市から21万円の助成となる。助成対象は申し込み後に設置工事に着手することが条件。

 市は4月上旬から12月下旬まで申し込みを受け付ける予定で、想定件数を上回った場合も補正予算などで対応する考え。同課は「市民の節電意識が高まり、結果的に二酸化炭素の排出削減に貢献できれば」としている。問い合わせは同課TEL0138-21-3314。(森健太郎)


◎森町予算 0.5%増「緊縮型」継続…一般会計88億9520万円

 【森】森町は27日、2012年度の各会計予算案を発表した。一般会計総額は前年度当初比3985万円(0・5%)増の88億9520万円で、6特別会計と3事業会計を合わせた全会計総額(歳出ベース)は164億2161万円となった。09年度から3年間継続していた職員給与費の独自削減が終了するが、引き続き、緊縮型の予算編成となった。3月1日からの町議会3月会議に提案する。

 一般会計歳入のうち、町税は同5・5%増の23億6493万円、地方交付税は同1・5%増の48億9800万円を見込む。国庫支出金は森小学校などの耐震化工事などの事業終了に伴い、同18・3%減の3億9458万円、町債の発行額は同7・7%減の5億6036万円。基金からの繰入金は、10年度末で約14億円の残高となった財政調整基金からの約7200万円など計1億1583万円とした。

 主な歳出では、総務費が24億6951万円、民生費が19億639万円、公債費が18億2637万円など。一般会計の起債残高は本年度末で155億7989万円となる見通し。

 09年度から3年間の計画で8〜18%の独自削減を続けてきた職員給与費は、10、11年度は人事院勧告に準じた削減を反映していないため、合わせて職員給与条例改正案を提出。改正後は平均3%の減額となる。議員報酬などを加えた人件費の総額は1億7708万円増の21億9181万円となる。

 主な新規事業では、砂原漁港の製氷、貯氷設備整備事業として、町が事業費の2割に当たる4300万円を負担。道道濁川温泉線から三岱神社に向かう三岱林道改良舗装工事費2000万円や道央自動車道の大沼公園インターチェンジの開通を控え、国道5号沿い4カ所に観光案内看板を設置する事業費として1660万円を計上。東日本大震災を受けて尾白内海岸の防潮扉の改修費を盛り込んだ。

 このほか、3月会議提出の議案では、12〜14年度(第5期)の、第1号被保険者の基準月額を現行の4100円から870円引き上げ、4970円とする町介護保険条例の改正案を提出する(今井正一)