2012年2月29日 (水) 掲載

◎萌えキャラで函館売り込め、函大生が8商品開発

 函館大学の学生が「萌×函館」をキーワー—ドに開発を進めてきたお菓子や入浴剤などの商品8品の販売が、今春から全国各地で始まる。3月2、3日に同大で地域の人に向けた商品展示会を開催し、商品をPRする。プロジェクトチーム代表の池上穣司さん(3年)は「暗いニュースが多い日本を函館から盛り上げたい。地域活性化につながれば」と期待を込める。

 アニメやオリジナルキャラクター商品などで地域の活性化を目指す「萌えおこし」が全国的に行われているのをヒントに、「函館を活性化させたい」と学生が函館らしいキャラクターを使った商品について調査・研究を実施。現在は1〜3年生12人でチームを組んで活動している。

 同チームは、新商品に対するアンケート調査や販売手法、営業やビジネスマナーなどについて地元企業の協力を得て学び、商品開発を進めてきた。「パッケージデザインや企業とのやり取りが大変だった」など苦労もあったが、全国の土産店などで商品8品を販売することが決定。ゴールデンウイークごろまでの販売開始を目指している。

 商品は全国的に有名なアニメキャラクター「侵略!イカ娘」と「薄桜鬼」を取り入れたキャラメルやせんべい、炭酸飲料水ガラナなど。このほかオリジナルとして、石川啄木のキャラクターがデザインされた入浴剤、黒船をイメージしたイカ墨入りの「Blackかすてぃら(仮称)」も開発した。

 池上代表は「カステラは真っ黒な見た目とは裏腹に味わいは軽く、とてもおいしい」とし、「地域色を生かした商品を色々な人に楽しみながら買ってほしい」話している。(平尾美陽子)



◎【インサイド】新函館—小樽の並行在来線、函館「経営不参加」で波紋広がる

 北海道新幹線の札幌延伸に伴い、JR北海道から経営分離される函館—小樽間(253キロ)のうち、新函館(仮称)—小樽間(235キロ)に関し、函館市は経営参画に否定的な見解を示している。この区間については「沿線自治体ではない」とし、函館—新函館間(17.9キロ)の第3セクター鉄道のみ経営に参加する意向だが、新函館—小樽間の経営形態も決まっていない段階とあって、沿線自治体や道からは困惑や反発の声が上がっている。

 20日に開かれた市議会総務常任委員会。渡辺宏身企画部長は「新函館以北は沿線自治体ではないので、経営に参画するには当たらない」とのスタンスを説明した。

 函館市の主張の背景には、函館—小樽の全区間への経営参加によって多額の財政負担が生じることへの懸念に加え、新函館駅を境とした「路線の性格の違い」が見受けられる。

 工藤寿樹市長は昨年12月、札幌延伸を望む他の沿線自治体に配慮する形で、商工会議所や町会などの反対を押し切って経営分離に同意した。新函館開業時の函館—新函館間の電化と、3セク移行後のJR北海道の運行受託を評価しての判断だった。

 一方で、工藤市長は昨年12月の同意会見で「他地域の在来線は新幹線ができることで乗客が大幅に減る。人口が減るとますます乗客が少なくなるが、新駅—現駅は新幹線が来ることで、今まで以上に利用客が増える可能性がある。他の地域の3セクとは違う」と話していた。

 また函館—新函館間と新函館以北の在来線を一体的に運営した場合、函館—新函館間のみの運営に比べて赤字が多額となることは避けられない。ある函館市議は「市のスタンスは当然の対応」と評し、その上で「人口割や財政割となると、函館は大きな負担を強いられる。納得いかない」と話す。

 しかし、沿線の全15市町のうち、最大の自治体である函館市の経営関与が函館—新函館間に限定された場合、財政基盤の弱い他の自治体にとっては死活問題となる。

 七飯町の馬場修一副町長は「真意が分からないため、コメントする立場にはない」とし、鹿部町の高橋利之副町長もコメントはないとしつつ「なぜ(新幹線着工の正式認可が迫った)この時期なのかは分からない」と困惑。八雲町は「協議をこれから始めようという段階での発言は残念。前向きに考えてほしい」(新幹線対策室)とする。

 各市町からは、函館市に中核都市としての姿勢を求める声も。高谷寿峰北斗市長は「道南の中核都市としての意識より、自分たちの財政しか考えていないと受け取れる」、佐藤克男森町長は「我々の先輩が札幌延伸に向けて苦労してきた中で、延伸阻止との誤解も生むような発言で意図やタイミングが分からない。渡島各町の発展は函館の発展があってこそ」と話す。白井捷一長万部町長も「課題を協議する前の段階で、3セク経営に参画しないと結論付けるのは大いに疑問。もう少し広域的な視点で、道南の中核都市としての対応を願う」としている。

 政府は本年度内にも札幌延伸を正式に認可する方針で、認可後に道はただちに沿線15市町との協議会を設置して検討に入るが、現在の段階では全区間で3セク会社を設立するのか、新函館を境に3セク会社を分離するかなど、地域交通確保の方策は決まっていない。札幌延伸は23年後とまだまだ先。道新幹線対策室は「認可決定後に協議会を立ち上げ、沿線自治体と話すことしか現在は決まっていない」と話す。(千葉卓陽、今井正一)



◎函館市新年度、電柱に「海抜○メートル」表示板

 函館市は新年度、津波で浸水が想定される沿岸部の230カ所に海抜を表示する看板を設置する。東日本大震災を受け、市民の防災意識を高め、津波から避難する際の目安にしてもらう狙い。既存の電柱に掲示することで経費を最小限に抑え、新年度予算案に128万円を盛り込んだ。

 市は2010年2月のチリ地震に伴う津波を契機に海抜表示板の整備を検討。東日本大震災後は市民から「自分の地域がどの程度の高さなのか分からない」といった声が多く寄せられていたため、新年度から順次設置していくことを決め、年内に整備を完了したい考え。

 表示板はトタン製で縦40センチ、横33センチ。南茅部地区の岩戸町から旧市内の港町3までの海沿いの市道を中心に500b間隔で整備。反射板に青地に白抜きの文字で「この地面は海抜○m」などと表示する。上部には「津波に注意」とする日本語に加え、海外からの観光客らへの配慮から英語表記もつけた。

 看板は電柱広告と同じ要領で、地上から1.5bメートル高さに巻き付けて設置。市総務部によると、単体で設置する場合に比べて設置費用が安く済み、設置場所の土地代や設置後の保守作業も含めて大幅にコストを削減できるという。同部は「日常的に見てもらうことで津波の際の避難に役立ててほしい」としている。

 函館開発建設部も昨年9月までに、市内海岸部の国道61カ所に標高や「津波注意!」と記した注意喚起の表示板を1キロごとに設置している。このほか、市は津波発生時の避難場所や予想浸水区域を記した「津波ハザードマップ(災害予測図)」や避難所の地図などを盛り込んだ家庭用の「防災ハンドブック」を10年ぶりに大幅改訂し、市内に全戸配布する予定。(森健太郎)


◎東本願寺別院東山支院で4日に東日本大震災追悼法要

 東日本大震災発生から1年を前に、東北などの被災者を追悼する法要が3月4日午後1時から、東山1の東本願寺函館別院(島潤二輪番)東山支院本堂で営まれる。檀家以外の市民も参列でき、同支院主任の沢井聡さん(51)は「自己を見つめ、自然と命との関係を考えてもらう機会にもしたい」と話している。

 この法要は、沢井さんが「自分たちにできることをしよう」と発案。沢井さん自身は1993年の北海道南西沖地震や95年の阪神淡路大震災などで義援金を募る活動をしてきたが、昨年の震災以降はなかなか活動ができなかったという。

 当日は、最初に20分間法要を執り行う。その後は被災地でボランティア活動をしているという宝皇寺(桔梗1)の間瀬淳雄住職による報告会と、「人と災害」をテーマとした島輪番の法話を予定。義援金も募る。

 沢井さんは震災について「人間の日々の営みが命とともにあっという間に奪い去られる光景にショックを覚えた」と振り返り「犠牲になられた方々へ静かに手を合わせ、心を鎮める機会にしてもらえれば」と話し、来場を呼び掛けている。

 午後2時まで。参加無料で、問い合わせは同支院TEL0138-31-5010。(長内 健)


◎江差のレストランが「ホッケかまぼこ」発売

 【江差】れすとらん・津花館(江差町橋本町100、打越修料理長)が、町内産の新鮮なホッケを活用した「しげっちホッケかまぼこ」を発売した。9月の第50回記念江差追分全国大会をPRするため誕生した、イメージキャラクター「しげっち」にちなんだオリジナルの新商品で、江差の新しい特産品や、土産品として注目を集めそうだ。

 町内の家庭では、古くから地元のホッケを使ったかまぼこが手作りされてきた。打越料理長は、江差伝統の味覚を後世に伝えようと、昔ながらのかまぼこを再現。若い人たちにも親しまれるよう、工夫を凝らして、チーズ入りのオリジナル商品も開発した。

 とんち名人で知られる江差の繁次郎≠イメージした新キャラクター「しげっち」にちなんだ焼き印を表面につけるなど、見た目にも楽しい商品とした。打越料理長は「おふくろの味として長年親しまれてきたかまぼこを再現した。アスパラなどの新たな地場産品を生かした商品開発にも取り組みたい」と意気込みを語る。

 ホッケかまぼこは、100c180円。チーズ入りかまぼこは、同250円。同店のほか、本町地区の地場産品販売施設「ぷらっと江差」でも販売している。商品の問い合わせは、れすとらん津花館TEL0139-52-5151。(松浦 純)