2012年2月3日 (金) 掲載

◎4町が食と観光の魅力アピール、札幌でフェア

 【札幌】松前、福島、知内、木古内町の渡島西部4町の食材を紹介する「松前街道レストランフェア」が1日、ホテルオークラ札幌(札幌市中央区)で始まった。同日夜にはオープニングフォーラム「松前街道食の恵みとおしま4町観光の夕べ」が開かれ、4町の町長が観光と食の魅力をアピール。約100人の来場者がテーブルに並んだ4町の旬の食材を使った特別な料理を満喫した。同フェアは2月29日まで。

 2015年度の北海道新幹線開業を見据え、「おしま西南4町広域観光推進協議会」がそれぞれの町の魅力をPRしようと初めて企画した。

 フォーラムには4町の町長が登場。観光スポットや特産品など町の魅力を次々と語った。前田一男松前町長は「お城とマグロ、5月には夫婦(めおと)桜を見に来てほしい」とPR。大横綱2人を生んだ福島町の村田駿町長は「女だけの相撲大会が5月にあるので、ぜひ土俵に上がってほしい」と語った。

 一方、大野幸孝知内町長は「知内は道内一のニラの産地。2年連続で販売額10億円を突破したのは、消費者からの高い評価の表れ」と胸を張った。大森伊佐緒木古内町長は「これまでは木古内の場所を説明するのが大変だったが、3年後には北海道新幹線最初の駅がある町と紹介できる」と話した。

 また、北海道観光振興機構の坂本眞一会長は「新幹線時代は東北地域と本道が結びつくのが重要。北海道の元気は松前街道から」と4町に期待を寄せた。

 この日は知内産ニラ入りオムレツや五目チャーハン、松前産本マグロのカクテルグラス飾りなどしゃれた料理が全部で16品用意され、来場客は料理を皿に取り、口に運んでいた。(松宮一郎)



◎コンサドーレ札幌、函館で今季試合なし、観客席数の条件満たさず

 サッカーJリーグ、コンサドーレ札幌が今季、函館で試合開催のないことが1日、分かった。試合会場の函館市千代台公園陸上競技場の観客席数が、Jリーグの規定に達していないため。コンサドーレは今シーズン、4年ぶりにJ1へ復帰し期待が高まっていただけに、地元関係者からは「せっかくJ1に昇格したのに」などと落胆の声が上がっている。

 コンサドーレの函館開催は2000年から毎年行われ、01年のガンバ大阪戦(J1)では1万5288人が来場。大勢のサッカーファンが来函することで観光や経済に効果があり、地域の子供たちにとってトップレベルのプレーを学べる機会だった。

 Jリーグの組織や運営に関する基本原則を定めるJリーグ規約では、J1の試合を開催するスタジアムの観客席は1万5000人以上としているが、芝生席は観客席とみなされない。同競技場の収容人員は約1万5000人だが、観客席は計6420人分しかない。J2も1万人以上必要だが、これまでは関係者の要望を受け開催されていた。

 08年にJ1に昇格した時は、同競技場を管理・運営する市文化・スポーツ振興財団の創立20周年記念事業として暫定措置が認められ、カップ戦(ヤマザキナビスコ杯)を実施。昨年11月、地元関係者が札幌のクラブ事務所を訪れ「カップ戦でも開催を」と懇願した。

 しかし、コンサドーレにはやむを得ない事情があった。Jリーグ各クラブは今季から、13年から導入される「Jリーグクラブライセンス制度」に準じた運営を行う。同制度は5分野の審査項目を設け、基準に達していないとクラブライセンスがはく奪される可能性があり、「施設」の基準に合わない函館と室蘭の開催をやめた。コンサドーレは「クラブとしても残念。地域とのつながりは大切。何らかの形で触れ合いを考えたい」と話す。

 函館サッカー協会の永沼秀興会長(71)は「覚悟はしていた。今の函館市の財政では、座席の拡充などは厳しい。ツアーを組み札幌へ応援に行きたいと思っている」、コンサドーレ札幌函館地区後援会長の佐古一夫函館市議(64)は「昇格したのに残念。クラブはこれまで函館開催に尽力してくれており、苦渋の決断だったと思う」。市内の主婦松下悦子さん(35)は「Jリーグは地方のクラブに対して配慮すべき」と話していた。(山崎純一、小林省悟)



◎雪道“攻略”し安全に

 厳しい冷え込みと大雪が続いている。天候の影響を受けやすい道南は、路面状況が刻々と変化しやすい土地柄で、特に2月は車のスリップや歩行者などの転倒による冬型事故の増加が懸念される。雪道との“上手な付き合い方”を探った。

 函館市消防本部によると、市内では1月31日現在(昨年11月から)、86人が雪道転倒で救急搬送され、65歳以上の高齢者が6割を占めた。うち1月中には30、80代の男性2人が骨折疑いの重傷を負ったという。  函館開発建設部は、函館駅周辺で市の1割に上る転倒事故が発生していることなどから、冬道の攻略法を紹介した「函館駅周辺冬道の歩き方」というガイドを1000部製作した。駅周辺のツルツル注意マップ、マンホール上など氷や雪以外に滑りやすいところを網羅。「小さな歩幅で靴の裏全体で歩くように」などのポイントを紹介した。同部ホームページからもダウンロードできる。

 また、丸井今井函館店(本町32)では“滑りにくい靴”を充実させている。ソールはガラス繊維を含み路面との接地面を広くしたものやグリップのついた同店オリジナル品が人気を集めている。1万5000円前後の価格帯が売れ筋で、婦人靴は散歩や外出など用途に合わせて何足かそろえる人が多いという。「この時期は春物入荷に伴って安くなるので、来年用を購入する人も目立つ」と同店。シューカウンセラーもおり、「機能性、デザイン性なども重視。さらに要望をうかがい対応します」と話している。

 一方、車の事故について道警函館方面本部交通課は「厳冬期は圧雪、凍結、わだちと路面の変化によるものや、地吹雪などで視界不良による事故も多い」と指摘する。佐々木義文課長は路面に応じた運転の強化を呼び掛けるとともに、「日中でもライトを点灯し自分の存在を知らせ、急のつく操作は絶対にしない。車間距離は夏の倍くらいを目安に取ってほしい」と注意を促す。(小杉貴洋)


◎除雪費ピンチ、函館市が追加補正へ

 厳しい冷え込みと降雪が続き、今冬の函館市の除雪費が底を突きそうだ。大雪だった昨冬よりも累計の降雪量は下回るが、市内4カ所の雪捨て場では9割近くが埋まった場所もある。市は道路関連予算のやり繰りで乗り切りたい考えだが、除雪予算の追加補正は避けられそうにない。

 市土木部などによると、今シーズン(昨年11月〜)の函館の累積降雪量は1日現在で241センチ。大雪だった前年同期と比べて44センチ少ない。ただ、1月中旬以降、昨年よりも平均気温が1度前後低い日が続いていて、道路上の雪がなかなか解けずに圧雪状態の路面が目立っている。

 除雪に関する市民からの苦情は年明け以降に増え始め、1月末時点で700件を超えた。寒気が緩んで雨が降った同22日と翌23日は、道路の雪がわだち状に解ける「ザクザク路面」となり、市は生活道路を含めた除雪に加え、今冬初めて本格的な排雪作業にも着手した。

 市内4カ所ある市民向けの雪捨て場のうち、赤川1の「土木部維持課向広場」では雪山の高さが10メートルほどに達し、1500平方メートルの敷地がほぼ満杯の状態に。2日も荷台に積んだ雪を運び込むトラックが続々と訪れ、自営業の男性(43)は「きのうから3回目。もううんざり」とため息をついた。

 市は本年度予算に除雪費を3億4000万円計上していたが、1月末現在で残り2750万円となり、全体の約8割を消化した。本来は道路の整備や維持補修のための「道路橋梁維持費」の不用額約6000万円を緊急的に除雪費に転用することも検討しているが、「このままでは足りなくなるのは確実」(同部維持課)とみる。

 同部などによると、補正額は昨年度よりは少ない数千万円規模になる見通しで、今月下旬開会予定の定例市議会に補正予算案を提出する方針だ。函館海洋気象台によると、2月も雪の降りやすい冬型の気圧配置が続く見込みで、同部は「厳しい財政事情もあり、どうやり繰りできるかが鍵」とし、今後の気象状況に気をもんでいる。(森健太郎)