2012年2月5日 (日) 掲載

◎冬の大沼満喫…雪と氷の祭典開幕

 【七飯】「第46回大沼函館雪と氷の祭典」(実行委員会主催)が4日、大沼国定公園広場で開幕した。道南の冬を彩る一大イベントに大勢の親子連れや観光客らが来場。同時開催の環駒ケ岳広域観光協議会主催の「冬の味覚市」の汁物も人気を集めた。大沼の湖水氷を使用した長さ20メートルのジャンボ滑り台は、子どもたちが2回、3回と氷の感触と速さを楽しみ、歓声を上げていた。

 近郊の小中学生らが作った雪像や、料理人らが参加したアイスカービング大会の芸術的な氷像がずらりと並び、来場者を歓迎。雪像にはトンネルや滑り台付きのものもあり、子どもたちが駆け回って遊んでいた。

 「冬の味覚市」には、七飯、森、鹿部の特産品が集結。▽金丸のパンプキンスープ(七飯)▽もちもちしたカボチャ団子とスケトウダラのすり身が入った茅部汁(森)▽スケトウダラの三平汁(鹿部)—と、3町それぞれの汁物も人気で、冷えた体を温めていた。

 両親と妹の4人で訪れた大中山小学校3年生の吉田蓮君(9)は「滑り台はおしりが痛かったけど、声も出ないくらいスピードが出て楽しかった」と話していた。

 同祭典は5日も開かれ、味覚市をはじめ、大沼婦人会館でのフリーマーケットや、各コンテストの表彰式などが行われる。ジャンボ滑り台は、祭典終了後も2月下旬ごろまで利用できる。

 一方、大沼ふるさとの森自然学校(町東大沼294、流山温泉)では、「大沼冬マルシェ〜流山ふるさとの森の冬祭り」が開幕。巨大滑り台をはじめ、ゴムボートをスノーモービルでけん引するツアー、コロコロアイスクリームづくりなどの体験コーナーが人気を集めた。室内では地域のさまざまな食の魅力や雑貨を販売するマルシェを開設。幼児も安心して遊べるよう、託児コーナーも設けている。午後3時まで。(今井正一)



◎学生調理 多彩な料理…函短付設調理師専門学校が感謝祭

 函館短大付設調理師専門学校(下野茂校長)の卒業研究発表会「第11回食彩感謝祭」が4日、函館市柏木町の同校で開かれた。学生が調理した料理メニューや洋菓子、和菓子などが展示、販売され、大勢の来場者でにぎわった。

 感謝祭は学生が1年間に習得した技能を市民に見てもらうのが目的で、当日販売する料理メニューの考案から買い物、調理まですべて学生が手掛けている。

 会場は、卒業作品展示やパン・ケーキ販売、料理販売、洋食レストランのコーナーが設けられ、いか飯や春巻き、鶏軟骨つくね、和洋菓子類など多彩なメニューを100〜300円で販売。学生たちが売り子となり「お一ついかがですか」などと声を掛け、来場者も好みの品を買い求めた。

 展示コーナーでは、技術等級試験の課題となっている野菜の飾り切りや創作ケーキ、和菓子など精巧な技術が発揮された作品が並び、来場者の目を引き付けた。学生によるダイコンのかつらむきやニンジンのシャトーむき、生クリームのバラ絞りの実演も行われた。

 洋食レストランでは上ノ国産の豚肉を使ったソテーやニンジンのクリームシチューのセット、シカ肉カレーなどのメニューを提供し、こちらも客足を誘った。

 市内千歳町の会社員、北川振一朗さん(44)は「学生のやる気、明るさに好感が持てた。料理もおいしく、実戦の場で頑張ってほしい」と話した。

 シフォンケーキを販売した大山紗愛さん(19)、新愛日さん(19)は「水分調整に気を付けながら愛情込めて作りました。1年間楽しみながら学ぶことができました」と笑顔。下野校長は「緊張感と意欲を見せながら取り組んでくれた」と1年間の成果に拍手を送っていた。(鈴木 潤)



◎100万ドルのまち 照らす…函館山登山道にろうそく明かり

 ワックスキャンドルの明かりが街を照らす「はこだて光の小径(こみち)」は4日、「函館山登山道ウオーク」が開かれた。冬季閉鎖中の函館山登山道に約1000個のキャンドルが並べられ、参加した子供から大人までの市民約200人が夜景とろうそくの明かりを楽しんだ。

 1日に市内で始まった「2012はこだて冬フェスティバル」(実行委主催)の一つで、2009年から始まり4回目。キャンドルは実行委スタッフが午後2時ごろから並べ、同4時半に点灯された。参加者はロープウエーで頂上まで向かい、同5時から下山スタート。キャンドルが照らす道を約1時間かけて歩いた。

 途中、2合目では約100個のキャンドルを使い「HAKODATE」の文字が作られ、参加者は記念写真を楽しんだ。文字の下には、東日本大震災の被災者に元気を付けてもらうメッセージも付けられた。

 子供3人とともに参加した市内の会社員対馬和史さん(39)は「キャンドル作りを体験したので、今日も参加した。夜景がきれいだったが、さすがに寒かった」と子供らと声をそろえていた。(山崎純一)


◎もうすぐバレンタインデー…市内百貨店など商戦熱気

 「買う派」「作る派」、あなたはどちら?—。14日のバレンタインデーに向け、チョコレートなどのプレゼント商戦が函館市内の百貨店などで熱を帯びている。定番のチョコに人気が集まる一方、材料からラッピング袋までそろう「手作りセット」の支持も根強い。東日本大震災で見直された「絆」に感謝する動きもある。

 丸井今井函館店(本町32)は、地下食品売り場で国内外約30のブランドを扱う。一番人気は今年限定販売しているベルギーのゴディバ製「モンダムール」。ストロベリーやマロン、レモンなどのムースをミルクやホワイトチョコで包み、高級感を漂わせている。ピンクと赤色のハート型パッケージも華やかで、10代からお年寄りまで幅広い世代が買い求める。2000〜3000円が売れ筋だ。

 同店は「函館ブランドの『シュウェット・カカオ』『プティ・メルヴィーユ』も人気。例年14日直前まで混み合うが、前年比5%増の売り上げを目指したい」と意気込む。

 はこだてビール(大手町5)は、毎年好評の「バレンタインビール」(420円)を販売。原料のチョコレートモルトをふんだんに使用した香り豊かなコクが特徴だ。震災に見舞われた今年は、大勢の市民らに支えられた感謝の気持ちと東北3県を応援しようと赤、黒、白3色のラベルに「絆」という字を模した。

 同店は「今年は例年以上に特別な意味合いを持つビールに仕上がった。ぜひこの機会に」と勧める。

 一方、手作り派向け商品を充実させるのはテーオーデパート(梁川町10)の「オレンジハウス」。年明けから特設コーナーを設け、定番の生チョコ、トリュフ、新発売のショコラマフィンなどの材料やラッピング袋がセットになったキット約20種類を並べる。価格は577円が中心で、女子高生をはじめ10〜20代に好評という。

 同店は「友人同士贈り合う『友チョコ』もはやっている。売れ行きは例年並みだが在庫切れの商品も出ているし、まとめ買いする人も目立つ」と手応えを感じている。(長内 健、小杉貴洋)


◎啄木没後100年 再認識を…研究家・桜井さん講演

 今年没後100年を迎えた函館ゆかりの歌人、石川啄木を再認識してもらう文学講座が4日、函館市文学館(末広町)で開かれた。啄木研究家の桜井健治さん=函館在住=が講師を務め、2冊の歌集の特徴や晩年の啄木の変化について語った。

 市文化・スポーツ振興財団が毎年開いている「石川啄木連続講座」の第1回目で、市民約40人が参加。この日は歌集「一握の砂」「悲しき玩具」をテーマとした。

 最初に「一握の砂」を取り挙げた桜井さんは、啄木がそれまでの「1首1行」から「1首3行」に編集した意図について「単純な1行の歌よりも、3行に並べることで意味内容に奥深さやリズム、間が生まれる。それを狙ったのでは」と指摘。551首ある作品鑑賞の注意点として、啄木が上京していた1908(明治41)年以降に全ての歌が作られた点とし、「都会生活の哀歓を詠んだリアルな歌、故郷の盛岡や北海道を思う望郷の歌に大別できる」と紹介した。

 1912(同45)年発刊の「悲しき玩具」については、10首を実際に取り挙げた上で「困窮していた生活や自分の病気など現実を見つめたものや、政治、社会に対する鋭い洞察が見られる。『一握の砂』のような叙情性は消えている」と説明した。

 同講座2回目は3月3日午後2時を予定している。(長内 健)