2012年2月6日 (月) 掲載

◎橋本さんが着付け技能士1級に合格

 函館市内で着付け教室を主宰する橋本祐子さん(57)が、国家資格の「1級着付け技能士」に合格した。手足に力が入らなくなる難病を克服しての合格で、このほど合格書が手元に届いた。橋本さんは「実感はまだわかないが、合格できたのは恩師をはじめ、家族や友人の支えがあったから。とてもうれしい」と喜んでいる。

 同試験は、一般社団法人全日本着付け技能センターが指定試験機関として厚生労働大臣から指定を受け、2010年から実施している。受験の多くは美容師とされ、試験は着物に関する知識と技能が問われ、1級、2級がある。全国各地で実施され、本年度の道内の試験は学科が5月、実技が10月に行われた。

 橋本さんは、7年前に筋肉を動かす運動神経が侵される難病「ギランバレー症候群」を患った。半年間寝たきりになり、退院後も車いす生活を余儀なくされたが、家族の支えを受けながらリハビリを重ね、約2年後には長年の夢だった着付け教室を開くまで回復。「病気の時は手も足も動かず何もできなかった。過酷なリハビリだったが、家族や友人の支えで少しずつ元気が取り戻せた」と振り返る。

 今回の受験は、以前から通う着付け教室の青木幸子オーナーに背中を押され、挑戦。橋本さんは「周りの人のレベルが高く、実技に合格すると思わなかった」と話す。

 現在は着付け教室を主宰するほか、日本伝統文化を若い人に伝えようと、小学校や大学で着付けや歴史、マナーなど教えるボランティア活動も行っている。今後は同試験に対応した技能士養成コースも開設する予定。

 橋本さんは「着物は高い、苦しいというイメージがあるかもしれないが、親から子、孫へと代々受け継がれてきた大切な日本の文化。若い世代に着物の魅力を伝えたい」と力を込める。(平尾美陽子)



◎昨年の渡島管内、パスポート発給が3年ぶり減の5805人

 渡島総合振興局は、2011年の管内一般旅券(パスポート)の発給状況を発表した。発給数は5805人(男性2641人、女性3164人)で、前年比8%減。前年より減少したのは08年以来3年ぶり。東日本大震災と福島第一原発の事故により、旅行自粛ムードが広がり、海外旅行を手控える人が多かったことが要因とみられる。

 種類別内訳では、10年旅券が3255人で同6・1%減。5年旅券が2550人で同10・3%減となった。

 年代別では、20代が1102人で同2・8%増となったほかは、すべての年代で前年を下回った。70代が311人で同17・3%減、60代が844人で同16・8%減、50代が872人で同12・6%減と大幅減。ほかは80代が63人で同7・4%減、40代が765人で同4・7%減、30代が881人で同6・9%減、未成年が967人で同6%減だった。

 地域別では、函館市が4238人、北斗市が555人、七飯町が388人の計5181人で全体の約9割を占める。

 渡島総合振興局は「上期は震災による落ち込みが大きかったが、下期は徐々に持ち直してきた。海外渡航の増加に伴い、今後も上昇が見込まれる」(地域政策部)としている。

 1986年以降の管内パスポート発給件数は、96年の1万1662人をピークに、米国同時テロ(2001年)や重症急性呼吸器症候群(SARS、03年)、世界同時不況(08年)の影響年に落ち込んでいる。(山崎大和)



◎障害者の工賃向上の実現法学ぶ、加藤さん招き講演会

 障害者の自立と社会参加を支援するヤマト福祉財団北海道支部(札幌)の加藤房雄事務長を講師を招いた講演会が5日、函館市旭岡町の函館養護学校で開かれ、約80人が障害者の工賃向上を実現する方法を学んだ。

 演題は「地域で生きる〜賃金1万円からの脱出を目指すには」。加藤さんは、DVDで社会福祉法人さっぽろひかり福祉会ひかり工房(札幌)の自家製天然酵母パン作りを紹介。同工房では、平均工賃6万円(月額)を実現している。

 加藤さんは「思い切って(施設の)仕組み・組織を変える。そうすれば、職員の意識・考え方が変わる。さらに職員の行動が変わり、結果が変わる」とアドバイス。高い工賃を実現する施設の共通点は「目的、方針が明確化していること」と強調した。また、「障害者が作っているから仕方ないではなく、お客に受け入れられる商品やサービスをつくることが重要」と説いた。

 講演会は、しょうがい児(者)の進路保障を考える会の主催で、平出陽子会長は「函館の作業所の平均工賃は7000〜8000円。3万円を目指したい。売れるものを自信を持って作れるよう変えていかなければ」と話していた。(山崎大和)


◎台湾で広域観光アピール、訪問団出発

 函館商工会議所や函館市などによる、台湾での観光客誘致に向けた訪問団が5日、函館空港から出発した。今回は青森、弘前両市も合同で初参加してトップセールスを行い、北海道新幹線開業を見据えた青函圏域としての広域観光の魅力をアピールする。

 今回の訪問は、6日から台湾中部の鹿港市で開かれる台湾最大のイベント「ランタンフェスティバル」に合わせて実施。昨年12月のはこだてクリスマスファンタジーで、台湾観光局の代表が点灯式に参加したことがきっかけで函館の一行が招待され、同日の点灯式に出席する。

 7日からは青森、弘前両市長らと合流し、今春にも函館への定期便開設を目指す復興航空や、チャーター便を運航する中華航空、エバー航空などを訪問する。

 この日午前に行われた出発式には、工藤寿樹函館市長、能登谷公市議会議長らが出席。団長の松本栄一函館商工会議所会頭は欠席した。工藤市長はあいさつで「台湾は親日的で、東日本大震災後にいち早く(観光客が)戻ってくれた恩義がある。青函をつなぐルートを提示しながら、北海道と青森の周遊を含めて取り組んでいきたい」と意欲を示していた。一行は8日に帰函する。(千葉卓陽)