2012年2月7日 (火) 掲載

◎桃の香りのイチゴ「桃薫」初出荷

 【北斗】北斗市清川の農業熊倉勇樹さん(51)は、桃に似た香りがする新品種のイチゴ「桃薫(とうくん)」の栽培に2年前から取り組み、2月11日に「もものか」という商品名で函館市内の一部のデパートや青果店に初出荷する。熊倉さんは道内唯一の桃薫の栽培者で、道内での市販も初めてとなる。

 桃薫は、国産品種「とよのか」に、中国原産の野生種と米国産の品種「カレンベリー」を交配してできた新品種。うすいピンク色が特徴的で、香りとともに桃の甘味をほのかに感じることができ、他の品種とは違った風味を楽しめる。

 桃薫の苗は2010年に販売されたばかりで、全国的にはまだ広く栽培されておらず、市場に多く出回るのは12年の収穫分からと言われていた。  熊倉さんは2006年に国の機関の技術職を退職し、農家に転職。07年から2年間、就農のための研修をし、09年からトマトを主とした野菜農家として一本立ちした。

 10年に、インターネットのサイトなどを通じて知った桃薫に関心を持ち、苗50株を購入。これらを約1000株まで増殖させて、昨年8月からビニールハウス2棟で栽培を続けてきた。今年に入って実を付け始め、市販用の出荷にめどが立った。

 「病害に苦しめられるなど試行錯誤しながらの栽培だったが、ようやくここまでこぎつけることができた」と喜ぶ熊倉さん。「今後も品質、糖度を追求し、信用を高めていきたい。道南の地場産品として定着していければ」と、自然環境に配慮した農業を実践しながら、ブランド化を目指している。

 「もものか」は棒二森屋(若松町)とむさしや青果本店(本町)で、1箱(6個入り)1000円前後で販売される。

 問い合わせは熊倉さんTEL090-3019-6889。 (鈴木 潤)



◎「集落機能」低下・維持困難 渡島24% 桧山は6%低下 

 渡島管内全212集落の24%が、祭りや伝統行事、冠婚葬祭、除雪・草刈りなどの共同作業といった機能が低下または維持困難の状態になっていることが、道がまとめた集落実態調査で分かった。桧山管内は低下とする集落が6%だった。いずれ消滅する可能性がある集落も、渡島で5%、桧山で6%あるとした。

 調査は本年度、道が民間会社に委託して実施。昨年12月下旬の道集落対策促進会議に中間報告した。道内全179市町村から回答(自治体の認識)を得て、3772集落について調べた。このうち渡島は212、桧山は186集落。

 渡島は機能良好が162集落(76%)を占め、低下が44集落(21%)、維持困難が6集落(3%)。桧山は良好が175集落(94%)に上り、低下が11集落(6%)で、維持困難はなかった。良好とする割合は全道平均(81%)に比べ、渡島が低く、桧山が高かった。

 渡島は今後、集落が存続するとしたのが201集落(95%)、いずれ消滅が11集落(5%)。桧山は存続が175集落(94%)、いずれ消滅が11集落(6%)となり、10年以内に消滅は両管内ともなかった。

 また、集落機能の低下・維持困難のほか、都市以外、高齢化率50%以上(または40%以上で後期高齢化率20%以上)、市町村の中心部からおおむね4`以上、人口300人以下の条件を満たす集落が全道に289集落(71市町村)あり、特に対策を必要とする270集落(52市町村)を選定。この中には道南では北斗市、松前町、福島町、木古内町、長万部町、厚沢部町、せたな町が入り、生活や産業基盤などの問題点について聞き取り調査を進めている。

 全道では、人口100人未満の集落が2023(54%)に上り、世帯人数は集落平均で2・6人、高齢化率(65歳以上)は同36%、後期高齢化率は同21%と高齢化の進展がうかがえる。

 桧山管内は、住民の半数以上が65歳以上の高齢者という「限界集落」の割合が全道で突出して高いが、道地域づくり支援局は「集落機能が良好だと判断する基準が町によって違うので、半数が65歳以上であっても一概に消滅問題≠ノ直結するとは限らない」としている。

 調査結果は3月末までに報告書にまとめ、新年度以降、道の具体的対策に反映させる。(山崎大和)



◎函館駅裏に高さ3メートルの防潮堤

 東日本大震災に伴う津波被害を受け、函館市がJR函館駅裏の青函連絡船記念館摩周丸(若松町)周辺で整備していた高さ3メートルの防潮堤が完成した。増設された2カ所では津波による海水の流入が確認されていて、市は「これで万全ではないが、当面の緊急的な措置」として、今後は避難対策などソフト面に力を入れる方針だ。

 整備されたのは、以前に青函連絡船の発着などで使われていた若松ふ頭の2カ所の岸壁。一部で護岸がなかったり、低かったりした個所を既設の防潮堤の高さに合わせて延長した。昨年10月に着工し、同12月中旬に完成。市の独自事業で補正予算を計上し、総工費は約860万円。

 防潮堤はいずれも高さが干潮時の海面から3b。摩周丸後部では金属製の側溝ふたがあった掘割に長さ14.6メートルの防潮堤を海底から新設し、付近の雨水などが排水されるよう堤防の下部に海水が通り抜ける配管も設けた。駅裏側の道路に面した護岸56bはコの字型に増設し、既存の防潮堤の高さにそろえた。

 函館では震災時に最大波2.4メートルの津波を観測。店舗や設備などに冠水被害が相次いだ朝市の関係者が今回新設した2カ所から海水が流入するのを目撃していて、市に対策を求めていた。市港湾空港部は「国の予算も厳しい中、単独事業として早急に何らかの対策が必要だった」と話す。

 一方、昨年の津波では市水産物地方卸売市場や赤レンガ倉庫群などのある豊川地区も浸水被害が大きかったが、同部は「安全面だけで単純に防潮堤を設置すれば、漁船の荷さばきや観光地・ベイエリアの景観に大きな支障が出る」と説明し、今後は適切な避難のあり方などハード整備以外の対策を強化する考え。 (森健太郎)



◎地域の課題 起業で解決 支援ネット14日発足

 コミュニティービジネス(CB)やソーシャルビジネス(SB)といった住民発意型のビジネスをサポートする「渡島・桧山地域CB・SB起業支援ネットワーク協議会」が14日、函館市内に発足する。地元企業や行政、金融機関、地域住民などでネットワークを構築し、相談・指導や支援者とのつなぎ役を果たしながらSBやCBの起業を後押しする活動を展開していく。

 SBやCBは、中心市街地・商店街の活性化や少子高齢化、雇用問題など、地域や社会が抱える課題の解決を目指して行う収益事業。

 道の「住民参加型起業支援ネット形成事業」(2009—11年度)を受託した函館市内のNPO法人「日本障害者高齢者生活支援機構」(能登正勝理事長)が中心となって、SB、CBの取り組みを地域全体で支える体制づくりを進めていた。

 10年度には同法人が中島廉売の商店街と連携して活性化プロジェクトを実施。本年度は起業家の相談に応じるコーディネーターを育成したほか、札幌のシンクタンクやNPO法人でつくる「北海道起業支援プラットホーム形成事業共同体」と連携しながら、市民向けの実践的なワークショップを4回行った。

 取り組みを通して昨年12月、ユニバーサルツアーを企画する観光案内所「ふらっとほ〜む」が起業している。事業終了後の継続的なつながりを確保するための組織として協議会を立ち上げる。

 協議会では、社会参加や市民活動に意欲がありながら、既存の相談機関では支援しにくい人材を主なターゲットとし、起業を後押ししていく考え。資金の調達方法や申請書類の書き方などのノウハウを持つサポーター(支援会員)を募り、起業家へ紹介する取り組みも進める。

 現時点では、地元企業や金融機関、有志ら個人・団体約30組が参加する見通し。14日午後6時半から、中島れんばいふれいあいセンター(中島町)で設立総会を開き、役員の選出や規約の決定などを行う。同協議会設立準備会の島信一朗代表は「自分のスキルや経験を生かして何かにチャレンジしたい市民を応援する組織。3年間で培った事業を維持、発展させていきたい」としている。

 問い合わせは同法人TEL0138-51-0026。(鈴木 潤)


◎「五稜郭音頭」復活へ

 ハローポテト音頭などを伝える「第2回亀田芸能まつり」(道南ポテト踊り保存会主催)が19日午後零時半から、函館市亀田福祉センターで開催される。今回は「地域に思い出を、見つめよう我が街」をテーマに、最近では踊られることのなくなった「五稜郭音頭」を復活、披露する。

 同まつりは亀田地区で開催されていた「ハローポテトカーニバル」の廃止に伴い、昨年から行っている。同地区特産のジャガイモをPRするハローポテト音頭をはじめ、ポテトサンバなど楽しい踊りを後世に伝えている。

 主催するのは踊りの保存を目的にする会。20人の会員がおり、毎週水曜日に集まって練習を重ね、高齢者施設などの訪問も行っている。ことしも発表の機会が迫ってきたことで、会員の練習にはさらに熱が入ってきた。亀谷葉子会長は「1年間の集大成のお祭り。ことしも皆で力を合わせて楽しんでもらえるようにします」と張り切っている。

 今回の踊りは初めて函館オールスターズが演奏する生バンドで行う。さらに最近では踊られることがなくなった「五稜郭音頭」(阿部たつお作詞)も新たに振付して復活。亀谷会長は「五稜郭の風景を取り入れました。ぜひ見に来てほしい」と話している。また高田ともえや近江亜矢らによる民謡ショーも行う。

 入場料は500円(小学生以下無料)。益金は東日本大震災の義援金とする。前売り券は美原商店街振興組合TEL0138-45-0220などで扱う。問い合わせは実行委(亀谷産業内)TEL同52-1154。 (斎藤まや)