2012年2月8日 (水) 掲載

◎新函館駅のデザイン案選出…協議会 北斗市長に答申へ

 【北斗】鉄道・運輸機構が1月に北斗市に示した北海道新幹線新函館(仮称)駅の駅舎デザイン案3点について、新幹線新駅周辺デザイン協議会(会長・韮沢憲吉函館高専名誉教授)は7日、3案の中から「人々を温かく迎え入れる 開かれたエントランスの駅」をテーマとした案を推薦案として選び、高谷寿峰市長に答申することを決めた。前面がガラス張りで、トラピスト修道院のポプラ並木をイメージしたデザイン。市長はこれをもとに、3月下旬までに推薦案を同機構に回答する見通し。

 新駅のデザイン案は「自然と共に呼吸(いき)する モダンで温かみのある駅」とするコンセプトを、市が同機構に要望。同機構は1月に3点を示していた。

 駅舎は2階建て。2階に改札口を設け新幹線・在来線ともに1階ホームから発着する構造となっている。協議会では同機構がそれぞれの特徴を説明した。

 選ばれたデザインは正面中央部の大きなガラス板が特徴で、「地域の歴史と自然の安らぎを感じさせる内容」(同機構)。壁面にはセメント系の板材を使う意向としている。各委員は3点に対し、5段階評価を行って2点に絞り、さらに決選評価を行って選んだ。

 同機構は市長から推薦案の回答を受けた後、新年度に実施設計を行い、13年度に建設工事に着手する考え。各委員からは「北斗市は道内におけるレンガの発祥地といった歴史がある。使う素材を十分に配慮してほしい」などの意見が出され、答申案で付帯意見として要望する見通し。

 韮沢会長は「まさに新幹線駅で、構造的には一番安定している。隣接するホテルなどと景観が合う建物づくりが必要」と評し、その上で「北斗らしさだけでなく、北海道らしさを感じさせる駅づくりを期待したい」と話した。(千葉卓陽)



◎介護保険料基準月額5280円…北斗市

 【北斗】北斗市は、2012年度から14年度まで(第5期)の介護保険料の改定案をまとめた。第1号被保険者(65歳以上)の基準月額は現行の4200円から約26%増の5280円。引き上げは、高齢者人口が増え、給付費総額も増加が見込まれるための措置。市は、今後の給付費増を抑制するため、介護予防事業の強化を図る方針。

 7日に開かれた市議会文教厚生常任委員会(坂本勉委員長)で市が示した。

 介護保険料は各市町村が3年ごとに見直しを行っている。市の65歳以上の高齢者人口(推計値)は、12年度の1万964人から、14年度に430人増の1万1394人となる見通し。介護サービスにかかる給付費などの総額も12年度で約33億2700万円、14年度には約36億5400万円に膨らむことを見込んだ。

 こうした状況から試算した基準介護保険料は5944円となるが、新年度に配置する「介護保険適正化専門員」によるケアプランの点検や市内事業所への指導で介護給付費の適正化を図り、一般会計から介護保険給付費準備基金として2億円を積み立てることなどで、保険料の軽減化を図った。

 また、所得段階区分は、高額所得者分を、本人所得200万円以上、350万円以上、500万円以上に細分化し、現行の6段階から8段階とした。低所得者層の引き上げ幅の抑制を図り、各区分の月額保険料は2640〜9240円となった。市は関連条例の改正案を第1回定例市議会に提出する方針。(今井正一)



◎インフルエンザ流行 予防徹底を

 インフルエンザが函館市内で本格的に流行している。市立函館保健所は7日、市内の内科、小児科定点医療機関11カ所の患者数が第5週(1月30日〜2月5日)で110人、1定点あたり10人となり、注意報発令基準となる1定点10人に今シーズン初めて達したことを発表。ドラッグストアなどでは、インフルエンザの予防・対策関連商品を買い求める客が多くなっている。

 インフルエンザは現在、全国的に拡大。道感染症情報センターの発表によると、第4週(1月23〜29日)で道内すべての保健所管内が定点あたり患者報告数1を超え、流行期に突入した。定点あたり30以上の警報レベルは5保健所で発令している。今年はインフルエンザで代表的なA香港型が流行しているという。

 市内では今年、第1〜3週(1月2日〜22日)の延べ患者数が昨年同期比123人減の41人と少なかったものの、5週目で大幅に増加。昨年より2週間早く注意報発令となった。小、中学校でも学級・学年閉鎖が相次ぎ、7日現在で12校が実施している。

 流行に合わせるように、ドラッグストアやホームセンターなどでは風邪予防・対策関連品を買う客が増え始めている。

 ホーマック上磯店(北斗市七重浜4)では、小中学校の冬休み明けから加湿器が売り上げを伸ばしている。1月23日からの売り上げは昨年比1・6倍、数量も1・5倍で「極端な寒さや、雪、乾燥に加え、全国的なインフル流行の報道で実際に流行する前に準備する動きがあった」と同店。

 蒸気で湿度を保つ気化式のほか、超音波で微細な水分を放つハイブリッド式も人気で、1万円を切る種類が売れ筋。また特殊な紙に水分を浸して、部屋の乾燥を防ぐ商品(1000円前後〜3000円前後)も人気で「昨夏からの節電意識が続いている」(担当者)。

 マスクは使い捨てが主流で、同店では極端な買いだめなどによる売り切れはないが、主任の吉野裕之さん(41)は「インフルの流行情報に注意して、関連品の在庫を確認し、品不足でお客さまにご迷惑がかからないよう関係機関と連携を密にしている」と話す。(田中陽介、後藤 真)



◎歴風文化賞に5件

 函館の歴史的風土を守る会(歴風会、落合治彦会長)は7日、2011年度の「歴風文化賞」を発表した。歴史的な建造物の貴重性、持ち主の保存に対する努力や、郷土文化、景観へ寄与した個人などをたたえるもので、本年度は保存建築物として「旧真藤慎太郎邸」(函館市船見町7)「宇美ユキ子邸」(浜町437)、「黒滝美栄邸」(元町22)、「久保田利光邸」(北斗市飯生1)、原風景に「護国神社坂と高田屋嘉兵衛像」の計5件が選ばれた。

 歴風文化賞は1983年度から始まり、本年度で29回目。函館や近郊の歴史ある建造物などを後世に残そうと、毎年表彰している。

 旧真藤邸は大正末期に建てられた木造2階建て、和洋混合の建築物。日露漁業副社長だった真藤氏が、商談や接待の際に利用した。玄関横の洋風応接間が特徴的で、外観、室内とも創建当時の姿を残し、大正末期から昭和初期にかけての函館の住宅史を知る上で貴重とした。

 宇美邸は、1895(明治28)年に漁家住宅として建造。木造平屋で和室が4室配置され、ふすまを取り外すと広々とした空間となり、漁の始めと終わりの宴や、結婚式などにも使われた。住宅東側には1915(大正4)年造の蔵があり、ともに創建時の姿で保存されている。

 黒滝邸は34(昭和9)年の函館大火直後に建てられた、木造平屋の純和風住宅。外壁の下見板張りなどが創建時のまま保存され、黒に塗られた木の塀も重厚な雰囲気を醸し出している。「和風住居の存在を高め、昭和初期の西部地区の住宅の歴史を知る上で貴重」と評価された。

 久保田邸は41(昭和16)年に建造。木造2階建ての純和風住宅で、創建当初から木製の窓枠を使い続けており、外壁との相乗効果で、外観に歴史的な重みを感じ取ることができる。玄関や廊下、縁側なども美しく保たれていることが受賞につながった。

 また、護国神社坂と高田屋嘉兵衛像は、坂の両側に和風の並木が並び、公民館や歴史的に貴重な家屋が連なり、街並みを見守るように立つ嘉兵衛の銅像を「遠い過去より函館の歴史を見つめており、函館の原風景」と評している。

 表彰式は17日午後6時半から、五島軒(末広町)で開かれる。(千葉卓陽)


◎新鮮キュウリ出荷…森町

 【森】森町濁川地区で、地熱水を利用した促成キュウリの出荷が始まっている。道内一早く食卓に届く地物で、真冬のハウスに新鮮なみずみずしいキュウリが育っている。

 柴田理(おさむ)さん(42)方ではハウス4棟(480坪)で栽培し、今年は1月29日から出荷している。7月上旬まで続く。畝(うね)沿いに設置した放熱ダクトに60度の熱水を流し、地温と気温を確保。ハウス内の温度は日中で25度前後、夜間でも13、14度に保っている。

 妻の美紀子さん(38)ら家族で収穫、選別し、1箱5`詰めと作業を進めている。現在は1日に15箱前後を出荷、ピークの4月ごろには40〜50箱を出荷する。現在は地元函館へ、量が増えると札幌にも市場出荷する。

 市場価格は、AMサイズで1箱3000円(高値)と例年より若干高め。柴田さんは「今年は日照不足と外気温が低いため、生育は平年より遅れ気味だが、品物は良好。鮮度が良くてしっかりとした味に仕上がった。サラダでも漬物でも最適」と話している。

 JA新はこだて濁川事業所(山田智道所長)によると、同地区では4戸が地熱水を利用し促成キュウリを作っている。(山崎大和)