2012年3月12日 (月) 掲載

◎東日本大震災から1年 函館でも鎮魂の祈り

 東日本大震災から1年を迎えた11日、函館市内でも犠牲者への鎮魂と復興を願う集会が各所で行われた。上湯川町のトラピスチヌ修道院では55人の修道女と市民21人が祈りをささげ、日乃出町の大森浜沿いでは「祈りよとどけ」と称した集会が開かれ、市民200人が心を一つにした。

 トラピスチヌ修道院の「追悼と再生を願う祈祷集会」は、震災が発生した午後2時46分に合わせて行われた。震災半年の昨年9月には修道女らのみで行われたが、この日は一般市民も参加した。

 集会は打鐘で始まり、整列した修道女が透き通る声で賛歌を歌うとともに、「アーメン」などと手を合わせながら祈りの言葉を並べた。岩島忠彦司祭は「1年がたったいま、亡くなった方は神のもとで永遠に眠っているが、残された人は世の中を生き抜こうと努力している。復興のために私たちはもう一度、再生への決意を新たにしましょう」と、ろうそくの火が灯された聖堂で言葉をかみしめながら説教をした。

 参列した市民は手を合わせたり、上を向きながら目を閉じるなどして犠牲者を鎮魂。最後に黙とうをささげ、1年前を思い返していた。

 参列した上湯川町の主婦、小中修子さん(56)は「震災当日、いとこが福島に住んでいたが、今は放射能の影響で避難している。1年がたち、たくさんの人に支援してもらっていとこも喜んでいる。これからも募金を続けていきたい」と話していた。(後藤 真)



◎「大間中止」求め600人行進

 東日本大震災から1年がたったのに合わせ、さようなら原発1000万ン人アクション連鎖集会「福島原発事故から1年、やめるべ、大間原発!3・11函館集会」が11日、函館市千代台町の千代台公園で開かれた。日本の「安全神話」が崩れたことで、大間原発も一度事故を起こすと30キロ圏内にある函館は「死の街」と化すとし、直ちに建設中止を求める集会アピールを採択した。

 道南地域平和運動フォーラム(相沢弘司代表)の主催、渡島・桧山管内の労組などから約600人(主催者発表)が参加した。

 同フォーラムの小林久恭副代表は「大間で原発を造っており、泊原発もある。仮に事故が起きたら北海道は住めない土地になる。原発推進を止めるには、地域で脱原発に向けた行動を起こしていくことに尽きる」とあいさつ。大間原発訴訟の会の竹田とし子代表、バイバイ大間原発はこだてウオーク実行委のピーター・ハウレットさんが連帯あいさつした。

 集会後、同公園から本町を通り、梁川町のベルクラシック函館までの約1`を「福島原発事故を繰り返すな!」「大間原発の建設を中止しろ!」「泊原発の再稼働は許さないぞ!」などとシュプレヒコールを上げながら行進した。

 行進後、ベルクラシックで学習会が開かれ、原子力資料情報室(東京)の沢井正子さんが講演。「東京電力でさえ、核燃料がどこで溶けているのか分からず、いまだに放射能は出ている。この状態で収束宣言(昨年12月に政府が発表)はあり得ない」と批判。大間原発については、原発運転の経験がない電源開発(東京)がフルMOX(プルトニウム・ウラン混合酸化物)原発を計画していることや、火山が近いこと、敷地内に未買収地(民有地)があることを指摘し「皆さんの力で止めることは可能」と訴えた。(山崎大和)



◎「3・11忘れない」歌や踊り、行灯行列

 東日本大震災の被災者支援のために集まった有志でつくる「函館ハート・プロジェクト」が11日、金森ホール(末広町14)でチャリティーイベント「3・11を忘れないために」を開いた。市民や観光客ら大勢が参加し、歌やダンス、写真展示などを通じて被災地復興への祈りをささげた。

 呼び掛け人の大野友莉さん(30)が中心となり、昨年3月から始まった同プロジェクト。震災を風化させず、当たり前の大切さを知り、人のつながりに感謝することを目的に活動している。

 会場では、フードコーナーや被災地の写真展示、ステージライブを披露。福島県郡山市との映像も中継した。地震が発生した午後2時46分、参加者たちは海側を向いて立ち、1分間黙とうして追悼の意を表していた。

 大野さんは「ほんの少しでも被災者の役に立ちたくて始めました。同じ気持ちの人がつながり合う力を支援に使い続けたい」とあいさつ。トークの部では、福島県いわき市で震災を体験した道場彰規さん(39)が、声を詰まらせながら当時の状況を語った。

 函館朝市どんぶり横町市場前から会場までの津波が到達したラインを練り歩く「震災追悼・キャンドル点灯ウォーク」も実施。団体や市民ら30人以上の行灯(あんどん)行列が、「がんばろう」などの応援メッセージが書かれた約400個のキャンドルに火をともしながら、復興を願う明かりを会場までつなげた。

 大野さんは「外に出るのを自粛している人もいるはず。震災を忘れることなく、心をひとつにして未来に向かっていきたい」と話していた。(柏渕祐二)


◎迫力の音色 観客を魅了

 函館を拠点に活動するマーチングバンド、マキシマム・ドラム&ビューグル・コー」の演奏会「LIVE2012」が11日、函館市民会館で開かれた。約40人のメンバーが迫力ある演奏を披露し、満席の観客を魅了した。

 同バンドは1993年に結成。社会人を中心に活動しており、全日本大会への出場経験もある実力派。演奏会は毎年この時期に開いており、今年は函大附属有斗高マーチングバンド部のほか、青柳小金管バンド、亀田中吹奏楽部など4団体をゲストに迎えた。東日本大震災から1年に当たり、冒頭にメンバーと観客が黙とうをささげた。

 ステージは感謝の気持ちを込めて、人気ユニット・いきものがかりの「ありがとう」で幕開け。第1部では管楽器や打楽器のほかにギターやドラムを取り入れ、「ダンシング・クイーン」(アバ)「桜の栞」(AKB48)など新旧の人気曲を次々と披露。合間にはメンバーが客席に散らばり、観客と一体になったステージを繰り広げた。

 その後はジャングルをテーマにしたショーや、ゲストを交えてのマーチングが行われ、観客から大きな拍手が送られた。(千葉卓陽)