2012年3月13日 (火) 掲載

◎野外劇ポスター完成

 NPO法人市民創作「函館野外劇」の会(フィリップ・グロード理事長)が主催する新年度の「第25回市民創作函館野外劇」公演のポスターとチラシがこのほど、完成した。夜の水上に浮かぶ北前船を前面に配したインパクトある写真を採用し、ロケーションの魅力を伝えている。

 野外劇は特別史跡・五稜郭跡を会場に、幕末から現代までの函館の歩みを市民が再現する75分間の歴史スペクタクル。今年の公演は7月6日〜8月11日の全12回。5月26日には過去の歩みを振り返る記念事業も予定している。

 ポスターとチラシには、公演前半の北前船登場のシーンを採用。函館の写真家、野呂希一さんが撮影した。ポスターはA2判2000枚、チラシはB5判6万枚作り、市内各所に配布する。

 同会理事の住山省悟さん(61)は「函館市民でも一度も観劇したことがない人は多い。節目を飾る壮大な舞台をぜひ見に来てほしい」と呼び掛けている。

 チケットは今月15日から市内各所で発売する。1000円の寄付で初回から4回分の入場料が大人に限り1000円になるサポート会員も募集している。問い合わせは事務局TEL0138-56-8601。(長内 健)



◎函館市が年金調査員配置へ、生活保護費抑制目指す

 函館市は新年度から、生活保護受給者や申請者が年金受給資格を有しているかを調べる調査員を配置する。厚生労働省から全額補助を受けて取り組む事業で、増加が続いている生活保護費の減額につなげるとともに、収入額の不正申告防止にも役立たせたい考え。新年度から嘱託で4人程度を配置する方針だ。

 年金調査はこれまで、各担当地区のケースワーカーが生活保護業務と兼ねて行っているが、ケースワーカー1人当たりの担当世帯数は国の定めた標準数(80世帯)から10〜15世帯上回っている現状にある。市は現場からの要望を受け、数年前から検討を進めていた。

 調査員導入の背景には、旧社会保険庁や市町村に年金記録がなく、本人にも領収書などの証拠がない「消えた年金」問題が挙げられる。

 生活保護法では活用の要件として、年金や手当など他の制度で給付を受けられる場合に活用することを定めている。調査員は受給者の年金手帳や過去の就業歴などを調べ、受給資格があれば活用してもらい、保護費の減額につなげる考え。市福祉事務所は「制度自体も複雑で、年金事務所にもなかなか行けない保護申請者に対する支援が必要」と話す。

 調査員は併せて、不正受給が疑われる受給者対策として、収入額の不正申告調査も行う。ただ「資料を取り寄せることで判明する部分があるが、不正の取り締まりとなると受給者の権利抑制につながってしまう」(同事務所)と難しい側面もあることから、「どういった調査ができるのか、足がかりを作りたい」とする。

 新年度予算案には関係経費1100万円を計上。市は嘱託職員をすでに公募し、同事務所と湯川福祉課と亀田福祉課に配置する考え。(千葉卓陽)



◎学校給食調理場に保冷食缶導入へ

 函館市は新年度から、市内の学校給食調理場に食べ物の温度管理をより徹底するための保冷食缶を導入する。昨年2月に岩見沢市で発生した学校給食の集団食中毒事件を受け、4〜6月に市内36カ所の調理場で点検を行った結果、すべての施設で何らかの「改善が必要」と指摘されたため。

 点検は全道一斉に行い、函館では市教委と市立函館保健所が行った。その結果、前日に使用した食品の缶詰めが放置されていたり、器具を洗浄・消毒する設備の温度が不十分であることなどが指摘された。

 市はこれを受け、保冷機能の足りない食缶やバットで運んでいたサラダ、あえ物、果物などの十分な温度管理が必要とされる食べ物の保管に対し、保冷食缶を導入。これまでは調理時間を工夫するなどして管理に努めていたが、より安全性を高めようと調理場のない小学22校、中学15校で取り入れることとした。

 保冷食缶はステンレス製で外気の影響を受けづらい二重構造になっており、調理場のない学校への運搬時などで使用。保冷剤とセットで使うため、十分な温度管理が可能となる。

 併せて保冷剤を保管するための冷凍冷蔵庫を追加で31台導入する予定。このほか、設備更新として老朽化した食器消毒保管庫も新たに数校で設置する。市はこれらの購入費として、3000万円の予算を盛り込んでいる。

 市保健給食課の中村文信課長は「調理施設のない学校では、パンや米、牛乳などはメーカーから直接届けられていたが、調理が必要で温度管理が特に必要とされるものは今までぎりぎりに作って運んでいた。子どもの安全・安心を高めるために取り入れた」としている。(後藤 真)


◎ユニバーサル映画祭、今年も震災復興応援

 手話通訳者や音声ガイドなどを設置して、障害の有無や年齢などにかかわらず、誰もが映画観賞を楽しめるイベント「北海道ユニバーサル上映映画祭」(同実行委主催)の今年の開催概要が、このほど決まった。7回目となる今回は東日本大震災で道南に避難した被災者を無料招待する他、被災地にゆかりのある作品も上映し、復興を応援する。

 昨年は震災直後に行われた同映画祭七飯上映会で、防災や環境問題にかかわる作品を上映し、益金や来場者募金を義援金として被災地に送った。今年は被災地域の復興が道半ばの状況の中、引き続き応援する取り組みを決めた。

 被災者の無料招待の方法などについては今後詳細を詰めていくが、「被災者の動向を把握している行政機関や県人会などと相談しながら進めたい」(同実行委)としている。

 招待は、北斗市総合文化センターで開催する同映画祭(9月22、23日)と、同映画祭の七飯(6月2、3日・町文化センター)、函館(11月24、25日・市総合福祉センター)の両上映会としている。

 七飯上映会では、震災後の福島県いわき市のフラガ—ルを追ったドキュメンタリー映画「がんばっぺフラガ—ル〜フクシマに生きる。彼女たちのいま〜」と、同市を舞台にした日本アカデミー賞最優秀賞作品の「フラガール」の2作品を上映する。

 同映画祭では北大ショートフィルムプロジェクトのショート映画3作品や、ドキュメンタリー映画監督の小林茂さん作品「こどものそら」3部作などを上映するほか、小中高生を対象としたワークショップなどを行う。さらに函館上映会は、小林さんの作品を特集したプログラム編成を予定している。

 この他、4月18日に道国際交流センターで特別企画上映会、8月上旬には市電に乗車して観賞する「市電シネマ」も行う。

 実行委の島信一朗代表は「社会の在り方に真正面から向き合い、何が必要で、何が正しいかを発信する映画祭にしていきたい」と話している。(鈴木 潤)


◎箱館奉行所の鬼瓦また破損

 函館の観光名所として知られる箱館奉行所(沼崎孝男館長)に取り付けられている「鬼瓦」が、またも雪の影響で破損した。今回は昨年壊れた部分をくっつけた接着面から折れた形となったが、たび重なる“アクシデント”に関係者は頭を悩ませている。

 鬼瓦は全国でも数少ない職人によって1カ月以上かけて作られるもので、1枚10万円ほどかかるという。施設には大小20枚の鬼瓦を取りつけており、7日にも屋根の正面右にあった1枚が落雪により破損している。

 今回は10日に、職員が正面左の出口側に落ちている鬼瓦の欠片を発見。市教委によると、破損したのは昨年2月に壊れたもので、新しく取り換えず“様子見”として瓦用の接着剤でつけていた部分が折れ、地面に落ちたという。

 現在、市教委では2枚の鬼瓦を発注しており、雪解けを待って新しく付け替える予定。具体的な屋根の除雪対策は今後、検討していくという。市教委は「応急処置として補修していたものだから仕方がない。万全は期しているが、今年の雪には困っている」と頭を抱えている。(後藤 真)