2012年3月14日 (水) 掲載

◎「土偶ッキー」売れ行き好調

 道内初の国宝、中空土偶などを展示し、今月6日から札幌市の北海道開拓記念館で開かれている「北の土偶 縄文の祈りと心」展に合わせて、会場で販売しているクッキー「はこだて土偶ッキー」(6袋入り、630円)の売れ行きが好調だ。クッキーは函館市内の障害者福祉施設「かいせい」(東川町)で製造していて、職員、利用者も予想以上の反響に驚いている。

 今回、同記念館の要請に応じてクッキーを納品。初日の6日に50箱を納めたが、翌日の7日には完売し、8日以降、同記念館から200〜300箱の追加注文が寄せられている。

 同館の物販担当者は「中空土偶関連のグッズはすごい人気。クッキーは味が良いと年配者を中心に好評。パッケージもインパクトがあって受けが良いのでは」と話す。

 かいせいでは通常、利用者40人前後が週2回、注文の状況に応じて「土偶ッキー」を製造している。今回の売れ行きで9日から連日、フル稼働体制で通常の倍の100箱分を製造し、納品している。

 同施設の職業指導員で、金丸淳子主任は「多くの人に買っていただきありがたい。可能な限り注文に応じていきたい」と話している。

 クッキーは道産小麦を原料に添加物を一切使わず製造。表面に中空土偶の焼き印が付いているのが特徴で、昨年6月、土偶の顔をアップにしたパッケージに一新し、市内では市地域交流まちづくりセンター内の福祉の店「どんぐり・2」や市縄文文化交流センター(臼尻町)などで販売している。(鈴木 潤)



◎ガソリン高騰150円台に

 函館市内のガソリン価格が急騰している。函館市がまとめた調査(12日現在)によると、レギュラー1リットルの平均価格は155.21円で、150円台に突入。前月と比べて13.70円値上がりした。価格は今後も上昇する恐れがあり、市民や事業者などからは悲痛な叫びが上がっている。

 ガソリンの高騰は、イラン情勢の緊迫化に端を発する。原油価格は世界的に上昇しており、函館では2月中旬ごろから上がり始めた。12日現在の最高価格は158円、最低価格は147.80円で、いずれも前月比11円上昇している。

 道南145のガソリンスタンド(SS)でつくる函館地方石油業協同組合は「今後の予想はつかないが、恐らく価格は上がるだろう。元売りの仕切り値が上がっているため、末端(SS)も上げざるを得なく、客にしわ寄せがいってしまう」と顔をしかめる。

 また急激な高騰を受け、消費者は価格がやや高めのフルサービスからセルフのSSに流れ込んでいる。フルサービスなどを経営する池見石油店(豊川町10)は「お客さんは少しでも安いとこに行ってしまうので、フルのSSは厳しい。適正なマージンが取れないので、今は集中する車検整備などでやり過ごすしかない。一番心配なのは車の乗り控え」と懸念する。

 イラン情勢を受けた価格高騰はガソリンのみならず、石油製品全般に及んでいる。市市民部が卸、小売を兼ねる15店、小売販売店の計30店に行った調査によると、家庭用灯油、軽油、プロパンガス、重油いずれも上昇している。

 家庭用灯油(1リットルホームタンク用)の平均価格は、同比4.73円高い97.64円。軽油については同比12.28円上昇し、140.61円に達している。

 市民も困惑の表情。市内会社員の高橋登さん(26)は「これ以上上がると生活に影響してくる。休日は車に乗らないようにして節約したい」と話している。(後藤 真)



◎震災がれき受け入れ、道南自治体 対応に苦慮

 【北斗】東日本大震災で発生したがれきの広域処理をめぐり、道南の各自治体が頭を悩ませている。放射性物質濃度の基準や市民理解など受け入れには障壁も多く、「国の基準が不明確な現時点では難しい」(函館市)、「許容量の問題で困難」(北斗市)と難航。被災地支援の実践とリスクを避けたい市民感情にどう折り合いをつけるか、難しい判断を迫られている。

 「市として受け入れを拒否することにはならない。だが、市民生活への影響がない形でなければならない」。函館市の工藤寿樹市長は函館新聞の取材に対し、がれきの受け入れに前向きな姿勢を示しながらも、国の基準への不信感や戸惑いから慎重な態度を崩していない。

 問題の背景には、焼却灰の放射性物質濃度に関する国の「二重基準」がある。放射性セシウムを含むがれきの焼却灰について、1キロ当たり8000ベクレル以下ならそのまま埋め立てられるとした国の基準に対し、原子炉等規制法では、放射性廃棄物として扱わないごみの基準を同100ベクレル以下に定めているためだ。

 昨年12月の定例市議会で工藤市長は「住民の健康への不安や基幹産業である観光、水産業に対する風評被害への懸念がある。放射性物質に関する国の基準が明確となっていない現段階での検討は困難」と答弁。その後の取材では「仮に受け入れたとした場合、基準は(1キロ当たり)100ベクレル以下がベースとなる」と態度をやや軟化させている。

 市環境部によると、七五郎沢廃棄物最終処分場(東山町)で「不燃」の埋め立ては許容量の問題で難しく、木くずやプラスチック類などの「可燃」でも日乃出清掃工場(日乃出町)で受け入れ、焼却できる量は年間1万3000トンが限界という。一方、同部には震災後にがれきの受け入れに反対する市民らからの電話やメールも約20件寄せられている。

 小柳辰夫環境部長は「焼却やモニタリング調査の方法も定まっていない中では、市民に説明ができない」とあくまで慎重な構え。市で独自に受け入れ基準を策定するのも難しく、「受け入れたいのは山々だが、いまは国や道が明確な安全基準を示すのを待つしかない」と悩ましい。

 北斗市も一般廃棄物最終処分場(中山)は許容量に問題があり、渡島の10市町で構成する渡島廃棄物処理広域連合の可燃ごみ処理施設「クリーンおしま」(館野)も、連合長の高谷寿峰市長が2月の同連合議会で「自己処理分で精いっぱいの状況」と述べ、実質困難であるとの認識を示している。  七飯町は、昨年4月の段階で町仁山の一般廃棄物最終処分場で3000トンの受け入れが可能としていたが、同12月の町議会定例会で中宮安一町長が放射性物質検出の懸念から、この判断を撤回することを表明。松前、福島、知内、木古内町で構成する渡島西部広域事務組合は福島町千軒の最終処分場で、放射性物質の不検出を前提に、焼却灰など1万立方メートルの受け入れを検討している。(森健太郎、今井正一)


◎震災がれき、太平洋セメント上磯工場が処理先に浮上

 震災がれきの処理にかかわり、野田首相がセメントや製紙業界など、がれきを原材料として活用できる民間への協力要請を拡大する方針を示したことを受け、「太平洋セメント上磯工場」(北斗市飯生1)での受け入れの可能性が浮上している。従前からセメント製造過程で廃棄物を原材料や燃料として使用していることから技術的には可能で、道などの正式な要請があれば、同工場での処理が進むとみられる。

 同社本社(東京都)のIR広報グループは函館新聞の取材に「一般的な廃棄物処理の技術について、道との意見交換はある」とした上で、「(上磯工場での)震災がれき処理の正式な依頼や要請は現時点ではない。国や道が意志決定をした上でのことで、当社主導で進む話ではない」とした。  東日本最大のセメント工場である上磯工場の年間最大生産能力は390万トン。震災で被災した同社の大船渡工場(岩手県大船渡市)では、同県の要請で同市や陸前高田市のがれきを処理し、製品化している実績もある。同広報は「正式な要請があった場合に、どの地域のどのようながれきを受け入れるのかなどを決めた上で、セメントの成分として適合するかを検討する必要がある。現時点で上磯工場での受け入れができるとは言えないが、北斗市や地域の理解なしには進めることはできない」としている。

 高谷寿峰市長は13日、仮に同工場でがれきを受け入れることになった場合には市の同意も必要とし、「安全性や経費、住民の理解など、全体の条件が整えば、被災地と痛みを分かち合わなくてはならないとの考えは持っている」とした。同日の市議会予算審査特別委員会では「岩手のがれきには放射性物質は含まれていないか、検出されたとしても微量ではないかと考えている。話があれば議会とも協議をしながら慎重に進めたい」と述べた。(今井正一)


◎女性の健康講座、骨粗しょう症の予防法学ぶ

 函館市が主催する「女性の健康講座」が13日、市総合保健センター(五稜郭町23)で開かれた。年配の女性ら53人が参加し、骨粗しょう症の予防方法などについて理解を深めた。

 女性がかかりやすい病気の特徴や予防方法、規則正しい生活習慣を身につけることを目的に開催。講師は市立函館保健所の職員2人が務めた。

 管理栄養士の沢中真奈美さんは、骨粗しょう症を予防する食事方法について講話。「骨とカルシウムは密接に関連していて、特に成長期の子どもはたくさんのカルシウムが必要」と説明した。

 また症状を引き起こす原因として、▽除去できるもの▽除去できないもの—の危険因子を紹介。除去できるものはカルシウムなどの栄養不足、喫煙、極端な食事制限などを挙げ、除去できないものは年齢や性別、初経時期の遅さなどを示した。

 沢中さんは「骨粗しょう症は女性がなりやすいが、除去可能なものは食事に関することがほとんど。1年に1回は健康診断を受けるなど、自分の健康状態を把握した上で栄養バランスの良い食事をとってほしい」と話した。

 このほか、保健師によるがんについての講話も行われた。(後藤 真)