2012年3月16日 (金) 掲載

◎道南の食 魅力一冊に…ハンドブック完成

 道南の食の魅力がたっぷり詰まったハンドブック「南北海道食彩王国」が完成した。渡島・桧山管内の一次産品67品、加工品108品、飲食店36店舗を紹介。道内外の食品バイヤーや料理人ら食のプロ≠ノ配り、優れた食材のPRと販路拡大につなげる。

 渡島総合振興局食と観光振興室が2000部作った。表紙には道南を「北海道のイタリア」と位置づけ、食の宝庫を連想させる絵柄を採用。品目ごとに生産者の顔が見え、商品へのこだわりが分かる工夫を凝らし、問い合わせ先も掲載している。

 一次産品はゴッコ(ホテイウオ)やドンコ(エゾイソアイナメ)、タマフクラ、カボチャ「くりりん」、はこだて和牛、函館男爵黒豚など道南ブランドを紹介。加工品は松前漬けやタラコ、たま福来甘納豆、えぞ鹿ジンギスカンなど海・山の幸が勢ぞろい。飲食店は地元食材にこだわった名店を取り上げている。

 また、函館独自の食イベントとして「バル街」、食に関するプロ集団「クラブ・ガストロノミーバリアドス」の活動をPRしている。

 A4判、全カラー198ページ。一般配布は行わず、ハンドブックと同じ内容を同振興局のホームページ(HP)に今月下旬から公開する。

 同室は「今後も優れた食材を発掘し、新しいものを取り入れて改定版を発行できれば」としている。(山崎大和)



◎江差線負担割合 北斗56%…並行在来線

 北海道新幹線の開業に伴い、JR北海道から経営分離される並行在来線の江差線五稜郭—木古内間(37.8キロ)で第三セクター方式で鉄道を運行する場合の地元3市町の負担割合について、道が北斗市56%、函館市と木古内町を各22%とするたたき台を提案したことが15日、分かった。3市町からの要望を受け、道が利用状況などを考慮して算定。3市町はこれを基に協議を行い、最終決定する。

 道は2月14日に開かれた第8回道南地域並行在来線対策協議会で、道と3市町の負担割合を「8対2」と提案、3市町は了承した。開業後30年間の公共負担額を51億5900万円と試算、8対2に当てはめると3市町の負担額は10億3100万円となる。3市町間は協議に当たり、道にたたき台を示すよう求め、道も必要に応じて協力する意向を示していた。

 道は、3市町に対し今月9日に文書でたたき台を提案。「利用客数や駅舎数、線路の距離に主眼を置き、人口や財政力などの要素も考慮して算定した」(新幹線・交通企画局)としている。高谷寿峰北斗市長は距離や駅舎数、利用客数などが算定根拠になるとし「北斗市が半分くらいは負担することになるだろう」との認識を示しており、道は北斗市の意向に近づけた負担割合を示した。函館市は人口や財政力、木古内町は距離や駅舎数を根拠にすると負担割合が高まるため、両自治体の負担分はバランスを取り、折半したとみられる。

 道は「今後の協議は3市町間で行い、道が主体的になって調整することはない」(同局)とし、最終決定を見守る考えだ。

 函館市は同区間内の線路が2`と短く、議会などからは人口や財政規模の面から多額の負担を懸念する声が出ていた。渡辺宏身企画部長は負担割合について「道からは例として示されているが、正式には何もない。協議会の場で正式に示されれば、議会にも意見を聞かなくてはならない」と話す。

 木古内町の大森伊佐緒町長は、「町にとっては非常に負担が大きい。財政収支計画を考えるとかなり厳しい比率と受け止めている」とし、「住民に負担を求めなければならなくなる可能性もある。まずは道から説明を聞き、さらに住民の意見を聞いて判断したい」と慎重な姿勢を見せた。(山崎大和、千葉卓陽、松宮一郎)



◎たくさんの思い出胸に…道南の公立中で卒業式

 道南の多くの公立中学校で15日、卒業式が行われた。函館市内では公立中学校28校で式典が開かれ、約2050人が3年間通い慣れた思い出いっぱいの校舎に別れを告げた。

 このうち函館的場中学校では、吹奏楽部による演奏と拍手で卒業生が入場。藤井寿夫校長が114人の卒業生に卒業証書を手渡し、「これからたくさんの試練があると思うが、未来に向けてまっすぐ前を向いて歩いていくことを切に願っています」とはなむけの言葉を送った。

 卒業生代表の飯田美鈴さんは、相田みつをの詩「ただいるだけで」を英語でスピーチ。「あなたがそこにただいるだけで みんなのこころがやすらぐ そんなあなたにわたしもなりたい」と詩に触れながら全校で取り組んだ合同音楽会のことを振り返り、「合同音楽会では互いの力に支えられながら乗り越えられた。この3年間は絶対に忘れません」と力強く述べた。

 最後は在校生が歌をプレゼントし、その後は涙で目を赤くしながら卒業生全員で合唱した。卒業生は在校生から「おめでとう」と声を掛けられながら紙不吹雪の中を退場。晴れやかな笑顔や涙を浮かべるなどさまざまな表情で、母校に別れを告げていた。(平尾美陽子)


◎春の彼岸 雪にご用心…市内墓地 積雪40〜50センチ

 今冬の記録的な大雪で、函館市内の墓地・墓園が深雪に埋まっている。例年3月中旬には各地ともほぼ雪解けが済んでいるが、今季はまだ40〜50センチの積雪状況。春の彼岸入り(17日)を前に、共同墓地などを管理する市土木部は「墓参にはしっかりとした防寒や除雪対策の準備を」と呼びかけている。

 旧4町村を除く市内で市が管理するのは共同墓地9カ所と東山墓園(東山町)の計10カ所。各地とも主要な道路や園路、駐車場などは除雪しているが、「人力にも限界があり、墓石を傷付けてしまう恐れがあるため、細い区画までは除雪ができない」(市緑化推進課)という。

 市内最大の東山墓園(約7300基)では、計6カ所の駐車場のほか、車が通れる主要な園路は16日までに除雪予定する予定。だが、園路から各墓石までは除雪が手付かずのところや、人が歩けるよう圧雪しただけの通路もあり、同課は「3月中旬でこれほどの積雪は近年にはない」という。

 住吉町共同墓地(約3700基)は例年、立待岬に向かう市道を一時的に開放しているが、今季はゲート前で車両通行止めとし、歩行者用の通路のみ確保する。船見町共同墓地(約2000基)は火葬場に通じる市道は車両も通行できるが、市道から墓石のある区画までは除雪していない。

 同課は「墓参する場合は例年にない積雪を想定したうえで、防寒靴など足元の準備や雪を取り除く除雪用具の準備を忘れずに」と注意を呼びかけている。問い合わせは同課TEL0138・21・3431。(森健太郎)


◎児童館各館独自に防災マニュアル…予算特別委 新年度中に策定へ

 函館市議会の予算特別委員会(北原善通委員長)は15日、民生常任委員会所管分を審議。市は児童館の防災対策について、各館独自の防災マニュアルを新年度中に策定することを明らかにした。建物の老朽化具合や立地条件などを勘案し、避難所への移動方法や帰宅方法などを細部にわたって明記する。

 児童館での防災訓練は、通常の避難訓練に加え、消防士による出前講座などを実施。災害時は館長が中心となって指示し、避難するとしている。

 マニュアルは昨年の東日本大震災を受けて作成。震災時、市内に現在26カ所ある児童館でけが人や目立った被害はなかったが、災害時での決められた対処法がなかったため、児童を家に帰宅させるタイミングなどで職員が混乱したという。

 震災以降は昨年、サイレンやソーラー充電などの防災機能を搭載したラジオを各館に1個ずつ配布。また12月には全館統一の初期対応マニュアルを作成した。▽児童への安全確保の声掛け▽避難口の確保▽火気の確認▽遊戯室での待機、点呼—などを定め、各館に配布した。

 委員会では初期対応以降の動きや海からの距離などの立地環境を勘案し、工藤恵美氏(市政クラブ)が「各館独自のマニュアルの作成が急務ではないか」と指摘。

 それに対し、市福祉部は「それぞれの実情に合わせた防災マニュアルは重要であると考えており、地域の力や総務部が示すガイドラインを踏まえて作成していきたい」と答弁した。(後藤 真)