2012年3月17日 (土) 掲載

◎コンブの若芽 販売好調

 函館タナベ食品(函館市桔梗5、田辺元久社長)が製造するコンブの加工食品「昆布の若芽」の販売が好調だ。成長しきる前のコンブをゆでて塩蔵処理した商品で、ワカメのような食感とコンブ独特のうま味が受けている。地元漁業者にとっては冬場の貴重な収入源ともなっていることから、同社は今後も徐々に製造量を増やす計画。

 同社は2004年設立の水産加工会社で、モンドセレクションを連続受賞している「いかしゅうまい」や辛子明太子、タラコなどで知られている。10年度の売上高は約10億1700万円。

 昆布の若芽は3年前、田辺社長が偶然、マコンブを養殖する過程で発生する間引きコンブを手に入れ、商品化につながった。通常は漁業者の家庭などで消費されるため市場に出回ることはないが、同社はワカメのようなやわらかい食感とコンブ独特のうま味に着目。戸井漁協に協力を仰いで特別に生産してもらい、商品化にこぎつけた。

 主要な販売手段はテレビショッピングや全国の百貨店で開催する物産展など。タレを付けてそのまま食べたり、みそ汁にするなどおいしさをじかに伝える方法で順調に売り上げを伸ばし、11年の製造量は45dにまで増加。生産する漁業者も増えており、12年は50d超を計画する。

 原材料は繁忙期以外の2月下旬に収穫するため、マコンブ養殖の漁業者にとっては閑散期の貴重な収入源にもつながっている。生産する戸井漁協の小安支所は「冬の収入源として助かっている」と語る。マコンブは通常、乾燥や折りたたみなどの作業が伴うが、若芽の場合はほぼそのまま出荷できるため労力が少ない利点もある。養殖用ロープも既存のスペースを活用して張るという。

 春には新たに市内の土産物店での取り扱いも予定している。同社函館本社工場の入部太郎一工場長は「漁業者のさらなる協力を得て今後も製造量を増やしたい」とする。(斎藤まや)



◎函館市部長人事 企画部長に谷口氏

 函館市の工藤寿樹市長は16日、4月1日付の部長級の幹部職人事の概要を固めた。常勤監査委員に就任予定の渡辺宏身企画部長(60)の後任に谷口諭総務部次長(52)、新設する子ども未来部長には岡崎圭子市教委生涯学習部次長(54)を起用する方針だ。19日に内示し、30日に辞令交付する。

 定年退職する荒井俊明都市建設部長(60)の後任に戸内康弘同部次長(58)を、佐野肇行企業局上下水道部長(60)の後任には鶴巻英二同部次長(55)をそれぞれ昇格させる意向。機構再編に伴い福祉部を衣替えする保健福祉部長には川越英雄福祉部長(55)が就く見通しだ。

 市立函館保健所は辻喜久子参事1級(60)が定年退職し、部長級のポストを廃止。新たに置く次長職に高田博秀環境部次長(59)を登用するほか、企画部次長に小林良一市教委生涯学習部次長(52)、総務部次長に小山内千晴人事課長(49)、財務部次長に藤田公美計画調整課長(52)を充てる方向で調整している。

 また、企業局上下水道部次長に毛内晃港湾空港部次長(58)、空席となっていた農林水産部次長に高橋正幸財務部次長(58)、環境部次長に藤田秀樹企画部参事2級(52)、市教委生涯学習部次長には、坂野昌治企業局管理部徴収管理課長(53)と堀田三千代経済企画課長(51)の起用が有力視されている。

 上戸慶一総務部長(59)、大竹教雄財務部長(57)、高橋良弘市民部長(55)、平井等経済部長(57)、入江洋之同部参事1級(54)、布谷朗観光コンベンション部長(57)、杉本勉土木部長(57)、妹尾正白港湾空港部長(59)、山田潤一農林水産部長(55)、小柳辰夫環境部長(59)はいずれも留任の方向。   (森健太郎)



◎次期衆院選 共産・古岡氏出馬へ 

 共産党函館地区委員会(高橋佳大委員長)と同渡島・桧山地区委員会(原田有康委員長)は16日、次期衆院選の道8区公認候補に、党道8区政策委員長の古岡友弥氏(35)を擁立すると発表した。古岡氏は出馬表明にあたり「消費税増税に反対し、TPP(環太平洋連携協定)参加阻止に全力を尽くしたい」と述べた。

 同党の道8区への候補擁立は、2005年の前川一夫氏以来。09年は選挙区候補擁立を見送ったが、昨年12月の党中央委員会で衆院の全選挙区に候補を立てる方針が決定したことを受け、両地区委員会も同月から候補擁立に向けた協議を重ねていた。

 函館市内で会見した古岡氏は「民主党政権は国民にかつてない苦しみを与えており、なぜ今消費税増税か賛成できない」と批判。主要政策として消費税増税、TPP参加への反対、大間原発の建設中止、若者の雇用創出を挙げ、「民主党は原発を推進しており、国民の声に応えることはできない。原発のない社会を目指したい」と訴えた。

 また、8区選対本部長に就任する高橋氏は「国民は民主党に失望しているが、自民党政治に戻りたいとも思っていない。共産党の選択肢を有権者に提示する必要がある」と述べ、古岡氏については「若くて力もあり、最強の候補の一人」と評した。

 古岡氏は1977年、江差町生まれ。江差高卒。医療法人道南勤医協医療協会勤務などを経て、昨年4月に道議選函館市区に出馬し落選した。 (千葉卓陽)


◎北海道犬「ちっち」天国へ

 【厚沢部】手づくりの介護用乳母車で散歩を楽しむ姿が人気だった北海道犬「ちっち」(雄)が、15歳(人間で70代)を迎えた昨年11月、病気のため亡くなった。飼い主の長原恵寿さん(57)一家(富栄597)は「長年一緒に過ごしてきただけに寂しいが、精いっぱいの愛情を注ぐことができたと思う」と語り、動物愛護の充実にと希望者へこの乳母車を無償提供したい考えだ。

 ちっちは、木古内で生まれて間もなく、広告・看板制作を営む長原さん家族に迎えられた。番犬として勇ましくほえ、「家を守ってくれているという安心感があった」と長原さん。

 しかし、一昨年12月に脊髄の異常で後ろ足2本がまひ。前足で懸命に歩こうとするものの、病状が進むにつれ、寝たきり状態に。ほえる声も弱まる中、長原さんが昨年のこの時期、乳母車を制作。道南スギを材料に長さ1・5b、幅70a、振動防止のタイヤを組み合わせ、試作では妻の雅子さん(45)が乳母車に乗って安全面と感触を確認したという。

 初散歩は昨年4月26日。雪解けのさわやかな空の下、ちっちは興奮気味に前足で立って背筋を伸ばし、クンクンと空気をかぎ「顔色が一気に良くなったのを覚えている」と恵寿さん。

 日差しや雨をよけるフードに、透明アクリル板で視界を広げ、穏やかな天候を見計らい散歩を楽しんだ。ドライバーやペット愛好家が興味を寄せ、激励のはがきが届いたこともある。

 長女の汐里さん(20)も青森の大学から帰省する度に、一緒に散歩を楽しんだ。雅子さんは、愛犬との暮らしを振り返り「寝たきりになってからの一年は24時間付きっきりで介護した。世話という世話が必要なかった番犬時代の分、『生きていてくれてご苦労さん』と言葉では表現できない愛情を注いだつもりです」と話している。

 一連の家族愛は、桧山振興局で発行する「愛犬ふれあい通信」で取り上げられ、介護用乳母車の譲渡希望者の呼びかけも行っている。

 長原さん家族は「大事に使ってくれる飼い主であれば、どなたにでも譲りたい」。厚沢部町近隣であれば、長原さんが軽自動車で運搬するが、遠方の場合は直接引き取りに来られる人が条件。  問い合わせは桧山振興局環境生活課自然環境係TEL0139・52・6494。 (田中陽介)


◎連合後援会長に中野氏 自民党道8区

 次期衆院選で自民党から道8区に出馬を予定する前田一男氏(45)=松前町長=の後援会準備会が16日、函館市内のホテルで開かれ、連合後援会長に五稜郭タワー社長の中野豊氏が就任することを正式決定した。前田氏は「6月末解散、7月末の選挙を目標に活動を進めていく」と述べ、今後8区管内での後援会構築を早急に進めていく考え。

 前田氏は2月末に8区支部長に就任。準備会(中山一郎代表世話人)には支部長に公募した際の推薦者を中心に、約90人が出席した。

 前田氏は冒頭あいさつで「道南に保守の地盤を作る上で千載一遇の機会」と次期衆院選勝利への意欲を示すとともに、後援会組織について「6月末までには15万件の名簿を集めたい。6月末の解散と7月末の選挙が想定されており、それに間に合うように体制づくりを進めたい」と述べた。

 中野氏はこの日の会合に出席しなかったが、前田氏は「数年前から公私ともお世話になり、快諾をいただいた」と説明。今後は各自治体ごとの後援会設立と並行し、4月中旬をめどに連合後援会を立ち上げる方針。「函館市内でも今月中に20〜30人弱で立ち上げる」としている。 (千葉卓陽)