2012年3月19日 (月) 掲載

◎富川−茂辺地IC ウオーキング楽しむ

 【北斗】函館・江差自動車道の北斗富川インターチェンジ(IC、北斗市富川)—北斗茂辺地IC(同市茂辺地)間5.4キロが24日開通するのに先立ち、函館開建は18日、市民を対象にした現場見学会を同区間で開いた。函館市や北斗市から参加した100人が新規開通区間の構造や役割について理解を深めた。

 見学会は、午前と午後に分けてバスで移動しながら実施。自動車専用道路のため、普段歩くことのできない道路上でウオーキング体験をした。

 午前の部には65人が参加。同自動車道の開通区間では唯一の「矢不来(やふらい)トンネル」(519メートル)では、担当者から道路やトンネル工事概要の説明を受けた後、ひんやりとしたトンネル内を思い思いのペースで歩いた。その後、茂辺地高架橋(739b)で地上30bからの眺望を楽しんだ。区間には、函館湾を一望できる絶景ポイントもあり、参加者は函館山や太平洋セメント上磯工場などを眺め、歓声を上げて喜んでいた。

 函館市中道の会社員、上田昌昭さん(68)は「仕事で月に2、3回松前や福島へ走るので、茂辺地まで開通すると楽になる。木古内まで早く開通してほしい」と話していた。

 短縮効果は3分だが、標高は30〜60bあるため、並行する228号が大雨や津波で通行止めとなった場合の代替路として期待される。開通は午後3時。(山崎大和)



◎空きスペース 出店区画に WAKOビル

 函館市若松町のWAKOビル2階の空きスペースを生かし、市民らの起業を後押しする計画が、同ビル関係者の間で進んでいる。5月から半年間出店ができる「チャレンジショップ事業」と名付け、今月末に希望者ら向けの説明会を開く。講師を務める「First FLASH(ファーストフラッシュ)」代表取締役の小林一輝さん(31)は「諦めず、何事にも挑戦する意志で参加してほしい」と期待している。

 事業は、同ビルを管理・運営するNAアーバンデベロップメント(布村隆二社長)が企画。同ビル1階に4月13日、東急ハンズ(東京)のフランチャイズ(FC)店が半年限定でオープンすることから、「JR函館駅前活性化のために連動できる事業を」と年明けから計画してきた。

 空き区画は全11区画で、1区画あたり25〜73平方b、3〜5万円の賃料を予定。説明会では衣料品や雑貨、日用品など出店を考えている希望者に限らず、起業や商売について学びたい人、夢に向かって挑戦する人らも参加できる。

 小林さんは2004年、はこだてティーエムオー(TMO)主催のチャレンジショップ事業に参加した。これがきっかけで同5月にアパレル店を開業、その後も飲食店など4店舗を市内外に開業させた。音楽とファッションを融合させた野外イベントを毎年夏に開く「函館黒船地域活性化協議会」会長も務める小林さん。起業実績に加え、同世代への発信力もあることから説明会講師に選ばれた。

 小林さんは「若者らにはやりたいことがあっても環境が整わずに諦める人が少なくない。起業のノウハウだけでなく、夢に挑戦することの大切さを伝えたい」と力を込め、布村社長(48)も「第2、第3の小林さんが生まれれば。興味がある人でも気軽に参加を」と呼び掛けている。

 説明会は31日正午から同ビル2階で実施。申し込み不要で希望者は直接会場へ。参加無料。問い合わせは同ビルTEL0138-23-1131。(長内 健)



◎東日本大震災1年 市民意識調査 防災への備え4割増

 東日本大震災以降、防災に関して備えや意識をする人が4割以上増えた。地震で心配なのは火災や津波による被害のほか、家族などとの安否確認として、日ごろから避難場所や家族の連絡体制を確認する人が多い—。函館新聞社が実施した震災や防災に関する意識アンケート調査で、このような傾向が分かった。家族との“絆”を大切にする思いの強さがうかがえる。

 「防災に関して意識や備えをしていますか」の問いに、「している」と答えた人は78%の117人に上った。この中で、北海道南西沖地震以降(1993年7月)とする人は35人、阪神淡路大震災以降(1995年1月)は21人で、東日本大震災発生以降(2011年3月)に始めた人は56人だった。南西沖地震や東日本大震災といった、地域に被害のあった地震が大きなきっかけになっている。

 防災に関して意識や備えを「している」とした人に、複数回答で内容を聞いたところ、「避難場所の確認」が66人、「家族の連絡体制を確認」が48人あった。富岡町の70代男性は「津波の被害は少ない地域かもしれないが、高台の公共施設に集合することを家族で確認している」とした。末広町の40代男性は「妻と携帯電話を2社ずつ持つようにした」と答えた。

 何らかの防災グッズを備えている人は74人。防災セット品以外では「懐中電灯」「ラジオ」「水」「食品(非常食)」「防寒具」を挙げる人が多かった。70代、80代では「通帳」「家の権利書」とする人も。若い世代、高齢者とも少数あったのは「おむつ」だった。「その他」の備えとして「風呂水を捨てない」(60代女性)、「寝室に家具を置かない」(30代男性)があった。

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 「地震発生時で心配な事はありますか」を複数回答で選択してもらったところ、「家族や親戚の安否確認」が最も多い97人。大地震の際、電話がつながりにくくなることが要因とみられる。次いで「火災」96人、「ガス・水道・電気などのライフライン」93人、「建物崩壊」90人と多かった。「津波」は86人、「避難体制やルートの確保」は49人だった。

 60代男性は「西部地区の住民ではないが、津波の浸水被害よりも、元町地区の伝統的建造物が火災で一気になくなることが心配」と危ぐしていた。

 「その他」の心配なこととして「原発問題」「医療機関の受け入れ」があったほか「国の対策、特に政治家の意識の低さ」、アンケート実施時は大雪だったため「火事があっても除雪が悪く、あっという間に延焼したり、救助活動が遅れる」などと訴える人もいた。

 「心配はない」としたのは3人で、このうち60代男性は「生きている間はもう大地震は無いと思う。来たらあきらめる。予測できないことに心配のしようがない」とした。

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 被災地であり、支援地でもある函館市を中心に「少しでも市民の意識を探りたい」と実施したアンケートだったが、自身や家族のことのほか観光や経済など地域産業への影響を心配する声もあり、震災の直接被害だけでなく余波も深刻なことがうかがえた。復興支援に募金をしたという意見が圧倒的に多かったのは、一人一人が身近にできることを実践しようとした表れとみられる。引き続き、防災意識を持ち続けていくことが大切であることは、論をまたない。


◎空き家解消へ 中堅所得世帯向けの市営住宅、初の家賃値下げ

 函館市の中堅所得世帯向けの市営住宅「特定公共賃貸住宅(特公賃)」の苦戦が続いている。定住促進に向けて西部地区に2棟計62戸があるが、入居率は80%にとどまり、中には8年以上空き家の部屋も。低所得者向けに人気の一般市営住宅に比べ認知度も低く、市は4月1日から、初めての家賃の引き下げに踏み切り、空き家解消を目指す。

 市内の特公賃は4カ所。今回値下げするのは「弥生団地」(弥生町5)と「豊川団地」(豊川町3)の2カ所だ。人口減少時代を迎え、市が西部地区の定住促進を図る狙いで建設し、どちらも一般市営住宅に比べて居住面積が広いのが特徴だ。

 弥生は元町公園や旧函館区公会堂から徒歩5分。港が見える閑静な住宅街に立地する。市が1997年に5億8000万円かけて3階建て30戸を建設。一方、豊川は市電の十字街電停から徒歩5分で、96年に6億3000万円かけて建てた6階建て32戸のマンションタイプとなる。

 入居するには世帯の年間総収入から給与所得控除などの控除後の総所得額から割り出した月収が「15万8000円〜48万7000円以下」が対象。2団地では月収や家賃に応じて現行では1万1500円〜2万5800円まで2段階の減額補助がある。

 一方、弥生では2010年度から30戸のうち9戸が空き家のまま。豊川も09年度5戸、10年度2戸、11年度3戸と慢性的に空きがある。どちらも隔月で募集はしているが、「民間住宅との兼ね合いもあり、これまで積極的なPRが不足していた」(市住宅課)。

 2団地の家賃未収入は年間約1000万円に上る。周辺の家賃相場も下がる中、市は「安くしてでも満室にしたい」(同)と、建設以来初の値下げを決めた。現状では新家賃で年間約600万円の収入減となるが、満室になれば少なくとも300万円以上の収入増が見込めるという。

 また、これまで減額幅は月収32万2000円を区切りに2段階だったが、4月からは「25万9000円以下」「25万9000円超35万円以下」「35万円超43万5000円以下」の3段階に傾斜した下げ幅を採用。平均家賃は約7万9000円と、現行より1万円ほど下がる。2カ月に1回だった募集も随時先着順とし、従前はできなかった入居前の内覧にも対応する。

 弥生は2LDK(約70平方b)と3LDK(約85平方b)があり、新家賃は所得に応じて5万100円から。豊川は2LDK(約66平方b)〜4LDK(約97平方b)まであり、同4万5500円から。ともに2LDKは単身でも入居でき、駐車場使用料は月額3000円。

 また、入居に際し、40歳以下で結婚1年以内の夫婦であれば、市の家賃補助事業(月額上限1〜3年目1万5000円、4年目1万円、5年目5000円)も併用できる。同課は「民間と連動して西部地区への定住化を促進し、活性化につなげたい」としている。申し込み希望者は市住宅都市施設公社TEL0138-40-3602。(森健太郎)


◎桂米助さん落語で「悪徳商法注意」訴え

 【厚沢部】厚沢部町主催の「消費者啓発落語会」が18日、町民交流センターで開かれた。ヨネスケの愛称でおなじみの落語家、桂米助さんが卓越した話芸で悪質商法被害に遭わないよう、来場者300人に注意を呼びかけた。

 米助さんは26年間続く、テレビ「突撃!隣の晩ごはん」で10年前に厚沢部を訪れた思い出を振り返り、収録時の逸話を紹介。落語では、ばくちに負けた男が、その巧妙な手口をまねて一もうけしようとするものの失敗してしまう姿を臨場感たっぷりに伝えた。

 結びに「最近は年配者のお金を狙う詐欺が絶えない。被害に遭う前に、何も恥ずかしがらず、家族や近所、友達に相談して予防に努めてほしい」と声を張り、「隣の晩ごはんは打ち合わせなしの本当の突撃。寒い冬は北海道に来ないので安心してもいいが、夏場は皆さん気をつけてね」と呼びかけ、来場者の笑顔を誘っていた。

 人情味あふれる落語に、町内の女性(65)は「いい勉強になった。たくさん笑って拍手して元気にもなった」と声を弾ませていた。 (田中陽介)