2012年3月2日 (金) 掲載

◎華やか 気分は貴婦人 ハイカラ衣裳館営業開始

 国の重要文化財に指定されている旧函館区公会堂のレトロな館内を華やかなドレスを着て散策する「ハイカラ衣裳館」の営業が1日、元町11の同公会堂で始まった。初日は女性客中心に30人が訪れ、写真撮影を楽しみながら優雅なひとときを満喫した。

 同衣裳館は1992年に始まった。毎年本州の観光客に人気で、昨年(3〜12月)は約1万5000人が利用している。

 華やかなロングドレスやえんび服などに着飾った来館者は、2階大広間や函館港を望めるバルコニーで記念写真。観光で来函していた東北女子大4年の海津葵さん(22)は、友人2人とこの日一番乗り。「別人になったような気分。違うドレスも着ることができていい思い出ができました。また来たいです」と満面の笑みを浮かべていた。

 衣装は幼児用から大人用まで計90着あり、利用料は1着1000円(20分)、ヘアーセットとメークも1回1000円(5分)。入館料は別途かかるが、事前申し込みは不要。同衣裳館の営業は3月と11月からは午前9時〜午後4時半、4月〜10月末は午前9時〜午後5時。(長内 健)



◎最後の15人 誇り胸に前へ 木古内高校卒業式 61年の歴史に幕

 【木古内】3月末で閉校する木古内高校(西博道校長)で1日、卒業式が行われ、最後の卒業生15人を送り出し、61年の歴史に幕を下ろした。卒業証書を受け取った生徒は、閉校の寂しさを感じながらも、新たな進路に向け歩き出した。

 式典で西校長が「おめでとう」と声を掛けながら卒業証書を手渡し、生徒一人一人とがっちりと握手した。続く祝辞で「みなさんの学業への意欲と姿勢は61年の歴史と伝統を一層高めてくれるものだった。きょうで高校生活は終わるが、これからが本当の意味での学びの場。人間性を高め、成長していってほしい」と語り、エールを送った。

 生徒会長の上野しずくさんが目に涙を浮かべながら、「木古内高校に入学して本当に良かった。最後の卒業生となった誇りを胸に前に進んでいこうと決意を新たにしています」と別れの言葉を述べた。ほかの生徒らも目を真っ赤にして3年間の思い出を一つ一つ振り返っていた。最後の校歌は同校吹奏楽部のOBでつくる社会人吹奏楽団の伴奏で力強く歌い上げ、校舎に感謝の気持ちを伝えた。

 同校は1951年、定時制課程の高校として開校、3年後には全日制課程を開設。この日の15人を含め7454人の卒業生を送り出した。校舎は改修工事を行い、新年度中に木古内中学校が移転する。(松宮一郎)

 



◎松前町長選に石山氏が出馬表明「次世代に夢と希望を」

 【松前】松前町の議会事務局長、石山英雄氏(56)が1日、任期満了に伴う町長選(4月3日告示、同8日投開票)に出馬することを表明した。町長選への出馬表明は2人目で、1997年以来15年ぶりに選挙戦となることが確実となった。

 石山氏は1日、辞表を提出。函館新聞の取材に対し「生まれ育った愛する松前町の過疎化を食い止め、次の世代に夢と希望を持たせられるような活力ある、心豊かなまちづくりをするために立起を決意した。町民とともに歩み、未来に向かっていきたい」と出馬の動機を語った。

 また、「38年間の行政経験を生かし、農林水産業や水産加工業の振興、医療福祉を充実させ、町全体の底上げを図る。災害対策や教育にも力を入れ、バランス良く政策を展開したい」と述べた。

 石山氏は同町出身。74年に役場入り。水産係長などを経て、2005年から議会事務局長。

 同町長選にはこれまでに前副町長の松尾祐三氏(68)が出馬表明している。(松宮一郎)


◎大間原発 法的手段に可能性あり 工藤市長「人格権」に言及

 函館市議会第1回定例会は1日、代表質問を継続したほか、個人質問が始まり、4氏が登壇した。工藤寿樹市長は、青森県大間町で建設中の大間原発の工事が再開された場合に検討している法的手段について、「判例では認められていないが、福島第一原発の事故の影響を踏まえれば、司法判断もこれまでと同じにはならないのでは」と述べ、市民の「人格権」を守る観点での提訴の可能性に言及した。

 紺谷克孝氏(共産党)への答弁。

 工藤市長は昨年10月、「福島の状況を見れば、憲法で保障された市民の『生存権』を脅かすことは明らか」として司法手段も検討する考えを明らかにした。

 市は専門の弁護士の意見を聞くなどして、同原発の建設工事が再開された場合、地方自治体が差し止めを求める民事訴訟を起こすことができるかの検討を進めてきた。市総務部によると、自治体が原告になった原発関連の訴訟は全国で例がないという。

 工藤市長は「自治体として一般公益の保護を目的とするような訴訟は判例では認められていない」と指摘。一方で「原発事故の影響により、市町村としての機能が失われている状況を踏まえれば、地方自治体として市民の安心で安全な生活、いわゆる市民の『人格権』を守らなければならない」と述べ、提訴自体は可能との見解を示した。

 また、工藤市長は国の原子力政策について「将来的には減原発、脱原発に向かっていくと考えている」との認識を示し、大間原発の建設の「無期限凍結」を主張。今後については「同じスタンスに立つ他の道南の自治体との連携も考えたい」と述べた。

 代表質問には紺谷氏と茂木修氏(公明党)、個人質問には金沢浩幸氏(市政クラブ)、日角邦夫氏(民主・市民ネット)が立った。(森健太郎)


◎政策金融公庫と事業連携 地域産業振興財団

 函館地域産業振興財団(松本栄一理事長)と日本政策金融公庫函館支店(小倉悟支店長)は1日、中小企業支援のための事業連携に関する協定書を締結した。同日、函館市桔梗町の同財団で調印式を開催。両者が今後の地域産業の発展に尽力することを確認し合った。

 調印式には両者の職員ら約15人が出席。松本理事長と小倉支店長が協定書に署名、押印し、固く握手を交わした。同公庫によると、今回のような協定は三重県の財団法人と交わしているものに次いで2例目という。

 同財団は技術支援や人材育成などの面から産学官の連携を行っており、この過程で資金面の融資相談を受けることもあった。松本理事長は「地域のものづくりの総合的な支援態勢はあると自負している」としながらも、弱かった金融面を強化するため連携に至ったとした。

 小倉支店長は「(両者には)産業の発展という共通の認識がある。今後も中小企業を強力にサポートしたい」と述べた。

 協定の内容は、@中小企業への支援A中小企業などへの情報提供B展示会・商談会C知的財産への支援—など。資金的支援の第1号候補は既にあり、また9日に開催する財団主催のセミナーに同公庫から講師派遣されることが決まっている。(斎藤まや)