2012年3月20日 (火) 掲載

◎大雪の影響、パークゴルフ場の今季営業に遅れ

 今冬の記録的な大雪の影響で、函館市内のパークゴルフ場は現在も大量の雪に覆われ、今季営業は大幅に遅れる見通しだ。3月下旬ながら各施設の積雪量は未だに50センチ前後で、一部では例年の1カ月遅れのオープンの可能性も。関係者は「天候状況を見極めながら、少しでも早く開業できるようにしっかり準備を進めたい」と話している。

 桔梗町461の函館桔梗高台パークゴルフ場(佐藤紀華支配人)は、19日現在で30〜50センチほどの雪が広さ3ヘクタールのコース全面を覆っている。融雪剤を使っているものの、3月以降も断続的な降雪に見舞われ効果は薄いという。毎年3月上旬〜中旬に営業を開始し、同月だけで1500〜2000人が利用するが、今季のオープンは3月末にずれ込む見通し。

 「雪の影響でこれだけ遅れるのは初めて」と驚く佐藤支配人は「まだまだ寒さが続くようならさらに延期するかも。コースの一部をリニューアルして営業に備えていたのに、これだけの深雪だから仕方がない」と話す。

 新旧2つのコースを備える陣川町122の陣川温泉パークゴルフ場(広正和子代表)は、毎年3月上旬から順次営業を開始している。今年は4月7日のオープンを予定するが、まだ70センチ近い雪が残るため正式決定はしていない。担当者は「これ以上寒さが続かなければいいけど…」と願う。

 一方、市緑化推進課は毎年4月2週目の土曜日にすずらんの丘公園(滝沢町93)、空港緑地志海苔ふれあい広場(志海苔町294)、恵山町シーサイド(高岱町68)、白石公園(白石町208)の各施設を一斉営業しているが、今年は延期する可能性も。同課は「雪が解けても芝生が乾くまで2週間はかかる。施設の状況と天候を見極めて判断していきたい」とする。

 一般愛好家は、一日も早いシーズンインを待ちわびている。函館市美原の立蔵竹子さん(73)は、毎年月10回程度プレーするといい「冬季は室内パークゴルフ場を利用しているが、やっぱり思い切りスイングできる屋外で楽しみたい。早く雪解けしてほしいですね」と期待していた。(長内 健)



◎函館市、湯川漁港に交流広場整備へ

 函館市は新年度から2カ年で、函館湯川漁港(湯川町・湯浜町)に交流広場を整備する。湯の川温泉街に近いことから、市民や観光客が海や漁業に親しんでもらうのが目的。新年度は測量試験や設計を行う考え。

 湯川漁港は、道が2001年から10年間で約54億円をかけて整備し、11年度から供用を開始した、市内で最も新しい漁港。護岸としての機能を持ちながら、人が水辺で楽しめるように配慮された「親水護岸」を備えているのが特徴。第1種漁港として地元の漁船が利用する一方、温泉街に隣接しており、毎年8月に開かれるはこだて湯の川温泉いさり火まつりでは「花火の見物スポットとして最適の場所」(市農林水産部)という。

 交流広場は曲線型の親水護岸を生かして、東屋やトイレ、ベンチ、駐車場を設ける。2年間の概算事業費は9000万円で、半額は国から交付金を受けて整備。工事は13年度からの予定で、新年度予算案には関係経費700万円を計上、設計や地質調査などを行う。

 市内に点在する漁港のうち、尾札部漁港の黒鷲岬地区(分港)では旧南茅部町時代に防波堤に遊歩道を設置しているが、旧市域の漁港で交流スペースを設けるのは今回が初めてとなる。改行 同部は「観光客や市民が海と触れ合える施設として、漁業者や組合、町会などと調整しながら整備を進めていきたい」と話している。(千葉卓陽)



◎交通機関乗車料金助成の新制度見直し求める陳情不採択

 函館市議会の民生常任委員会(小山直子委員長)が19日、開かれた。新年度から実施する70歳以上の高齢者に助成上限などを定める交通機関乗車料金助成の新制度で、各会派の委員が市民意見の反映や新制度の実施延期を求める陳情4件を審査した結果、すべて不採択となった。

 現行制度は昨年9月の事業仕分けで廃止判定となり、11月に見直し案が示された。対象が旧4町村にも適用され利用範囲が広がった一方、高齢者に年間6000円の助成上限を定めたことなどについて、市民団体が反対の署名活動を行っていた。

 委員会の質疑では、発行が遅れている専用プリペイドカードについて、本間勝美委員(共産党)が「カードの発行時期とそれまでの間どのように対応するのか」と質問。それに対し、市は「専用カードは夏ごろを予定し、それまでは交通部が発行するイカすカードや函館バスで販売する共通乗車カードといった既存のカードで対応したい」と答弁した。

 審査に当たり、委員からは「持続可能な制度にするためにはやむを得ない」「利用実態に基づいた制度へ見直したことは評価できる」といった意見が上がっていた。

 市福祉部によると、カードを半額で購入できる助成券はこれまで利用証を持っていた高齢者約3万5000人を対象に、3月中に送付する予定。利用証がなく、助成券の交付を希望する場合は市の窓口で申請する。(後藤 真)


◎函館薬業組合、罹災復興史を復刻

 函館薬業組合(三上総一組合長)はこのほど、1934(昭和9)年3月21日の函館大火直後、組合員の被災状況や全国各地からの援助の記録をまとめた「函館薬業組合罹(り)災復興史」の復刻版を発行した。原本は市内に1冊しか現存せず、所有者から借りて復刻した。三上組合長は「非常事態にありながら迅速、果敢に行動し、詳細な記録を残した先人の功績を、もう一度後世に残すべく復刻した」と話している。

 同復興史は、大火直後の4月1日に組合員4人で組織された復興委員会が、全国各地から寄せられた援助への感謝の思いと、大火を史実として後世に残そうと編集。改行 2部構成で、前篇が火災発生時の状況や被災した組合員の回顧録を記載。後編が義援金や支援物資を送った同業団体、製薬会社などの一覧を掲載した謝恩録としている。

 大火2日後の23日には「東京薬種貿易組合」など4団体に電報で援助を要請したことや、これをきっかけに全国各地から次々と義援金や薬品などの支援物資が届けられ、被災した組合員に配布されたことなどが記されている。

 復興史は当時の組合員に配布されたが、現在は復興委員の一人、松谷利喜智さん(1897—1972年)の長男勇さん(82)が1冊所有しているのみという。

 昨年3月の東日本大震災以降、災害時の対策が取りざたされたのを契機に、復興史の複写を資料として持っていた三上組合長が「残しておくことが必要」と判断。他の役員にも相談し、組合として市内の印刷会社に依頼し、復刻版を発行した。

 三上組合長(72)は「災害への対応がいかに素早かったかが読み取れ、学ぶべきものがある。この事実を忘れず、後世に伝えていくことが大事だと思った」と話す。勇さんは「組合が復刻に一生懸命取り組んでいただき恐縮している。交通事情やネットワークが今のように発達していない中で行った復興の足跡は価値があるのでは」と話す。

 復刻版は1000部を発行し、全国各地の薬業組合などに配布する予定。希望者には有料(350円)で頒布する。A4判。33ページ。

 問い合わせは三上組合長TEL0138・23・0018(三上参省堂薬局)。(鈴木 潤)


◎函館バス、「浪漫號」本格運行へ

 函館バス(函館市高盛町)は4月1日のダイヤ改正で、ボンネットバス「函館浪漫號(ろまんごう)」を本格的に運行することを決めた。定期運行で函館観光の目玉としたい考え。市電のハイカラ号に接続する便もあり、同社は「函館観光をより楽しんでほしい」と話している。

 函館浪漫号は1959年、いすゞ自動車製。四国などで送迎バスとして使われた後にイベント用に転用され、2007年に同社が取得した。排気量は6000cc、定員57人。塗装や窓枠など変更した部分はあるものの、エンジンや席などは製造当時のまま。車体の前部にエンジンを積んだ部分が突き出した形状が特徴で、車体から突き出す方向指示器など現在では使われなくなった装備もある。

 昨年の運行は9、10月の2カ月間だったが、ことしは4月14日〜10月31日までの観光シーズン中を通して月・木・金〜日曜日に運行する。経路は「函館駅前」から「五稜郭タワー」「五稜郭」の7カ所のバス停を巡回する1日6便。「五稜郭(信金前)」では市電ハイカラ号に4便が接続し、レトロな車両の乗り継ぎで函館観光を盛り上げる。区間内の料金(大人)は200円。

  今回の同社4月のダイヤ改正では、このほかに大きな変更はない。冬ダイヤから夏ダイヤに変わるのは、レクサ元町やトラピスチヌシャトルバス、ロープシャトル、北斗市循環バスの4系統。それぞれ運行間隔や運行日などを若干変更する。鹿部川汲と椴法華函館、鹿部海岸線の3系統では、各1便ずつを利用者の要望に合わせて時間変更。木古内松前線の往復1便ずつをJRとの接続時間に合わせて変える。(斎藤まや)