2012年3月22日 (木) 掲載

◎「高齢者デイセントー」本年度で終了

 独り暮らしの高齢者らを対象に公衆浴場でレクリエーションなどを行う函館市の「高齢者デイセントー」が本年度で終了する。高齢者福祉の一環として市が1999年に函館浴場組合の協力を得て実施。介護保険サービスや在宅福祉のボランティアが浸透し、一定の成果を挙げたとして事業を打ち切ったが、利用者からは「残念」と惜しむ声も聞かれる。

 デイセントーは同組合に加入する銭湯が定休日や営業時間外に浴場施設を開放。月2回、1回当たり3時間程度で、利用者に入浴や食事、健康チェック、レクリエーションなどのサービスを提供する。市は組合に運営費などを補助。本年度は4カ所の銭湯や温泉施設でデイセントーが行われた。

 21日は、2001年からデイセントーを引き受けている市内湯川町「大盛湯」(牧野康宏代表)が最終回のサービスを実施し、利用者15人が参加。昨年1月から2カ月ごとに開催し、好評を得ている銭湯寄席が脱衣所をステージに行われ、講談師の荒到夢形さん(51)、落語愛好者の千早亭きら狸さん(34)がそれぞれ「土方桜」「垂乳根」を口演し、利用者を楽しませた。寄席の後、会食や入浴をしながら、最後のデイセントーを満喫した。

 月2回の定休日を利用して通算で約240回のサービスを行った牧野社長(56)は「11年間、続けさせていただいたことに感謝している。ただ、いろいろと催しを企画し、利用者も喜んでいたのでここで終わるのは残念」とし、「定休日が空くので、形を変えて何かできれば」と話す。

 利用者の一人、石坂久子さん(73)は「毎回楽しみにしていた。終わるのは寂しい」としんみりしていた。(鈴木 潤)



◎スターボウル、4月末で営業終了

 北海道乳業(函館市昭和3、田島久吉社長)は21日、子会社に運営委託しているボウリング場「スターボウル」(同市昭和4、中村慎一郎支配人)の営業を4月30日で終了すると発表した。施設の老朽化が理由で、隣接している旧ホテルオークランド(2009年1月閉館)と同ボウリング場は年内に解体する予定。

 同社によると、スターボウルは1972(昭和47)年2月にオープン。開業から40年が経過し、建物や40あるレーンの老朽化が進み、大幅なリニューアル投資も困難なため、閉館を決めた。

 ボウリング場のレーンの材質は現在、プラスチックなどの合成が主流だが、スターボウルは木製。木製レーンは定期的に表面を削り、傷んだ箇所を修復する工事が必要だが、この削り直しには限界があるという。加えて合成レーンにするには機械設備全般に大幅な費用がかかる。「5月以降にボウリングの予約、計画をしていた皆さまにご迷惑を掛けることになり、おわびしたい」と同社。

 ボウリングブームを受けてスターボウルがオープンした当時、市内には約10のボウリング場があり、同場によると年間約20万人の利用者があった。その後ブームは下火になったものの、約20年前にスコアを自動表示する機械を導入したことで、再び年間約20万人が訪れるようになった。

 現在も約10クラブ、約200人が拠点として生涯スポーツに汗を流している。全道大会も多く開催され、これまで2人を国体に輩出している。

 長年、同場で練習を積み、全国大会で数々の栄誉に輝いた函館大ボウリング部の西村淳顧問は「長い間お世話になった場所が無くなるのは寂しい」、中村支配人は「現在はボウリングとそのほかのレジャーの複合施設に人気があり、時代の流れではあるが残念」と話していた。

 旧ホテルとボウリング場跡地は、北海道乳業の工場敷地として利用する方針。(山崎純一)



◎函館大火慰霊法要

 死者2166人を出した函館大火から78年目を迎えた21日、函館市大森町33の函館大火慰霊堂で殉難者79回忌慰霊法要が執り行われた。大火経験者や市の消防署員など約70人が参列し、読経と焼香で犠牲者への冥福を祈った。

 1934年3月21日、市内住吉町から出火。風速30b以上の激しい風に乗って瞬く間に火が燃え広がり、市内の約3分の1を焼き尽くした。

 翌22日に鎮火したものの、22町を焼失、被害世帯は2万2667世帯に上った。慰霊堂には死者2166人のうち、679人の身元不明者を無縁仏として納骨しており、毎年同所で殉難者を慰霊している。

 法要では市仏教会の僧侶18人が読経する中、参列者が焼香。目を閉じ、手を合わせながら念仏を唱え、犠牲者への思いと防災への心構えを改めて胸にしていた。

 市内深堀町から参列した81歳の女性は「小さいときから父に函館大火は忘れてはいけないと言われ続けてきた。これからも拝み続けて、亡くなった方を供養していきたい。当時のことを知る人は少なくなってきているが、残された私たちで後世に伝えていきたい」と話していた。(後藤 真)


◎北斗市「高台マップ」完成

 【北斗】東日本大震災を教訓とした津波防災対策の一環として、市が作製を進めてきた「高台マップ」が完成した。函館湾方向から市内中心部と茂辺地、当別地区の3地域を眺めた立体的な視点の地図で、主な高台や避難経路となる幹線道路、標高差などが一目で分かるようにまとめた。23日から各町内会を通じて市内全戸(約1万8000世帯)に配布する。

 市内は七重浜から当別地区まで約20キロの沿岸部を抱え、人口が密集する中心市街地には目立った高台が少なく、標高も低いところが多い。高台マップは市民の防災意識を高めようと、昨年5月から準備を進めてきた。既存の防災ハザードマップは道の津波浸水予測図の見直しを待って、新年度に改定作業を進める。

 市街地版は七重浜〜富川地区を掲載。特に最寄りの高台として、戸切地陣屋跡や市柳沢のゴルフ場「アンビックス函館倶楽部」などへの経路を目立つように描いた。5、10、20、30メートルごとに、標高ラインや主要公共施設を色分けし、3階建て以上の民間施設や市営住宅6カ所も表示。国道227号、江差自動車道は、ポイントごとの標高を記載した。

 市総務課は「東日本大震災からは想定以上の災害が起こりうることを学んだ。高台マップから市中心部の標高は低く、津波への備えが必要だという印象を持ってもらいたい。避難経路の確認など、家族でいま一度話し合ってもらい、目立つ場所に掲示してもらえれば」と話している。

 A2判、フルカラー両面刷り。2万2000部発行。市役所などの窓口でも配布を予定する。問い合わせは市総務課TEL0138・73・3111。(今井正一)


◎渡島総合振興局と北洋銀行函館中央支店が食と観光振興で連携協定

 渡島総合振興局と北洋銀行函館中央支店(高橋正幸執行役員支店長)は21日、食と観光振興に関する連携協定を結んだ。両者が2015年度の北海道新幹線開業に向けた食と観光のブランド化や地域振興を支援することで、道南経済の活性化に結び付ける。

 道と北洋銀行は2008年8月に産業振興に関する包括的な連携協定を結び、緊密な協力関係を進めてきた。地域レベルでの連携協定締結は道内初で、成功すれば全道のモデルケースとなりそうだ。

 協定事項には、食と観光に関するブランド確立への支援や地域の観光情報の発信、新幹線開業にかかる地域振興に関する支援などを盛り込んだ。永井正博局長と高橋支店長が、同振興局で協定書に署名。一層の連携協力を図っていくことを確認した。

 永井局長は「北洋銀行が地域全体をカバーする幅広いネットワークを生かし、食と観光に関するブランド確立や、新幹線開業にかかる地域振興などに協力いただけることを期待している。今後も双方の持つさまざまな情報を活用するとともに、ニーズ、シーズ(研究成果)をお互い持ち寄ることで、ウインウイン≠フ関係を築き上げていきたい」と強調。  高橋支店長は「これからは地域レベルで密接な協調関係が不可欠だ。道南は新幹線開業を控え、北海道の食と観光をリードしていく地域。14支店のネットワークを十分に活用し、点ではなく面での道南の魅力を前面に押し出し、全道、全国、海外に発信していくお手伝いができれば」と話した。

 第一弾として、この日から同支店1階ロビーで同振興局主催の道新幹線パネル展が始まった。29日まで。(山崎大和)