2012年3月23日 (金) 掲載

◎フクジュソウ咲く

 冬型の気圧配置が緩んだことで、22日の道南は気温が上がり晴れ間も広まった。ようやく春の訪れを感じさせる天気の中、函館市富岡町1の広瀬等さん(71)宅の玄関前ではフクジュソウ(福寿草)が咲き始めた。

 函館海洋気象台によると、各地の日中の最高気温は、木古内8・0度、函館市美原7・9度、江差6・3度、厚沢部町鶉5・3度など、ほとんどの地点で今年最高となった。

 広瀬さん宅のフクジュソウは、15年前に家を建てた時、玄関前の花壇に植えたもの。キンポウゲ科の多年草で、函館でも春の訪れを告げる花の代表格。昨年は2月20日ごろに咲き、これまでで最も早かったが、今年は大雪の影響で地面の見えるのが遅れ、ようやく黄金色の輝く姿に気付いたという。広瀬さんは「例年より1〜2週間遅い。昨年が早すぎたため、余計に遅く感じる」と話す。

 同気象台によると、24日ごろから気圧の谷や寒気の影響により、再び雪となる日がある見込み。(山崎純一)



◎桧山南部4町 震災がれき受け入れへ

 江差、上ノ国、厚沢部、乙部の桧山南部4町は22日、東日本大震災で発生した災害がれきの広域的処理問題について、低レベル放射性廃棄物には該当しないことを前提に、4町と民間企業が連携して、3年間で計20万トンを受け入れる方針を固めた。近く各町の住民や議会に方針を伝え、理解と協力を求める方針だ。がれき処理問題では、全国的に自治体を中心に受け入れに向けた検討を進めているが、官民一体となった受け入れ体制を取るのは極めて異例。今後は、同様の取り組みが全道の市町村にも波及することを期待している。

 同日、江差町役場で開かれた、南部桧山衛生処理組合(組合長・浜谷一治江差町長)の定例会後、4町の首長と桧山振興局幹部らが協議の場を持った。桧山町村会長の寺島光一郎乙部町長は「東北と北海道は一つだ。一番困っているときに、いかに助けになれるかが重要だ」と述べ、がれき処理問題をめぐり、桧山管内7町として、全面的な支援に乗り出す考えを示した。

 受け入れ可能とした20万トンのうち、桧山南部4町と八雲町でつくる同組合の最終処分場では、3年間で最大3000トンの埋め立て処理が可能という。現在のペースでは、約7年間の使用が可能だが、通常の処理量に加え、がれきを受け入れた場合、5〜6年程度で満杯になることが見込まれるため、次期処分場の設置に向けた事業計画の検討を前倒して着手する。

 このため、20万トン近い埋め立て能力がある民間の産業廃棄物処理業者にも協力を要請。4町エリアで受け入れが可能な産廃施設は、厚沢部町3カ所、乙部町1カ所。打診に対していずれも協力の姿勢を示しているという。

 受け入れるがれきは、低レベル放射性廃棄物として規制を受けない不燃物を対象とする。道が示した独自基準と同じ、放射性セシウム濃度が、1キロ当たり100ベクレル以下の廃棄物に限定する。放射性物質によるがれきの汚染を懸念する声が全国で高まっていることに、浜谷江差町長は「住民代表により被災地の視察を行い、現場で放射能の測定を実施してもらうことで、受け入れるがれきの安全性を確認してもらうことも検討したい」とし、住民の合意形成に向けたプロセスを重視する考えを示した。

 がれきの運搬は、コストや効率を考慮して、鉄道やトラックなど、陸路を使ったコンテナではなく、砂利運搬船などの大型船による海上輸送を前提とし、東北の被災地から、管内の港に直接陸揚げして処分場に搬入することを検討。復路では、被災地で不足している砂利などの輸送を行うことで、効率的な輸送体制の確立を目指す。

 今後は、既に新村卓実町長が、がれきの受け入れを表明している奥尻町や、今金・せたなの桧山北部2町とも協議を進め、桧山管内全体での受け入れ体制を整え、被災地の復旧・復興の障害となっている、がれき処理問題の早期解決を後押ししたい考えだ。 (田中陽介)



◎12年公示地価 渡島管内21年連続下落

 国土交通省は22日、2012年公示地価(1月1日現在)を発表した。渡島管内の1平方メートル当たりの平均地価(以下同)は4万2100円で21年連続の下落。平均下落率は4.3%で、前年より1.2ポイント縮小した。管内では唯一北斗市稲里150の1が横ばいで、残り87地点は地価が下がった。函館市の商業地は7万6000円で、下落率は5.2%。住宅地は4万5700円で、下落率は3.8%となった。

 函館市の商業地は4年連続の下落。景気低迷や郊外大型店への顧客流出が響いた。1位は函館市本町32の13、ピア21の20万9000円。下落率は全道3位、全国でも3位の14.3%。本町中心部の中核店舗の閉店後、後継店の出店がない影響で、下げ幅が大きくなった。2位はJR函館駅前・大門地区の若松町20の1、和光デパートで12万8000円。下落率は12.3%で全道7位。

 函館市の住宅地は14年連続の下落。西旭岡町(下落率9.3%)や高丘町(同7.2%)と郊外での落ち込みが目立った。

 函館市周辺では、北斗市の住宅地が2万3200円、下落率は前年と同じ4.4%。合併前の旧上磯と旧大野を比較すると、旧上磯の下落率が高い。七飯町の住宅地は1万8100円、下落率3.9%で前年より1.1ポイント縮小した。七飯町の商業地は1万500円、下落率1.9%で3.4ポイント縮まった。

 渡島の住宅地は3万3800円で13年連続で下がり、下落率は4.0%。商業地は6万4400円で21年連続のマイナス。下落率は5.3%。

 桧山管内の平均地価は2万200円で12年連続で下がり、下落率は5.9%。桧山の住宅地は1万7500円で10年連続で下がり、下落率は5.7%。商業地は2万5700円で12年連続でダウン、下落率は6.3%。

 渡島・桧山管内の下落率は総じて前年より縮小傾向。ただ、過疎化や高齢化に加え、地域経済の疲弊という構造は変わっていない。宅地需要に回復の兆しも見られない。

 調査は渡島管内2市6町計88地点、桧山管内3町計9地点で行った。(山崎大和)


◎従業員が入居者虐待 市内介護施設

 函館市は21日、市内の養介護施設で、従業員による入居者への虐待があったことを明らかにした。市が把握している中で、従業員による虐待事例は初めて。虐待は半年以上にわたって行われ、虐待を受けていた入居者5人の家族らが被害届を出さなかったため刑事告発に至らなかったものの、増加する高齢者虐待の深刻さが改めて浮き彫りとなった。

 同日に開かれた第2回市要援護高齢者対策ネットワーク協議会(川越英雄会長)で報告した。  市によると、虐待のあった施設は市内のグループホーム。40代の女性従業員2人が要介護認定を受けている男女5人の入居者に対し、後頭部を平手打ちし、部屋の入り口に自転車のチェーンロックをかけたほか、「死ね」と言った。土下座の強要もあった。

 虐待は従業員による内部告発で発覚し、施設側が昨年10月に市へ報告。市は虐待をした従業員に聞き取り調査をし、同法人に対して改善勧告を行った。同施設ではその後、改善が図られているという。従業員2人は昨年11月に解雇された。

 また市は、昨秋ごろ市内の介護サービス事業所2カ所で、利用者の金銭を従業員が着服していたことも明らかにした。親しくしていた利用者の金銭を無断で使っていたほか、預かっていた通帳と印鑑を使用し、金融機関から金銭を引き出していた。発覚後、いずれも利用者に全額返済され、示談が成立したため刑事告発はしなかった。

 介護保険施設は市が認可権限を持っており、市福祉部の川越部長は「非常に残念な出来事。各関係施設に周知し、二度とこのようなことが起こらないよう対策を徹底していきたい」としている。

 市によると、高齢者虐待のうち、施設以外での養護者による事例は昨年度31件で、前年度と比べ6件増えている。内容は心理的虐待が19件と最も多く、次いで身体的虐待が13件。被害を受けた高齢者のうち、半分以上が要介護認定を受けているという。

 市は虐待をする原因として、@介護負担などの精神的ストレスA経済的依存B家族関係の悪さ—などを挙げている。 (後藤 真)


◎来月から市民意見募集 都市景観審議会

 函館市都市景観審議会(岩田州夫会長)が22日、市役所で開かれた。市内西部地区の景観保全に向けた市の都市景観条例の改正案が了承されたほか、4月からパブリックコメント(市民意見)を募集することが示された。6月の定例市議会で提案し、12月からの施行を目指す考え。

 改正案は、市が指定する都市景観形成地域(120ヘクタール)内にある、伝統的建造物保存地区(14.5メートル)に隣接した八幡坂や二十間坂などの沿道を、最重要景観の「景観形成街路」に選定。建物や工作物を新築、増築、改築する場合に、届け出前に市との事前協議を必要とする制度を設けることが柱。景観形成地域内では基準に合わない場合、国の景観法に基づく罰則規定を科すことができる。  市は今年2月に素案を示して以降、関連団体や町会などを対象に説明会を開催。市都市建設部は「見直しには大きく影響しない」とした上で、一部文言を修正して改正案とした。

 市は併せて、都市景観条例案、景観計画案、屋外広告物条例案に対するパブリックコメントを、4月6日から5月7日まで募集することを報告した。

 審議会ではまた、景観法に基づき2008年に策定した市景観計画の改訂案を了承。景観に関連する計画が景観計画のほかに、市全域を対象とする「都市景観形成基本計画」と、都市景観形成地域にかかる「景観形成計画」が存在する現状を踏まえ、荒井俊明都市建設部長は「計画を整理し、法律に基づく景観計画に一本化したい」との見解を示した。(千葉卓陽)