2012年3月24日 (土) 掲載

◎大野新道と交差部分の高架橋の橋桁工事が本格化

 【北斗】北海道新幹線の「大野新道橋りょう」工区で23日夜から、大野新道(国道227号)と交差する部分の橋桁建設作業が本格化している。交通量の多い幹線道路上での作業で、間近に迫る新幹線開業を実感できる現場のひとつ。鉄道・運輸機構北斗鉄道建設所によると、国道両端に設置した橋脚同士の支間長50メートルは全工区で最長。4月10日までクレーン車で受桁となるH形鋼を架設する作業が続く。

 同工区は、市道千代田1号線から道道大野大中山線までの延長2119メートル、総工費は約52億円。東急・株木・泰進・広野組特定建設工事共同企業体が担当している。同機構によると、橋桁は全幅が約12メートル、支間長が50メートルあるため、強度と重量のバランスを両立するため、中央部が空洞のボックス構造となる。

 大野新道は一部区間で23〜31日は上り車線(七飯から函館方向)、4月1〜10日は下り車線(函館から七飯方向)を夜間通行止めとし、それぞれ、橋脚と、国道の歩道、中央分離帯部分に設置した仮設の支柱上に、受桁となるH形鋼を並べ、その後は型枠を組み、コンクリートを打設する作業が始まる。

 工事に伴う通行止めの時間帯は毎日午後9時から午前6時まで。通行可能な車線を使用しての対面通行(片側1車線のみ)となる。8月11日までは高さ4・1メートルを超える車両の通行は終日できない。(今井正一)



◎市電に全国初のWi—Fi設置

 函館市などは23日から、路面電車や主要観光施設での公衆無線LANサービス(Wi—Fi)を開始した。2015年度の北海道新幹線開業に伴う観光客の増加を見据え、スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)やiPadなどタブレット端末利用者のインターネット接続を可能にし、利便性向上を図る。市などによると、路面電車内での全面的なWi—Fiサービス提供は全国で初めてとなる。

 同サービスは市と市企業局、北海道新幹線新函館開業対策推進機構と、通信大手KDDIのグループ企業「ワイヤ・アンド・ワイヤレス」(本社・東京)が共同で展開。新幹線開業の効果を高めるアクションプラン(行動計画)に基づき、観光客受け入れとともに、急速なスマホの普及に伴う環境整備の一環として実施する。

 同サービスは月額380円で、スマホやタブレット端末を持つことで契約先を問わず利用できる。KDDIが展開する携帯電話ブランド「au」のスマホ契約者は無料で利用できる。また、一定時間内の利用プラン(6時間、1日、3日間、1週間=いずれも有料)を設定し、外国人観光客に対応する。各プランはサービスエリア内で申し込み可能で、クレジットカードで決済する。

 すでに市電の全車両で利用可能となっているほか、函館山ロープウェイ山麓駅、五稜郭タワーアトリウム、市地域交流まちづくりセンターと函館朝市の一部で利用できる。今月末までに函館空港との連絡バスに設置するほか、函館駅前のバス待合所、金森赤レンガ倉庫など7施設は5月末までに利用可能とする。

 今後はサービスエリアの拡大や、函館の独自情報を提供する仕組みを検討していく。市や市企業局は「市民や観光客には情報収集に役立ててほしい」とPR。同社は夏以降に別の料金プランを投入するとしており「市内でも人々の集まるところで積極的に広げていきたい」と話している。(千葉卓陽)



◎道南地区農協組合長会、TPP反対で宣言採択

 環太平洋連携協定(TPP)交渉参加問題をめぐり、道南地区農協組合長会(会長・細川信一JA今金町組合長)は23日、道南地域集会を函館市大手町の函館国際ホテルで開いた。渡島・桧山管内の農林漁業、自治体、商工、医療、建設など各団体から約300人が参加。「政府は国民各層の意見をしっかり聞いた上で幅広く議論を行うべきで、TPP交渉への参加を拙速に判断すべきでない」とする集会宣言を満場一致で採択した。

 細川会長は「TPPは、地域社会の在り方や道民一人一人の生活に直結する極めて重要な問題であり、この国の形を一変させてしまう恐れがある。道南地域を守るため、TPPが抱える問題を皆さんと共有しながら理解を深めたい」とあいさつ。続いて、経済ジャーナリストの東谷暁さんが「TPP交渉参加は国民への裏切りだ」と題して基調講演。「米韓FTA(自由貿易協定)は韓国の大敗北だった」とし、米国主導のTPPに警鐘を鳴らした。

 意見表明では、渡島管内商工会連合会の木元護会長が地域経済の崩壊を招くとして慎重な対応を求め、JA道南地区女性協議会の笠松悦子会長が食の安全・安心が脅かされることに危機感を示した。

 集会に先立ち、市内3カ所でチラシやティッシュ1500部を配り、TPP参加で農業問題など多くの懸念材料があると訴えた。(山崎大和)


◎優良土産品推奨会、「昆布の若芽」と「ラング・ド・シィー」に函館市長賞

 郷土色のある優れた道南の観光土産品を選定する第56回函館圏優良土産品推奨会が23日、函館市若松町のロワジールホテル函館で開催された。最高賞に当たる函館市長賞に「昆布の若芽」(函館タナベ食品=函館市)と「ラング・ド・シィー」(ペイストリースナッフルス=同)が選ばれた。

 市や函館商工会議所、函館国際観光コンベンション協会などでつくる実行委(西村盛一郎会長)の主催。本格的な観光シーズンを前に年1回行っており、今回は道南の土産品メーカーや製造・販売業者などから、菓子と農水産品、民工芸品の3部門に合わせて64点の応募があった。参加事業所数は21社で、東日本大震災の影響で少なかった昨年を上回った。

 1次審査は原材料や消費期限などが正しく表示されているかなどを確認し、2次審査では試食した。「昆布の若芽」は成長しきる前のマコンブを活用したアイデアが、クッキーの「ラング・ド・シィー」はガゴメを練り込んだ生地などが評価された。

 市長賞以外の入賞品と出品者は次の通り。

 ◇函館商工会議所会頭賞=うにづくし(布目)函館ハイカラしっとりクッキーホワイトチョコ(昭和製菓)◇函館国際観光コンベンション協会会長賞=無着色いか塩辛(竹田食品)函館美鈴珈琲豆チョコ(不二家本店)◇奨励賞=布目SANSHIMAI(布目)こく旨みそいか(誉食品)はこだて土偶ッキー(かいせい)BAYはこだてのチーズクッキー(金森商船)小いけカレー&いかごはんセット(不二家本店)●の切込(食彩工房)モナスク(末広軒 ジョリ・クレール)いか姫エコストラップ(セラピア)(斎藤まや)

 【編注】●は魚へん、つくりは「花」


◎3月の特別交付税、渡島14%増の56億円

 総務省は23日、2011年度特別交付税の3月交付額を決定した。渡島管内11市町の11年度総額は前年度比14・1%増の56億2234万円。伸び率が高いのは、東日本大震災の津波で壊れたホタテ養殖施設の復旧に要した噴火湾4町の補助金に対して特別交付税が措置されたため。桧山管内7町は同2・4%増の22億3946万円となった。

 渡島では、八雲町が10億1973万円で、同66・3%増と全道一の伸び率。鹿部町が同47・9%増の1億8544万円、長万部町が同15・7%増の3億1290万円、森町が同15・1%増の5億4803万円と高い伸びを示した。函館市が同4・3%増の17億3369万円、北斗市が同4・7%増の5億7699万円。木古内町など渡島西部では、今冬の記録的な大雪に伴う除排雪経費に対する特別交付税が措置され、伸び率を押し上げた。

 桧山では、江差町が同2・9%増の2億3682万円となった。

 また、本年度に創設された震災復興特別交付税も交付額が決まった。渡島管内11市町で計2億7412万円。このうち、1億6441万円を占める八雲町ではホタテ養殖の共同利用施設の復旧に要した町の補助金に対して措置されたほか、噴火湾4町(鹿部、森、八雲、長万部)では震災時の漁業廃棄物処理に要した費用に対しても措置された。

 桧山管内7町は計1200万円だった。改行 交付はいずれも26日。(山崎大和)