2012年3月28日 (水) 掲載

◎バドミントン・佐々木翔選手の後援会設立

 【北斗】北斗市出身で、今年夏に開かれるロンドン五輪バドミントン競技(男子シングルス)への出場が確実視されている佐々木翔選手(29)の後援会設立総会と、佐々木選手に対する北斗市観光大使委嘱式が27日、同市総合文化センターで開かれた。約25人の会員を前に、佐々木選手は期待に応えることを誓った。

 佐々木選手は上磯中学校卒業後、関東第一高校(東京)に進み、2009年からはトナミ運輸(富山)に所属。アテネ(04年)、北京(08年)五輪はわずかに届かなかったが、“3度目の正直”をほぼ手中にしている。

 後援会はバドミントン関係者や市民有志で発足。総会では高谷寿峰北斗市長を会長とし、会則や事業計画が承認された。高谷市長は「地元の応援をモチベーションにつなげ、五輪での表彰台を期待したい」と激励。続いて「当市が力を入れている観光振興のために力をお願いしたい」とし、観光大使の委嘱を行った。

 佐々木選手は「五輪出場を果たすことで、地元の人たちに恩返しするという夢がかなおうとしている。出場するだけでなくメダルを狙いたい。応援しがいのある選手として頑張りたい」と話していた。改行 佐々木選手は現在、ロンドン五輪出場の参考となる世界ランキングで6位に付けている。男子シングルスは38人程度が出場し、5月3日に発表されるランキングで出場者が決まる。(山崎純一)



◎「夷酋列像」、7月に松前城で特別公開

 【松前】フランスのブザンソン美術館に収蔵されている蠣崎波響(1764—1826年)の名画「夷酋(いしゅう)列像」が、7月23日に松前城で特別公開されることが決まった。同美術館のエマニュエル・ギゴン館長が27日に同町を訪れ、前田一男町長に伝えた。展示は1日限りだが、波響が同作品を描いてから約220年ぶりに松前の地に里帰りすることになる。町では特別公開に合わせ、講演会も予定している。

 波響は松前藩の家老のかたわら画家としても活躍。夷酋列像は代表作で、1789年のクナシリ・メナシの戦いの後にアイヌ民族の指導者12人を描いたもの。同美術館が11点を収蔵しており、7月25日から9月9日まで道立函館美術館に貸し出し、特別展を開催する。函館への里帰りは21年ぶり3度目。

 ギゴン館長はこの日、函館美術館で展覧会の事前協議をした後、同町に到着。会場の候補となっている松前城と江良のパートナーシップランドいさりびを視察し、展示場所の環境をチェックした。

 視察終了後、前田町長と会談。ギゴン館長は、十分な輸送、警備体制を敷くことを条件に松前城で11点全ての作品を展示することを承諾した。松前への里帰りを熱望していた前田町長は「松前での展示は初めてで、子どもからお年寄りまで町民みんなに喜んでもらえる」と感謝した。

 また、ギゴン館長は松前高校を訪問。昨年の海外研修旅行でブザンソン市を訪れた生徒4人と再会したほか、書道部の練習風景を見学した。ギゴン館長自らも筆をとり、漢字で「愛」の文字を書くなど生徒と交流を深めた。(松宮一郎)



◎函館市が知的障害者生活状況調査、11人が一人暮らし、4人が「相談先ない」

 函館市は27日、2月から進めてきた「知的障害者生活状況調査」の結果を公表した。調査した103人のうち11人が一人暮らし。同じく103人中4人が「相談先がない」と回答するなど、孤立死の危険性をはらんだ生活実態が明らかになった。

 札幌市内のマンションで1月、40代の姉と知的障害のある妹が孤立死した問題を受けて調査した。調査対象は18〜64歳で、生活保護などの福祉制度を利用しておらず、配偶者などがいない115人。そのうち、職員との面談や調査票の郵送などで103人を調査した。

 調査結果によると、一人暮らしの11人の大半はアパート住まいで、仕事をしているのは8人だった。11人のうち障害の程度で中度、重度の人は3人いたが、いずれも働いていた。無職者の収入源は調査していないが、障害年金など「何らかの収入を得ている」(市障害福祉課)とされる。

 相談先の有無については、家族が半分以上を占める一方、相談先のない人が4人いた。4人のうち無職は3人、一人暮らしをしているのは2人で、孤立死の危険性を伴うケースがあることが分かった。

 このほか、住所と電話番号を民生委員や「ぱすてる(障害者生活支援センター)」へ提供する意思確認も調査と並行して実施した結果、47.3%が「提供してほしくない」と回答。生活上で不安に思うことに対しては、「収入」が35.2%、「病気」が34.1%と目立った。

 市は今後、孤立死防止に向け電気やガス、水道料金など、高齢者も含めた滞納者の情報を民間事業者などと連携して共有する体制づくりを検討していく予定だ。

 同課は「調査した中で、今すぐ新たな支援を必要としている人はいなかったが、8割の方は同居者が亡くなったときなど将来を不安に思っていると分かった。周囲からの関与に消極的な人に対して、必要なときに孤立を防げるような仕組みづくりを考えていきたい」としている。(後藤 真)


◎パリ博覧会で函館の魅力アピール

 函館の観光関係者が、フランス・パリで15〜18日に開かれた国内最大規模の観光博覧会「ル・モンド・ア・パリ」に初めて参加した。会場には函館ゆかりの土方歳三≠燻Q上し、フランス語版の観光案内冊子を配布するなどして函館の魅力を猛アピール。市は「函館観光の潜在能力が高く評価された」と、欧州からの旅行需要に手応えを感じている。

 「世界がパリに」と題された博覧会には4日間で約10万人が来場し、欧州やアジア各国から約400の企業・団体が出展。今回は12地域が参加した「ジャパンパビリオン」の一角で、市や函館国際観光コンベンション協会、五稜郭タワーなどでつくる「海外観光客誘致促進協議会」を中心に6人が売り込んだ。

 欧州での観光PRは、昨年5月にフランスで発行された旅行ガイド「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」の改訂版で、函館山などが最高評価の三つ星を獲得するなど市内・近郊で22カ所に星が付いたことがきっかけ。市が昨年10月、ミシュラン本社を訪問した際、博覧会への出展を打診され、本格的な欧州戦略に乗り出した。

 市はフランス人のバカンス需要を見込み、急きょフランス語版の観光案内パンフレットを1万部作製。市ブランド推進課によると、従来のパンフレットの翻訳版ではなく「歴史や温泉などフランス人が好む要素を凝縮した」。会場では土方歳三などにふんした関係者も注目を集め、他地域の約4倍に当たる2000部がさばけたという。

 市の訪日外国人宿泊者人数調べによると、2010年度に市内に宿泊したフランス人はわずか113人で、台湾(8万8246人)や韓国(2万4454人)をはじめ、米国(2262人)、英国(279人)に比べても少ない。同課は「認知度が低いだけで、函館の資源はフランス人に好意的に受け入れられる要素が多い。今後もPRを継続していくことで可能性はもっと広がる」と期待している。(森健太郎)