2012年3月29日 (木) 掲載

◎150年の歴史一冊に…函館ハリストス正教会史を発刊

 函館ハリストス正教会(函館市元町3、ニコライ・ドミートリエフ司祭)は、教会の歴史をまとめた「函館ハリストス正教会史」を初めて発刊した。28日、同教会で記者会見したニコライ司祭は「長い歴史の中で残された資料を日本の財産として伝えたかった」と話した。

 日本ハリストス正教会の創建者、聖ニコライ渡来150年記念式典の開催(2011年)に合わせ、ニコライ司祭ら信徒有志が09年9月、編集委員会を立ち上げ、資料収集や編集作業に着手。今月完成した。

 教会史は3部構成。1部は聖ニコライが箱館着任した幕末期から150年余りの通史を紹介。2部は信徒の寄稿文、3部は函館中央図書館の長谷部一弘館長や道立函館美術館の大下智一学芸員ら教会外の専門家の論文を掲載している。

 表紙は同図書館所蔵の「官許箱館全図」を印刷し、聖ニコライが渡来した1861年ごろの箱館の様子を表し、裏表紙には1882(明治15)年時点の道内、全国の正教会の分布図を示した。1部の通史の執筆は、ニコライ司祭の妻山崎瞳さんと松井真佐子さんの編集委員2人が担当した。

 会見でニコライ司祭は「教会が所有している資料だけではこれだけのものを作ることができず多くの人の協力に感謝したい。これで終わりではなく、後世により完璧なものを編集するためのたたき台になれば」と話した。

 教会史はA5判368ページ。1000部発行。希望者には3000円で頒布する。問い合わせは同教会TEL0138・23・7387、ファクス同23・7939。(鈴木 潤)



◎尾札部道路「臼尻—豊崎」開通

 函館市南茅部地区の国道278号のバイパス尾札部道路(尾札部—大船間14・8キロ)のうち、臼尻—豊崎間3・6キロが28日、開通した。これにより尾札部—豊崎間11・9キロがつながった。現道の安全性向上や津波発生時の避難路確保のほか、市縄文文化交流センター(臼尻町、道の駅・縄文ロマン南かやべ)へ鹿部方面からの行き来がしやすくなる。

 同日、市南茅部支所で約40人が出席して尾札部道路建設促進地域協議会(加藤詔三会長)主催の式典が行われた。加藤会長が「交通の利便性が向上し、通学児童の安全確保に大きく貢献する。災害時の避難路としても効果を発揮する。終点まで早くつなげ、大船遺跡、市縄文文化交流センター、垣ノ島遺跡、著保内野(ちょぼないの)遺跡を一直線で結びたい」と期待を込めた。来賓の工藤寿樹市長、函館開建の高橋敏彦部長が祝辞を述べた。

 式典後、臼尻の本線上で加藤会長ら6人がテープカットで開通を祝い、約20台が豊崎まで走り初めした。

 函館開建によると、開通区間は片側1車線で、車道の幅は片側3・25メートル、路肩1・5メートル、歩道は片側のみ3メートル。制限速度は60キロ。尾札部道路で唯一の「豊崎ひろめトンネル」(538メートル)がある。道道臼尻豊崎線を使い、鹿部方面へ通り抜けできる。

 函館開建は昨年10月の同センターオープンに合わせ、安浦—豊崎間5・9キロのうち、同9月末に安浦—臼尻間2・3キロを先行して開通。残る豊崎—大船間2・9キロは2016年度以降の開通予定。尾札部道路の総事業費は187億円。(山崎大和)



◎地方空港の土産品 ネットでお買い物…函館など8社が共同事業

 函館空港ビルデング(函館市高松町、東陽一社長)をはじめとする地方空港ビルの管理運営会社など8社は、共同事業体「空港通販有限責任事業組合(以下空港通販LLP)」を設立。インターネットを利用したショッピングモール「クーコ・モール」を4月2日正午に立ち上げる。各社は経営基盤の強化や地域活性化に期待する。

 参加するのは函館、仙台、福島、大分、長崎、宮崎の6空港ビル運営会社と、全日本空輸(ANA)、ITサービスのトランスコスモス(東京)の8社。事業組合は2月上旬に立ち上げ。各空港ビル会社ではこれまで、独自にネットショッピングサイトを持ち運営してきたが、全国の空港が集まることで“空港のモール”としての魅力を価値につなげようと集まった。

 クーコ・モールは「空港のモール」から命名。総合サイトに示された各地の空港を選択すると、各空港ビルのページで買い物ができる。スタートに当たり、函館空港ビルは道南の水産加工品や道内の人気土産品などを中心に約120アイテムを用意した。同社は「定期的に入れ替えし、旬の商品を提案したい。オリジナル商品の開発も視野に入れている」とする。

 同事業組合は今後、全国各地の空港ビル運営会社に参加を呼び掛けていく方針で、「将来的には全国の空港を網羅したい」(函館空港ビル)とする。また、国は全国27の国管理空港の空港系事業の委託化を目指しており、各ビル会社の経営基盤が強化されれば円滑な受託にもつながる。(斎藤まや)


◎渡島地区郵便局局長夫人会 函館市社協に雑巾160枚寄付

 渡島地区郵便局局長夫人会(中村裕美会長)は28日、会員73人が手縫いした雑巾160枚を函館市社会福祉協議会(谷口利夫会長)に寄付した。同夫人会として初めての慈善活動で、中村会長は「これを契機に社会貢献活動に励んでいきたい」と述べた。

 同夫人会は函館や北斗、七飯など渡島管内の各郵便局長の夫人で構成。これまでは個人として学校のPTAや町内会の行事に参加するなどしてきたが、今回は「何か世の中に役立つことができれば」と昨春、雑巾づくりの準備を始めた。

 市総合福祉センター(若松町)で行われた贈呈式には、中村会長と鈴木寿子、五十嵐ひろみ両副会長ら4人が出席。段ボール箱を谷口会長に手渡した中村会長は「思いを込めて手縫いしてきた雑巾です。大切に使ってもらえれば」と話し、谷口会長は「当協議会のデイサービス事業などに有効活用させていただく」と感謝していた。(長内 健)


◎国が函館市に除雪費1億3900万円追加支援

 今冬の記録的な大雪を受け、国土交通省は28日までに、全国の275市町村を対象に市町村道の除雪費支援のため、国費約105億円を補助することを決めた。道南(渡島・桧山管内)でも12市町に配分され、除雪費が大幅に増えている函館市には1億3900万円が配分される。

 国交省は大雪に際し、市町村道への臨時特例措置として除雪費の平年を上回った分の2分の1を補助する制度を設けており、記録の残る1976年度以降、今回で10度目。「2月10日以降、各市町村の除雪費の執行状況を調査しており、執行額の多い自治体に対して配分額を定めた」(同省道路局)とし、道内では59市町村に10億6000万円が配分された。

 道南では函館市が最も多く、次いで北斗市に3200万円、上ノ国町に2800万円、厚沢部町に2200万円などとなっている。

 函館市の除雪費は本年度当初予算の3億1000万円(旧4町村を除く)に4000万円を追加補正したほか、本来は道路の整備や維持補修のための「道路橋梁費」から約1億2000万円を転用。これに加え、予備費から3億円以上を充てており、決算ベースでは8億4000万円に達する見通し。

 国交省からの補助は、道内だと岩見沢市の2億2100万円に次ぐ配分額で、「見込みよりも多かった」(市土木部)と話す。本年度は2月補正後も財源不足額が25億円残る一方、除雪費で予備費の多くを消費する形となっていたことから、市財務部は「やり繰り上、国からの補助は助かった。基金の取り崩しや退職手当債のさらなる圧縮に努めたい」としている。(千葉卓陽)