2012年3月31日 (土) 掲載

◎野村水産 定置漁業で全国初のエコラベル「流通加工段階認証」取得

 函館市臼尻町の久二野村水産(野村譲社長)が30日、日本の水産エコラベル制度「マリン・エコラベル・ジャパン(MELジャパン)」の流通加工段階認証を取得した。定置漁業では全国初の取得で、これにより製品にラベルを付けて消費者に持続的漁業をアピールできる。製品の需要増に一層弾みが付きそうだ。。

 MELジャパンの認証は、生産段階と流通加工段階の2つ。南茅部地区では、南かやべ定置漁業協会(会長・野村社長、11経営体19か統)が昨年5月、定置漁業では全国初の生産段階認証を受けた。同10月には、定置が資源を枯渇させない漁法とあらためて価値が認められ、認証対象が8種から漁獲全魚種に拡大された。。

 MELジャパンのマークを付けた品物の流通・販売には、加工流通業者が流通加工段階認証を取る必要があり、定置漁業のほか、加工業も手掛ける野村社長は当初から取得に向けた準備を進めていた。。

 この日は、同社で審査機関の日本水産資源保護協会(東京)から野村社長に認証証書が授与された。同社は定置で漁獲した原料を自社加工、直営店での販売やインターネット直販などを行っており、認証水産物が他の産地の水産物と混ざることはない。野村社長は「うれしい。まずは加工商品からエコラベルを張っていく。差別化により、商品の引き合いが強まるなどメリットは多い」と喜ぶ。今後鮮魚についても、体制を整備して追加申請する意向だ。。

 対象魚種は、定置漁業協会の定置網19か統の漁獲物。有効期間は同日から3年間。(山崎大和)



◎函館市、毎年16〜33億円の財源不足に

 函館市は30日、2012年度から5カ年を計画期間とする「新たな行財政改革プラン」のたたき台を公表した。13年度以降、人口減少による税収の減少や地方交付税の減額、扶助費の増加によって毎年16億〜33億円の財源不足が生じると見込んでおり、職員数の削減や給与制度の見直しなどの行革によって、14年度以降で基金の取り崩しに頼らない、健全な財政運営を目指す。市は7月をめどに、具体的な対策を盛り込んだ原案を示す方針。

 新プランは、行革のあり方を外部委員が検討する「財政再建推進会議」の提言書を踏まえて作成。12年度予算を基本に、職員給与の平均5・5%独自削減の継続、15年度に行われる国勢調査での人口1万4000人減少と、それに伴う市税と地方交付税の削減などを見込むとともに、函館水産・海洋総合研究センターや函館アリーナ、旧北高校跡地のスポーツ公園整備などを踏まえた。

 昨年10月に示した「財政の中期的な見通し」では、12年度で52億6700万円、13年度以降も43〜50億円の財源不足が生じると見込んだが、新年度予算編成で給与の独自削減や事務事業の見直しにより29億円の効果額が出たことを踏まえ、財政状況は一定程度改善すると予測。13年度以降の新たな行政需要4億円を加え、財源不足額は13年度19億3900万円、14年度16億2400万円、15年度21億7200万円、16年度32億6900万円とみている。

 新プランではこれを踏まえ▽徹底した内部改革▽選択と集中による財政改革—を柱に、事務事業見直しによる職員削減や給与の見直しに加え、未収金対策の強化、補助金・負担金の見直しなどに取り組む。13年度は行革に加えて、土地開発基金6億円を取り崩して穴埋めし、14年度以降は行革だけで不足額を補う考え。

 12年度予算では一定の行革効果が表れたものの、基金20億円を取り崩して財源不足を穴埋めした。また給与の独自削減は新年度に改めて職員組合との交渉が必要なほか、退職手当の削減も組合との間で一致点を見い出しておらず、課題が残っている。

 市は「(給与の)平均5・5%の削減水準では財源不足が生じるだけに、結果としてさらなる削減が必要」(財務部)と強調。7月をめどに原案を示し「財政再建推進会議などの意見を聴きながら、できるだけ詳細な計画にしていきたい」と話している。(千葉卓陽)



◎奥尻町と桧山振興局「津波語りべ隊」発足へ

 【奥尻】1993年7月に発生した北海道南西沖地震の被害から復興した奥尻町民が、その体験談で防災意識の向上や災害対策の充実を全国へ訴える「奥尻島津波語りべ隊」が4月1日に発足する。奥尻町と桧山振興局の連携で、関係者は「将来にわたる防災の心構えや住民の安全対策に役立つことができれば」と活動の充実を目指す。

 奥尻町は南西沖地震で198人(当時の人口4500人)が犠牲となり、壊滅的な被害を受けたが、全国からの支援を受け、震災発生から5年で完全復興を宣言。防災の視察や教育旅行を積極的に受け入れ、昨年の東日本大震災発生以降では全国の自治体や大学、研究者ら約1000人の視察があった。

 語りべ隊は、町内の消防署員や役場職員、会社員ら8人で構成。これまで個々に防災教育に携わっていたメンバーが震災を振り返り、奥尻島津波館や防潮堤などの案内のほか、街を歩きながら自然災害の恐ろしさを語り、命を守るための心構えを身につけてもらう。

 活動は随時、申し込みを受け付け、無料で対応する。町内での視察や修学旅行などへの対応のほか、要請があれば島外で防災教育を行う。その際の旅費などは桧山振興局が負担する。

 1日には高橋はるみ知事が同町を訪問する予定で、語りべ隊メンバーで消防署員の三浦浩さんが津波館で活動の意気込みを語る。南西沖地震発生時、高校生だった三浦さんは、祖母から聞かされていた「地震が起きたら津波が来るので、早く高い所へ逃げなさい」の教えを守り、地震発生直後、祖母を背負い逃げた様子などを紹介するという。

 今後はメンバーを増やす考えで、同町商工観光係の満島章係長は「奥尻の復興を支えてくれた全国の皆さんへの感謝を込め、積極的な活動を図りたい」としている。

 問い合わせは同係TEL01397-2-2351。(田中陽介)


◎Jバス発車オーライ! コミュニティーバスあす無料試験運行

 函館市陣川町の陣川あさひ町会(西川孝一会長)は4月1日から、地域住民の足としてコミュニティーバス「Jバス」を試験運行する。運行財源となる定期券などの販売収入が当初の見込みより伸び悩む中、同町会はホームページの開設や1枚単位のチケットのばら売りなど、あの手この手でPRに懸命だ。

 Jバスは、行政の補助を受けずに定期券収入などの自主財源で運行する「全国でも珍しい試み」(道運輸局)。当面は1年間の試験運行で、函館バスと運行委託契約を結び、73人乗りの大型バスで平日に1日7便、土日、祝日に3便運行し、既存の路線バスにはないルートを約45分かけて巡回する。

 町会が函館バスに払う委託料は月60万円。町会は収入が51万円を割り込むと赤字を負担することになる。財源は月2500円の定期券や2カ月有効の15枚3000円の回数券。だが、30日現在、販売額は約33万円で、採算ラインの約6割にとどまり、「まだ様子見の状態」(同町会)という。

 このため、町会は町会館のみで1枚200円のばら売りを始めたほか、運行ルートや利用方法を紹介するホームページ(http://wwwf.ncv.ne.jp/jinkawa/index.htm)も開設。通学や通院、買い物などでのバスの利便性を伝える手作りの紙芝居も作製し、町会行事などでPRしている。

 運行初日は午前9時半から、サンクス陣川店前で出発式を行い、全便無料で運行する。定期券などは同町会館やサンクス陣川・神山両店など4カ所で発売中。問い合わせは同町会TEL0138-31-8855。(森健太郎)


◎自転車商戦本格化 大雪で大幅遅れ 各店販促強化

 今冬の大雪の影響で根雪が残る中、函館市内の店舗で自転車商戦がようやく本格化してきた。各店とも「ママチャリ」の名で親しまれ、後方に荷台のあるタイプに加え、安全性や防犯機能が高い商品に人気が集まるとみており、大幅に遅れた商戦ピークに向けて力を入れていく。

 函館市港町3のジャンボイエロー港店は、3月上旬からママチャリ(約1万円〜)をメーンに70台を展示。これまでの傾向として、従来の変速ギアにとどまらず、表面の溝が深いタイヤや、さびにくいステンレス製のハンドルを備えた製品が注目されているという。

 ただ、3月に入っても寒さが続いたため、ターゲット層とする高校・大学進学を控えた若い世代、高齢者らの来店は少ない。同店は「徐々に暖かくなってきており、そろそろ商戦は活発化するはず。カラフルな商品も多いし、例年並みの売り上げを確保したい」と話す。

 約500台を並べる市内石川町231のホーマックスーパーデポ石川店は、パンクを防ぐチューブレスタイヤの自転車(2万5000円)を初めて陳列。昨年、タイヤに厚みのあるゴムを付けた自転車が好評だったことから、さらに付加価値を付けて200台用意した。従来品に比べ価格は高めだが「パンク防止型は年々人気が出ている」(同店)ため、需要は期待できるという。商戦期間が大幅にずれ込んだため「4月2週目までが繁忙期になりそう」と同店。

 市内本通1のスピード商会本通店では、1回の施錠で2カ所をロックしたり、夜間時にライトが自動点灯したりするママチャリ(2万5000円〜3万円)、さらに通勤とレジャー用を兼ねたスポーツタイプ(6〜7万円)が今年も好調という。ガソリン価格高騰も影響し、マイカーから自転車へ切り替える大人も増えているが「商戦時期が大幅に遅れたため出足は遅い。今後売り込みを強化する」としている。(長内 健)