2012年3月5日 (月) 掲載

◎ウニやカレイ…大人気 お魚感謝Day大盛況

 戸井漁協(森祐組合長)主催の即売会「お魚感謝Day」が4日、函館市汐首町の汐首漁港で開かれた。前日にとれたばかりの新鮮なババガレイやウニなどが浜値で販売され、大勢の市民でにぎわいを見せた。

 同漁協が消費者に日ごろの感謝を伝えようと開いており、今年で10回目。

 この日はババガレイや殻付きウニ、ドンコ、タコ、生ゴッコ(ホテイウオ)、アワビなどの海産物をずらりと並べたほか、地元の主婦らがドンコ汁や焼きダコ、パエリアなどを試食で振る舞った。

 開始1時間前からババガレイ(1袋2尾入り)で約310枚、殻付きウニ(同7個入り)で約250枚の整理券を配布したが、あっという間になくなる人気ぶり。森組合長のあいさつに続いて、午前10時から販売を開始。テントの前には目当ての海産物を買おうと長蛇の列ができ、中には10分足らずで売り切れとなる商品もあった。

 同市陣川町から来た女性(61)はコンブとタラを購入し「欲しかったコンブが買えて良かった。ジャガイモと一緒に炒めて食べます」と笑顔で話していた。(千葉卓陽)



◎【震災1年】「津波」想定の避難訓練導入 函館市内の学校で防災対策強化進む

 東日本大震災以降、学校でも防災対策に一層力を入れている。函館市内の避難訓練はこれまで、地震や火災を想定した内容がほとんどだったが、多くの学校で「津波」が加わった。中でも海沿いに位置する学校は、高台への避難方法を確認するようになった。

 避難訓練は火災と地震については、すべての学校で実施している。道教委の調べによると、函館市内の小中学校で昨年度行われた津波の訓練はわずかに小学校1校、中学校2校。しかし震災以降は小学校で25校、中学校は19校で実施するようになった。

 津波の想定は主に海からの距離が近いところや、海抜が低い学校で導入した。南茅部地区では昨年11月、磨光小と尾札部保育園が初めて合同で行い、高さ10メートルの津波を想定して同園から標高48メートルの位置にある同校までの約600メートルを徒歩で避難した。

 また恵山中では、校舎裏にある山道を整備し、高台へつながる避難路を形成。6月の訓練では全校生徒が通路を走って避難した。10月には中部小で緊急地震速報を使った避難訓練が行われた。

 恵山中の伊藤勝校長は「10月は津波を想定した避難訓練は行わなかったが、いつ地震が起こるか分からないので事前に知らせず抜き打ちで実施した。子どもたちの防災に対する意識は高まっていると感じる」と手応えを語る。

 一方、子どもと同じ災害弱者であり、体の不自由な高齢者が入所する福祉施設では津波に対する避難訓練はほとんど行われていない。海からの距離が近い施設は震災時、津波が建物まで達していなかったことや、足の不自由な利用者にとって屋外避難は危険を伴うからだ。

 吉川町3の特別養護老人ホーム函館はくあい園は「震災当日は2階より上に避難した。ハザードマップは手元にあるが、現実的に避難場所の小学校に行くのは難しい」と話す。

 学校の防災対策は避難訓練のほか、ハード面でも進んでいる。市は2008年度から本格的に進めてきた市内公立学校の耐震診断調査を新年度中に完了することを決めた。

 市教委によると、市の公立学校で耐震基準を満たす校舎・体育館などの割合(耐震化率)は、昨年4月1日現在で小中学校52・7%。同期比の全道平均69%、全国平均80・3%を大きく下回っている。当初は16年度までをめどとしていたが、耐震状況を早期に把握しようと前倒しした。

 市教委施設課は「函館の学校は歴史がある上、古い校舎が多い。改修して効果的な防災につながれば」と期待する。(後藤 真)



◎宗派超えしめやかに

 東日本大震災発生から1年を前に、東本願寺函館別院(島潤二輪番)東山支院(東山1)は4日、被災者を追悼する法要を営んだ。門徒ら約50人が参列。犠牲者の冥福と被災地の早期復興を祈った。

 震災1年を契機に宗派を超えて祈りをささげる場を設けようと、同支院の沢井聡主任が企画。しめやかに読経が行われる中、参列者は一人ずつ焼香台の前で手を合わせた。

 次いで、2月中旬に被災地でボランティア活動をした宝皇寺(桔梗)の間瀬淳雄住職が現地の様子を報告。「ゴールデンウイークに5万人いたボランティアは10分の1にまで減った。皆『私たちのことを忘れないでほしい』と口にしていた」と紹介。「物資支援はある程度達成しているが、一緒に遊んだりお酒を飲んだりといった精神的な支援はまだまだ継続が必要」と語った。

 また、島輪番は法話を行い「困難を前にした時、帰る場所や帰る人がいることはとても大切で、これがないと世の中に生まれてきた意味を見失いかねない。日々の幸福を大事にしてほしい」と述べた。(長内 健)


◎訓練で防災意識高める

 【江差】本願寺江差別院(本町212)で4日、東日本大震災1周忌追悼法要と防災訓練が行われた。児童7人を含む門徒20人が参加し、犠牲者の冥福を祈り、防災の心構えを新たにした。

 大震災発生から1年を前に、防災意識の向上を掲げて参加を呼びかけた。法要は本堂で行われ、高倉健司・副輪番の読経の中、一人一人が焼香し、手を合わせた。 講話と実践の防災訓練は、江差消防署が協力し、緊急消防援助隊として石巻市に入った署員の早川翼さん(33)が、写真を交えて活動報告。甚大な被害状況下での任務を振り返り「災害弱者の障害者らにもっと手厚い助けが必要で、助かる命も助からなくなると感じた。大震災のことを絶対に忘れず、多くの教訓を未来に生かしていかなければならない」と強調した。

 ほかの署員も、圧迫止血や毛布や衣類での担架づくりなど救急法の基本、消火器の使い方を分かりやすく伝えた。児童たちには「けが人の応急処置は、大人でも気が動転してできない場合があるけど、勇気を持って今日学んだことを実践してほしい」と呼びかけた。

 江差小3年の木村愛月(まなか)さん(9)は「命を守る大事なものをたくさん勉強することができた」。真田節子さん(80)と佐藤麗子さん(80)は「このように子どもから大人まで皆がそろって訓練に臨むことは素晴らしい。意義ある法要と訓練に参加できて良かった」と話していた。(田中陽介)


◎女性15%DV経験 男性は6.6% 函館市調査

 函館市が昨年8〜9月に行った調査によると、配偶者などから身体的・精神的暴力を受けるDV(ドメスティック・バイオレンス)を経験したことのある人は、女性が15・1%、男性は6・6%に上ることが分かった。5年前と比べて女性は2ポイント下がったものの、市市民部は「DVは相談できない人もいる。率もまだまだ高いので、相談窓口などをもっと周知する必要がある」と受け止めている。

 経験のある暴力で、最も多かったのは「大声で怒鳴られたことがある」で、女性が26・7%、男性は13・5%と目立った。このほか、「押したり、つかんだりなどされた」といった軽度の暴力が女性8・7%、男性5%と高く、「無視」は男女とも約7・5%に上った。「性的行為の強要」は女性が5・9%と目立った。 また「自分以外でDVを見聞きしたことがある」が女性47・3%、男性は37・6%となり、女性は約半数に上った。5年前と比較して女性は2・6ポイント増加、男性は3・3ポイント減だった。

 市はDV撲滅に向け、2008年度から相談窓口を紹介する携帯カードを女性の目に止まるよう函館美容業協同組合に約2200枚、10年度には地域を見守る民生委員に約2000枚を配布するなど、徐々に周知の幅を広げている。

 調査結果ではこのほか、セクシュアルハラスメント(セクハラ)は「経験したことがある」が、女性は同比10・2ポイント減の13・9%、男性は同比4・1ポイント減の1・3%だった。新たに設問に加えた若者間で起こるデートDVについて、「知っている」と答えた人は全体の18・7%にとどまった。

 同部は「セクハラについては十分社会に認知されてきたことや、会社で防止に向けた取り組みが広まってきていることが減少の要因では」とみている。

 調査は「男女共同参画に関する市民・事業者意識調査」として5年ごとに実施。市民は20歳以上の男女各1000人(回収率37・8%)、事業者は市内に所在する300事業所(同42・3%)を無作為で抽出した。(後藤 真)