2012年3月6日 (火) 掲載

◎食の宝庫「道南」PR

 渡島総合振興局と桧山振興局は新年度から、北海道新幹線開業を見据えた「道南ブランドステップアップ事業」に取り組む。良質食材として一定の成果が出ているガゴメコンブやタマフクラ以外にもすそ野を広げ、道南一次産品の高付加価値化を進める。道南を食の宝庫「北海道のイタリア」として売り込む作戦で、地域ブランド「道南ブランド」の確立を目指す。

 地域政策推進事業(振興局独自事業)で、2012年度から3カ年計画で取り組む。12年度は予算額197万9000円を盛り込んだ。「道南食のブランドづくり事業」(09〜11年度)に続くもので、食の販路拡大・ブランド化を一段と加速させる。

 同事業をPRするため両振興局が考案したのが「南北海道食彩王国」。道南がイタリアの形に似ており、海に囲まれて農水産物にも恵まれ、道内でも温暖な地域であることから「北海道のイタリア」というイメージを打ち出した。渡島総合振興局は「道南の食の豊かさを発信できる」(食と観光振興室)と強調する。この絵柄を使ったポスター(A1版)100枚を作ったほか、今月中旬には表紙にしたハンドブック(A4版)を2000部発行。ハンドブックでは道南の一次産品67品、加工品108品、飲食店36店舗を紹介し、道内外の食品バイヤーや料理人に配る。同振興局のホームページ(HP)にも内容を掲載予定。

 事業では、道内外の物産展や商談会でこの絵柄を掲示してPR。パンフレットも作る。首都圏の百貨店などで道南フェア(物産展)も開催する。1カ所のみで、場所や日程は未定。また、10月には個別相談会を函館市内で開き、道南の加工品の売り込みや食のプロから改良に向けたアドバイスを受ける。

 渡島総合振興局は「12年度は個別相談会に青森の業者に参加してもらったり、青函のコラボレーション(共同制作)商品を開発したりと、青森との連携を一層進めたい。13年度以降は他の東北各県とも連携していきたい」とし、新幹線で結ばれる北海道、東北のPRに力を入れる。(山崎大和)



◎新年度に検討委設置 「子ども条例」制定へ

 函館市議会は5日も個人質問を継続し、5氏が質問に立った。市は昨年度から調査を進めている「子ども条例」(仮称)の制定に向け、新年度に検討委員会を設置することを明らかにした。先進地の事例でポイントとなった「子どもの権利」だけでなく、さまざまな側面から検討を深めていく考え。

 藤井辰吉氏(市政クラブ)の質問に対し、川越英雄福祉部長が明らかにした。

 子ども条例の制定は工藤寿樹市長が政策に盛り込み、本年度補正予算で調査費を計上した。市はすでに条例を制定した都市の中から28市を対象に文書調査を行ったうえで、昨年11月に神奈川県川崎市と東京都調布市、同目黒区を訪問。条例制定の目的が「子どもの権利保障」「子どもの育成施策の推進」と、両要素を合わせ持つ地域を選んでおり、条例制定に至る背景や子どもの意見の反映方法、制定後の効果や課題について聞き取り調査を行っている。

 新年度予算には関係経費約60万円を計上。今後の進め方をただした藤井氏に対し、川越部長は同条例の趣旨について「地域全体が喜びを持って子どもの成長を支えることができる地域社会の実現が目的。できるだけ多くの市民の合意のもとで制定する必要がある」と回答。

 その上で、新年度に学識経験者や公募市民で構成する検討委員会を設けるとともに、委員会での議論を踏まえてアンケート調査の実施や、委員会と各種団体との懇談の場を設けることなどを示した。市子ども未来室は「具体的な設置時期は現段階で未定」としている。

 個人質問には藤井氏のほか佐々木信夫氏(市民クラブ)、小林芳幸氏(公明党)、本間勝美氏(共産党)、見付宗弥氏(民主・市民ネット)が立った(千葉卓陽)



◎大中山 ガラス損壊相次ぐ 学校や公共施設で

 【七飯】2月9日から今月3日にかけて、大中山地区の学校や公共施設で、窓ガラスなどが壊される事件が相次いでいる。町教委によると、大中山中学校など3施設で窓ガラス計17枚が割られたほか、災害発生時の避難場所となっている大中山コモンの自家発電装置の制御板が壊された。函館中央署が器物損壊事件として捜査している。

 町教委によると、2月9日に同中学校の校舎と物置の窓ガラス計4枚が割られているのが見つかった。同11日には大中山小学校の校舎の窓ガラス3枚、同13日には同中学校の校舎、温室の窓ガラス計8枚と、大中山コモンでは建物設置の街灯と、自家発電装置が壊された。今月3日にも同中学校で物置のガラス2枚が割られたという。

 いずれも、発見日前日の夜から未明にかけての犯行とみられ、建物内に侵入した形跡や室内に石などが落ちていないことから、外側から堅い物などでたたき割ったと見られる。被害額はガラスだけで17〜18万円程度、自家発電装置は修理が必要な状態で、損害額は現在調査中という。

 町教委は、同署に被害を届けるとともに、周辺の巡回を強化し、警戒を強めている。(今井正一)


◎函商高 3年連続全道1位 全商1級合格者3種目以上155人

 函館商業高校(難波繁之校長、生徒634人)の本年度の卒業生235人中155人が、全国商業高等学校協会(全商)主催の各種検定試験3種目以上で1級を取る「3冠」を達成した。3年連続で全道で最も多い取得者数になり、なかには6冠達成者もいる。

 検定は簿記、会計事務、ワープロ、珠算、電卓、英語、情報処理プログラム、情報処理ビジネス、商業経済の9種目。全商では高校卒業までに3冠以上の取得者に表彰している。

 同校では放課後や休日などに講習を行うなど、生徒の資格取得を全面的にサポートし、2006年度は52人だった表彰者数も年々増え続け、今年は過去最多の合格者数となった。内訳は3種目72人、4種目47人、5種目35人、6種目1人。同校の立花光敏教頭は「生徒たちの頑張りが結果につながった。資格取得で生徒は達成感を感じ自信を持つことができる」と話す。

 同校で最高となる「6冠」を取得したのは、川口元気さん(18)。元気さんの双子の弟・勇気さんも5冠を達成し、互いに勉強を教え合いながら高い壁を乗り越えてきたと話す。元気さんは「難しい検定にチャレンジすることで、さまざまなことが勉強になった。これからもいろいろな資格に挑戦したい」、勇気さんは「情報処理検定がむずかしく、受かった時はホッとした。高校でたくさんの資格を取れてうれしい」と目を輝かせていた。(平尾美陽子)


◎【震災1年】ベイエリア津波対策模索  土のう増やし商品などを高い場所に

 函館でも2メートルを超える津波が押し寄せた東日本大震災。西部地区のベイエリア周辺は冠水し、建物や車の損傷被害が多かった。津波対策を考えて復旧工事をしたり、土のうの数を増やした企業などはあるが、津波に関する対策は模索中のところが多いようだ。

 函館海洋気象台によると、西部地区の津波の最大の高さは大町で2・6メートル。金森商船(末広町)では約1・2メートル冠水した。同社はこれまでも台風などで浸水しており土のうを用意していたが、震災後は数を2倍に増やした。倉庫の中ではリフトで運びやすいようにパレット上に置き、運ぶ場所を袋に明記している。「建物入り口前には土のうだけでなく、板も置き二重にする」と同社。このほか漏電防止のため、コンセントを高い場所に移動させたところもあるという。

 函館国際ホテル(大手町)では、土のうの数を約3倍に増やした。同ホテルでは駐車場にあった多くの宿泊客や従業員の車が浸水被害に遭った。「海抜の高い函館山のふもとで、車を移動する場所を探すことを考えている」と同ホテル。地震発生当時は外出した宿泊客の所在が分からなくなることもあり、「震災で残った課題は多い。早急に対策を考えたい」としている。

 市水産物地方卸売市場(豊川町27)では駐車場フェンスが倒壊したため、復旧時に基礎部分をしっかり固めた。「津波対策で施設面を大幅に見直そうとしても、費用の問題がある」と同場。はこだて海鮮市場本店(豊川町12)では「商品やレジ機械の場所を高くしたが、浸水を防ぐのは建物の入り口が多く、大きな対策を取るのは難しい。客と従業員の安全確保は徹底している」と話す。

 梶原昆布店(豊川町23)は、これまでなかった土のうを用意し、作業機械の場所を高くした。「これだけの対策では足りないだろうが、どうすれば万全なのかは分からない」と同店。豊川町のある飲食店では「昨夏に土のうを買ったが、外に置いていたら雪で埋まり、今は使えない。店を元に戻すだけでも大変だったのに、土のうを置く場所を確保するのに、また苦労しなければ」とため息を交えた。

 いずれも浸水の被害から立ち直るも、これらに掛かった費用や落ち込む観光客の対策で多くの時間を費やしてきた。津波を含めた本格的な防災対策を考えるのは、今後の課題になっている。

 一方、函館市地域交流まちづくりセンター(末広町4)は、市の避難所ではないものの、避難してきた人への対応や、道内で大きな災害があった場合、支援活動をする団体との連携を検討していく。「被災者、支援者両方に対する対策が重要」と説いている。(山崎純一)