2012年4月10日 (火) 掲載

◎震災被害乗り越え ホタテ出荷盛ん

 【森】噴火湾に面した森町で、養殖ホタテ貝(2年貝)の出荷作業が盛んだ。昨年の東日本大震災の津波被害を乗り越え、出荷は順調に進んでいる。ピークは今月いっぱい続く。

 暖流と寒流がぶつかり栄養に富む噴火湾のホタテは、身が引き締まり味も抜群。噴火湾6漁協(長万部、八雲、落部、森、砂原、鹿部)の主力水産物で、水揚げ量は森漁協(松居俊治組合長)が最も多い。

 同漁協のホタテ漁業者は160人。松居組合長は「震災後、幼貝が助かるように素早い処理をしたおかげで、耳吊(づ)りが全体で9割ぐらいできた。今季は平年並みの水揚げ量が確保できている」と説明。6漁協の共同値決めによる価格は現在、1キロ当たり136円。昨年高値だった反動もあるが「採算ラインの140円は欲しい」と同漁協。入札も行われ、値決めより5〜10円高く取引されている。

 今季の品物はちょうどいい大きさのものが多く、歩留まりも良く順調。集荷場には、網袋に入ったホタテがトラックで次々と運ばれ、計量後、町内外の水産加工業者に出荷されている。(山崎大和)



◎トリカブト誤食? 2人死亡

 7日午後9時20分ごろ、函館市釜谷町、漁業沢田繁さん(71)方で、長男の漁業繁信さん(42)が採ってきた山菜を夕食に食べたところ、嘔吐(おうと)などの症状などを訴え、市内の病院に家族3人が搬送された。繁信さんが間もなく死亡し、繁さんも8日夜に亡くなった。次男の貴信さん(41)は入院し治療を受けている。函館中央署は毒性のある野草「トリカブト」を誤って食べたとみて調べている。

 同署や市立函館保健所によると、トリカブトとみられる野草は7日に繁信さんが近くの山林で採ってきたといい、「(これは)ニリンソウで、おひたしにするとおいしい」と家族に伝えた。同日午後5時半ごろ、調理されたおひたしを小鉢一杯程度を3人で食べたところ、同9時20分ごろ、繁信さんが体調に異変を訴えたため、家族が119番通報した。繁さんの妻(65)と長女(44)は食べなかったため無事だった。

 同署は亡くなった繁さんと繁信さんの吐しゃ物、血液、採ってきた残りの野草を10日、札幌の道警科学捜査研究所に送り鑑定を進める。

 道内におけるトリカブトが原因とみられる中毒死は、1961年に銭亀沢村(現函館市)で1人が亡くなった以来46年ぶり。死亡に至らない中毒症状は09年4月に札幌市、10年4月に室蘭市で発生している。道などはトリカブトとニリンソウは見分けにくいため、注意を呼び掛けている。

 亡くなった2人を知る近所の女性によると、沢田さんは家族でコンブ漁などを営んでいたといい、「よく山菜を採っていたと聞いていた。何でこんなことになったのか」と肩を落としていた。



◎松前町長選 石山氏初当選

 【松前】任期満了に伴う松前町長選は8日、投票が行われ、即日開票の結果、新人で前町議会事務局長の石山英雄氏(56)=無所属=が、新人で前副町長の松尾祐三氏(68)=同=を破り初当選を果たした。石山氏は3743票を獲得、松尾氏に約1400票差を付けた。投票率は78・92%で、直近の町議選(2011年6月)の80・32%より1・4ポイント下回った。

 2期8年務めた前田一男町長が次期衆院選への出馬を表明、任期いっぱいで退任することから、新人2氏による一騎討ちとなった。選挙戦は1997年以来15年ぶりで、2氏とも人口減少が進む同町の活性化策として、町の基幹産業である漁業の振興を訴えた。

 当選した石山氏は、漁業生産基盤の整備や水産加工業への支援体制強化を掲げた。出馬表明が遅れたが、組織的な選挙を展開し、漁業者らの強い支持を受けた。また、子育て支援や福祉の充実を訴え、地域や年代を超えて幅広く浸透した。

 午後8時55分ごろ、支持者が集まる町福山の旅館に「当選」の一報が入ると、大きなな拍手と歓声に包まれた。同9時に目を真っ赤にして石山氏が会場入り。支持者と抱き合い喜びを分かち合った。「今の気持ちを忘れず、町民の先頭に立ち松前町のかじ取りをしていく」と決意を語った。

 一方、助役、副町長を3期12年務めた松尾氏は、豊富な行政経験を強調。「町民と対話する行政運営」を訴え、同級生を中心に草の根選挙を展開したが及ばなかった。同9時ごろ、町唐津の後援会事務所で支持者を前に敗戦の弁。「私の不徳の致すところ」と肩を落とした。

 石山氏は9日、町選管の中里観正委員長から当選証書を受け取った。11日に初登庁し、執務を開始する。

 石山氏は55年、同町生まれ。74年に役場入り。水産係長などを経て、2005年から議会事務局長。3月1日に退職した。

 当日有権者数は7753人(男3661人、女4092人)。

 ……………………………
 ◇松前町長選開票結果◇
 当3743 石山英雄 56 無新
  2322 松尾祐三 68 無新
 =選管確定=

 (松宮一郎、今井正一)



◎函館で黄砂 2年ぶり観測

 函館海洋気象台は9日、2年ぶりに函館で黄砂を観測したと発表した。午後零時40分から同1時にかけ視程(見通しできる距離)が8キロほどとなり、街並みや風景がぼんやりとかすんで見えたほか、車にも砂ぼこりが付着した。

 黄砂は、中国など東アジアの砂漠などから強風で巻き上げられた砂ぼこりが日本に飛来し、地上に降り落ちる現象。この日は道内では室蘭、本州では盛岡や秋田などでも観測された。同気象台によると、函館での観測は2010年4月3日以来。

 市内ではこの日、雨に混じった砂ぼこりが数多くの車に付着していた様子が見られた。午後1時以降は視程が10キロ以上に回復し、10日までには解消されるという。(長内 健)


◎函館開建本年度事業費1・2%増の284億8900万円

 函館開建は9日、本年度の事業費を発表した。総額は前年度当初予算比1・2%増の284億8900万円。内訳は治水に9億5000万円(同1・1%増)、道路に193億6500万円(1・1%増)、港湾整備に23億1300万円(同1・3%増)、空港整備に4億6900万円(0・9%減)、農業農村整備に15億7900万円(1・5%増)、水産基盤整備に38億1300万円(1・5%増)を計上した。

 主な事業は、道路では函館・江差自動車道茂辺地木古内道路や函館新外環状道路空港道路の整備を進めるほか、国道278号鹿部道路の鹿部町鹿部—本別間5・7キロが完成、同道路は全線が開通する。

 港湾では、函館港北埠頭(ふとう)で水深6・5メートル耐震強化岸壁、弁天地区では函館国際水産・海洋総合研究センターと一体的利用を目指す岸壁の整備を図る。また、森、椴法華、江差、奥尻、瀬棚の各港では物揚場や道路、防波堤などの整備を進める。

 水産基盤では、老朽化が著しい函館漁港石積防波堤について、歴史的価値と外郭施設としての機能維持を目的に改良整備する。(山崎大和)