2012年4月11日 (水) 掲載

◎6月の解禁控え、原油高でイカ漁ピンチ

 国際的な原油価格の高騰を受け、函館市内のイカ釣り漁業者が不安を募らせている。6月のスルメイカ漁解禁を控え、漁船の燃料であるA重油が大幅に値上がりしているためだ。漁業者からは「このままでは漁に出られなくなる」と悲痛な声も。関係者は先行きの見えない原油高騰を案じる日々だ。

 函館市漁協(橘忠克組合長)によると、所属するイカ釣り漁船24隻のほとんどがA重油を使う。同漁協が組合員に販売する系統価格は1リットル当たり94・6円(税別、1日現在)で、前年同期より4・5円高い。同漁協は「採算が取れなければ、休漁する可能性もある。イラン情勢の緊迫化から、今後下げる要素がなく、漁業者にとっては死活問題だ」と強調する。燃油高騰の影響で、同漁協を含む全国のイカ釣り漁船は、2008年に一斉休漁した経験があり、今季も同様の対応を選択せざるを得ない場合もある。

 同漁協所属のイカ釣り漁船は解禁直後、日本海側の松前小島付近を漁場とする。1リットル当たり100円と仮定すると、函館から松前沖の燃油代は一晩で8〜10万円の計算になる。イカの卸値にもよるが、燃料代が経営に重くのしかかる。

 道によると、釧路港のA重油価格(道漁連まとめ、税別)は、月初め取引価格で1月が1リットル当たり82・2円、2月が同85円、3月が同89・9円、4月が同94・4円と上昇。昨年11月から毎月値上がりが続いている。

 イカ釣り漁業者は現在、今季の漁に向け船底塗料を塗ったり、船の補修工事を行ったりと、準備を進めている。男性漁業者(43)は「現状では漁に行っても赤字で、商売にならない。何とかならないものか…」とため息をつく。

 燃油高騰に備え、国の漁業経営セーフティーネット構築事業(国と漁業者が折半で基金を積み立て、一定基準を超えて上昇した場合に、漁業者に補てん金を支払う仕組み)がある。本年度からは基準を見直し、高止まりした場合でも対応できるようになった。ただ、同漁協24隻のうち、加入は11隻にとどまっている。(山崎大和)



◎木古内町長選、大森氏が無投票4選

 【木古内】任期満了に伴う木古内町長選が10日告示され、同日午後5時で立候補の届け出を締め切った結果、現職の大森伊佐緒氏(58)=無所属=のほかに届け出がなく、大森氏が無投票で4選を果たした。当選4回は渡島管内の現職首長の中では最多。

 この日は午前8時45分から町本町の事務所で出陣式を開き、第一声を上げた。選挙カーで遊説に出発し、町内をくまなく回り、支持を訴えた。午後5時に無投票での4選が決まり、詰めかけた支持者から祝福を受けた。

 大森氏は「無投票での当選だっただけに責任の重さを痛感している。これから4年間、住民のため、道南の活性化、発展のために最大限の力で努力する。活気のあるまちづくりを目指していく」と当選の喜びと4期目の抱負を語った。

 大森氏は初当選以来、町財政の健全化を進めてきたほか、保健・医療・福祉の充実を掲げ、老人保健施設の建設、国保病院の改築を行ってきた。また、2015年度の北海道新幹線開業を見据え、木古内駅を拠点とした渡島桧山9町連携による広域観光圏の形成を進めている。

 大森氏は1953年、同町生まれ。木古内高校卒。銀行員、会社社長を経て、2000年に町長選に初出馬し初当選を果たした。(松宮一郎)



◎ミシュランガイド北海道、道南7店が☆獲得

 【札幌】道南の名店も続々—。20日に発売される「ミシュランガイド北海道2012特別版」(2310円)の出版記念パーティーが10日、札幌市の地下歩行空間で開かれた。席上、全道の掲載施設699軒が発表され、道南からは料亭「冨茂登(ふもと)」(函館市宝来町9)が二つ星を獲得。ほか6軒が一つ星の高評価を受け、関係者は喜びに沸いている。

 一つ星に輝いたのは、懐石「煌(きら)」(住吉町17)、「鮨処 美な味」(末広町9)、天ぷら「田ざわ」(杉並町23)、フランス料理「ル・ヴァン」(末広町3)、旅館「若松」(湯川町1)、「鮨 おおね田」(森町森川町7)。

 世界の飲食店や宿泊施設を星の数で格付けしている権威あるガイドブックで、北海道版は東京、関西に続く日本の第3弾。事前に選ばれた全道800店を、2010年秋から覆面調査員が実際に訪れ、素材や料理の独創性などを評価した。全道では最高位となる三つ星が4店、二つ星が13店、一つ星が52店。新たにコストパフォーマンスの高い食事を提供する「ビブグルマン」、「おすすめ店」もそれぞれ掲載される。

 「遠回りしてでも訪れる価値がある素晴らしい料理」の二つ星と評された、「冨茂登」の尾形有司社長は「うれしさと同時に身の引き締まる思い。これからも味を追求することを忘れず、函館の料亭として地元の食材を生かした料理でお客さまをお迎えしたい」と喜びを語る。

 「そのカテゴリーで特においしい料理」とされる一つ星を獲得した、ホテル「ヴィラ・コンコルディア」(小坂雅敏社長)内のレストラン「ル・ヴァン」の関川裕哉シェフは「歴史あるミシュランで星をいただけたことは神様からの贈り物。これからも地元食材にこだわって自分なりの料理を提供していきたい」。小坂社長も「名だたる名店と一緒に星を獲得できたことは名誉」。「若松」の高島優二総支配人は「受賞を聞いた時は従業員一同で喜びあった」。「煌」の森茂人店主は「評価に恥じぬよう丁寧な仕事を続けていきたい」とコメントした。

 パーティーで日本ミシュランのベルナール・デルマス社長は「ミシュランガイドは動くことへの喜びに貢献して創(つく)っている。(自分も)この本を持って大好きな北海道をもう一度旅行したい」とあいさつした。(小杉貴洋、藤倉康次郎、平尾美陽子)



◎東急ハンズトラックマーケット13日オープン

 日用品小売り大手、東急ハンズのフランチャイズ(FC)店「トラックマーケット函館WAKO店」(釜台木綿子店長)が13日、函館市若松町のWAKOビル1階にオープンする。10月14日までの期間限定で、今週末のオープンを前に準備作業が急ピッチで進んでいる。同店は「函館にはなかった話題の商品をそろえた。駅前・大門の活性化につなげたい」とし、大勢の来店に期待している。

 トラックマーケットは店舗のない地方都市に期間限定で出店しており、道内では昨年6月から今年1月まで出店した旭川市に続き2店目。今回は事業主体となる同ビルの管理会社、NAアーバンデベロップメント(布村隆二社長)からの要望を受けて出店した。

 同ビル1階の約230平方メートルのスペースで、台所用品や文具、ヘアケア用品、健康・リラックスグッズなど常時約3000点を扱う。花粉・紫外線対策など、季節に応じた品ぞろえとともに、テレビで話題になった商品も盛り込んでいく。

 今月に入ってから店舗設営を始めており、現在は地元スタッフ8人と同社社員が陳列作業に追われている。東急ハンズ企画販売部の高橋通彰部長は「日常生活に根差した商品を中心に並べた。札幌の店舗からは離れているだけに、身近に感じてもらえれば」と新規客の開拓に期待。釜台店長は「毎日のように問い合わせがあり、楽しみにしている市民も多いと思う。駅前から函館を盛り上げていきたい」と意気込んでいる。

 営業時間は午前10時〜午後7時。毎月第2水曜日定休。TEL0138・23・3115。(千葉卓陽)