2012年4月12日 (木) 掲載

◎食事、土産…江差の魅力凝縮…「海の駅開陽丸」14日新装オープン

 【江差】開陽丸青少年センター(姥神町1)の管理棟が14日から、「えさし海の駅開陽丸」に新装オープンする。観光情報提供のほか、浜の母さんの手料理やご当地カレーライス、農水産物、土産などまちの魅力を集約。関係者は「観光客はもちろん、町民にも日ごろから足を運んでもらえるような運営を心がけたい」と意気込んでいる。

 管理棟は年明けから改修工事が始まり、3月末に完成。運営する一般財団法人開陽丸青少年センター(理事長・浜谷一治町長)によると、4600万円かけての改修で、民間都市開発推進機構(東京)から1470万円の助成を受けたという。

 1階に休憩や飲食、買い物ができるコーナー(150平方メートル)を設置。大きな窓ガラスを取りつけた開放的な造りで、商工会関係者でつくるアンテナショップ「ぷらっと江差」が構える。

 飲食部門は土曜日曜に町内の3店が週替わりで登場し、人気レストラン「津花館」はご当地カレーを、漁師の味が自慢の若山水産は刺し身やホッケフライなどの定食、辻漁業部はかに飯とホッケのすり身汁を提供する。平日はうどんなどの軽食を随時メニューに置く。菓子や工芸品、産地直送の野菜、魚介類も売り場に並べる。

 ぷらっと江差出展者組合代表の金津秀晴さん(56)は「観光の充実と町民にも親しまれるものでありたい」。同センターの須藤公徳館長も「気軽に利用を」と来場を呼びかけている。

 14、15の両日は開陽丸記念館を無料で開放し、先着50人にかたこもちをプレゼントする。物販は午前9時〜午後5時。軽食は午前10時〜午後2時。

 問い合わせは同センターTEL0139・52・5522。ぷらっと江差TEL同52・1377。(田中陽介)



◎市が緊急通報システムの対象拡大…独居の85歳以上全員に

 函館市は、身体機能が衰えた65歳以上の独り暮らし高齢者に無償で設置している「緊急通報システム」の対象を本年度から拡大。独り暮らしの85歳以上であれば身体機能にかかわらず全員に設置する。拡大分の約1000台を3年間で順次整備していく計画で、初年度は約360台を予定している。

 同システムは、消防本部に直通する緊急ボタンと、市または消防本部につながる相談ボタン機能を搭載した機械本体のほか、火災センサーなどがセットとなっている。本体が離れた位置にあっても、体に身に付けられる「ペンダント」のボタンを押すと消防本部につながる仕組みになっている。

 設置基準は、緊急時に機敏に動けない人や、突発的に生命に危険な症状が発症する持病がある人。地域包括支援センターの職員が自宅を訪問して判断している。市は1992年度から設置を始め、これまで約1950台を置いている。

 市によると、2010年度に同システムからの通報で救急搬送となったケースは218件。相談などに対応したものは330件、火災センサーが反応して消防車が出動した事例は25件あった。

 通報者の住所などはボタンを押すと同時に消防側が把握できるようになっており、迅速な対応が可能。中には通報により一命を取り留めた例もあったという。これらの実績を受け、本年度からはより高齢者の在宅生活を支援しようと対象者を拡大。随時、希望者へ備え付けていく予定だ。

 市高齢福祉課は「設置すると電話を掛ける手間が省け、素早く通報できる。命に関わるケースは1秒でも早い対処が必要なので、ぜひ置いてほしい」としている。(後藤 真)



◎工事の安全、早期完成祈る…道央道の森—大沼公園間

 【森】本年度に開通する道央自動車道(道央道)の森IC(インターチェンジ、森町森川)—大沼公園IC(同町赤井川)間9・7キロの舗装工事開始を前に、アスファルトプラントを稼働させる「火入れ式」が11日、赤井川の大沼舗装工事プラント敷地内で行われた。ネクスコ東日本函館工事事務所(渡辺将之所長)は開通時期について「まだめどが立っておらず、夏ごろには公表できる」としている。

 式には約90人が出席。神事が行われ、工事の安全と一日も早い開通を願った。佐藤克男森町長や高橋敏彦函館開建部長、中西猛雄渡島総合振興局長ら7人が点火スイッチを押すと、バーナーに火がつき、プラントが稼働した。

 プラント主要部は高さ30メートルで、一日に1000〜1400トンを製造。同区間全体でアスファルト6万トンを使う。

 佐藤町長は「町としては、この道路が出来上がるのを待っている。この秋には完成という話をうかがっており、安全第一で事故のない工事を進めてほしい」と期待を込めた。同社北海道支社の大谷隆司副支社長が「舗装工事が動き出し、開通に向けて大きな一歩だ。高品質な高速道路を一日も早く開通させたい」と決意を述べた。

 同事務所によると、同区間は暫定二車線が5・8キロ、四車線区間が3・9キロ。橋梁(きょうりょう)が5本(延長約400メートル)あり、構造物比率は3・9%。舗装材料として噴火湾産ホタテ貝殻粉末約700トンを、アスファルト3層(表層、基層、アスベース)のうち、すべてのアスベースに使うほか、ネクスコ東日本では初めて表層と基層にも一部試験施工。また、全国の高速道路で初めてワイヤロープ式防護柵を採用する。

 大沼公園ICまで完成すると、同事務所担当区間(八雲IC—大沼公園IC間)すべてが完了。大沼公園IC—七飯IC(仮称)間10キロは、函館開建が新直轄方式(通行無料)で建設する予定だ。(山崎大和)



◎温泉熱でイチゴ栽培…大一興業が恵山に施設

 函館市恵山町の市有地で、市内の民間企業が温室イチゴの栽培に取り組んでいる。温泉熱と温暖な気候を生かした通年出荷を目指しており、「はこだて恋苺(こいいちご)」として早ければ5月末の初出荷を予定。市は市有地や温泉資源を貸し与えて支援しており、漁業が主力産業となっている恵山地域での、新たな地域振興策として期待が高まっている。

 建設資材販売の大一興業(函館市昭和2、大越信幸社長)が昨年12月、資本金3000万円で100%出資子会社「リュド・フレイズ」(小堤文郎社長)を設立して異業種に参入。温泉施設を伴う恵山市民センター近くの市有地(恵山町539)を活用して栽培に当たる。

 市は新たな特産品開発や雇用確保などの面から市有地と余った温泉資源を貸与。温度50度以上、毎分450リットルの豊富な湯量に加え、イチゴ栽培に適した気候と広大な平野が整っており、大越社長(42)は「冬場の日照が良い上、降雪も少ない好立地」と話す。

 栽培するのは「恋苺」と呼ばれる1粒数百円の高級品で、従来品種よりも糖度が高く、粒が大きいのが特徴。徳島県の新居バイオ花き研究所が開発し、3月に苗の供給を受けた。現地ですでに3000平方メートルの鉄骨温室(25メートル×120メートル)1棟を設置。初年度は6万7500株を栽培、66メートルの収穫と9800万円の売り上げを見込む。将来的には温室を6棟に増やした上で400トン、5億5000万円の売り上げを目指す。

 雇用は常勤2人、パート15人で始め、5年後には常勤13人、パート50人へと拡大を見込む。今後は独自の販売ルートの構築とともに、規格外品は冷凍イチゴとして大手スーパーとの取引を進める考え。体験農園の役割も兼ね、イチゴ狩りやアイスクリーム、スイーツ販売など観光事業も展開していく。

 市農林水産部は農業振興や未利用財産の活用、地域の雇用創出につながると歓迎し、「知名度が高まれば新たな特産品にもなる。販路拡大はもとより、市民に愛されるイチゴ作りを目指してほしい」と期待する。

 小堤社長(49)は札幌酒精工業(札幌)厚沢部工場の立ち上げや、同社の現地関連法人でイチゴの栽培に携わった経験があり、「道内のスーパーや地元スイーツ店を中心に販売し、観光資源の一つに加えていきたい」と意気込む。大越社長は「1年間でしっかりイチゴを供給し、地盤を固めて事業拡大につなげたい」と話している。(田中陽介、千葉卓陽)