2012年4月14日 (土) 掲載

◎啄木没後100年 思いはせる 市民ら墓参70人 追悼講演会

 函館ゆかりの歌人、石川啄木(1886〜1912年)の命日に当たる13日、函館啄木会(岡田弘子代表理事)による「啄木忌」が函館市住吉町の東海山地蔵堂(開米隆成住職)で営まれた。関係者や市民ら約70人が参列。没後100年を迎え、大森浜を望む地で安らかに眠る啄木に思いをはせ、静かに手を合わせた。

 啄木は1907(明治40)年5月から5カ月間函館に滞在、弥生尋常小学校で代用教員を、函館日日新聞では記者生活を送っている。同会は、函館在住時の啄木が関わった文芸結社「苜蓿社(ぼくしゅくしゃ)」を母体として発足。法要は101回目を迎えた。

 法要では、しめやかな雰囲気の中、参列者一人一人が焼香。次いで「石川啄木一族の墓」へ移り、花を供えて手を合わせた。その後に行われた追悼講演会では、函館市文学館の前館長、森武さん(63)が「啄木の終焉と妻節子」と題し講演。「女性問題や借金など、啄木には負のイメージがつきまとうが、最晩年の日記や手紙には人間らしい啄木の姿がある」と指摘。「啄木についてはいろんな角度から研究されているが、もっと愛情を持って啄木をみてほしい」と強調した。

 栃木県鹿沼市から来函し、啄木忌に初参加した浜野格さん(59)は「小中学校時代は啄木の作品に感動して何度も読んでいた。15年前に墓参したが、啄木忌に来ることができてうれしい」と感慨深げだった。岡田さんも「例年になく大勢の人たちが来てくれてとてもうれしい」と話していた。(長内 健)



◎あおぞら薬局 基幹薬局に 過疎地の在宅医療を支援

 函館市石川町149のあおぞら薬局石川店(三上夕介薬局長)はこのほど、道薬剤師会の「地域医療支援センター薬局」と連携し、調剤薬局のない地域の在宅医療をサポートする「基幹薬局」に選定された。同薬局の運営会社、シャンティメディカル(函館)は「自宅で療養を希望する人に安全安心な薬を届けることによって地域医療に貢献できれば」としている。

 センター薬局は、医療過疎地の在宅療養者を支援するため、道薬剤師会が昨年度から整備を進めていて、今秋にも札幌市内に新設される見通し。

 合わせて道内5圏域にも基幹薬局を整備し、函館の他にも旭川や北見、帯広、釧路の4市にも設置する。それぞれ道の助成を受けて、抗がん剤など点滴液を無菌状態で作る「無菌調剤設備」が整備されている。

 点滴液を作る場合、菌が液に入らないよう無菌状態で複数の薬を調整する必要がある。無菌設備を備えているのは大規模な医療機関がほとんどで、薬局だとごく少数という。

 基幹薬局は、センター薬局と連携しながら患者宅に調剤した点滴液を届けるほか、患者宅に薬剤師を派遣して薬剤管理や服薬指導などを行う。また、地域の薬局とも連携した患者サポートも実践していく。あおぞら薬局石川店では、道南エリアをカバーする。

 三上薬局長は「医師や看護師など他の専門職と連携しながら患者のニーズに対応したサポートを心掛けたい。薬に対しての心配ごとや悩みも解決できるよう取り組みたい」と話している。(鈴木 潤)



◎東急ハンズFC店 WAKOビルにオープン

 日用品小売り大手の東急ハンズ(東京)のフランチャイズ店「トラックマーケット函館WAKO店」(釜台木綿子店長)が13日、函館市若松町のWAKOビルにオープンし、開店を待ちわびた市民らでにぎわった。

 道内でのトラックマーケット出店は旭川市に続き2店目で、10月14日までの期間限定営業。同ビル1階の230平方メートルのスペースで、人気のシャンプーやキッチン用商品をはじめ、入浴剤などの健康・リラックスグッズなど、約3000のアイテムがずらりと並んだ。

 午前10時の開店から来店客が続々と訪れ、ショッピングを楽しんだ。市内宇賀浦町の福西泉さん(32)は「函館に今までなかった商品がたくさんあり、見るだけでも楽しい」と笑顔。開店に合わせて訪れた宮前力也さん(48)は「規模は小さいけれど、函館に初めてハンズができてうれしい」と話していた。

 同ビルの管理会社、NAアーバンデベロップメントの布村隆二社長は「函館駅前に来る理由がなかった市民が、この店見たさに来てくれればにぎわいが生まれる。新幹線開業までに街を変えるきっかけになれば」と、駅前・大門地区の活性化に期待している。(千葉卓陽)



◎Jバス乗車券販売好調 1カ月で60万円 採算ライン超え

 函館市陣川町の陣川あさひ町会(西川孝一会長)が1日から運行しているコミュニティーバス「Jバス」の乗車券の売れ行きが好調だ。3月中旬の販売開始から1カ月。採算ラインを上回る約60万円に到達した。同町会は「予想以上の反響で、さらに使い勝手のいいバスに磨き上げたい」としている。

 Jバスは、行政の補助金を受けず、住民らの乗車券収入のみを財源に運行。函館バス(高盛町、森健二社長)と運行委託契約を結び、大型バスで平日に1日7便、土日、祝日に3便、これまでの路線バスにはなかった美原や昭和地区に直結する15キロを45分で回る。

 同町会は3月12日から乗車券の販売を開始。運行前までは販売額が赤字最低ラインとなる51万円の約6割に当たる約35万円にとどまっていたが、4月に入り、帰りの通学バスがJバスに移行した中学生らを中心に売り上げが急伸。12日現在で計59万500円に達した。

 内訳は月2500円の定期券が135枚、2カ月有効の15枚3000円の回数券が65枚、町会館のみで取扱中の1枚(200円)単位のばら売りが290枚。同町会は「新設された神山児童館を使う子どもたちや、美原地区の大型スーパーで買い物するお年寄りの利用が好調」と話す。

 今後は利用者の要望やアンケート調査を踏まえ、近隣の温泉施設に向かう特別便の運行や渋滞を避けるルート変更などの見直しも検討する。Jバス運営委員会の上野山隆一代表(47)は「購入いただいた皆さまに感謝の気持ちでいっぱい。これからサービスや利用者をどう伸ばし、維持していくかが課題」と話している。(森健太郎)



◎春の観光幕開け 函館山登山道も立待岬への市道も開通

 春の観光シーズン到来—。冬期間通行止めとなっていた函館登山道(道道立待岬函館停車場線)、立待岬へ通じる市道(住吉町16先—立待岬—谷地頭町4先、一方通行)が13日、通行止めが解除され、待ちわびた市民らがドライブを楽しんだ。

 函館山登山道の登山口ゲート前(青柳町5)には、午前11時の開門を待つ約10台の車列ができた。ドライバーには、地元の町会員が手づくりした「無事に帰る」という願いを込めたカエルのお守り、市などから交通安全、防火を啓発するグッズや、パンジーやビオラの鉢植えが贈られた。

 昨年に続き、一番乗りとなった北斗市の会社員、山本博幸さん(41)は「午前7時半ごろから並んだが、また一番だったので驚いた。毎年、初日の函館山の景色を楽しみにしているので、じっくり見物したい」と話していた。

 同登山道は凍結のおそれがあるため、24日まで午後10時から翌午前9時が通行止めとなる。また、夜景見物での混雑解消のため、バスやタクシーを除く一般車両は25日から10月15日までの期間、午後5時から同10時まで通行禁止となる。(小杉貴洋)

 函館の観光名所、立待岬には観光客らが訪れ、津軽海峡越しの絶景を満喫した。

 今年は大雪の影響で、当初は4月25日まで通行止めの予定だったが、除雪作業が進んだほか、舗装補修工事の箇所が少なかったことで、前倒しした。

 車で到着した人たちは、眼下に広がる大森浜や函館の街並みをカメラに収めたりしていた。札幌から夫婦で訪れた丸山達郎さん(58)は「数十年ぶりの立待岬。天気は良いし、最高の景色だ」と喜んでいた。(長内 健)