2012年4月15日 (日) 掲載

◎「ハイカラ號」出発進行 今季の運行開始

 函館市交通部は14日、明治期の路面電車を復元した「箱館ハイカラ號(ごう)」の今季の運行を始めた。春の青空が広がる中、レトロな車体が函館の街並みをのんびりと走り抜け、本格的な観光シーズンの幕開けを告げた。

 ハイカラ號は1910(明治43)年に千葉県で運行を開始。18〜36年まで客車として市内を走った車両を除雪用のササラ電車に改良した。92年の市制施行70周年を記念して台車をそのままに復元され、93年から観光シーズンに運行している。

 レトロな制服に身を包んだ専属運転士の山川武士さん(39)と車掌の滝下恵さん(23)を乗せた一番電車は午前9時ごろ、駒場車庫を出発。西部地区では異国情緒漂う景観に赤を基調とした車体がとけ込み、観光客らがカメラを向ける姿もあった。

 第1便には市交通局OBで、ハイカラ號の乗務経験もある元運転士谷秀勝さん(74)も乗車。「音や揺れは昔のままで、いよいよ函館にも春が来たという感じがする。吹きさらしの運転席は函館山に雪が残るうちは寒いんだ」と懐かしんだ。

 運行は10月31日まで。一般の市電と同じく湯の川—函館どつく前などを1日4往復する。毎週火・水曜や荒天時は運休。問い合わせは同部事業課(電車担当)TEL0138-52-1273。(森健太郎)



◎ベンツ「デザインコンテスト」で函館の少年野球団「金堀エレファント」がグランプリ

 メルセデス・ベンツ日本の「ラッピングカーデザインコンテスト」で、函館市の少年野球団「はこだて金堀エレファント」が応募したデザインがグランプリを獲得した。1年間にわたり、同デザインをラッピングした7人乗り「Vクラス」を無償貸与される。函館ヤナセ(北斗市追分2)で14日、納車式が行われ、団員や関係者ら約30人が、オフィシャルカーのお披露目を祝った。

 「Vクラス」のPRや各種団体の活動支援を目的に、初めて企画。スポーツやサークル活動などをしている団体を対象に車体のラッピングデザインを募った。全国から230の応募があり、グランプリの1団体に同野球団のデザインが選ばれた。

 函館金堀小学校を拠点に活動する同野球団の団員の保護者である小林竜太さん(38)が、募集広告を見つけて応募。デザイナーの小林さんが、団体を盛り上げるために昨年考えた力強さを象徴したゾウのキャラクター“金ぞう”を側面とバックドアに入れた。小林さんは「子どもたちも喜んでくれてうれしい。少年野球団が減ってきているので、野球のアピールにもつながれば」と話していた。

 貸し出された車は、試合会場までの団員の送迎や野球用具の運搬に使用する。コーチの盛俊幸さん(55)は「まさかグランプリを受賞すると思わなかった。子どもたちのやる気にもつながるいい車を提供してもらった」と喜びを語った。

 担当の志渡沢泰助アシスタントマネジャーは「チームで楽しみながら触れてもらういい機会。団体活動に少しでも貢献できれば」と話していた。(柏渕祐二)



◎震災がれき「考える会」が発足 広域処理の危険性指摘 市民や避難者ら50人参加

 東日本大震災で発生したがれきの処理や受け入れについて考える勉強会「道南がれき問題を考える会」が14日、函館市内で発足した。設立に向けた学習会には医療関係者や子育て中の父母、被災地からの避難者ら約50人が参加し、震災がれきの広域処理の危険性や問題点をめぐって活発に意見を交わした。

 震災がれきの受け入れについて、道南での情報共有や議論の場を設けようと、市内の医師長谷川昭一さん(55)らが呼びかけ人となって設立。冒頭、長谷川さんは放射性物質の安全基準やがれきの処理方法について「明確な根拠がなく、焼却処分では汚染物質の除去はできない」と指摘した。

 会合で福島市から函館に避難している鈴木明広さん(52)は内部被ばくの危険性に言及し「どこまでも放射能に追いかけられる。もう体には1ベクレルも入れたくない」と強調。「被災地をみんなで応援するためにがれきを拡散するのであれば、福島に住んでくださいと言いたい」と述べ、集中処理や被災者の受け入れ支援の必要性を訴えた。

 また、岩手県奥州市から胆振管内洞爺湖町に避難している遠藤司さん(44)は震災後に身体の不調が続いていることを報告。この日は道南で受け入れに前向きな考えを示している太平洋セメント上磯工場(北斗市谷好)も視察し、「市街地に近く、煙突も短い。自分のこととして捉えてもらたい」と力を込めた。

 このほか、参加者からは「広域処理以外に方法はないのか」「政治的な圧力や利権が絡んでいるのでは」との声も。道南への避難者からは「現地のがれきは復興の妨げにはなっていない」「被災地への支援は人を受け入れ、汚染されていない地域を守ること」などの意見が上がった。会では今後、市民参加の勉強会や受け入れ反対の要請行動などを行う方針。(森健太郎)



◎函館市、ヘルスツーリズム本年度から本腰 モニターツアー実施へ

 旅行を楽しみながら健康増進を目指す観光スタイル「ヘルスツーリズム」の定着に向け、函館市は本年度、商品化を見据えたモニターツアーを実施する。市内や近郊の医療機関での検診と道南観光とをドッキングさせることで、新たな観光需要の掘り起こしを狙う。夏ごろをめどに、東京から2組4人を招く計画だ。

 ヘルスツーリズムはがんの発見に使われるPET(陽電子放射断層撮影)検査や花粉症の症状緩和、温泉療養などを行う際に観光ツアーと一体化させる取り組みで、全国各地で導入が進んでいる。

 市は昨年9月、健康保険組合連合会(東京)の城南地区方面会(44社加盟)が視察に訪れた際にプレゼンテーションを実施し、市内の名所を散策する「まちあるき」と、医療機関での検診との組み合わせに需要があることを把握している。また「企業経営者らが人目につく都内の病院を避け、地方都市に出向いて健診を受けるケースがある」(市観光振興課)という。

 本年度に行うモニターツアーは、約65万人が加盟する同地区方面会に呼び掛け、観光シーズン真っ盛りの6〜8月をめどに実施。初日に医療機関で成人病検診を受けた後に、道南各地の見どころや豊富な食材を楽しみ、最終日には検診結果を持ち帰ってもらう。

 本年度予算には関係経費43万円を計上しており、現在は市内や近郊で受け入れ可能な医療機関のリストアップ作業などを進めている。

 将来的には旅行エージェントによる商品化を目指す。同課は「アンケートを取りながら来年度以降も試験的に続け、医療機関の受け入れ態勢を整えていきたい。社員旅行などとのセット化が望ましい姿」と話している。(千葉卓陽)



◎タイヤ交換ピーク カー用品店、市民混雑

 ぽかぽかした春らしい陽気に包まれた14日、函館市内のカー用品店はタイヤ交換に訪れる市民で大混雑した。寒さが長引いた影響で、今春は数週間ほど夏タイヤへの履き換え時期がずれ込み、各店とも4月下旬まで対応に追われそうだ。

ネッツトヨタ函館美原店(美原2)では、今月11日ごろからタイヤ交換の客が増えている。平日は約30台、週末は約70台の作業に追われ、飛び込み客の姿も目立つという。予約の電話も増え、2〜3日以内の作業には、タイヤ交換の予定がずらりと並んでいる。同店は「この台数がゴールデンウイークまで続くと考えている。雪解けの遅れで、例年なら分散しているタイヤ交換が、今年はまとまってきている」と話している。

タイヤ館桔梗店(桔梗町2)では、気温が上昇し始めた同10日ごろからタイヤ交換の来客が増え始めた。14日も午前中からひっきりなしに市民が来店しているといい、同店は「1週間前まではほとんど交換作業がなかったけど、今後は4月下旬まで忙しい日が続きそう」とみている。

4〜5月のタイヤ交換シーズンで、約1200台の作業を行うジェームス本通店(本通3)もピークを迎えている。同11日から来客が増し、1日約60台分のタイヤを交換。14、15日が最も増えると予想している。(柏渕祐二、長内 健)