2012年4月17日 (火) 掲載

◎春¢蜍泳ぐ 五稜郭タワーに巨大こいのぼり

 五稜郭タワー(函館市五稜郭町43)に、毎年恒例の巨大こいのぼりが姿を見せ、春風に吹かれながら雄大に大空を泳いでいる。市民や観光客らは、空を見上げて春の風物詩を楽しんでいる。

 5月5日の「こどもの日」に向けて、同タワーが30年以上にわたり実施。今月14日から約70bの高さに全長12bの真鯉(まごい)や吹き流しなど4本のこいのぼりを揚げている。 下から見上げても、展望台から見下ろしても楽しめ、多くの観光客らが記念撮影をするという。

 巨大こいのぼりは今月27日までの午前8時半〜午後5時に揚げられ(強風や雨天時は中止)、同28日〜5月6日は、東日本大震災の被災地を元気づけるために、青森県大間町のまちおこしグループが昨年に作製した「巨大マグロのぼり」にバトンタッチする。(柏渕祐二)



◎語り継ぎ法人化10年 青函連絡船の会

 函館市青函連絡船記念館摩周丸(若松町)を市の指定管理者として、2008年4月から運営するNPO法人語りつぐ青函連絡船の会(木村一郎理事長)はこのほど、法人化10年を迎えた。同会の白井朝子副理事長(61)は「時間の経つのは早かった。これからいよいよ、当初に目指していたことを手掛けたい」と話している。

 同会は摩周丸を産業遺産として再評価し、青函連絡船の歴史、文化を後世に伝えようと1999年9月に結成。2000年に函館でイベントを開催し、その後解散する予定だったが、摩周丸が第三セクターから函館市に移管されることになり、運営団体となることを目指して02年、青函連絡船が就航した3月7日にNPO法人化した。

 しかし、当初は指定管理者に選ばれず、03年7月からJR函館駅2階で、同会所蔵の書籍を公開する「船と鉄道の図書館・いるか文庫」を運営。白井さんは「全国からの乗降客に摩周丸の存在を知らせ、摩周丸に対する要望を聞けたことは、今に役立っている」と振り返る。

 08年、運営団体となった当初は、傷みの激しい船内修復に時間を要した。昨年からようやく目標としていた活動を本格化。洞爺丸事件(54年)について、生き残った各部海技者が執筆し、55年に国鉄青函船舶鉄道管理局が発刊した「台風との斗い」を復刻した。同会の高橋摂事務局長(57)は「青函連絡船に関わった人が亡くなっていく中、私たちができること、来館者や関係者が望んでいることをつなぎ、一つ一つ形にすることができた」と話す。

 10周年を記念し、3月7日、東京都内で関係者25人が集まり祝賀会を開いた。最近は白井さんの念願だった、青函連絡船のダイヤ(運行実績)が書かれた用紙(A2判)約1万3000枚をスキャナーで入力し、パソコンで活用できる作業に着手した。また、5月ごろには展示フロアのリニューアルを行う予定。高橋さんは「観光客を呼び込むために、全国的な話題づくりが必要」と話す。

 2人は「会はマンパワー不足で、何年先を見据えて活動を展開するのは困難。現在も日々の作業に追われているが、至福の時でもある。私たちの活動と、連絡船の功績を広く伝えられるように頑張りたい」と力を込めている。



◎岸さん、布村さん来月会社設立「まちづくりへ企業支援」

 函館の運送業「西武建設運輸」社長の岸寛樹さん(38)と、WAKOビルの管理会社「NAアーバンデベロップメント」社長の布村隆二さん(48)が来月上旬、まちづくり会社を立ち上げる。事業の第一弾として、市内のビルの空き部屋を活用して起業家育成する計画を立てており、2人は「これを起爆剤に函館を元気にしていきたい」と意気盛んだ。

 市民の起業を支援し、人や経済の流れを活発化させようと会社を設立する。最初の事業は、同運輸所有の「本町五稜郭ビル」を使った「レンタルオフィス」。同ビル5階は10年ほど前から空きスペースだが、「五稜郭地区の一等地」(岸さん)という強みも生かし、物販やITなど、さまざまな業種での起業が期待できるという。

 空き部屋はそれぞれ8・5〜16・15平方bで、コピー機が共用できるほか、机や電話・ファクスも同社で備える。賃料は3〜6万円の予定。室内の改修を経て、早ければ6月にも貸し出し可能。今月22日には、同ビルで起業希望者への説明会を開く。

 布村さんも岸さんも、それぞれ函館の民間企業で社長を務めるが、今回は「まちづくり、人づくりの創出に専念したい」と口をそろえる。JR函館駅前や大門地区の商店街活性化に向けカフェバーを立ち上げるなど、精力的に活動する布村さんは「起業したい人の力になれるさまざまな事業を展開したい」、岸さんも「このビルを土台に大きく成長していく人がどんどん増えれば」と期待している。

 説明会は午前10時から1時間。参加無料で、希望者は直接会場へ。問い合わせは西武建設運輸TEL0138-47-2738。(長内 健)



◎声楽家、義美さん 来月19日最後のリサイタル 

 函館の声楽家、大村義美さん(65)が5月19日、最後のリサイタルを函館市芸術ホール(五稜郭町37)で開く。体調不良で長時間の演奏が困難になってきたため。本番には学生時代からの友人も駆け付け、思い出の曲というカンツォーネの独唱、二重唱など、イタリア歌曲をメーンに披露する。大村さんは「存分に歌い切りたい」と意気込んでいる。

 旧上磯町出身の大村さんは、道教育大函館校卒業。埼玉県で教職に就いたが、音楽への道を捨て切れずに26歳の時、東京芸大音楽学部に入学、4年間声楽を勉強した。卒業後は北海道へ戻り、網走や熊石など各地の高校を転々とし、上磯高校校長を最後に退職した。

 教職を務める傍ら演奏会にも精力的に出演してきた大村さん。函館でも市民オペラの会の公演や合唱活動に参加するなど音楽文化発展に貢献してきたが、「年々長く歌い続けることができなくなってきた」という。今後は数曲程度の出演や、6年前から指揮者を務める函館MB混声合唱団での歌唱指導を続けていく。

 プログラムは4部構成。第1部は「思い出の歌」と題し、学生時代から自身の音楽観に影響を与え続けているというロマンチックな「愛しい人よ」や「おお春よ」など5曲。第2部ではトスティ、サルバトーレら5人の作品を歌う。

 また、東京芸大時代の同期である指揮者、声楽家の半田暁さん(60)=茨城県在住=も出演し、第3部の二重唱で共演する。第4部では、同合唱団団員40人のバックコーラスで、「帰れソレントへ」「フニクリフニクラ」など4曲。来場者とともに「サンタ・ルチア」を皆唱する場面も設ける。伴奏はピアニストの妻、陽子さん(65)。

 半田さんは「思い出に残るステージになるよう頑張りたい」。大村さんは「カンツォーネとはいえ、誰もが一度は聴いたことがある曲もあるのでは。透明感ある曲調を楽しんでもらえれば」と話している。(長内 健)



◎公用自転車 本年度も活用

 函館市は2009年度から導入した公用自転車に一定の利用があることを受け、本年度も活用を継続する。昨年度の乗車距離は5台導入している本庁舎で約1600キロと、導入当初の約75%に落ち着いているが、市は「環境面などを意識してほしい」とし、今後も職員に対して積極的な活用を求める考え。

 自転車は公用車使用の抑制とともに、二酸化炭素(CO2)の削減に役立つとして09年度に導入。施設拠点から半径2キロ以内で外勤する場合に活用している。市環境部がリサイクルした自転車を使っており、導入費が安く抑えられることも利点の一つだ。

 自転車はメーター付きで、降雪がない4〜10月に利用される。昨年度は8月が274キロと最も多く、7月が270キロ、6月も265キロと、夏場を中心にまんべんなく使われている。

市総務課によると、生活保護世帯に対する支援業務を行う保健福祉部(旧福祉部)や納税業務を扱う財務部が頻繁に利用。駐車場が少ない駅前・大門地区への外勤や函館商工会議所への移動に使われるケースが多く、同課は「駐車スペースの心配がない上、生活支援の場合では匿名性がある」とメリットを説明する。  初年度に2149キロだった乗車距離は、10年度に1305キロと大幅に落ち込んだが、昨年度は再び活用が進んでいる形。09、10年度の2カ年で本庁舎以外にも湯川、亀田支所や企業局、市立函館保健所などで導入されており、同課は「量こそ少ないが、ガソリン消費の抑制につながっている。CO2削減に貢献する意識付けにつながれば」と話している。  (千葉卓陽)