2012年4月18日 (水) 掲載

◎遊覧船ようやく湖水へ 「大沼合同遊船」

 【七飯】大沼で観光遊覧船を運航する「大沼合同遊船」(大沼1023、堀元社長)は17日、5隻の遊覧船を湖面に降ろした。今冬の冷え込みで厚く張った氷はここ数日の陽気ですっかりと解け、入江の一部に残るのみ。観光シーズンの到来に合わせて、18日から営業を開始する。

 同社は、大沼湖上の大小さまざまな島を巡る遊覧船を運航。昨年は東日本大震災の影響もあり、利用客がやや減少したが、4〜12月に6万1900人が乗船した。

 作業は今冬の冷え込みの影響で湖面の解氷が遅れたために昨年より6日遅い。11日以降、気温が10度を超えた日が続き、一気に湖面が開けた。この日は、社員らが重機などを使用して、陸上で保管していた遊覧船を台車に乗せ、水中に続くレールを走らせて慎重に降ろした。

 今季は、道央自動車道の延伸による道内客や東北方面からの観光客増加を期待し、8万人の乗船と、各ボートなども合わせ、18万人の利用を目標としている。川村晃也常務は「雪解けが遅かったが、ようやく大沼の観光シーズンの幕開け。多くの人に喜んでもらうため、社員一同、安全運航に努める」と話している。

 遊覧船は4、11、12月は不定期運航、5〜10月は毎日14便を定期運航する。所要時間は30分で大人960円、小学生以下480円。モーターボートや手こぎのボートも18日から営業を開始する。問い合わせは同社TEL0138・67・2229。(今井正一)



◎民生委員の年齢基準見直しへ 函館市

 函館市は、地域福祉を担う民生委員の年齢基準を本年度中に見直す。過疎や厚生年金の支給開始年齢引き上げによる60歳以上の就業者の増加などから、担い手不足が深刻となっているため。今後、現委員や町会連合会などと協議を重ね、対象を拡大していく。

 民生委員は担当地域内の住民の生活状態を調査したり、日常生活に関する相談に応じて助言や関係機関を紹介する。3年ごとに改選を行い、函館市の年齢基準は新任が原則68歳未満、再任の場合は75歳未満となっている。

 基準は都道府県単位で決められているが、函館市は中核市に指定されているため、独自に選任要領を設けることができる。見直しは来年12月の改選時を見据えて検討を進め、新任・再任の上限を緩和するか、もしくは新任の要件を撤廃するといった案で協議を進める。

 新任の上限については、道はこれまで65歳未満としていたが、対象を拡大するために現在は新任・再任関わらず75歳未満としている。市では2010年に65歳未満から68歳未満に引き上げたが、撤廃については現委員から異論もあるという。民生委員は経験を重ねることで信頼を得ていくため、若い年齢から始めるべきとの考えからだ。

 市保健福祉部は「西部地区など高齢者の多いところでは70歳以上の人が多いため、担い手不足が慢性的に続いている地域もある。委員の資質とのバランスも考えて慎重に検討したい」とする。

 市によると、委員は現在定数の710人おり、年齢層は60、70代が中心。職業は主婦などの無職が多いが、自営業や会社員など働きながら活動している委員もいるという。

 市民生児童委員連合会は「若い世代は仕事が関係して福祉活動をする余裕がないのが現状だが、民生委員は地域における知識の源であり、お年寄りからも頼りにされている。地域を支える上で人材確保は急務」と話している。(後藤 真)



◎「道の処理計画作り必要」震災がれき

 【北斗】東日本大震災で発生したがれきの広域処理にかかわり、自民党道連政調会長の柿木克弘道議(美唄市)、冨原亮道議(渡島)らが17日、北斗市役所を訪れた。太平洋セメント上磯工場でのがれき処理実現に向け、高谷寿峰市長、池田達雄市議会議長とそれぞれ懇談。柿木氏は「党として可能な限りのバックアップをしたいとお願いに上がった。道は処理計画を作り、自治体や住民に示さなくてはならない」と述べた。

 懇談には三好雅道議(宗谷)も同席。宮城、岩手両県への視察に向かう途中に北斗市に立ち寄り、高谷市長、池田議長とそれぞれ45分間ほど意見を交わした。

 柿木氏は処理受け入れ前に実証実験を行い、検証結果を公表する必要があるとし、「道はがれきに含まれる放射線量の独自基準を設けたが、直接受け入れるのは市町村。どんな廃棄物をどの程度、どこからといった情報を示さなくてはならない」と述べた。

 懇談終了後、高谷市長は取材に対し、「地元を無視せずに進めてもらいたい。(上磯工場での受け入れは)現段階では何も決まっていない話」と述べ、慎重な姿勢を崩さなかった。また、池田議長は「道から詳細な処理計画が示されない限り、検討を進めようにも進まない。市民に対する説明は国や道が責任を持って行うべき。市民や業界団体の意見を尊重していく」と述べた。(今井正一)



◎アスパラ 甘み十分 厚沢部で収穫ピーク

 【厚沢部】ハウス栽培の立茎(りっけい)アスパラガスの収穫が、厚沢部町や江差町など桧山南部でピークを迎えている。大雪と低温の影響で収穫開始は10日間ほどずれこんだが、「その分じっくり成長して甘みもたっぷり。おいしいからたくさん食べて」と農家の表情は明るい。

 今季は桧山南部広域立茎アスパラガス生産組合(林義秀組合長)の88戸、14ヘクタールで栽培。3月下旬から収穫作業が始まり、露地物が出回る前の出荷、天候に左右されない安定生産で、「戦略作物」として地域を支えている。

 ハウス4棟で栽培している厚沢部町鶉の根津貴浩さん(48)は「春のアスパラは夏、秋口から栄養をためてきた土壌から育つので一番おいしい。体験農園で関西から来たアスパラ嫌いな小学生が、このもぎたてを食べて大好物になってくれたことが忘れられない」と紹介。毎朝午前5時ごろから収穫、25センチほどにそろえて一日約30キロ出荷している。

 ハウス内の温度管理や草取りなどが重要で、根津さんは「面白いもので愛情を注げば注ぐほど正直に応えてくれる。アスパラは夢のある作物」と笑う。

 JA新はこだて厚沢部基幹支店によると、出荷先は札幌など道内が中心。道南でも主要スーパーに並び「収穫時期が遅れたが、天候の回復で品質は上々。値段も例年並みに落ち着いてきた」という。

 春の収穫は5月の連休すぎまでで、夏にも収穫が行われる。(田中陽介)



◎「食」テーマに 7月7日「黒船」

 函館黒船地域活性化協議会(小林一輝会長)主催の夏の野外フェス「HAKODATE黒船2012」が7月7日、函館市大町の緑の島で今年も開かれる。音楽とファッションを融合したライブやショーに加え、新たに地元の「食」をテーマにイベントを展開していく。

 同協議会は大々的な催しで地域を活性化しようと毎年フェスを実施。4回目の今年は市や函館商工会議所の資金援助も受け、市制施行90周年事業として開く。17日に小林会長(31)と浅水耕太副会長(32)、尾山朋幸事務局長(31)が市役所で記者会見し、概要を発表した。

 例年フェス会場に飲食ブースを並べており、今年はより魅力ある催しにしようと各市町の協力を得て、道南圏の食材を生かしたオリジナルメニューを提供。15店舗の出店を予定するほか、ガゴメコンブなどを素材に函館独自のフードも手掛け、商品化も目指す。

 また、WAKOビルの子育て施設「大門キッズスタジアム」の協力で、子ども向けのボールプールなどの遊具を会場に初めて設置。チケットも例年より安く設定する。ライブにはアーティスト6〜8組が出演し、モデルも招くファッションショーには函館のセレクトショップ5店舗以上の参加を目指しているという。

 小林会長は「市民参加型のお祭りとして認知度を高めるためにも函館、道南の味覚をどんどん提供していきたい。次世代を担う子どもにも大勢来てもらい、5000人の集客を目指したい」と意気込む。

 チケットは5月上旬にも発売開始。また、当日ステージ出演できる函館市民のモデル、ボーカリスト希望者も募集中。締め切りは今月29日。後日オーディションを行う。応募は同協議会ホームページhttp://www.kurofune-h.comから行う。(長内 健)