2012年4月19日 (木) 掲載

◎厚沢部ワイン 限定「赤」登場 1000本、あすから販売

 【厚沢部】厚沢部町で昨年10月に収穫した最高級のブドウを使った「厚沢部ワイン」が20日から、桧山管内の酒店や道の駅などで販売される。1000本限定の赤ワインで、関係者は「すっきりした味わいで、どの料理にも合う」とPRしている。

 道南を代表する地酒「本格焼酎・喜多里(きたさと)」を製造する、札幌酒精工業の富岡ワイナリー(乙部町)が、赤ワイン用品種のセイベルで仕上げた。このワインは同社の新商品で「白ワインと同じ方法で醸造した『ブラッシュワイン』。フルーティーな香りも楽しめる。鶏肉やクリーム系のソース、パスタには特に合う」と岩崎弘芳工場長。

 ラベルには厚沢部川の清流の写真を組み込み、渋田正己町長は「くせのない味で厚沢部の素晴らしさも感じてもらえるはず」と期待する。

 アルコール度数10%、720ミリリットルで1000円ほど。

 問い合わせは札幌酒精工業厚沢部工場TEL0139・65・2500。(田中陽介)



◎新青森—新函館間 建設費878億円増額

 2015年度開業予定の北海道新幹線新青森—新函館(仮称)間149キロに関し、建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)は18日までに、総事業費が当初計画を878億円上回る、5548億円に上る見通しを明らかにした。新幹線乗り入れに対応する青函トンネルの改修や雪害対策などを盛り込んだもので、開業予定の時期に変更はない。

 同機構によると、増額分の内訳は材料費の物価上昇分が321億円と最多で、青函トンネルの改修で280億円、雪害対策で187億円、東日本大震災を踏まえた脱線対策で47億円—など。一方で「建設工法の見直しやトンネル改修方法の変更などでコストを縮減した」(同機構)といい、実質的な青函トンネル改修費増額分は186億円としている。

 新青森—新函館間の建設費は本年度で1125億円が計上されており、05年度からの累計額は3352億円。今回示された増額分を加えた総事業費比では、60・4%が配分された計算となる。

 同区間は事業費の3分の2を国、残りを道と青森県が負担する。道新幹線推進室によると、増額分878億円のうち、整備新幹線の貸付料を除く道と青森県の負担分は293億円。これを案分すると道が157億円、青森県が136億円となる。

 同室は「貸付料の額が国からまだ示されておらず、実質負担がいくらになるのか分からない。2003年4月価格(4670億円)に比べ、物価上昇や安全対策などを踏まえると増額分は必要な額」との認識を示す。「負担増は間違いないが、今後精査をして、できるだけ小さくできれば」としている。(千葉卓陽、山崎大和)



◎スーパー魚長 経費圧縮効果2期連続黒字

 地場食品スーパーの魚長(函館市西桔梗町、柳沢一弥社長)は18日、2012年2月期決算で経常損益が1億3000万円の黒字となったことを明らかにした。最終黒字は2期連続。他店との競争激化で売上高は減ったが、電気代など営業経費の圧縮効果で増益となった。

 売上高は前期比8%減の137億9000万円と4期連続で減少。一方、経常利益は3期ぶりに黒字化した前期の7700万円から68%増となり、当初の計画よりも倍増した。柳沢社長は「徹底した経費節減が現場にまで浸透し、コストの無駄を省けたことが大きい」と説明する。

 経営健全化に向け、同社は09年11月にコープさっぽろ(札幌)と業務提携し、10年3月には資本提携を結んだ。コープからの人的支援や仕入れ、配送の共同化で業務の効率化を図り、「経費の『見える化』など店舗運営のノウハウを吸収できた」(柳沢社長)ことで、当期は人件費や電気代、宣伝費などの営業経費を3億7000万円圧縮した。

 また、今月27日には小型店「夢のびっくり市場日吉店」(日吉町3)を低価格帯の食品に特化した「生鮮げんき市場」に業態転換し、競合との差別化や業績のてこ入れを図る。「生鮮げんき市場」業態としては昨年10月、今回と同様に衣替えした赤川店(美原2)に次ぎ2店舗目となる。

 新店舗は売り場面積472平方メートルの小規模店で、食品の100円均一店舗として06年6月にオープン。09年5月に現在の小型スーパー「びっくり市場」に変更した。今後は高齢者や若者をターゲットに、同様の小型店5店も9月ごろまでに「生鮮げんき市場」業態に移行させる方針。

 柳沢社長は「コンビニやドラッグストアも競合となる中、最重要部門の魚など生鮮品の拡充が差別化や生き残りの鍵。コープの知恵や情報を借りながら、地場スーパーらしさを出す攻めの年にしたい」と話し、今後は大型店の統廃合も進める考え。13年2月期は売上高134億円、経常利益1億円を見込む。(森健太郎)



◎受け入れ「慎重に対応を」考える会が厚沢部町に請願書提出

 【厚沢部】東日本大震災で発生した災害がれきの広域処理をめぐり、厚沢部の住民有志を中心につくる「桧山の震災がれきの受け入れを考える会」(山北紀彦代表)は18日、厚沢部町に受け入れへの慎重な姿勢を求める請願書を提出した。872人分の署名を渋田正己町長に手渡し、「放射能汚染のないがれきであれば喜んで受け入れて復興に貢献したいが、現時点で安全性の確認ができない震災がれきを受け入れないように」と要望した。

 同会は町内の若者農家ら10人で構成。江差、上ノ国、厚沢部、乙部の桧山南部4町の首長が3月22日に、4町地域が官民連携で、低レベル放射性廃棄物に該当しない不燃物のがれきを最大20万トン受け入れることが可能と表明したのを受けて、学習会や署名活動を展開している。署名の大半は函館市民で、桧山4町については全体の1割ほどだった。

 署名は、今月7〜17日まで、メンバーが知人に呼びかけて集め、代表の山北さん(41)と妻の恵理子さん(38)が役場に持参した。山北さんは「絆という言葉や助け合いと世の中の流れで判断して大丈夫なのかを考える必要がある。厚沢部の野菜を食べている被災地の住民からも、がれきの受け入れをしないでという声があった。江差、上ノ国、乙部の町長にもこの思いを伝えてほしい」と語った。

 渋田町長は「汚染されたがれきを受け入れようとするものではない。農業のまちだからこそ風評被害など、みなさんが心配する以上に私は気を使っている」とし、汚染が少ない岩手県からのがれき受け入れ姿勢を示し、「現地からの情報だと桧山に受け入れることができるものは少ない模様だ」と理解を求めた。

 山北さんと恵理子さんは取材に対し「がれきには放射能以外の有害物質が含まれているかもしれない。厚沢部に限らず、乙部や江差に処理施設があり、地域全体の問題として住民の声を大事にしてもらいたい」と答え、署名活動の継続を強調。同会は5月上旬に2回目の学習会を町内で開く予定で、第二次請願書を5月下旬にまとめる。また、函館など近隣の住民団体とも活動を共有したい考え。(田中陽介)



◎やっと来た!大ぶりチカ 函館港熱気

 函館港・西ふ頭で14、15の両日、大ぶりのチカがヒットした。「今年初めてのチカだ」と釣り人は大喜び。1カ月以上遅れたシーズンがようやく到来し、釣り場は活気に満ちた。

 14日午後1時半ごろ、ある男性(82)は釣り仲間十数人と同ふ頭を訪れた。波も風も穏やかなコンディション。オキアミをまいてサビキ仕掛けの竿を投げると、1時間で40匹ヒット。型は18センチ主体で、時々20センチの大チカも交ざる釣況。ダブル、トリプルの入れ食いもあり、30人ほどが集った釣り場に歓声が上がった。

 この男性は「今朝『チカが釣れたぞ』と電話があったんだ。来てみたらこれだけかかるんですから最高ですよ」と声を弾ませる。それもそのはず、例年ならチカは3月から函館港各地で釣れるが、今年は釣果が一向に聞こえてこなかった。男性は「チカが来ればホッケやサクラマスも岸寄りする。楽しみな季節になってきた」とほほ笑んだ。

 15日も朝からチカがヒット、午前8時半〜同10時ごろまで入れ食い状態に。午後3時には家族連れら20人以上の釣り人でにぎわったほか、いい人で70匹近い釣果もあった。

 連日通う市内の男性は、13日に大量の魚が海を泳いでいる姿を目撃し、チカの回遊を感じたという。15日は午前9時から6時間で約50匹ゲットした。男性は「今までクリガニだけしか釣れなかったからうれしい。どんどん釣るぞ」と今後に期待していた。