2012年4月25日 (水) 掲載

◎姥神祭の山車 巧みに表現…江差の親子2年かけ模型13台

 【江差】江差町の会社員、名達孝さん(59)と次男の雅人さん(32)が、道内最古の祭礼「姥神大神宮渡御祭」で町内を練り歩く山車(やま)の模型を製作した。2年間かけてこの春、全13台が完成。約30分の1の大きさながら、由緒ある人形や豪華な水引きなどを巧みに再現した。25日に町へ寄贈する予定で、2人は「多くの人に眺めてもらい、古里の良さを少しでも感じてもらえれば」と話している。

 土台づくりは孝さん、人形や装飾品などを雅人さんが担当し、高さ30センチ、横27センチ、幅13センチで再現した。

 孝さんは模型作りが趣味。「五重塔」の模型作りに取り組む姿を見た、知人の松崎浩さん(59)が「江差にちなんだものを作らないでどうするの」と冗談で言った。そこで孝さんが製作を決意。「まさか、こんなに立派な山車になるとは」と松崎さんは驚く

 伝統ある山車の模型作りは試行錯誤の連続で、写真や資料集めも徹底した。主な材料は、水産加工品の化粧箱の高級木材で「節や木目に気を使ったので、なかなか材料がそろわず大変だった」という。

 そして最大の難関が、人形の表情だった。雅人さんが、美術の勉学に励んでいた経験を生かし、「何回も作り直した。人形の目と色を表現するのが難しくて、納得いくまで頑張った」と振り返る。

 模型は特製のガラスケースに入れて、25日に江差町へ寄贈する。町内の施設で展示される予定で、大型連休を前に注目を浴びそうだ。

 2人は「模型作りは新しい発見の連続で、各山車の特徴や美しさを体感することもできた。この2年間、仕事の合間を縫って精いっぱい作ってきたので、ここしばらくは手を休めてゆっくりしたい」と笑う。改行 姥神大神宮祭典協賛実行委員会の打越東亜夫会長は「町民の温かな思いが、地元の伝統を守り、未来へつなぐ原動力になっている。全国へ江差の良さを伝えてもらえる機会で、感謝したい」と話している。(田中陽介)



◎カラーマンホールお目見え

 春の観光シーズンを迎え、函館市企業局は24日、市内の観光名所などに設置されている下水道の「カラーマンホール」の取り付け作業を行った。冬場に取り外してお色直し≠オたふたが足元で鮮やかに映え、観光客の目を楽しませている。

 カラーマンホールは、下水道に親しみを持ってもらおうと、旧水道局が1996年度から導入し、西部地区や五稜郭公園などに24枚が設置されている。絵柄はイカや五稜郭、ハリストス正教会の3種類で、大きさも直径60aと40aの2通りある。  降雪で塗装がはがれるのを避け、例年11月にいったん取り外し、冬場に市内の塗装業者が塗り直している。この日はマンホールの維持管理の委託を受ける下水道管理センター(金堀町)の作業員6人が1枚40`ほどある大きなふたを手際良く交換していった。

 同局管路整備室は「函館のイメージアップにつなげ、足元にも注目して歩いて」とPR。修学旅行で訪れた富良野東中3年の田中さなさん(14)は「絵柄に手作り感があっていい。色鮮やかでイカの口がかわいい」と話し、友人とカメラを向けていた。(森健太郎)



◎工藤市長 がれき受け入れ慎重姿勢

 函館市の工藤寿樹市長は24日の定例記者会見で、東日本大震災で発生したがれき問題について「函館は観光、水産のまちであり、受け入れた場合の風評被害が懸念される度合いが高い」と述べ、「被災地に対する思いも大切だが、市長として函館市民の生命、安全を最優先で考えなければならない」として、受け入れに慎重な考えを示した。

 工藤市長は、津軽海峡を挟んだ青森県大間町で建設されている大間原発の問題に触れ「原発や放射能に対する市民の意識は敏感で、ナーバスになっている」と指摘。「そういう中で積極的に手を挙げて受け入れる気持ちにはなれない」と述べた。

 また、日乃出清掃工場(日乃出町)の焼却炉で平常時に発生する灰やすすなどの放射線量についても現在調査中で、5月にも結果が判明する見通しを明らかにし、「一方的に受け入れないということではなく、他都市の状況などあらゆる可能性を検討している」と述べ、受け入れに含みも持たせた。

 また、北斗市の太平洋セメントが受け入れに前向きな姿勢を示していることについては「行政区域が異なり、道から(函館に)個別に要請されていない中で、隣の町が受け入れるのを感情的に反対することはできない」と説明。両市で受け入れに関する事前協議は行わず、推移を見守る考えを示した。

 市環境部によると、仮に受け入れた場合に同工場で焼却できる可燃ごみは年間1万3000dが限界という。工藤市長はがれきを受け入れた場合に焼却灰が地元に残ることに強い懸念を示し、「最終処分場で永久に保管できる構造になっておらず、住宅地にも近いため、(市民に)納得いただくのは難しい」とも述べた。(森健太郎)


◎江差線負担割合受け入れへ…工藤市長 GW明け市議会に報告

 北海道新幹線開業に伴いJR北海道から経営分離される、江差線五稜郭—木古内間(37.8キロ)を第3セクター鉄道で運行する場合の負担割合に関し、函館市の工藤寿樹市長は24日の定例会見で、沿線自治体が負担する2割分のうち、函館市に提案された22%を受け入れる意向を明らかにした。

 道は沿線3市町の負担割合を北斗市56%、函館市と木古内町各22%と算定、今月19日に3市町の首長に対して算定要素などを説明している。

 工藤市長は会見で、ゴールデンウイーク明けに市議会の総務常任委員会に報告するとした上で「これで受け入れる対応になる。(市議会には)市としての意思を含めながら報告していくことになる」と述べた。負担割合に関しては財政規模が小さい木古内町が難色を示しているが、同市長は「調整がつかないとは思っていない。22%以上を出すことはない」との見解を示した。

 また、5月中にも国が認可するとみられる札幌延伸に伴う函館線の経営分離に関しては「道から要請は来ていないが、同意する方向で書類を提出したい」と説明。認可後に道が主体となって立ち上げる沿線自治体との協議会に関しては「函館—新函館間も含まれるので、協議会に参加することになる。分割されるかもしれないが、まずは関係する全体が集まって話し合うことから始まる」と述べた。(千葉卓陽)


◎道南4地点 津波10メートル超…道試算の予測図

 東日本大震災を受け、道内の津波想定の見直しに取り組む「道防災会議地震専門委員会」の作業部会が公表を先送りした北海道太平洋沿岸の津波浸水予測図は、従来の予想を大幅に上回る内容で、渡島管内(10市町37点)は11.3〜1.3メートルの津波の高さが試算されている。予測図はハザードマップを見直す際の基礎資料となるため、市町が早期の正式発表を望んでいる。

 現時点での最大水位予測値は▽函館市尾札部11.3メートル▽森町砂原東3、10.2メートル▽鹿部町大岩、鹿部9.9メートル▽北斗市当別9.7メートル▽八雲町落部7.0メートル—など。500年間隔地震で函館市は最大2.3メートルと想定されており、これより大幅に高くなる。

 渡島総合振興局によると、管内11市町すべてがハザードマップを含む防災計画を策定済み。このうち、東日本大震災後に津波避難計画の策定に着手したのは北斗市のみ。函館市、北斗市、知内町が津波浸水予測図を作っているが、これは震災以前のものとなっている。正式発表を受け「ほとんどの市町がハザードマップを見直す必要が生じる」(地域政策課)という。確定値が示されないと、ハザードマップの見直しが進まないことから、市町からは不満の声も聞かれる。

 同委員会は、さらに精度を高めて詳細な推計を行った上で1〜2カ月後に公表する方針。最大水位については変わる可能性もある。道は公表後、渡島を含む太平洋沿岸の6振興局で自治体や関係機関を対象に説明会を開く予定。(山崎大和)