2012年4月27日 (金) 掲載

◎JA新はこだての広報誌が全道一に

 【北斗】JA北海道中央会(札幌)主催の2011年度全道JA広報コンクールで、JA新はこだて(畠山良一組合長)が「組合員向け広報誌の部」で最優秀賞を受賞した。道南4JAの中で広報誌が全道一に輝いたのは初めて。合併10年の節目の快挙に地域の喜びも大きい。

 同コンクールは1973年度から実施。広報誌の部のほか、コミュニティー誌の部、ホームページの部の3部門がある。広報誌の部には今回、15JAから応募があり、最優秀賞は同JAのみ。企画力や組合員参加、表現技術などを基準とし、24日の審査会で決まった。

 同JAは、組合員とJAとの結び付きを強める重要なツール(手法)として、2002年の広域合併後から広報誌「えすぽわーる」(フランス語で希望)を月に1回(毎月10日)発行。正組合員などに約3500部配っている。最新4月号で116号を数える。

 これまでも同コンクールでは努力賞(08年度)、優秀賞(09年度)、奨励賞(10年度)を受賞。唯一受賞していなかった最優秀賞を目標に、JA挙げて誌面の充実に取り組んだ。

 道南全域をほぼ網羅する広域JAだけに、取材・編集体制は本店総務課2人のほか、基幹支店に7人、本店営農課に1人の広報通信員を置く。通信員からのきめ細かい情報提供を基に、管内の旬の話題を満遍なく掲載することを心掛けている。

 11年度は、新コーナーとして農政や行政、組合員の新しい取り組みを紹介する「クローズアップ農力」、管内唯一の農業高校である大野農業高の良さを伝える「大農に行こう!!」を立ち上げ、企画で読ませる誌面を作った。

 本店総務課の広報担当、田村修吾さん(26)は「念願がかなってうれしい。取材への協力や、情報提供をしてくれた組合員の皆さんに感謝したい」と笑顔。斉藤友通さん(24)は「ネタが見つからなかったり、納得いくまで写真を撮り直したりと苦労も多かった。これからも組合員の笑顔をたくさん載せて、元気を発信したい」と意気込む。(山崎大和)



◎「いさり火まつり」を「湯の川温泉花火大会」に名称変更

 湯の川温泉街の夏を盛り上げる「はこだていさり火まつり」が、今年から「湯の川温泉花火大会」に名称を変更する。人気の花火大会を前面に出し、集客アップを目指す。26日、同大会実行委(河内孝善委員長)が発表した。

 同祭りは約350年の歴史を持つ同温泉に感謝をささげようと、毎年8月中旬に開催しているイベント。古くは納涼まつりとして函館の盆の時期にやっていた。近年は函館の夏のイベントの締めくくりとして親しまれ、今年で47回目を迎える。

 いくつかある催事の中で花火大会が特に集客効果があり、毎年約5万人が来場している。

 河内委員長は「近年、花火を目的にくる人が増え、花火に対する問い合わせが圧倒的に多い。観光客にも分かりやすい名称にし、集客アップにつなげていきたい」と話した。

 内容はこれまでとほぼ同じ内容で、花火大会以外に献湯みこしや灯籠(とうろう)流しも行う。花火は午後7時40分から松倉川下流で開かれ、イカ型花火や中国花火など約3000発を打ち上げる予定。(鈴木 潤)



◎【企画・改革は見えたか…工藤市政1年】行革前進 自分流貫く

 「わたしの掲げた『改革と挑戦』を感じていただくには最初が肝心だと思い、自分なりに全力投球してきたつもり」。24日の定例会見で、工藤寿樹市長は就任からの1年間を振り返った。

 経済再生と財政再建を旗印に、スピード感を重視した市政運営を図った。行財政改革では当初の計画から中身が異なったとは言え、これまで誰も触れなかった職員給与の独自削減という“聖域”に踏み込んだ。さらに外部委員による事業仕分けを導入し、本年度予算では29億円の効果額を生みだした。「(良くできたこととしては)ある程度教育や福祉に予算をつぎ込み、もう一つは退職手当債を約束通りやめたこと。すぐやれることはやってきた」(市長)と自負する。

 そして人口減少、少子高齢化社会の進行など“縮小の時代”を見越し、交通機関乗車料金助成の見直しや敬老祝い金の廃止、学校など市有地における駐車場有料化など、議会や各種団体からの異論に動じることなく大ナタをふるった。ある市幹部は「たとえ相手に嫌がられることでもやるようになった」と、以前からの変化を強調する。

 「代々受け継いだ仕事をそのままこなすよりも、自分の頭で考え、自分流のやり方を心掛ける」。市長のスタンスは北海道新幹線札幌延伸に伴う、函館駅—新函館駅(仮称)間の経営分離問題への対応でも変わらなかった。

 「相手がほとんど100%同意しないものをいつまでも追い求め、何の成果も前進も得られないということでいいのか」(昨年11月24日の定例会見)。同区間が並行在来線に当たらないとしてJR北海道による経営継続を求めた前市長と異なり、工藤市長は道やJRとの条件闘争へとかじを切った。結果、JRの委託運行や新函館開業時の電化を引き出して経営分離に同意したが、反対を貫いた函館商工会議所との摩擦を生む結果となった。

 経済界とは中心市街地活性化基本計画の策定や、3年後に迫る新幹線開業対策など、今後も連携が必要な場面は少なくない。ある経済界関係者は「新幹線は1_たりとも函館市を通らず、固定資産税収入も入らない。せめて民間企業が利益や所得を上げられるように市政を進めてほしい」と注文するとともに「市長なり松本(栄一)会頭から、何らかの歩み寄りが必要」と指摘する。

 工藤市長は2年目を本格的なまちづくりに取り組む年と位置付ける一方、先の会見では「まだまだ話せない部分がある」とも述べ、今後の施策展開に含みを持たせる。就任1年目は事態打開のための強硬な手法も見受けられただけに、市民や職員、各種団体と問題意識を一層共有し、時代の懸案に対応していく手腕が求められる。(千葉卓 

             = ◇ =

 「改革と挑戦」を訴えて初当選した工藤市長が就任し、27日で1年を迎えた。市長となってからの発言や政策の達成度などを振り返り、今後の課題を探る。


◎江差線、木古内で貨物列車脱線

 26日午前6時10分ごろ、JR函館線五稜郭駅構内で、広島貨物ターミナル(広島県)発札幌貨物ターミナル行き貨物列車(20両編成)の車軸付近から火花が出ているのを同駅員が発見した。JR貨物の社員らが消火、車両点検したところ、18両目の車両下にある部品が破損。線路点検を行った結果、木古内町のJR江差線釜谷駅付近で約1.9キロにわたり脱線した痕跡が見つかった。国土交通省運輸安全委員会の鉄道事故調査官2人が、同日午後に現地入りし、事故原因を調べている。

 JR北海道では同日夜から枕木の交換を行い、27日は始発から平常通り運転を再開する予定。

 JR北海道によると、脱線痕が見つかったのは同町亀川のサラキ岬付近のカーブからで、釜谷駅の駅舎までは約1.5キロあり、さらに函館方向に約400メートルにわたり続いた。同駅構内では同6時ごろ、列車の進路が切り替わらなくなるポイント不転換も起きていた。

 貨物列車を点検したJR貨物は、18両目の貨車底にある衝撃などをやわらげる装置の破損を認め、8つ設置されていたブレーキパッド4つがなくなっていることも確認した。男性運転士(28)にけがはなく、「走行にも異常は感じなかった」と話しているという。

 JR貨物などは一度脱線したまま走行を続けていたが、同駅構内で線路上に戻ったとみて調べている。

 同日午後4時ごろ、釜谷駅に到着した村田和三、金澤学事故調査官が約3時間にわたり、同社員や警察など約30人と現場検証を行った。村田調査官は報道陣の取材に対し、「脱線した状態で地上設備などを壊しながら長い距離を走行していた。釜谷駅を出るところから、脱線した車輪がもとに戻って走った痕跡があった」と事故の状況を説明。「脱線の理由やもとに戻ったメカニズムについては、JR北海道などからの資料を持ち帰り、東京で分析し公表する」と話した。車輪がレールの右側に約20a脱線していたことや、脱線によってポイントが損壊したことも確認。また、「車両の先頭と後ろでは距離が長いので、運転士が(脱線に)気づかなかったのでは」とした。27日も午前9時から列車の調査を行うという。

 この影響で五稜郭駅—新中小国駅(青森県)で運転を見合わせていたが、JR津軽海峡線上磯駅—木古内駅間の上下線を除く区間では、安全が確認されたため運転を再開した。特急列車26本を含む約50本が運休、一部の特急列車は木古内駅—函館駅間をバス代行で対応したが、約3500人に影響した。

 上磯高校(山崎雅明校長、生徒211人)は同日、事故を受けて休校を決めた。  釜谷駅近くにの線路沿いに住む70代の女性は「普段、列車が通る時の音とは全く違う、鈍い音を立てながら走っていたので、すごくびっくりした。タンスなども揺れていた」と不安そうに話していた。