2012年4月28日 (土) 掲載

◎トラック、旅客ともに増加 青函航路輸送昨年度の実績

 道運輸局函館運輸支局はこのほど、昨年度の青函航路のフェリー輸送実績をまとめた。東日本大震災で被災した東北地方への救援車両や支援物資の輸送が多かったため、トラック輸送は前年度比3・9%増の28万8236台、一般旅客も同14・9%増の10万8273人と増加した。同航路が北海道と本州を結ぶ物流の結節点として、大きく貢献したことがうかがえる。

 青函航路に就航している津軽海峡フェリーと青函フェリー(共栄運輸、北日本海運)の輸送実績をまとめた。同支局によると、バスは前年度比1・1%増の972台とほぼ横ばい。乗用車は同4・0%減の10万9342台で、燃料高などの影響でマイカーを利用する観光客が減少したとみられる。

 震災直後は太平洋沿岸の八戸港や仙台港が被災し、フェリー航路が運休したことで、道内からの自衛隊などの救援車両や支援物資は、便数の多い青函航路を中心に輸送が行われた。これを裏付けるように、月別のトラック輸送は4月に2万6732台を記録、9月(2万8223台)に次ぐ高さだった。

 同支局は「震災直後は他の航路が利用できなかった面もあり、トラックなどは函館までの陸送距離が長くても利用したケースが相当あったのでは。震災を機に、需要の高さが改めて示された」と話している。(千葉卓陽)



◎フランス海軍 来月、函館入港計画

 フランス海軍の試験・測定艦「デュプイ・ド・ローム」(4500トン)が、5月11〜15日に函館港への寄港を計画していることが27日、分かった。函館市は核兵器搭載の有無を外務省などに照会し、「搭載していない」とする回答を受理しており、近く入港の許可を判断する。

 市港湾空港部によると、寄港目的は「親善」で、計画では釜山(韓国)から11日午前9時に入港、15日午前10時に出港し横須賀港へ向かう。受け入れれば、函館港への同艦入港は2008年5月以来2度目で、外国艦船では今年2月の米海軍第7艦隊の掃海艇「パトリオット」(1312トン)以来となる。

 今月上旬に外務省連絡があった。同部は今月19日付で核の持ち込みについて在日フランス大使館と外務省に照会したところ、「同艦は核兵器を搭載していない」と、核搭載を否定する回答があった。現在、寄港中の市民との交流や催しなどの予定を確認している。

 同艦は全長102メートル。海上での情報収集を主な任務とし、12・7ミリ機関砲を2基有する。今回は乗組員102人が乗船する。警備の都合上、使用岸壁は港町ふ頭(港町2)となる見通し。市の妹尾正白港湾空港部長は「現時点では許可していないが、他の船や漁業への支障の有無など情報収集に努め、入港の可否を決めたい」としている。(千葉卓陽)



◎姥神祭山車の魅力感じて 名達さん親子、江差町に模型寄贈

 【江差】江差町の会社員、名達孝さん(59)と次男の雅人さん(32)が製作した姥神大神宮渡御祭の山車(やま)の模型が25日、江差町に寄贈された。早速、町内の施設で展示し、この大型連休で訪れる観光客らに喜ばれそうだ。

 模型作りが趣味の孝さんと美術分野に精通する雅人さんが力を合わせ、2年がかりで13台の模型づくりに取り組んだ。高さ30センチ、横27センチ、幅13センチと約30分の1に仕上げ、ガラスケースに収めて町へ届けた。

 役場近くの江差山車会館(中歌町193)に展示中で、町の担当者は「展示のほか、各地で山車の魅力を紹介するときに、この模型を持ち運んで魅力を伝えることもできるはず」としている。

 名達さん親子は寄贈後、同会館で常設展示の本物の山車を見学し「本物はすごく豪華で美しい。また二人で研究して、この感動を形として表現できるよう模型づくりを楽しみたい」と声を弾ませていた。

 江差山車会館の入館料は大人500円、中学生以下250円。午前9時〜午後5時。(田中陽介)


◎銭湯巡って入浴券ゲット きょうスタンプラリー 函館浴場協同組合

 函館浴場協同組合(会員22軒、長南武次理事長)は28日から、初の「はこだて銭湯スタンプラリー」をスタートさせる。利用客の掘り起こし企画で、20軒の会員浴場が参加してにスタートする。参加者には、入浴箇所数に応じて入浴券をプレゼントする。

 同組合はこれまで、会員店を網羅した「はこだて銭湯マップ」を発行したり、「子ども無料入浴デー」を設けたりと利用客の開拓に力を入れてきた。今回の企画は数年前から温めており、ほとんどの加盟店が参加して実現した。

 参加店に備え付けのスタンプラリー用紙(マップとラリー台紙)を持参して入浴し、台紙にスタンプを集める。20軒全てのスタンプを集めると共通入浴券11枚とボディタオルを、12軒の入浴で入浴券7枚、5軒では2枚を応募者にもれなくプレゼントする。

 実施期間は12月末まで。スタンプの押印は大人料金(420円)で入浴した人に限る。長南理事長は「大きな浴槽のある銭湯には家風呂とは異なる良さがある。ぜひ参加して銭湯の魅力を知ってほしい」と話している。

 参加浴場など問い合わせは同組合事務局電話0138・22・0937。(斎藤まや)


◎【企画・改革は見えたか…工藤市政1年】中心街活性化 道半ば

 「経済の再生なくして函館の復活はあり得ない」(2012年度市政執行方針演説)。工藤寿樹市長が就任前から最優先課題に掲げてきた経済の立て直し。だが、その基盤となる市の財政難が足かせとなり、選挙戦から訴え続けた「1年、1年まちが進化するのが見えるまちづくり」はなかなか姿を現さない。

 急速な人口減や長引く景気低迷に、東日本大震災が追い打ちをかけた1年目。大間原発の対応や並行在来線経営分離など難問に振り回された場面が多かっただけに、市長は24日の定例記者会見で「今年はじっくり腰を据えたまちづくりの年にしたい」と2年目への意気込みを語った。

 地域経済に課せられた宿題の一つが中心市街地の活性化だ。JR函館駅前・大門地区は北洋漁業などで栄えたかつてのにぎわいを失い、シャッターの閉じた貸し店舗や開発が頓挫した空き地が目立つ。一方、本町・五稜郭地区は函館西武(03年)やグルメシティ五稜郭店(09年)など集客の核となる大型店が次々と撤退し、消費がしぼんでいる。

 市が目指すのはコンパクトなまちづくり。その柱が国の補助金が優先的に割り当てられる「中心市街地活性化基本計画」だ。昨年11月には市や商工会議所が法定協議会を設置し、両地区を対象エリアに大規模な再開発も視野に入れた協議を開始した。

 「これを逃すと二度とできない大門復活の最後のチャンス」。市の第三セクター「はこだてティーエムオー」の佐藤敏夫企画部長(61)は力を込める。1月には職住近接やアーケードの改修など活性化策をまとめた提言書を市長に提出。商業ビルでは空きフロアを活用した起業家向けの支援事業も始まった。

 民間主導は本町・五稜郭地区も同じだ。新都心五稜郭協議会は昨秋に3回ワークショップを開催、活性化策を市長に提言した。まちづくり会社の設立や旧グルメシティ五稜郭店の再開発を盛り込んだ。

 プロジェクトのマネジャー青田基函館アポロ商会社長(49)は「このままでは五稜郭地区も近い将来シャッター街になるという強い危機感がある。大門とは切磋琢磨してそれぞれの味を出せれば」と語り、「そのためにもスピード感が大事」と続けた。

 「経済再生会議」「財政再建推進会議」「美しいまちづくり検討会」…。どれも幅広い有識者らの意見を市政に反映させようと市長の方針で発足したが、庁内からは「各種会議と行革で忙殺された1年。意見を聞くのは役所に自信がないから」(市幹部)との恨み節も聞こえる。

 中心街の衰退は函館の衰退に直結する。工藤市長は「私はまちづくりのために市長になった」と宣言している。行財政改革という「スクラップ」にとどまらず、まちづくりへの「ビルド」をどう推進していくのか—。特効薬がない中で処方箋を描く作業には困難が予想される。(森健太郎)