2012年4月5日 (木) 掲載

◎交流の場 活用して…ボックスギャラリー可夢居

 レンタルボックスやスペースを提供する「ボックスギャラリー可夢居」(函館市松陰町17)が、幅広い世代の注目を集めている。人と人とが出会い、夢を実現できるような店作りで、生きがいに創作活動を楽しむ人を応援している。

 代表の菅野洋子さん(63)は、看護師やボランティア、介護施設での勤務を経験し、2009年8月に同店をオープン。家庭内の交流が希薄になりつつある現状から、たくさんの人が交流する場所を作りたいと考え、人通りの多い同店を選んだ。

 レンタルスペースでは、ソーイング教室や習字教室など、会話を楽しむ人でにぎわい、レンタルボックスには、手作りのバッグや人形、菅野さんが制作した木工作品など多彩な手工芸品が並ぶ。オープン当初は、30個あるレンタルボックス(60センチ×40センチ×30センチ)を有料で貸し出していたが、現在では希望者の相談に応じながら無償で貸し出しているのがほとんどだという。「商売ではなく、交流の場として活用したい」と話す。

 店を訪れた旅行者と手紙の交換を続けるなど、交流の輪が広がっている。来店した市内の女性は「お茶を出してくれたり、楽しく会話ができるので、用事がなくても菅野さんに会いに来ている」と笑顔。

 菅野さんは「作品発表の場は制作の励みになる。グループで集まるなど、若者を中心に頑張る人に活用してもらいたい。何でも面白いことをして函館を元気にできれば」と話している。

 問い合わせ先はTEL070・5051・8089(菅野さん)(柏渕祐二)



◎3陣営準備着々…次期衆院選

 次期衆院選に向け、道8区(渡島・桧山管内)の各候補予定者が急ピッチで準備を進めている。8区は2009年の前回選挙で圧勝した民主党の逢坂誠二氏(52)に、松前町長を務める自民党新人の前田一男氏(45)と、昨年の道議選に出馬した共産党新人、古岡友弥氏(35)が挑む構図となりそう。また、橋下徹大阪市長が率いる大阪維新の会が、候補を擁立するかどうかに注目が集まっている。

 ○逢坂氏 中央で存在感

 逢坂氏は前回、引退した金田誠一氏の後任として比例道ブロックからくら替えし、約17万票を集めて圧勝。現在は民主党の筆頭副幹事長を務め、中央政界で存在感を増す。多忙を極める中でこまめに地元入りし、昨年から小規模の対話集会「オープンミーティング」を函館市内で開始。今年に入り、道南13カ所で新春の集いを開いたほか、3月には北斗、八雲、森、木古内などで対話集会を重ねた。

 3月に開いた党第8総支部の定期大会で逢坂氏は「いつ何があってもおかしくない。国会の情勢を考えるとまさにその時期が近づいている」と述べ、臨戦態勢を強める。事務所関係者は「できる限り丁寧に、党の政策を有権者に伝える場面を作っていく」とした上で「現職としての活動の延長線上で、後援会活動にしっかり取り組んでいく」と話す。

 ○前田氏 体制構築急ぐ

 前田氏は2003年に無所属で衆院選に出馬し落選した後、松前町長に転身。今年2月に自民党8区支部長に就任し、衆院選に再挑戦する。4月10日の任期満了後函館市内に事務所を構えて、本格的に体制構築を開始する。連合後援会と管内全市町の後援会を4月中に立ち上げる予定で、連合後援会長には五稜郭タワー社長、中野豊氏の就任が決定済み。現在は町長退任あいさつを兼ねて管内をくまなく回り、6月中の解散と7月下旬の選挙を想定しながら活動を進める。

 前田氏は「管内を回る中で、民主党政権への不満や不安、怒りを感じる」と手応えを示すとともに、課題となる保守勢力の結集について「佐藤派、阿部派関係なく協力をお願いしている。自民党の道議3人や各市町の議員の協力を得ながら、組織作りを急ぎたい」と話す。

  ○古岡氏 対立軸を示す

 共産党が道8区に候補を擁立するのは、2005年の前々回選挙以来。昨年の道議選(函館市区)に出馬した若手の古岡氏に白羽の矢を立てた。消費税増税やTPP(環太平洋連携協定)、大間原子力発電所建設への反対姿勢を掲げ、民主、自民の2大政党の批判票獲得を目指している。党関係者は「民主党が期待に応えられず、自民党とも変わらない。共産党という対立軸を示したい」と擁立の意図をを説明する。

 古岡氏は東日本大震災後、福島第一原発事故の避難者支援活動などの経験を打ち出しており、「復興支援で知り合った友人らと協力して、広く支援を呼び掛けていく」と、共産支持層を固める従来の手法からの脱却を目指す。また病院事務に携わった経験をもとに、医療・福祉関係者への浸透を図る構えだ。(衆院選取材班)



◎細川茂樹さんが未来大特別招聘教授に

 俳優の細川茂樹さん(40)が本年度、公立はこだて未来大学の特別招聘(しょうへい)教授に就任することが4日、分かった。同大学の情報アーキテクチャ学科に設けられた高度ICTコースの学生を対象に、コミュニケーション論を中心に年数回講義を行う予定。同大は「ユーザーの目線からの提案をいただき、学生たちのプレゼンテーション能力向上につながれば」と話している。

 細川さんは俳優として幅広く活躍する一方、家電製品や情報処理技術の知識が深いことで知られる。昨年、同大の中島秀之学長が編集長を務めている月刊誌「情報処理」に巻頭コラムを寄せたことがきっかけで中島学長と親交を持ち、昨年8月には同大のオープンキャンパスを訪れて学生たちと触れ合った。スマートフォン(高機能携帯電話)のアプリケーション開発に興味を持っていることも手伝い、同大からの申し出を快諾した。

 同大は本年度、3年時に選択できる高度ICTコースを新設。学部と大学院の計4年間で、ソフトウェアシステムのデザイン能力を持った人材育成を目指す。大学ではこれまでも特任教授や客員教授を招いているが、専門外の人材を招くのは初めてで、学生向けの特別講義のほか、一般市民を対象とした講演会の開催を検討している。

 同コース長の大場みち子教授は「社会システムをデザインするリーダーとなる学生を養成したい。細川さんの講義を通じて、コミュニケーション技術を高めてほしい」と期待する。

 細川さんは自らのブログを通じ「これからはなるべくたくさん北の地、北海道へ往復し、これから未来を担う方々と一緒に時間を共有したい」と意気込むとともに「講義を通して自己表現、人間関係、社会生活、国際社会に負けないメンタルのコツを伝えられたら」としている。(千葉卓陽)


◎石崎診療所きょうから再会…津田医師が赴任

 【上ノ国】医師不在で3月18日から休診となっていた上ノ国町石崎診療所(石崎243)が、5日から診療を再開する。新しく赴任した医師で医学博士の津田脩さん(69)は「住民の希望に応えられるかかりつけ医でありたい」と話している。

 津田さんは網走管内湧別町育ち、東大医学部出身で、診療所では総合内科を受け持つ。介護分野や訪問医療にも積極的に取り組むとし、「北海道で育ったという恩返しの意味を込めて治療に当たるだけではなく、見過ごしたり見逃すことの多い病気の発見にも力を注ぎたい。医学の道を志した思いを忘れず、各個人の育ちや生活環境なども把握しながら、その人に最適な医療を心がけたい」としている。

 4日は診療所スタッフと打ち合わせし、「施設、人材ともに恵まれており、奥深い医療を提供できるはず。最新の技術や施設が必要な場合もあるが、まずは住民一人一人の気持ちに寄り添った形で病気の治療や健康づくりの力となりたい」と意気込んでいる。

 町は3月に後任医師の確保に動き、早い段階で診療再開にこぎつけた。工藤昇町長は「温かな人柄の津田先生が赴任してくれたことはありがたい。地域医療の一層の充実に期待している」と話している。

 同診療所は、看護師である津田さんの妻も含め、計7人がスタッフとして診療運営に携わる。(田中陽介)