2012年4月7日 (土) 掲載

◎障害者の就労選択に広がり 「よつ葉のレシピ」がNPO「ひまわり」傘下に

 函館市本通1のパン屋「よつ葉のレシピ」がこのほど、市内などに障害者就労支事業所を運営するNPO法人「ひまわり」(吉川英敏理事長)傘下の店となり、8日から障害者自立支援法に基づく就労継続支援B型事業所として始動する。

 同B型は、一般就労が難しい障害者に対して、雇用契約を結ばないで就労機会を提供する福祉サービス。

 障害者の就労支援を視野に入れて開業した同パン屋と、新規施設の開設を模索していた同法人が今年1月にB型事業所の開設に合意し、準備を進めていた。

 同法人は市内や乙部町、後志管内黒松内町に、パソコンの軽作業や飲食店業務を行う就労継続支援事業所を運営していて、今回のパン屋で6カ所目の開設となった。

 利用者定員を20人とし、指導員2人を配置する。仕事の内容はパンの製造補助や配達補助、店舗清掃など。利用者の勤務時間は、午前7時から午後5時の間で4〜5時間程度としている。

 同パン屋は2008年10月にオープン。道産小麦を使った手づくりパン40種類以上を販売する。

 同法人の坂井太郎事務局長(28)は「提供する職種が増え、利用者の選択肢も広がる」とし、店主で、施設長を務める柳田禎也さん(49)は「利用者一人ひとりの可能性を見極めながらしっかりサポートしていきたい」と話している。 (鈴木 潤)



◎食と観光振興重点に 渡島総合振興局・中西局長着任

 渡島総合振興局の中西猛雄局長(56)が6日、渡島合同庁舎で着任会見を行った。2015年度の北海道新幹線開業に関し「道南にとって千載一遇のチャンス。函館だけでなく、道南全体としてのブランドをしっかり発信していく必要がある。全職員が一丸となり、開業に向けて食と観光の取り組みを重点的に進めていきたい」と抱負を語った。。

 東日本大震災で発生したがれきを、道南でも受け入れる動きがあることについて「地域レベルでの理解、安全性の確認が課題になる。道のスタンスは、市町村と一緒になって住民説明を含め汗をかくつもりでやっていく。渡島でも北斗市や太平洋セメントと情報共有し、取り組みが進むよう側面から支援したい」と述べた。。

 新幹線の札幌延伸に伴う並行在来線の経営分離問題では「昨年末、政府の新幹線延伸に向けた財源問題が急速な進度で固まった中で、市町村の中で十分に議論できる時間がなかったという点については、申し訳なかったと知事も申し上げている。ただ、間もなく札幌延伸が現実のものになるので、沿線の地域振興や足の確保という面でしっかり対策が取れるよう、市町村長や関係団体とよく日ごろから話し合いをしていきたい。いろいろな方の意見を聞き、相談する姿勢が大事だと思う」とした。。

 並行在来線の江差線五稜郭—木古内(37.8キロ)間の費用負担問題で、沿線3市町の負担割合が決まっていないことに関し「道がたたき台を示し、これも参考に3市町で協議をしている。それをまずは見極めたい」と述べるにとどめた。。

 中西氏は環境生活部次長から着任。渡島勤務は初めて。1990年4月から3年間、桧山支庁(現桧山振興局)に勤務した経験がある。(山崎大和)



◎ミシュランガイド20日に道内版発売

 飲食店や宿泊施設を星の数で格付けした「ミシュランガイド」の北海道版が20日、全道の書店で一斉に販売される。その名も「ミシュランガイド北海道2012特別版」(2310円)。日本では東京、関西に続く第3弾で、函館を中心とした道南の掲載にも期待が高まっている。

 ミシュランガイドはフランスで1900年に発行され、これまでに世界の90カ国以上で親しまれてきた。北海道版は日本ミシュランタイヤ(東京)が刊行。プレセレクション(事前選出)の段階で全道から約800店を選び、2010年秋から同社の社員でプロフェッショナルな知識を持つ調査員が、匿名で訪れサービスを体験し、評価した。

 今回の北海道版は、飲食店などを格付けした通称「レッドガイド」。地元や日本の観光客向けで、函館山からの眺望が三つ星を獲得した外国人観光客向けの「グリーンガイド」とは大きく特徴が異なる。内容もレストランやホテルのほか、居酒屋や名物のラーメン、ジンギスカン、スープカレー店なども掲載の対象となり、身近なお店が“ミシュランの視点”から楽しむことができそうだ。

 同社のベルナール・デルマス社長は「広大な大地をドライブしながらおいしい“食”を見つける旅に出かけて素敵な時間を過ごしていただければうれしい」と話している。 (小杉貴洋)


◎春の全国交通安全運動スタート

 春の全国交通安全運動が6日、全国一斉にスタートした。15日までの期間中、「子どもと高齢者の交通事故防止」を柱に、スピードの出し過ぎ防止、飲酒運転の根絶—などを訴える。初日は市町村や警察、関係団体が連携を図り、街頭啓発を展開。JR北海道も踏切事故をなくそうと、ドライバーに安全確認を呼び掛けた。

 ○…函館市は函館中央署や函館測量設計業協会などの関係機関8団体の協力を得て、根崎公園ラグビー場(湯川町3)近くの交差点で「旗の波」を実施した。

 流れる車列に向けて、参加者約100人が「全席シートベルト着用」「スピードダウン」などと書かれた安全旗をはためかせた。「注意一秒、ケガ一生」と記されたひと際目立つ黄色の横断幕も掲げ、視覚で交通安全をアピール。信号待ちのドライバーには啓発グッズを配布し、安全運転を呼び掛けた。

 ○…江差町では役場前の国道228号で、主婦や町職員ら約100人が参加し街頭啓発を実施。ドライバ—に啓発品を手渡し、安全運転を訴えた。

 江差町では6日現在、交通事故死ゼロが2969日間続いている。5月6日には3000日達成の予定で、啓発活動を前に長谷川篤副町長は「今日は入学式、来週からは授業が始まる。かわいい子どもたちを交通事故に巻き込んではいけない」。佐藤伸二江差署長も「住民の皆さんの協力で交通事故を一つでも無くし、交通事故死ゼロの記録を一日でも長く伸ばしていきたい」と呼びかけた。

 江差町母と子の会メンバーは手づくりの啓発品を配り、北浦美穂子会長は「交通安全はドライバーや歩行者、住民一人一人の心がけが大事。会の活動を通じて、地域の安全づくりのお手伝いができれば」と話していた。 (田中陽介、小杉貴洋)


◎函館市見守り事業「高齢者のみ世帯」も対象に

 函館市は、市内の単身高齢者世帯を対象に実施している「高齢者見守りネットワーク事業」で、本年度から夫婦など「高齢者のみ世帯」も調査対象に加える。孤立防止に向け、高齢者全体の見守り状況を把握するため。対象世帯を抽出後、7月以降から調査を始める。

 単身高齢者世帯を除いた世帯員全員が65歳以上の「高齢者のみ世帯」は、1月末現在で1万4736世帯。調査はその中から、生活保護や介護サービスなどの福祉制度を利用しておらず、実態がつかめない世帯を抽出して行う。

 本年度は併せて、これまでの単身高齢者の実態調査で、状況がつかめなかった681人も引き続き調査。転入や、新たに65歳以上になった高齢者なども含めて調べる。  市高齢福祉課は「単身世帯の調査は6月をめどに終了させたい。単身世帯以外にも高齢者だけだと地域で孤立している可能性があるので、早期に実態を把握して見守り体制の構築を進めていきたい」としている。

 市のこれまでの単身高齢者世帯調査で、実態把握が必要な人は3601人いた。このうち2176人の生活状況を確認し、1965人は外出や交流の機会があり、社会から孤立していなかった。残りの211人が孤立の恐れがあったが、要介護認定の申請をしたり、民生委員による協力でいずれも見守りにつながった。

 一方、生活状況が確認できていない1425人のうち、744人は玄関先であいさつをして終わったり、断られるなどして調査できなかった。連絡などがなかった残りの681人は本年度再び調査する予定だ。 (後藤 真)