2012年4月9日 (月) 掲載

◎松前町長選、石山氏が初当選 前副町長の松尾氏破る 

 ◇松前町長選開票結果◇

当3743 石山英雄 56 無新

 2322 松尾祐三 68 無新

=選管確定=

 【松前】任期満了に伴う松前町長選は8日、投票が行われ、即日開票の結果、新人で前町議会事務局長の石山英雄氏(56)=無所属=が、新人で前副町長の松尾祐三氏(68)=同=を破り初当選を果たした。投票率は78・92%で、直近の町議選(2011年6月)の80・32%より1・4ポイント下回った。

 2期8年務めた前田一男町長が次期衆院選への出馬を表明、任期いっぱいで退任することから、新人2氏による一騎討ちとなった。選挙戦は1997年以来15年ぶりで、2氏とも人口減少が進む同町の活性化策として、町の基幹産業である漁業の振興を訴えた。

 当選した石山氏は、漁業生産基盤の整備や水産加工業への支援体制強化を掲げた。出馬表明が遅れたが、組織的な選挙を展開し、漁業者らの強い支持を受けた。また、子育て支援や福祉の充実を訴え、地域や年代を超えて幅広く浸透した。

 午後8時55分ごろ、支持者が集まる町福山の旅館に「当選」の一報が入ると、大きなな拍手と歓声に包まれた。同9時に目を真っ赤にして石山氏が会場入り。支持者と抱き合い喜びを分かち合った。「今の気持ちを忘れず、町民の先頭に立ち松前町のかじ取りをしていく」と決意を語った。

 一方、助役、副町長を3期12年務めた松尾氏は、豊富な行政経験を強調。「町民と対話する行政運営」を訴え、同級生を中心に草の根選挙を展開したが及ばなかった。同9時ごろ、町唐津の後援会事務所で支持者を前に敗戦の弁。「私の不徳の致すところ」と肩を落とした。

 石山氏は55年、同町生まれ。74年に役場入り。水産係長などを経て、2005年から議会事務局長。3月1日に退職した。

 当日有権者数は7753人(男3661人、女4092人)。 (松宮一郎、今井正一)



◎中尾さんの歴史本「箱館はじめて物語」点訳化

 函館在往の歴史研究家・中尾仁彦(とよひこ)さん(69)の著書「箱館はじめて物語」(初版)が、函館の点訳奉仕団「きつつき」(松尾悦子代表)会員で、市内在往の後藤千鶴子さん(65)の手で点訳された。NPO法人函館視覚障害者図書館(若松町33、市総合福祉センター内)に収められており、中尾さんは「皆さんの労力に感謝する。ぜひ多くの人に接してもらえれば」と話している。

 「箱館はじめて物語」は中尾さんが2010年12月に自費出版。函館の人物や街の歴史について気軽に学べる内容で、約1年で1000部を完売した。きつつきは主婦など26人で構成され、年に1回、点訳養成講座を開くなどの活動をしている。

 中尾さんは月1〜2回、歩きながら郷土史を再発見する「箱館歴史散歩の会」を主宰しており、同会に参加している、きつつき元会員の金子由紀子さん(72)が昨年3月、同本の点訳を中尾さんに持ちかけた。中尾さんは「(点訳は)どのような形になるのか想像できなかったがお願いした」と話す。

 金子さんから同会を通じ、後藤さんが作業を担当。後藤さんは10年ほど前から点訳に取り組んでおり、今回は88nの本を専用のパソコンソフトを使い1日2〜3時間、約11カ月かけて完成させた。「人物名を思い込みで読んでいたりしたので、パソコンの入力作業の前に史実を確認することが大変だった。でも、函館の歴史を知ることができて良かった」と後藤さん。同会会員が4回にわたる校正を行い、1冊140nで計3冊の本とした。

 同図書館のほか、インターネットで点字、音声データを提供する視覚障害者情報総合ネットワーク「サピエ」(全国視覚障害者情報提供施設協会運営)でも配信されており、全国の人が本に触れることができる。中尾さんは「私の本を通じ、各地の人が函館に興味を持ってもらえればうれしい。また、ボランティアの活動力が注目されることにもつながると思う」と話している。(山崎純一)



◎函館の女性 喫煙率高く 全国平均上回る 保健所がアンケート

 市立函館保健所はこのほど、2011年の「市民の健康意識・生活習慣アンケート調査」結果をまとめた。それによると、女性の喫煙率が13%と、依然として全国平均より高く、家庭などで受動喫煙の影響を受ける非喫煙者も10%に上る実態が分かった。家庭や社会環境が今なお喫煙を容認する実態が背景にあるようだ。

 同アンケートは市の健康推進事業「健康はこだて21」の資料にする目的で、2001年から5年おきにさまざまな項目を設けて実施。今回は喫煙を含む全12項目で昨秋実施、約4400人中1800人から回答があった。

 結果によると、11年の函館市民の喫煙率は男性32・1%、女性13%。前回調査からそれぞれ4・9ポイント、4・5ポイント減少した。市健康増進課は「施設の全面禁煙化や完全分煙の徹底を契機にやめる人は確実に増えている」と話す。

 しかし、10年の全国平均に比べ函館の女性は4・6ポイント上回る結果に。年代別でも20〜40代の母親世代は23%前後で、全国に比べ10ポイント高い。同課は「かつての教育機関で喫煙防止対策が行き届かなかった面があるかもしれない。親や友人ら周囲の人に加え、社会全体で喫煙を容認する環境も根付いていたのでは」とみる。

 また、今回初めて非喫煙者の受動喫煙状況を調査。「ほぼ毎日」たばこを吸う人は学校や公共施設が0・1%だったのに対し、家庭や職場では約10%に膨らんだ。「見知った間柄の人への配慮もなお必要」(同課)との実態をうかがわせる。

 同課は2003年から、効果的な受動喫煙対策を行っている飲食店や公共施設を「おいしい空気の施設」に認定しているほか、市内の教育機関で禁煙防止教育講座を実施。同施設には今年1月末現在で381施設が登録するなど、禁煙への機運は高まっている。

 同課は「アンケートでは多くの男女が禁煙したいと回答した。そうした人には禁煙外来を積極的に紹介していきたい」としている。(長内 健)



◎南茅部公民館 来年度改修へ 耐震強化やバリアフリーも

 函館市は、来年度から南茅部公民館(川汲町1520)の改修工事に着手する。施設の老朽化に加え、昨年度実施した耐震診断で耐震強度の不足が分かったため。本年度は工事に向けた実施設計を行い、耐震性能を満たしながら、省エネ化やバリアフリー設備を備えた利便性の高い空間にしていく。

 同館は1972年に建設。これまで地域住民の文化・スポーツ活動のほか、各種講演会、研修会の場として使用され、2010年度には延べ6178人が同館を利用。津波避難所と災害時の一時避難所にも指定されている。

 昨秋から進めてきた耐震診断の結果によると、震度6強の地震に対する耐震性を表す指標(Is値)は0・251。「倒壊または崩壊の危険性が高い」とされる0・3未満を示した。

 改修では耐震壁の増設に加え、講堂の壁の一部を解体し軽量化することで耐震性能を向上させる。また、補強に伴って施設機能も改善。高齢者らが多く利用していることから階段となっている玄関をスロープにし、エレベーターの設置も検討するなど、バリアフリー化を促進させる。

 このほか、断熱材を新たに付けることで省エネ化を図るほか、トイレの改修も予定している。本年度は実施設計費として1340万円を計上した。

 市教委施設課の大島由紀課長は「工事中は施設の閉館を予定している。改修は多岐に渡るが、公民館は地域の活動拠点として欠かせないため、単年度で行いたい」と話している。(後藤 真)


◎青森のタウン誌が函館を特集

 青森市のタウン誌「あおもり草子」は、1日に発行した第208号で、函館を紹介する特集ページを初めて掲載した。津軽海峡をはさんだ隣町同士の函館と青森を対比させた構成となっていて、函館市民も編集に協力した。

 同タウン誌は1979年に創刊。青森市内の企画会社「ぷりずむ」が、青森県内をエリアに年6回、偶数月に発行し、市民の視点に立った切り口で、青森の風土や文化、歴史、街の話題などを紹介している。

 2015年度予定の北海道新幹線開業を見据えながら、今以上の青函交流の期待を込めて函館にスポットを当てた。タウン誌では、連絡船や縄文遺跡を特集した際に函館を紹介したことはあったが、函館そのものの特集は初の試み。県外の市町村を扱ったのも初めてという。

 208号では「函館・青森海峡行ったり、来たり」と題して、両市のベイアリアや周辺の観光スポットを25nにわたり特集。

 函館の紹介部分は「ギャラリー村岡」(元町)を営む村岡武司さんが巻頭エッセーを執筆したほか、市内のフリーランス・プランナー、田村昌弘さんが案内役と写真撮影を担当。タウン誌編集部の記者が西部地区や湯の川温泉地区などの飲食店を巡り、探訪記として記した。

 田村さんは「記者が取材相手の懐に踏み込めるような道しるべ役を心掛けた」と振り返る。

 今回は特別に函館市内の主な書店でも販売。同編集部は「両市の違い、魅力が読み取れる内容。両市民がお互いに関心を深めるきっかけになれば」としている。

 A4判、48ページ。定価600円。問い合わせは同編集部TEL017-773-3477。(鈴木 潤)