2012年5月1日 (火) 掲載

◎函館22.4度、4月の観測史上最高気温

 30日の道内は高気圧に広く覆われ、道南は4月下旬から7月下旬並みの陽気となった。気温は22.4度となった函館をはじめ、松前(23.3度)せたな(23.5度)奥尻(21.5度)など、道南6カ所で4月の観測史上最高を更新記録。16ある観測地点のうち11地点で、今年最高を記録した。

 初夏を思わせる陽気に誘われ、各地の行楽地は家族連れなどでにぎわった。サクラの名所で知られる函館公園では、まだつぼみの状態ながら、早くも園内には屋台が立ち並び、休日を家族で満喫する市民が大勢訪れた。

 噴水で遊ぶ子どもも多く、友人同士で訪れた函館市湯川の中根涼子さん(36)と同市桔梗の佐藤美奈子さん(36)は「今日はとても暖かいので子どもを連れてきました。水遊びができるのでいいですね」と話していた。(斎藤まや)



◎渡島総合振興局、新幹線開業対策を加速

 渡島総合振興局は本年度、4年を切った北海道新幹線の開業対策を加速させる。開業効果の最大化に向け道南全体の「アクションプラン(仮称)」策定と、新函館(仮称)から離れた自治体の自発的な行動を促す普及啓発活動を柱とする。開業を道南全体の振興に結び付けていくための原動力≠ニなりそうだ。

 プランは2013〜15年度の3カ年計画で、この間の事業展開のベースとなる。既存の「北海道新幹線の開業を活(い)かした地域づくり懇談会」(05年設置)を活用し、5、6月ごろから策定作業に入る。同振興局長を座長とし、構成員は道南18市町を含む33団体。懇談会の下に課長クラスでつくるワーキンググループや、実務者レベルの部会を設け作業を進める。

 開業に向け、新駅からの二次交通手段や広域観光の推進、産業振興にどうつなげるかといった課題の洗い出し、整理を行う。道南統一スローガンの設定、開業イベントの開催内容なども盛り込む。

 一方、普及啓発活動は委託事業として行う。新函館の早期開業と札幌延伸に向けた住民レベルの機運を高める狙いがある。道南の市町や民間のイベント会場に出向き、新幹線に関するパネル展を開催したり、タオルを配ったりしてPR。ほかに、渡島・桧山管内で住民や事業者向けのフォーラムを2カ所で開くほか、住民向け建設工事見学会も3回予定している。

 また、本年度は初めて開業に関するアンケート調査を実施。市町のイベント来場者や商工会、観光協会などを対象に認知度、取り組み状況を聞き取り、結果を報告書にまとめる。

 先行県では、開業効果がくっきりと出ている。10年12月の東北新幹線八戸—新青森間の開業により、青森県内の主要観光施設(33施設)での10年12月の入り込み客数が前年同月比11・9%増。新幹線駅から離れた五所川原市や三沢市の観光地で入り込みの伸びが目立つ。

 11年3月の九州新幹線博多—鹿児島間の開業では、終点の鹿児島中央駅からJRで約1時間を要する指宿市での宿泊客数が増えた。道南だと新駅から八雲、長万部方面への所要時間と同じだ。

 九州新幹線を利用すると、鹿児島中央—新大阪間(最短3時間45分)、鹿児島中央—広島間(同2時間34分)の所要時間が従来より大幅に早くなり、鹿児島県内に泊まる客数が関西から1・7倍、中国から2・4倍に増えたとするデータも。これを道新幹線開業に当てはめた場合、3時間45分で移動できる北関東、2時間半の東北から宿泊客がどっと押し寄せることが期待され、開業対策は待ったなしの課題だ。

 同振興局は「開業対策の情報を道南全体で共有し、連携して取り組むことが必要。何も手掛けていない自治体に行動を促すきっかけとなれば」(新幹線推進室)としている。(山崎大和)



◎「SL函館大沼号」乗客数10万人達成

 2001年の運行開始から4月で丸10年を迎えたJR北海道の「SL函館大沼号」の乗客数が30日、10万人を達成した。JR函館駅(若松町)でセレモニーが行われ、蒸気機関車がけん引する趣ある客車から“道南の春”を楽しもうと、乗り込んだ乗客約200人には記念品が贈られた。初夏のような陽気も手伝って華やかな雰囲気の中、函館大沼号は勢いよく煙を上げて出発した。

 同列車は春と夏の限定運行で、函館—森間を1日1往復している。車窓からは大沼などが望め、人気を集めている。29日には乗客数が9万9697人を記録。30日は上下合わせて347人(予約数)が乗車したことから、10万人を突破した。

 乗客を代表して札幌市の神保祐一さん(32)、彩子さん(29)夫妻とおいの北斗市、畠山譲君(2)に鳴海正函館駅長から記念のクリアファイルが手渡された。神保さんは「帰省の際に何度か乗車している」と話し、10万人達成の代表に選ばれたことについては驚いていた様子だった。

 そのほかの乗客も、記念撮影をするなど大型連休の1日を堪能していた。運行は5月6日まで。(小杉貴洋)


◎恵山郷土博物館開館

 旧恵山町の歴史的資料を展示する函館市恵山郷土博物館(柏野町117)が4月25日に本年度の開館日を迎えた。昨年度までは8月末まで開館していたが、今年から経費削減のため6月末までに短縮した。大型連休中は家族連れなどの来場が目立ち、同地区の歴史を物語る貴重な展示物に見入っている。

 同館は観光名所のつつじ公園に隣接し、恵山地区にある縄文期の恵山貝塚や日ノ浜遺跡で出土された土器・石器をはじめ、アイヌ民族など先住民族が使用していた生活品を紹介。ヒグマやエゾシカといった地元に生息する動物のはく製なども展示している。通常、開館は5月1日からだが、今年はゴールデンウイークに合わせて早めに開館した。

 恵山教育事務所によると、昨年度の入館者数は4595人。そのほとんどがツツジの咲く5、6月に集中し、7、8月は月約100人と少なくなるため、管理費削減のために開館期間を短くした。併せて電話も廃止。館内には臨時職員を1人配置している。展示物は昨年同様という。

 同所は「10年ほど前は10月いっぱいまで空けていたが、厳しい財政状況の中で期間を短縮せざるを得なかった。こぢんまりとした建物だが、登山で来る方などは施設に立ち寄って、恵山の古き良き歴史を感じてくれたら」と呼び掛けている。

 開館時間は午前9時〜午後5時。毎週月曜日休館。入館は無料。(後藤 真)


◎「スターボウル」閉館、40年の歴史に幕

 函館市昭和4の老舗ボウリング場「スターボウル」(中村慎一郎支配人)が30日、営業最終日を迎え、40年間にわたる歴史に幕を閉じた。午後10時に閉店するまで愛好者らが大勢訪れ、今では珍しくなった木製レーンに別れを惜しんだ。

 スターボウルはボウリングブームを受けて1972年2月にオープン。ピーク時には年間約20万人の利用者を記録するなど、函館のボウリング人気をけん引したほか、数多くの大会を開催し、これまでに2人の選手を国体に輩出してきた。現在は北海道乳業(同市昭和3、田島久吉社長)が子会社に運営委託し、営業を続けてきたが、施設や設備の老朽化に伴って閉館が決まった。

 最終日には学生から高齢者までの幅広い年代が足を運び、40あるレーンはいつも以上に多くの客で埋まった。同ボウリング場で開かれていた子ども向けの教室のために、江差町から毎週同行していた宮津睦美さんは「ここで知り合った人たちも多く、楽しい思い出しか残っていない。とても寂しくなる」と話していた。

 同ボウリング場は、隣接する旧ホテルオークランド(2009年1月閉館)と年内にも解体される予定。