2012年5月11日 (金) 掲載

◎大沼「ラムサール」登録へ

 【七飯】環境省は10日、中央環境審議会野生生物部会でラムサール条約の新規登録候補地として、七飯町の大沼など、国内9カ所を報告した。道内では釧路湿原など12カ所の登録湿地があるが、道南では初めて。6月の官報告示で国内候補地として正式に指定し、7月にルーマニアのブカレストで開かれる第11回締約国会議(COP11)で登録される。

 対象地域は、大沼、小沼、蓴菜(じゅんさい)沼を含む1236ヘクタール。大沼などの三つの沼に代表される湖沼群は1640年に駒ケ岳が噴火した際に、川がせき止められてできたせき止め湖で、大小126の島が点在。古くから景勝地として知られ、1958年には道内初の国定公園に指定された。道内で見ることのできる野鳥の半数の生息が確認できるとされ、豊かな自然環境に恵まれている。

 大沼は、同条約登録に必要な国際基準のうち、「代表的な、希少な、または固有の湿地タイプを含む地域」に該当。2010年9月に国内潜在候補地のひとつに選ばれ、自然公園法で環境の保全が図られていること、地元自治体の賛同など、登録に向けた条件を整えていた。

 条約の登録後は、地域の暮らしが制限を受けることはなく、漁業や観光業など既存産業の振興、持続可能な環境利用と保全の両立を図る「ワイズユース」(賢明な利用)の視点に立った取り組みが必要となる。七飯町や七飯大沼国際観光コンベンション協会(渡辺邦浩会長)などは、地元農、漁業者、環境保全団体などが参画する協議会を近く立ち上げ、同条約登録後の大沼の環境保全活動や地域振興などを検討する方針。

 同協会副会長で環境とまちづくり委員会担当理事の財津茂実さん(59)は「条約の登録で、自然の豊かさが売りになる。我々も勉強をしながら、大沼の価値が高まるような取り組みをしていく」と話していた。

 同省によると、国内の新規登録候補地は大沼をはじめ、渡良瀬遊水池(茨城県など4県)、立山弥陀ケ原・大日平(富山県)など、6941ヘクタール。(今井正一)

 ラムサール条約 正式名称は「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」。1975年発効し、今年5月現在で締結国は160、登録湿地は2006カ所(1億9300万ヘクタール)。日本は80年10月に締結国となり、37カ所(13万1027ヘクタール)を登録。うち道内は12カ所(3万5396ヘクタール)。



◎道南の育児保育情報発信 フリーペーパー「きっずキュート」創刊

 南の育児保育情報などを発信するフリーペーパー「きっずキュート dounan」が5月5日の「子どもの日」に創刊した。今後は2カ月に1回発行していく予定。アニメなどのキャラクターに似せた弁当「キャラ弁」特集や道南のイベント情報などをカラー掲載しており、家族で楽しむ情報誌として話題を呼びそうだ。

 編集・発行しているのは広告・印刷物などを制作している「ノースクリエーション」(函館市、浦袖源代表)。「親子で楽しみながら勉強できるフリーペーパー」をコンセプトに、読者参加型の情報誌を制作した。創刊号はカラー8ページで2万部を発行。道南の幼稚園や保育園、飲食店などに配布した。

 表紙のモデルは函館市内で開かれた撮影会に参加した子どもの中から選ばれ、ゼロ歳児から小学校低学年の子どもに表紙モデルのチャンスがあるのが魅力の一つ。内容は、病時保育に関する情報や道南の幼稚園や保育園の取り組みを紹介する特集、札幌市発のキャラクター「コアックマ」が市内で開かれたイベントなどを紹介するコーナーなどがある。

 浦袖代表は「読者の声を反映しながらさまざまな内容を企画し、地域に役立つようなフリーペーパーを目指していきたい」と話ている。

 次号の表紙モデルの撮影会は6月3、17日午後2時からシダックス昭和タウンプラザクラブで開かれる。参加費1000円。(平尾美陽子)



◎売上高減収も100億円確保

 函館丸井今井(函館市本町、岡崎福美社長)は10日、2012年3月期決算を公表した。売上高は前期比2・3%減の100億1500万円と、減収ではあるものの目安として掲げた売上高100億円台はキープ。岡崎社長は「接客の質の向上やカード会員の増加が効果を挙げた」と喜ぶ。

 親会社の三越伊勢丹ホールディングス(東京)が同日決算発表を行い、この中で連結子会社として概要を示した。

 経常利益は同1・7%減の3億5500万円と、減収減益。ただ最終利益は同14・5%増の2億2900万円で黒字。

 売上高は若干落ちているものの、前年度並みと受け止める。岡崎社長は「函館を中心とする商圏は人口が速いスピードで減っており、その中でどう維持するかは大きな課題」とし、顧客満足度向上を目指して取り組んだ接客力の向上が効果を挙げたとする。さらにクレジット機能付きの優待カード「エムアイカード」の会員数が3月末で約1万7600人となり、顧客囲い込みにもつながった。これら2つは今後も強化する。

 また営業利益は同2・0%減の3億4800万円で、売上高営業利益率は3・47%を確保。グループ内の札幌丸井三越の0・91%と比較するとかなりの高水準だ。

 13年3月期の予測は、売上高は前期比1・6%減の98億5000万円、経常利益は同17・7%減の2億9200万円、純利益は同22・3%減の1億7800万円。主な減収見込みの原因は人口減だ。(斎藤まや)


◎北斗市 国保1億円黒字へ

 【北斗】市議会文教厚生常任委員会(坂本勉委員長)が10日、開かれた。市は国民健康保健事業特別会計の2011年度の決算見込み(4月末現在)を示した。昨年度から実施した税率改正が奏功し、税収増につながり、単年度では8229万円の黒字。最終的に黒字額は1億円弱となる見通しを示した。

 市は昨年度から、11、12年度2カ年の収支の黒字化を目的に国保税率を改正。昨年度の決算見込みで歳出は63億2594万円で、10年度比で1億5865万円の減少。歳入は57億8523万円で、同7635万円減少した。歳入と歳出の差額の5億4071万円は累積赤字分で、10年度決算ベースの累積赤字額6億2300万円と比較して、8229万円の圧縮につながったことになった。

 税率改正の効果としては、税収が同1億1542万円増の12億1119万円、一般会計からの繰入金のうち、国保基盤安定負担金が約7400万円増化するなどし、市国保医療課の田村宏美課長は「ほぼ税率改正時の試算通りの結果」とする。5月末開催の臨時市議会に本年度の同会計補正予算案に前年度繰上充用金として5億4000万円余りを計上する。

 花巻徹委員は「単年度赤字を出さないといった税率改正の所期の目的は達した」と評価する一方、累積赤字額が依然として多いと指摘。石川英明民生部長は「かろうじて黒字が確保できたが、本年度はどうなるかは分からない。来年度以降の税率改正については、国の社会保障と税の一体改革の動向を踏まえながら、協議していく」と述べた。(今井正一)


◎市議団 高陽へ出発

 函館市議会の議員団が10日、昨年8月に姉妹都市提携を結んだ韓国・高陽市の議員との相互交流のため、韓国に向けて出発した。13日まで3泊4日の日程で高陽市議との意見交換や大規模施設の視察を行い、両市の友好・交流を深める。函館市議団が海外を訪問するのは初めて。

 函館市議会の訪問団は、能登谷公議長や板倉一幸副議長のほか、公明党を除く各会派から井田範行氏(市民クラブ)、斉藤佐知子氏(民主・市民ネット)、本間勝美氏(共産党)、藤井辰吉氏(市政クラブ)と、小上一郎議会事務局長の計7人。

 函館空港で行われた出発式で能登谷議長は「東アジア経済圏の両市議会議員がさまざまな分野で互いの現状を正しく認識し、共に調査、研究することが、両市のさらなる友好関係の促進、経済発展に大きな効果をもたらすと期待している」とあいさつ。

 一行は11日に高陽市議会臨時会の視察や高陽市長の表敬訪問、高陽市議との意見交換を行い、12日には高陽市内にある韓国最大級の国際展示場「KINTEX」や芸術ホール「アラムヌリ」のほか、開催中の国際花博覧会(4月26日〜5月13日)も視察する。 今回の訪問は今年1月に高陽市議団が函館を訪問した際、金畢礼(キム・ピルレ)議長らが「積極的な相互交流を」との呼びかけで実現。函館市の本年度予算の議会費に渡航費124万円を計上した。議会事務局は「両市の文化、経済の振興に向け、交流が民間レベルに広がるきっかけにしたい」としている。(森健太郎)