2012年5月12日 (土) 掲載

◎春ホッケ不漁 漁師悲鳴 燃油高、漁出れば赤字…

 道南の春ホッケ漁が、今年は極度の不漁にあえいでいる。渡島管内最大の水揚げ量を誇る函館市恵山地区では、巻き網漁が始まった3月1日から同25日までに123トン捕れたのみで、それ以降11日まで水揚げは皆無だ。鮮魚向けの1本釣りホッケや、刺し網で捕る恵山ブランド「海峡根ボッケ・バキバキ」も不漁が続いており、漁師は「どうすればいいのか」と悲鳴を上げる。不漁の要因について、専門家は漁獲の中心となる年級群の資源量が少ないことを指摘している。

 えさん漁協(高島武俊組合長)によると、春ホッケ漁は巻き網、1本釣り、刺し網で行われる。数量的に多い巻き網漁は6隻が船団を組み、3月1〜25日に123トンを漁獲。しかし、26日以降はまったく水揚げがなく、11日も捕れなかった。昨年は3月1日〜5月22日に663トン捕れているが、これは例年と比べても多い方ではないという。同漁協は「燃油が高い上、乗組員も雇用しているので漁に出れば赤字。20日ごろには終漁せざるを得ないのではないか」と厳しい表情だ。ここにきてようやく群れらしき反応が出てきたといい、今後に期待をかける。

 刺し身のまま食べられるほど鮮度が良い「バキバキ」は4月末から7月中旬まで漁獲されるが、今月が旬。同漁協尻岸内ホッケ刺網部会(佐藤光行部会長、9人)が独自の漁法と鮮度管理により、鮮魚として全国へ流通させている。部会員の一人は「例年この時期だと1隻が1回の漁で60〜70枚(1枚=5キロ入り発泡スチロール箱)の水揚げがあるが、今年は最高でも30枚。これほど捕れない年は初めてだ」とため息をつく。

 別の部会員は「ホッケがいない。水温が低いことが影響しているのか、漁場が形成されない」と嘆く。来週は潮回りがいいとされ、全部会員が盛り返しを願う。バキバキは、道の駅「なとわ・えさん」での直売会や、第44回恵山つつじまつりイベント(27日)でも即売が予定されており、漁模様が気になるところだ。

 道総研函館水試(湯川町)の藤岡崇主査は「餌や水温といった環境要因の影響も考えられるが、2009、10年級群の資源状況が良くないことが大きな要因ではないか。2年続けて少ないのは、この後の資源が危機的な状況になる可能性がある」と話している。

 市農林水産部によると、市水産物地方卸売市場(豊川町)でのホッケ取扱量は、4月が29トンで前年比180トン減。1キロ当たりの平均価格は509円で同335円高。5月上旬は数量が19トンで同22トン減、単価が400円で同149円高。量が少なく高値で推移している。(山崎大和)



◎神楽や舞奉納 戦没者を慰霊 護國神社例大祭

 函館護國神社(真崎不二彦宮司)の例大祭本祭が11日行われた。道南の各市町の遺族会など約300人が参加。社殿では献花や詩歌を、本殿前では舞楽(ぶがく)のほか、松前神楽を奉納し、戦没者を慰霊した。

 同神社は1869(明治2)年5月11日、箱館戦争で新政府軍の勝利が決まった日に創建。箱館戦争から第二次世界大戦までの間の、道南出身の戦没者計約1万3000柱が祭られている。

 例大祭で恒例の函館楽所(はこだてがくそ)による舞楽奉納は「蘭陵王(らんりょうおう)」。中国の蘭陵王高長恭が、龍の面をかぶり戦に挑み、大勝した姿を舞曲にしたもので、優雅な古典の舞に、参列者は感動の様子だった。

 このほか江差追分なども奉納され、遺族代表や来賓が玉ぐしをささげた。(山崎純一)



◎フランス軍艦 函館に入港

 フランス海軍の試験・測定艦「デュプイ・ド・ローム」(4500トン)が11日午前、函館市港町2の函館港港町埠頭(ふとう)に入港した。岸壁では函館日仏協会や海上自衛隊函館基地隊のメンバーによる歓迎行事が開かれた一方、近くの埠頭では入港に反対する市民団体の抗議運動も行われた。

 入港目的は「親善」で、韓国・釜山(プサン)港から函館港に寄港した。乗組員102人を乗せた同艦は15日まで接岸し、次の神奈川県横須賀港に向けて出港する。同艦の入港は2008年5月以来以来4年ぶり2回目で、フランス海軍の軍艦では5回目となる。

 セレモニーでは同基地隊の内山哲也司令が函館の夜景やグルメなど魅力を紹介し「日本の文化や歴史に触れ、楽しみながらリラックスして」と歓迎。同艦のグレゴワール・ジェルマン艦長は「温かい歓迎に感謝し、今回の訪問を日仏友好の形にしたい」と述べた。

 このほか、同協会の役員から花束が贈呈されたほか、妹尾正白市港湾空港部長が核兵器廃絶平和都市宣言の宣誓文を艦長に直接手渡した。この日は艦長らが工藤寿樹市長を表敬訪問したほか、外国人墓地の参拝や関係者が招かれた艦上昼食会も。寄港中は海自隊員と柔道などのスポーツ交流も予定されている。

 一方、北ふ頭(浅野町)では連合函館地区連合会や民主党函館支部、全労連・函労会議など10団体以上から約80人が参加し、入港の反対集会があった。岸壁では「民間船による友好を」などと書かれたフランス語の横断幕や組合旗などを掲げ、軍港化の反対を訴えるシュプレヒコールを上げた。(森健太郎)


◎日ハム中田選手イカ釣り挑戦 稲葉選手と朝市訪問

 プロ野球パ・リーグ公式戦、北海道日本ハムファイターズ対埼玉西武ライオンズ戦が12日から函館市のオーシャンスタジアム(千代台町22)で開かれるのを前に、ファイターズの稲葉篤紀選手、中田翔選手が11日、函館朝市えきに市場(若松町9)を訪れた。2人は観光客や修学旅行生から求めらた握手に応え、函館での健闘を誓った。

 初めに4月28日に史上39人目の2000本安打を放った稲葉選手に対し、同市場からお祝いの花束が贈られた。続いて中田選手が名物のイカ釣りに挑戦。竿を水槽に入れ、わずか数秒で1匹が掛かった。驚く稲葉選手を横に中田選手は「簡単でしたね」と笑顔。

 この後、2人は報道陣の質問に答え、昨年の東日本大震災から復興している函館朝市の様子について稲葉選手は「皆さんの笑顔が見られて良かった。自分が元気づける立場なのに、花束を頂きうれしく思っている」と話した。

 12日からの函館2連戦(西武戦)について2人は「栗山新監督の野球を函館のファンに楽しんでもらえるように頑張りたい」と話していた。

 試合は12、13の両日午後1時開始。チケットに関する問い合わせはオーシャンスタジアムTEL0138・53・3210へ。(山崎純一)


◎エビネ愛らしく 江差であすまでまつり

 【江差】鮮やかな色彩とさわやかな香りが人気のエビネランや山野草など約450鉢が並ぶ「第20回北海道えびね祭」が11日、江差町文化会館(茂尻町71)で開幕した。愛らしい雰囲気で来場者を楽しませている。入場無料、13日まで。

 道内唯一のエビネラン愛好団体「北海道えびね会」(本部・江差町、室井正行会長、会員25人)の主催、函館新聞など後援。会員は春先から花の温度管理や水分の調整に注意し、「えびね祭期間中に見ごろを迎えることができて良かった。姿と香りを存分に楽しんでほしい」と紹介している。

 今年は20回記念に加え、今年9月の第50回江差追分全国大会協賛事業の一環で、西日本えびね協会と熊本県えびね連合会からの銘花参考出展もあった。

 会場では抹茶と菓子のサービス、短歌や俳句作品を展示し、12日午前11時からは琴や江差追分を披露する。

 室井会長は「愛らしいながらも力強く生きる花々を観賞して心和んでもらいたい」と来場を呼び掛けている。午前9時〜午後4時(13日は同3時)。

 問い合わせは町文化会館TEL0139・52・5115。

 えびね祭後の作品の一部は、14〜16日まで、道立江差病院(江差町伏木戸町484)で展示される。(田中陽介)