2012年5月16日 (水) 掲載

◎石崎さん オルガンの本場・ドイツでリサイタル

 函館のオルガン奏者、石崎理さん(45)が27日、オルガンの本場・ドイツの教会でリサイタルを開く。演奏曲は函館の作曲家、作道幸枝さん(31)が石崎さんのために手掛けた組曲がメーン。留学先の思い出の地での演奏とあって、石崎さんは「ドイツ人がどう聴いてくれるのかとても楽しみ」と話している。

 武蔵野音大大学院を修了した石崎さんは、ドイツ・ヴュルツブルグ音大へ留学。現地で5年半オルガンを学んだ後に帰国、函館を拠点に演奏活動を続けている。今回のリサイタルは2年前、作道さんにオルガン作品の作曲を依頼したことがきっかけだった。

 作道さんは石崎さんの希望に合わせ「物語性のある作品を作ろう」と決意。カナダの作家ピーター・レイノルズさんの絵本「ほしをめざして」を題材に作曲していた時、石崎さんが「しっかりした形で録音したいね」と提案。留学時代の音楽仲間に連絡したところ、リサイタルの開催を薦められたという。

 作道さんの作品は5楽章形式のオルガン組曲「My Star」。人生に迷いつつも自己を見つめ直し、星の輝きに導かれて再出発していく主人公の世界観をメロディックに再現したほか、残響の長さを楽しんでもらう工夫も。このほか、J・S・バッハの賛美歌を用いた「バッハとの融合」も作った。

 リサイタルは27日、ヴュルツブルグの聖十字架教会で午後8時からの予定。2人は22日に函館を発ち、石崎さんは24日から3日間、同教会で楽器の試奏を繰り返し、本番に備える。

 石崎さんは「オルガンが市民に根付いているドイツでのリサイタルは挑戦という感じ」と語り、「作道さんの素晴らしい作品を初演できるうれしさ、大規模な教会で演奏できる喜びを胸に精いっぱい演奏したい。録音した音源は、何らかの形で函館市民にも紹介できれば」と話している。(長内 健)



◎イオン「峠下」出店断念…七飯町に意向伝える

 【七飯】大手スーパーのイオン北海道(札幌、柴田祐司社長)が七飯町峠下地区への大型ショッピングセンター出店構想を断念したことが15日、分かった。同社の開発担当者らが同日、七飯町役場を訪れ、中宮安一町長に白紙撤回を伝えた。同地区には都市計画法上の規制があり、函館市など圏域の反発も根強いことから、出店が難しいと判断したとみられる。

 町役場を訪れたのは同社の開発不動産部長ら3人。中宮町長をはじめ、担当課長らと約30分間懇談し、計画を断念する意向を伝えた。

 同社が道南進出の候補地の一つとしていた同地区は、北海道新幹線新函館駅(北斗市、仮称)から至近距離にあり、道央自動車道の七飯インターチェンジ延伸計画など、今後、さらなる交通利便性の向上が期待されている。

 しかし、同地区は仁山から藤城地区に及ぶ819fの準都市計画区域(2007年9月指定)内。3000平方メートル以上の開発行為には都市計画法の許可が必要となるほか、1万平方メートルを超える大規模集客施設の立地ができないなど、出店実現には高いハードルがあると指摘されていた。

 中宮町長はこれまで町議会などで同社の構想を歓迎する意向を示し、計画区域の部分解除の可能性など内部で協議を進めていた。今月12日に町内で行われた講演で中宮町長は「イオンの出店は町民の利便性が向上し、雇用機会も増える」として、地域経済の活性化へ期待感を示したばかりだった。

 町役場を訪問した同社の担当者は取材に対し、「何もお話しすることはできない」とした。中宮町長は今後も企業誘致にかかわる積極的な姿勢は変わらないとし、「町議会や町民に対して説明をしていないことなので、現段階でのコメントは差し控えたい」とした。

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 同社の七飯出店構想に対しては、これまで、周辺自治体からは「圏域全体の都市構造に与える影響は大きい」などと、警戒感が高まっていた。

 函館市都市建設部は「立地には法的なハードルが高く、正規の土地利用が図られるごく自然な流れ」と静観の構えで、「今後も大型店の出店には2市1町の函館圏域で共同歩調を取るべき」とする。市経済部は「行政区域外の話でコメントできない」としながら、「現在は函館を含め、大型店が出店できる場所は相当限られている」と指摘。「出店すれば少なからず影響はあったはず。今後の動きを注視していきたい」と述べるにとどまる。

 峠下地区に隣接する北斗市の高谷寿峰市長は「事実確認した訳ではないのでコメントできないが、中心市街地の衰退につながる大型店は函館圏域に必要ないという認識に変わりはない」と述べた。

 また、函館商工会議所の松本栄一会頭は「イオンが七飯町に出店するとなれば函館市内の中心部も一定の空洞化が避けられない。今回の決定は結構なことだ」と歓迎。今後については「地場資本の経営を圧迫しないためにも、郊外型の大型店はNO!というこれまでの姿勢でいる」と述べた。 (今井正一、森健太郎、斎藤まや)



◎並行在来線経営分離 函館市が同意を正式決定

 北海道新幹線の札幌延伸に伴う函館—小樽間の並行在来線経営分離に関し、函館市は15日、国土交通省からの照会を受けて、経営分離に同意することを正式決定した。16日に取りまとめ窓口となる道庁に、文書を送付する。

 同省は道に対し、11日付で鉄道局長名の同意確認文書を送付。14日に届き、函館など一部市町に対しては道新幹線建設促進期成会の幹事会の場で直接手渡していた。

 工藤寿樹市長はこの日午前、市議会の正副議長と各会派代表者を招集し、同意する意向を報告。経営分離に反対した団体のうち、函館商工会議所と函館市町会連合会には、副市長2人がそれぞれ説明に回った。

 並行在来線の経営分離は、整備新幹線着工条件の一つ。市は西尾正範前市長時代、函館駅—新函館駅(仮称)間の経営分離に反対し、2010年には会議所、町連などと共同でJRの経営維持を求める署名活動を行ってきたが、工藤市長は柔軟路線で対応。昨年12月には▽第三セクター設立と運営に関して道が主体的な役割を担い、最大限の努力をする▽JRは新函館開業時に同区間を電化し、札幌開業時に運行を受託する—など、道とJRが示した条件を受け入れ、経営分離同意を表明している。

 工藤市長は「今後とも新幹線時代に対応したまちづくりを進めるとともに、同意判断に至った道やJR北海道からの提案について協議を重ね、新駅—現駅間の安定的で充実した鉄道輸送の確立に努めたい」とコメントした。道は1週間〜10日をめどに沿線の15市町から同意を取りまとめ、同省に回答する方針。(千葉卓陽)


◎札幌延伸 早期完成を 財源の確保を国に要望…渡島総合開発期成会

 渡島管内の首長と議会議長でつくる渡島総合開発期成会(会長・高谷寿峰北斗市長)の本年度総会が15日、函館市大森町のホテル函館ロイヤルで開かれた。近く認可・着工される北海道新幹線の新函館(仮称)—札幌間の早期完成や建設財源の確保、地方負担に対する財源措置の拡充を要望することを決めた。

 国や道の2013年度予算編成に向け、管内の主な要望事項を反映させる狙い。高谷会長は「札幌延伸については、工事着工と早期完成に向け沿線市町、関係団体とも連携し運動を進める。また、活火山である駒ケ岳は東日本大震災の教訓を生かし、万が一の噴火に備え、総合的な防災対策の強化を要望したい」とあいさつ。

 管内市町から挙げられた重点課題を取りまとめた13年度の要望217件(前年度比4件減)を原案通り承認。新規として、北斗市の新外環状線(道道大野インター線・追分地区)の早期整備、知内町の小谷石漁港の整備、森町の噴火湾周辺地区(森沼尻)魚礁設置事業、16年5月までとされる消防救急無線デジタル化移行の延長と財政支援の充実などを盛り込んだ。  期成会は6月28日に、札幌市に出向いて道開発局や道庁、JR北海道、鉄道・運輸機構などへ要望するほか、後日、国会議員や関係省庁など東京への要望活動も予定している。

 この日は首長、議長のほか、道南選出の国会議員、道議、渡島総合振興局の幹部ら約50人が出席した。(山崎大和)


◎イマジンホテル チャペルや披露宴会場お披露目

 4月にリニューアルオープンした「イマジンホテル&リゾート函館」(函館市湯川町3)のオープニングレセプションが15日、同ホテルで開かれた。昼と夜の2部に合わせて約300人が来場。チャペルや披露宴会場など施設のお披露目が行われた。

 同ホテルは、青森県を中心にホテル・旅館などを運営するイマジン(青森県弘前市)が2004年に取得。3月までは地元に定着した旧名称「湯の川グランドホテル」を使用したが、津軽海峡に近接した立地を生かしたリゾートホテルとして改装、名称変更し再スタートを切った。

 レセプションには取引先や顧客らが来場。野崎嵩会長は函館について「歴史あるまちでヨーロッパ調の建物が並び、夜景も素晴らしい」とリゾートとしての可能性に期待。「海外などからも大勢でここへやってきて親戚やきょうだいの絆が深まれば」とした。

 同施設での挙式予約は、土曜日の夜間は11月まで埋まっているという。この日の余興ではチャペルでゴスペルが披露され、吹き抜けに響き渡る歌声に来場者は聞き入っていた。(斎藤まや)