2012年5月18日 (金) 掲載

◎天体ショー、函館でも心待ち

 太陽が月に隠れてリング状に見える「金環日食」が21日朝、25年ぶりに国内で見られる。太陽の一部が欠ける「部分日食」が見られる函館でも、専用グラスが売れるなど天体ショーへの関心は高い。ただ、肉眼による安易な観察は危険で、眼科医は「一瞬でも太陽を肉眼で見ることは危険。専用グラスの装着など、正しい知識で安全に楽しんでほしい」と注意を呼び掛けている。

 「カメラのキタムラ函館・美原店」(美原1)では、2種類のグラス(798円〜1280円)を陳列。売り場を設けた3月こそ関心は低かったが、5月以降は30代以上を中心に購買者が増えている。金環日食を見るために本州に出向く予定の人も来店するという。

 同店担当者は「21日が近付くにつれ、駆け込み需要が増えるのでは」と今後の売れ行きに期待する。

 イトーヨーカドー函館店(美原1)は4月から天体観測コーナーを設け、2種類の専用グラスや双眼鏡、望遠鏡などを並べる。特に480円の専用グラスが売れ筋で、今月7日ごろから週末を中心に一日に10個ほど売れるように。本州の店舗が品薄のため、親戚や知人に送ろうという人も増えていて、売り場担当者は「安全基準についての問い合わせも予想以上に多い」と驚く。

 天体ショーへの熱が徐々に帯びる一方、医療関係者は目を傷つけないよう正しい観察の仕方を勧める。

 江口眼科病院(末広町7)では、渡島・桧山地区約8校の小中学校や教育委員会に日食を安全に観察するための資料を配布するなど、注意を促している。太陽を肉眼で見ると、紫外線による網膜の炎症などが起こり、視力が低下。重度の場合は視力障害が残る可能性もあるという。江口秀一郎院長は「子どもの目は紫外線の影響を受けやすい。通学時間に日食が見られるので、子どもへの周知を徹底してほしい」と話している。

 函館では金環日食にならず、部分日食だけが見られる。日本気象協会は21日朝の予想天気マップを20日まで毎日、ホームページ上で更新。それによると、函館は当日曇りの見通しだ。(長内 健、柏渕祐二)



◎市植樹祭、大きく育て緑のまち

 函館市の緑の週間(今年は17〜23日)に合わせ、第63回植樹祭(市、市住宅都市施設公社共催)が17日、同市上湯川町の公園「市民の森」で開かれた。式典には市民や関係者約100人が参加し、記念植樹や苗木の贈呈などが行われた。

 植樹祭は戦後の荒廃した国土に豊かな緑を取り戻そうと、1950年から全国各地で開催。市は毎年5月中旬から下旬ごろの1週間を「緑の週間」に定め、植樹祭をはじめ、市民記念植樹や出生記念の苗木の交付を行っている。

 式典で片岡格副市長は「市の緑は市民の憩いの場であり、函館観光の重要な役割も担う。緑豊かな潤いのあるまちづくりに向け、より一層の協力を」とあいさつ。市内の緑化モデル校の小中学校の代表者らにクルメツツジの苗木が贈られた。

 式典後には記念植樹が行われ、出生記念の金庭颯希(さつき)ちゃん(1)のほか、近隣の旭岡保育園とおおぞら保育園の年長園児らが一斉にヤマザクラやサツキツツジの根元にスコップで土をかぶせた。植樹した颯希ちゃんの母摩梨さん(32)は「息子と一緒に木も大きく育ってほしい」と目を細めた。

 同週間中には20日に空港緑地志海苔ふれあい広場で市民記念植樹(受付終了)を行うほか、土日を除く23日まで、市役所4階土木部緑化推進課で昨年度に子どもが生まれた家庭にオンコやツツジの苗木50本を無料で配る。問い合わせは同課TEL0138-21-3431。(森健太郎)



◎市内高卒者の大学・短大進学率 初の40%台突破

 文部科学省などが行った調査によると、昨年3月の函館市内高校卒業者の大学・短大への進学率は40.5%で、初めて40%台を突破したことが分かった。特に女子は過去最高の42.6%を示した。進学率は道や全国をみても年々増えており、高卒者の厳しい就職環境や、専門性などを求める企業の傾向から増加しているとみられる。

 調査によると、市内高校の昨年の卒業者数は2795人。このうち、1133人が大学などに進学した。男子の進学率は38.4%で、前年比0.6ポイント増加。一方、女子は同比4.2ポイント増の42.6%と目立ち、過去最高の数字を示した。

 全体の進学率は道と比較するとほぼ同じだが、全国比では例年10%以上開きがあり、昨年は13.4ポイント下回った。ただ、函館市は2002年と比べると約6ポイント上昇している。

 市内のある公立高校は、例年就職希望者が半数を超えているが、徐々に進学率が伸びているという。同校の進路担当教諭は「少子化で大学に入りやすくなったことや、金銭面でも奨学金制度の利用などでハードルが下がった」と話す。

 加えて「自分の可能性を広げようという積極的な進学も目立つが、現実問題として求人が少なくて就職が決まらず、やむを得なく進学に切り替えるケースもある。今後も進学者は増えるのでは」と予想している。

 このほか、高卒者の就職率は20.6%と前年比0.2ポイント上がったものの、景気の低迷で依然厳しい状況が続いている。中でも男子は22.1%と過去最低の数字だった。女子は20%台を切り、19.2%となっている。(後藤 真)


◎「桜回廊」の入り込み数2万2600人

 【北斗】北斗市は「桜回廊」事業の一環として実施した法亀寺、大野川沿いのライトアップ期間中の入り込み客数(推計値)をまとめた。10日から16日までの1週間の期間中、2万2600人が訪れた。ピークは晴天に恵まれた日曜日の13日の7000人だった。市観光課は「雨や風が強く肌寒い日があるなど天候に左右されたが、初年度としては健闘した」と評価している。

 推計値は、期間中の毎日午前10時から午後9時まで、法亀寺周辺2カ所で計測した人数を基に算定した。初日の10日は雨が影響し2300人だったが、天候に恵まれた週末は12日に5000人、13日に7000人とにぎわいを見せた。ライトアップ開始前の7〜9日の入り込み数を加えると、総計で3万人を超えた。

 本町商店街振興会では、11〜13日の3日間、本町児童公園でビアガーデンや屋台の出店を行った。伊藤哲朗会長は「予想外に客も多く、手応えがあった。地域住民より、市外からの入り込みが多かったのでは。午前中の客足は鈍いので時間帯の変更や、出店数を増やすことなど、来年に向けた取り組みも検討したい」と話す。

 市観光課の中村淳一課長は「大野川から法亀寺までの桜のラインが十分な観光資源になると改めて確認できた。大半が地元客で、道南地域外への浸透が今後の入り込みを伸ばしていく鍵になる。来年以降、PR方法を検討し、旅行会社によるツアー造成にも期待したい」としている。(今井正一)


◎ホッカイドウ競馬の冠10レース名称決まる、道南の魅力アピール

 渡島総合振興局は、ホッカイドウ競馬を活用した道南のPR事業で、競馬ファンに宣伝する農畜産物と観光地を決めた。24日の「北斗市きじひき高原特別」を皮切りに、11月まで計10回の農畜産物や観光地の名を冠したレースを行う。冠レース数が2桁なのは、道内14総合振興局・振興局の中で渡島のみで、道南の魅力アピールに一役買いそうだ。

 冠レースは、同振興局が管内の市町、JAなどに呼び掛けたところ、当初予定していた毎月1回(計7回)を上回る提案があり、計10回に増やした。無料で農畜産物や観光スポットを道内外に売り込めるメリットがあり、人気を呼んだ。

 決まったのはきじひき高原のほか、駒ケ岳登山(6月)、楽市楽座もりまち食KING市(同)、箱館奉行所開館2周年(7月)、マイカ(8月)、ふっくりんこ(10月)など。冠レースの前には、道内18カ所の発売所、大井(東京)などホッカイドウ競馬の馬券を売る道外競馬場、スカイパーフェクTV!で、30秒間のPR映像を流す。きじひき高原では「展望台からは函館山や津軽海峡、大沼・駒ケ岳など360度の景観が楽しめるほか、広大な牧場やキャンプ場、カタクリ花畑の散策路など、一度に絶景と自然を満喫できます」などと実況アナウンサーが読み上げる。

 また、冠レース日には、場外発売所「Aiba函館港町」(函館市港町)内にPRポスターも張る。

 Aiba函館港町では、本年度の開幕日(4月25日)から、毎週木曜(延べ30回)の午後4時と同6時、道南産の野菜や果物、コメ、加工品をプレゼントするイベントも展開中。24日には、北斗市産の野菜を配る予定だ。イベントに合わせ、6月以降の冠レースを木曜に実施する方向で調整する。

 先行実施したイベント効果もあり、Aiba函館港町での開催6日間(今月10日現在)の発売成績は前年度比26%増と好調だ。

 同振興局は「冠レースと農畜産物のPRイベントを同時に実施することで、より一層の効果が期待できる」(農務課)としている。

 同競馬は11月15日まで延べ80日間、門別競馬場(日高管内日高町)でナイター開催している。同事業は、北海道新幹線開業を見据え、道南の農畜産物や観光地を売り込むことで、誘客につなげる狙いがある。(山崎大和)