2012年5月2日 (水) 掲載

◎桜前線上陸 松前から道内へ

 【松前】松前町は1日、松前城の前にあるソメイヨシノの標本木が開花したと発表した。日本列島を北上していた桜前線がついに本道にも上陸。これから道内各地をサクラ色に染めていく。松前公園のソメイヨシノの見ごろは4日から11日までだという

 日本気象協会北海道支社によると、道内の観測地点で開花が確認されたのは松前町が初めて。平年(4月30日)より1日遅く、昨年(同28日)より3日遅かった。

 標準木のソメイヨシノは、数日前からつぼみが赤く染まり、30日から花をつけ始めた。町の担当職員が1日早朝、5輪以上の花が咲いていることを確認し、午前8時に開花を宣言。昼すぎまでに次々と淡い紅色の花を咲かせていった。町商工観光課では「連休後半は中咲きが見ごろを迎える。サクラの競演を楽しんでほしい」と話している。

 松前さくらまつりが29日に開幕し、同公園では連日大勢の観光客が花見を楽しんでいる。札幌市から訪れた佐々敏明さん(28)と愛子さんの夫婦は、長女の咲友(さゆ)ちゃん(1)を連れて公園内を散策。「咲いている花はどれもきれい。暖かいので気持ちがいい」と笑顔を見せていた。

 このほか、函館海洋気象台は1日、函館のウメの開花を発表した。昨年より6日遅かった。



◎三セク費用負担 木古内町受け入れ表明

 【木古内】北海道新幹線開業に伴いJR北海道から経営分離される並行在来線の江差線五稜郭—木古内間(37・8キロ)の第三セクター費用負担問題で、木古内町の大森伊佐緒町長は1日、道が提示した22%の負担割合を受け入れる意向を明らかにし、同日の町議会に説明した。議会側もこれを了承。同町が受け入れの姿勢を示したことで、沿線3市町間の費用負担問題が決着する見通しとなった。同町は10日に住民説明会を開き、最終判断をする。

 三セクの費用負担をめぐっては、沿線の函館市、北斗市、木古内町の3首長による会合が4月18日に開かれ、道がたたき台として示した3市町間の負担割合(北斗市56%、函館市22%、木古内町22%)の算定要素を説明。北斗市と函館市は受け入れる考えを表明していたが、木古内町は厳しい財政事情を理由に難色を示し、動向が注目されていた。

 1日に開かれた町議会総合交通体系調査特別委員会で、大森町長は「2市はすでに受け入れる考えを示しており、木古内町のさらなる負担軽減は困難と判断した」と述べ、理由を説明。また、「重い負担ではあるが、財源確保に努め、鉄路存続で住民の足の確保を図りたい」と議会側に理解を求めた。

 大森町長は、道の算定方法などには不満を示す一方、道と3市町の負担割合を8対2としたことを評価。また、今後の新幹線関連事業を見据え、「道、JR北海道との関係を大切にし、町にマイナスにならないようにしなければならない」とした。

 質疑では「これ以上負担は増えないのか」「財政規模を考えれば、函館市と同じ比率なのはどうか」などの意見が上がったが、議論の結果、議会側も了承した。

 町では10日に25町内会の町内会長を集め説明会を開き、理解を求めるほか、要望があれば個別に町内会での説明会も開催するとしている。大森町長は取材に対し、「議会の理解を得られたので、鉄路存続に一歩近づいた」と話した。

 3市町間の費用負担割合が固まったことを受け、今月下旬に開かれる道南地域並行在来線対策協議会で、道と3市町が事業形態と負担割合について最終合意する。道は木古内町議会の容認に関して「最終合意に向けた大きな一歩」(新幹線・交通企画局)と受け止める。同局は「住民説明の手続きを踏んだ上で、協議会に臨んでほしい」とする。

 北斗市は56%の負担に「異存はない」(高谷寿峰市長)とし、22%を提案された函館市はゴールデンウイーク明けに市議会の総務常任委員会に報告し、受け入れる意向だ。

 道などは、2014年4月の第三セクター鉄道会社の設立を目指す。



◎津軽海峡遠泳 6人挑戦へ

 世界7海峡制覇へ—。世界のスイマーが憧れる津軽海峡横断遠泳に世界各国の6人が、6月から9月の間に挑戦することが決まった。支援する「津軽海峡遠泳協会」(本部・東京、石井晴幸代表)によると、中でも6月にアイルランドの男性スイマー、ステファン・レッドモンドさん(46)が成功させると、7海峡制覇は世界初の快挙となり、関係者の期待が高まっている。

 津軽海峡は「世界オープン・ウオーター・スイミング協会」(米国)が選定する世界7海峡の一つで、ドーバー海峡(イギリス—フランス間)、ジブラルタル海峡(スペイン—モロッコ間)など、名立たる6海峡と肩を並べる。昨年9月にはオーストラリアの女性スイマー、ペニー・パーフリーさんと夫のクリスさんが、ゴールを函館市戸井地区汐首岬とする遠泳に挑み、14時間26分の記録でペニーさんが成功している。

 レッドモンドさん以外に今年、津軽海峡横断遠泳に挑むのは、男性は7月にアメリカ出身で神戸在住のウィリー・ブルメンタルズさん(39)、8月にドイツのクリストフ・ヴァンデラッシュさん(45)とアメリカのクレイグ・レニングさん(33)。女性は9月にスウェーデンのアンナ・ノーディンさん(41)とアメリカのパット・ギャラントさん(61)。

 昨年には、これまでなかった世界のスイマーをサポートする団体「津軽海峡遠泳協会」も設立され、通訳や地元漁協、行政などへの事務手続きなどを請け負い、協力体制を強化してきた。1日には石井代表らが東京から来函し、函館海上保安部などを訪れ、実施内容の説明や協力を求めた。石井代表は「遠泳は地元の協力なくしては達成することができない。函館の人たちは非常に協力的でありがたい。成功を信じている」と話していた。(小杉貴洋)


◎カタクリ見ごろ 匠の森公園

 【北斗】北斗市村山の「匠の森公園」で、カタクリの花が見ごろを迎えた。市内随一の群生地で、遊歩道沿いの斜面に淡い紫色のじゅうたんが広がり、訪れた人を楽しませている。

 同公園は国道227号からきじひき高原キャンプ場に向かう途上にある森林公園。カタクリは豪雪の影響で、例年より数日程度遅れ気味だったが、週末の好天でほぼ満開状態となった。

 同公園では、カタクリが終わるころには、シラネアオイの花が楽しめるという。市は「匠の森の散策後は、きじひき高原のパノラマ展望台からの景色も楽しんでほしい」と話している。(今井正一)


◎夢に向かってがんばって 鍛神小6年 被災地へ手紙としおり

 東日本大震災で被害を受けた宮城県内の小学生に向けて、函館鍛神小学校(三島千春校長、児童444人)の6年生78人は1日、励ましの手紙としおり作りに取り組んだ。それぞれに「夢に向かってがんばってください」など心のこもったメッセージを添え、エールを送っている。

 同校では、6年生担任の佐々木秀哲教諭が宮城県東松島市に実家があり、同市矢本東小学校で教育実習を受けたことから「何かできることを」と、昨年から全校で文房具や本を送る活動をしてきた。矢本東小は震災の被害は少ないものの、家が被災した児童も通っている。今回も「震災に遭った小学生が元気になってもらいたい」との思いを込め、被災地に手紙と色紙、四つ葉のしおりを作ることにした。

 この日は、4月から制作してきた四つ葉のしおりにひもを通す作業など最後の仕上げをした。色紙の中央には写真が貼られ、余白には児童がそれぞれ考えたメッセージを書いた。6年1組の長内絵美さんは「遠く離れていても自分にできることを一生懸命していきたい。この手紙を見て被災地のみんなが笑顔になってほしい」と話していた。

 手紙やしおりは佐々木教諭が7日、保護者の協力で集められた本などと一緒に直接矢本東小に届ける。佐々木教諭は「活動を通して子どもたち同士の交流と同年代の思いや願いを互いに感じとってほしい」と話していた。(平尾美陽子)