2012年5月20日 (日) 掲載

◎箱館五稜郭祭が開幕 土方コンは函中部3年・朝妻さん初優勝

 戊辰戦争最後の戦地・五稜郭をテーマにしたイベント「第43回箱館五稜郭祭」(同協賛会主催)が19日、函館市内で開幕した。初日は箱館戦争ゆかりの地を巡る碑前祭に加え、今年で25回目となる土方歳三コンテスト全国大会が行われ、函館中部高校3年の朝妻佑美さん(17)が2回目の挑戦で初優勝に輝いた。

 同大会は五稜郭タワーアトリウムを会場に、土方歳三が最期を迎える場面の演技や容姿、アピール度を競う。毎回全国からエントリーがあり、今年は函館・近郊のほか、東京や名古屋、遠くは岡山から15人が出場した。

 自前の衣装を着て登場した出場者は、迫力あるつばぜり合いや銃弾に倒れる死に際を熱演。最期まで戦に命を掛けた土方の生きざまを数分間、見事に演じ切り、大勢の来場者を楽しませた。

 昨年初出場した朝妻さんは中学1年生からコンテスト出場を意識し、新選組や土方について勉強。この1年間は特に殺陣の稽古を重ねたほか、今年4月には胸まであった髪を20センチも切った。本番では女性とは思えない迫真の演技で来場者を引きこんだ。

 朝妻さんは「土方がどんな思いで最期を迎えたのか1年間真剣に考えた。『賊軍という汚名をつけられたまま新選組は終わらせない』というせりふは前日まで考え続けた言葉。いい演技ができました」と涙を見せた。

 20日は朝妻さんも参加する維新行列・音楽パレードを午後1時から開始。本町地区の行啓通りでは旧幕府軍と新政府軍の戦闘シーンパフォーマンスを、同3時ごろから五稜郭公園の特設ステージで「開城セレモニー」を行う。(長内 健)



◎道教大名誉教授・佐々木さん 音楽教育功労者に

 函館在住の作曲家で道教育大名誉教授、佐々木茂さん(66)がこのほど、日本教育音楽協会(東京)の2011年度音楽教育功労者に選ばれた。作曲を中心とした函館、道南の音楽教育発展への多大な功績が認められた。佐々木さんは「まだまだやりたいことがある。これを励みに精進したい」と意欲を新たにしている。

 同協会功労者表彰は全国の音楽教育者が対象。佐々木さんを含め、同年度は元小中高教諭ら全国から7人が選ばれた。道南では2008年度功労者の道教育大名誉教授、寺中哲二さん=函館在住=に続き、2人目。

 佐々木さんは1945年稚内出身。69年に国立音大作曲学科を卒業後、道教育大函館分校に赴任。助手、講師、助教授を務め、1994年に教授に就任した。2009年3月の退職まで約40年間、作曲、音楽理論といった分野で後進を育て、音楽教諭や演奏家ら400人以上を道内外に送り出してきた。

 その傍ら、函館出身のバンド「GLAY(グレイ)」の楽曲構造を用いたユニークな創作授業を市内の学校で展開してきたほか、「海です」「明日があるから」といった函館の子どもたちのための歌に加え、町歌、校歌を約30曲手掛けた。市民活動の場でも、混声合唱組曲「江差」や本道初の創作オペラ「千軒の悲歌」など、道南を題材とした創作に続けてきた。

 現在は函館短大で保育学科長を務め、幼児教育の指導に携わる。佐々木さんは「さまざまな人たちの刺激を受けながら、好奇心の赴くまま仕事してきた」と振り返り「幼児向け音楽教育も創作活動も続けていかなければならない。今後も函館のために、地元に根差した仕事を続けていく」と話している。

 同協会は音楽教育の諸問題の解決を図ろうと1922(大正11)年に発足した研究団体。同年から雑誌「教育音楽」を出版し、32年にはNHK全国学校音楽コンクールの前身となる「全国児童唱歌コンクール」を創始した。功労者表彰は51年に始め、これまでに約230人を表彰しているが、創設90周年の今年で組織を解散する予定という。(長内 健)



◎見て食べて 菜の花満喫…あいす118でまつり

 「第7回はこだて菜の花まつり」(はこだて菜の花プロジェクト主催)が19日、函館酪農公社あいす118(中野町)で開かれた。天気に恵まれ、午前10時の開始から市民らがひっきりなしに来場。菜の花畑を観賞したり、菜の花を使った料理に舌鼓を打ったりと思い思いのひとときを過ごした。

 函館の基礎を築いた江戸時代の豪商、高田屋嘉兵衛とゆかりが深い菜の花の恵みについて考える機会にしようと、市民有志でつくる同プロジェクト(大塚大代表)が主催。同所に毎年植え替えている菜の花畑の見ごろに合わせて実施しているが、今年は19日現在で4分咲き。週明け以降には見ごろを迎えそうという。

 その畑からの摘み菜を使って毎年提供している手打ちそばや高田屋嘉兵衛鍋は今年も好評。菜の花を具にしたたこ焼きは今回初めて販売、旬の味覚を求める来場者の列ができていた。観賞用に摘み取った菜の花の即売や、「猫とカーディガン」によるバンド演奏も盛り上がりを見せた。

 祖父母と母とともに初めて同まつりに訪れたという函館港小3年の永田知広君(8)、真広ちゃん(2)の兄弟はたこ焼きを頬張り、「この甘辛さは初めて。すごいおいしい」とうれしそうに話した。

 石塚代表(45)は「地域に根差した催しとしてだいぶ定着してきた。大勢の人々が来てくれてうれしい」と話していた。(長内 健)


◎道南パノラマ満喫…城岱牧場の展望スペースオープン

 【七飯】町営城岱牧場の管理棟の展望スペースが19日、オープンした。晴天に恵まれ、多くの家族連れらが立ち寄り、眼下に広がる大野平野や津軽海峡の景色を満喫した。

 施設は函館新道の七飯本町インターチェンジ付近と大沼地区を結ぶ城岱スカイライン沿線の標高560メートル地点に設置。ガラス張りの展望スペースから雄大な景色を楽しむことができる。町は管理業務を七飯大沼国際観光コンベンション協会に委託し、係員が常駐。室内には観光パンフレットや町の特産品を展示した。

 初日は町のマスコットキャラクター「ポントくん」「ポントちゃん」が登場し、記念の限定グッズを配布し、喜ばれていた。町商工観光課は「今後、希望者を募って農産物などの販売イベントも実施したい」としている。

 期間は10月18日までの午前9時から午後5時まで。7、8月の毎週土曜日のみ午後9時まで開放する。問い合わせは町商工観光課TEL0138・65・2517。(今井正一)


◎北斗 ハクサイ出荷盛ん

 【北斗】北斗市内で、ハウス栽培のハクサイの出荷作業が盛んだ。ハウス内には、みずみずしいハクサイがずらりと並ぶ。この時期の道内の産地は道南のみで、農家は忙しく作業に励んでいる。

 同市野菜生産出荷組合はくさい部会(31戸)の佐々木弘光部会長(44)=市内東前=方では、ハウス約20アール、露地トンネル栽培約15アールの計35アールで作る。ハウスものは15日から収穫と箱詰め作業を始めた。

 佐々木さんによると、今年は大雪、低温、日照不足の影響で、生育が例年より1週間ほど遅れているものの、丸々と太った高品質なハクサイが出来上がったという。

 品種は「春笑(はるわらい)」で、中が濃黄色。収穫後、大きさでL(4玉)、M(5玉)、2L(3玉)に分けて箱詰め。JA新はこだて(畠山良一組合長)を通じ、札幌、旭川市場を中心に出荷。今後、東京、横浜、千葉、大阪方面にも送る。佐々木さん方はほとんどがLサイズで、1日当たりの出荷量は200〜250箱(1箱10キロ入り)。現在は、Lサイズで平年並みの1箱1250円で取引されている。

 今年は、今月上旬に栃木と茨城のハクサイ産地が竜巻やひょうの被害を受けており、道内産の引き合いが強まっている。

 佐々木さんは「ハウスものは甘くて柔らかい。おひたしやサラダ、豚肉の重ね蒸しにすると最高。ぜひ食べてほしい」と話している。ハウスものが終わると、露地トンネルものの出荷が6月20日ごろまで続く。(山崎大和)