2012年5月21日 (月) 掲載

◎迫真演技に観客興奮 箱館五稜郭祭

 第43回箱館五稜郭祭(同協賛会主催)のメーンイベント、維新行列が20日、函館市内で行われた。本町地区では旧幕府軍と新政府軍の白兵戦が大々的に展開され、沿道に詰めかけた大勢の市民や観光客はくぎ付けだった。

 この日は午後1時から市内三カ所で同時スタート。同地区の行啓通りでは、PL北海道第3MBA所属の子どもたちによるバトンで幕開けし、次いで函館西高、潮見中、本通中といった市内の中学高校吹奏楽部など10組のパレードとなり、華やかなマーチングが披露された。

 中島廉売通りを出発した維新行列の一行は、軍艦開陽丸の山車を先頭に行啓通りに到着。両軍の大砲を合図に白兵戦が始まると雰囲気は一変、気合いの入った掛け声とともに両軍入り乱れるすさまじい立ち回りが繰り広げられた。特に新選組副長の土方歳三が新政府軍との一騎打ちを制し、銃弾に倒れる最期のシーンはひときわ注目を集め、その熱演に盛んな拍手が送られていた。

 行列はこの後、五稜郭公園に移動し、箱館奉行所そばの特設ステージで開城セレモニーを行い、2日間の日程を終えた。

 北斗から初めて維新行列を見に来たという30代主婦は「大砲の音があれだけ大きいとは驚き。戦闘シーンはとても見応えがありましたね」と喜んでいた。(長内 健)



◎バキバキ求め人どっと

 春の盛漁期を迎えた函館市恵山地区のブランドホッケ「海峡根ボッケ・バキバキ」の直売会が20日、日ノ浜町の道の駅「なとわ・えさん」で行われた。刺し身でも食べられる鮮度抜群のホッケを手に入れようと、大勢の人でにぎわった。

 えさん漁協(高島武俊組合長)の尻岸内ほっけ刺網部会(佐藤光行部会長、9人)が毎年この時期に実施。バキバキは鮮度と脂の乗りが良く、地元ファンが多い。

 今年は不漁が続いていたが、前日は好漁で、この日は約240箱(1箱5`入り)を用意。5〜12匹を5000〜1500円の浜値で販売した。

 一番乗りした北斗市久根別の新田稔さん(75)は午前2時に家を出て、同3時すぎに到着した。「大きいのが欲しいので、寝ないで来た。スーパーとは比べものにならないおいしさが魅力。刺し身で食べ、残ったら煮付けにしたい」と笑顔を見せていた。

 佐藤部会長(41)は「漁模様は少しずつ上向いている」と、盛り返しに期待を込めていた。(山崎大和)



◎ヒーローショーやもちつき楽しむ 春うまランランフェスタ

 来月9日から函館競馬場(駒場町)で始まる日本中央競馬会(JRA)函館競馬のプレイベント、春うまランランフェスタが19日から、同競馬場で始まった。G1レース、オークスが行われた20日は、新函館農協による八雲産もち米「風の子もち」のもちつき実演やヒーローショーなどが行われ、家族連れらでにぎわった。

 函館競馬を盛り上げていこうと企画したイベントで、2週連続で開催する。

 風の子もちのもちつきでは、八雲町落部の若手生産者3人がそろいの法被を着て実演し、臼に入ったもちをきねで力強くついた。この後、集まった子どもたちが順番にもちつきを体験。先着50人にイチゴ味やバナナ味のもちが振る舞われた。

 家族とともに来場した函館湯川小4年の森本結衣さん(9)は「きねは少し重かったけどついたもちの感触が気持ち良かった」と笑顔。もちつきを実演した河村孝司さん(32)は「八雲は道南唯一の風の子もちの産地。粘り、味も良いので多くの人に食べてほしいですね」と話していた。

 このほか、ヒーローショーや消防車の展示、野菜の即売会などが行われた。  次週の26、27日にも同競馬場でさまざまな催しを繰り広げ、特にG1レース、日本ダービー開催日の27日は、お笑いコンビ、髭(ひげ)男爵のステージ(午前11時40分、午後3時20分の2回)や函館中央署による白バイ展示・走行、乗馬試乗会などが行われる。 (鈴木 潤)


◎三澤さん日本植物病理学会の学術奨励賞に

 【北斗】道総研道南農試(北斗市本町)の研究主任、三澤知央(ともお)さん(38)が、日本植物病理学会(東京、会員2000人)の本年度「学術奨励賞」に選ばれた。北海道の各種野菜類に発生した多様な病害の発生原因を突き止め、有効な対策を打ち立てた成果が認められた。学術論文が評価される同賞は大学教員の受賞が多く、現場対応もする農試職員の受賞は快挙だ。

 三澤さんは札幌市出身。北大農学部を卒業後、道病害虫防除所(空知管内長沼町)を経て2004年から現職。専門は植物病理で、ネギ葉枯病をテーマにした論文で博士(農学)を取得した。

 ネギ葉枯病を含むいろいろな野菜の病害について研究を進めてきた。これまでに道内で発生報告のなかった50病害について、原因を解明。このうちトマト株腐病は世界で初めて、ニラべと病など7病害は日本で初めて原因を明らかにした。

 防除対策では、全道的に発生しているイチゴ疫病やネギ葉枯病、知内町で栽培が盛んなニラ白斑葉枯病、上ノ国町が産地のサヤエンドウうどんこ病の4病害について防除法を開発。例えば、イチゴ疫病では農薬を使った防除のほかに、品種の抵抗性を明らかにすることや、病原菌と苗を物理的に隔離して無病の苗を作る対策を確立した。対策を開発するのにイチゴ疫病は6年、サヤエンドウうどんこ病は3年掛かっており、地道な努力のたまものだ。

 道南農試での勤務8年間で、農家から計750件の病害診断を受け、防除対策を指導している。その傍ら、学術論文を国際誌を含め30本発表していて、学術的な活動にも力を入れてきた。三澤さんは「現場対応をしながら、学術分野での成果が認められてうれしい。病気を少なくするために、農家の役に立つことができるのは自分の自信です」と話す。

 同賞は1971年に創設され、若手研究者で年に3人授与される。都道府県の試験場職員の受賞者は、42年間で三澤さんが全国7人目、道内3人目。3月下旬に福岡市で開かれた同学会の席上、表彰を受け、記念講演もした。

 同農試も「職員の励みになる」と喜びに沸いている。三澤さんは「ニラ白斑葉枯病を継続的に研究しており、今までよりもレベルの高い学術雑誌(米国)に掲載されるようなデータを取り、国際的に活躍したい」と意欲的だ。(山崎大和)


◎箱館奉行所入館者数50万人達成

 2010年7月に国の特別史跡・五稜郭跡に復元オープンした箱館奉行所の入館者数が20日、50万人に達した。開館から1年10カ月での到達で、当初予定より半年ほど早い達成となった。50万人目となった札幌市中央区の主婦、薬師寺美穂さん(36)に認定証などが贈られた。

 入館者数は、初年度は目標の14万7000人を大幅に超える約22万9500人を記録し、開館1年で33万人に達した。2年目も好調を持続し、8〜10月は3カ月間で約10万人が来館。冬期間はやや落ち込んだものの、ゴールデンウイークには約1万5000人が訪れた。

 節目の50万人目となった薬師寺さんは、家族4人で午前11時10分ごろに来館。入り口でスタッフに呼び止められると、函館市教委の山本真也教育長から記念として認定証と花束、奉行所と五稜郭の画像を収録したデジタルフォトフレームが贈られた。

 薬師寺さんは「(箱館五稜郭祭の)土方歳三コンテスト(19日開催)を見に来たが、日にちを間違えてしまった。でも結果的に50万人目になれてラッキーだった。認定証は家に飾りたい」とうれしそうに話していた。

 市教委は「五稜郭は再来年に築城150年を迎える。今後も多くの人に来てもらえるよう様々な取り組みを行い、オール函館で魅力を伝えていきたい」と話している。 (後藤 真)