2012年5月23日 (水) 掲載

◎厚沢部小でカワヤツメ人工授精

 【厚沢部】個体数減が続くカワヤツメ(ヤツメウナギの仲間)の資源回復を狙おうと、厚沢部小学校の4年生29人が22日、同校で人工授精に取り組んだ。専門家の指導で、学校近くで捕獲した体長40センチほどのカワヤツメで知識を深めた。

 厚沢部町河川資源保護振興会の山下清会長と坂本和晃副会長が講師を務め、資源保護活動の様子を紹介。カワヤツメは3億6000年前から生命をつないできたとし、「姿は古くから変わっていない」と伝えた。

 地域の生態系を維持する存在の重要さや、みそ煮込みなど郷土料理として親しまれてきた背景に触れ、「人工授精による資源の維持と回復が大切」と強調した。児童は山下会長の手ほどきで、人工授精を学んだ。約2万個の受精卵は校内の水槽で水温管理など成長を見守り、1カ月後には厚沢部川へ放流するという。

 田尻玲士君(9)は「初めてカワヤツメを見て、触ったらつるつるしてびっくりした。卵が無事かえるように大事に育てたい」。米谷彩さん(9)は「産卵を終えたら死んでしまうのがかわいそうだけど、たくさんの命をつなぐために必要なことだと勉強になった」と話していた。

 同振興会によると、カワヤツメの個体数は「道の資料から道内全体で10年前に比べ、100分の1に減っている。厚沢部での数は分からないが、昔と比べて確実に少なくなっているのは事実で、人工授精などによる資源回復が重要になってくる」としている。(田中陽介)



◎青々育った苗 水田に 木古内で田植え始まる

 【木古内】木古内町内で22日、田植え作業が始まった。雪解けが例年より遅かった影響で、町鶴岡の東出雅史さん(46)の水田では、昨年より4日遅い作業開始となった。午前9時から水をたっぷり張った水田に、道南産のブランド米「ふっくりんこ」の苗を植えていった。

 東出さんは今年、46ヘクタールの作付けを予定。35ヘクタールが「ふっくりんこ」で、そのほか、「きらら397」と「ほしのゆめ」、木古内の地酒「みそぎの舞」の原料となる酒米も生産する。作付面積が広いため、作業は2週間ほど続くという。

 4月下旬に播種(はしゅ)を行い、ハウスで1カ月育てた苗は9センチほどに成長した。この日は東出さんの長男で後継者の雄太さん(23)が、田植え機に乗り込み、水田をゆっくりと往復した。

 雄太さんは「雪解けが遅く心配だった。悪条件に負けず、品質の良いコメを作りたい」と張り切る。雅史さんも「苗の出来は例年よりいい」と話していた。

 町産業経済課によると、町内では25軒の農家が、約300ヘクタールでコメを栽培。順次、田植え作業に入る。(松宮一郎)



◎今夏の市電減便も検討 節電要請にらみ 市交通部

 函館市企業局交通部は、今夏の電力不足に備え、運行本数を減らしたり、ダイヤを調整したりする「間引き運転」の検討に入った。今後、北海道電力からの要請内容次第では減便せざるを得ない可能性もあり、節電対策に頭を痛めている。

 市交通部では、市電を一日平均約140本、日中は約6分間隔で運行し、一日あたり6850キロワット時の電力を使う。東日本大震災を受け、昨年度から庁舎や車両内の消灯、電停のあんどん照明のLED(発光ダイオード)化など自主的な節電に努めてきた。

 現時点では「具体的には何も決まっていない」(藤田光交通部長)とし、近く北電からの正式な要請を受けて判断する。北電が全道的に要請する2010年比7%の節電が電力使用のピーク時なのか、終日なのかも分からず、10年比の場合に既に運行面以外で節減できている可能性もあり、対応は不透明だ。

 同部は「さまざまなシミュレーション」として、ピーク時の間引き運転や運行間隔を延ばして減便することも視野に入れ、6月中にも具体的な対応を決める。市電は1日平均約1万6000人が利用するため、同部安全推進課は「できるだけお客さまに迷惑をかけないように対応したい」としている。(森健太郎)


◎スイーツフェスタ 今年も10月に 札幌の店も参加 コンテストも

 道南のスイーツを一堂に集めた「はこだてスイーツフェスタ」が、今年も10月26〜28日の3日間、函館市若松町の棒二森屋で開かれることが決まった。3回目の今回は、前回からの青森に加え、札幌の菓子店にも初めて出店を要請する予定で、道産食材を使ったコンテストも企画している。

 同フェスは、地元スイーツの消費拡大やブランド化を目指し、道南の和洋菓子やパンなどの業界団体でつくる実行委が2010年から開催。昨年は道南の和洋菓子30店のほか、青森の洋菓子店や物産協会が出店し、3日間で1万3600人が来場した。

 今年は函館市制施行90周年を記念し、市が従来より50万円多い200万円の予算を計上。3年後に迫る北海道新幹線開業に向け、青森と札幌の有名店を招いて集客を図るほか、2年ぶりにスイーツコンテストを企画し、函館スイーツのPRや若手職人の技術向上につなげる。

 今年も例年並みの30店の出店を見込み、来場者アンケートで要望が多かった旬の食材を使った期間限定スイーツの販売も検討する。このほか、親子向けのスイーツ教室や会期中の抽選会に参加できる道南の菓子店を巡るスタンプラリーも行う。

 22日に開かれた本年度第1回実行委で事業計画を報告した。6月上旬から7月中旬まで出店者を募集する。若山直実行委員長(五島軒社長)は「今年は道新幹線開業を見据え、道南以外からもフェスのために函館を訪れてもらえるようなイベントにし、函館スイーツの底力をアピールしたい」と話している。(森健太郎)


◎家庭用生ごみ処理機やコンポスト 購入補助申請 過去最低 函館市

 生ごみの減量化に向けて函館市が昨年度、電動生ごみ処理機とコンポスト容器を購入した家庭に補助をした実績は、同処理機で19台、同容器が56個と、いずれも過去最低となった。市環境部は「すでに普及が進んでいることなどが考えられるが、20、30代の若い世代にも普及してくれたら」と話している。

 補助は購入者からの申請を受けて実施し、補助額はいずれも費用の半額。同処理機は3万円、同容器は3000円を補助限度額としている。

 同部によると、同処理機は2002年度から補助を開始し、これまでの実績台数は累計で1649台。初年度で500台、翌03年度は451台分の申請があったが、昨年度は前年度比31台減の19台にとどまった。

 同容器は1990年度から制度が始まり、累計で6211個分を補助。92年度には最多の937個の申請があったが、2005年度以降は100個未満で推移している。

 市は申請が低調となった要因として、すでに堆肥化などに関心のある家庭に普及されているためとする。一方、生ごみの減量化を促進する上で、中年・高齢者層以外の若年層への普及も課題として挙げている。

 同部は「電動生ごみ処理機は場所を取らないため、集合住宅でも置くことができる。コンポストは安価で購入できる」としている。

 補助を受けるには、購入前に申請が必要。市役所本庁舎や各支所などに配布している所定の用紙などに必要事項を記入の上、同部環境推進課に申請する。問い合わせは同課TEL0138・51・0798。(後藤 真)