2012年5月26日 (土) 掲載

◎ツチクジラ初水揚げ

 道南日本海のツチクジラ漁が解禁となった25日、函館市豊川町の豊川埠頭(ふとう)に初水揚げがあった。ツチクジラの捕獲は今年全国初。松前町の沖合い約36キロで捕獲された体長8.9メートル、重さ8.3トンで雄とみられる。26日朝に市水産物地方卸売市場(豊川町)で初競りにかけられ、スーパーや鮮魚店の店頭に並ぶ。

 函館で操業しているのは、和歌山県太地町漁協の小型捕鯨船正和丸(15.2トン)。昨年に続いて漁解禁初日に捕獲された。6月30日までの間、捕獲数が10頭に達するまで漁が行われる。

 この日は午前3時40分に松前港を出港。同7時20分に20頭の群れを見つけ、午後零時20分に捕獲。クジラを曳航しながら、午後7時ごろ函館港に入港した。埠頭に接岸後、ツチクジラはクレーンでつり上げられ、トレーラーに載せて市内の処理場へ運ばれた。陸上班で作業した太地町のクジラ漁師、坂口充則さん(46)は「やや小ぶりだが、初日に捕れるのは幸先がいい」と話していた。

 昨年は福島第一原発事故の影響で肉に含まれる放射性物質の検査をしたが、今年は行わないという。

 ツチクジラは、国際捕鯨委員会(IWC)の規制対象外で、農水大臣許可による商業捕鯨。函館ではこの時期にツチクジラの肉を使った竜田揚げやカレーなどが味わえる。(山崎大和)



◎山頂に広がるピンクのじゅうたん シバザクラが見ごろ

 【木古内】木古内町中央公民館のそばにある薬師山(72.9メートル)に植えられているシバザクラが見ごろを迎えた。山頂の斜面は鮮やかなピンクの花がじゅうたんのように広がっている。花は今月いっぱい楽しめるという。

 薬師山のシバザクラは同町の春の名物。眼下には木古内の街並みと津軽海峡を見渡せるとあって、毎年この時期には多くの町民や観光客が訪れている。今年の咲き始めは10日すぎで、例年より遅かった。

 町の緑化推進委員会が昨年秋、新たに1000株を植栽。約415平方メートルの斜面にびっしりと植えられたシバザクラは、約2万8000株にまで増えた。

 初めて訪れたという函館市の福田郁夫さん(66)と妻の友子さん(62)は「国道を車で走る時に遠くから見ていたので、いつかそばに来て見てみたいと思っていた。とてもきれい」と感激した様子だった。(松宮一郎)



◎道南ブランド売り込め 30日から新宿タカシマヤで「大学物産フェア」

 新宿タカシマヤ(東京)で30日〜6月5日に開かれる物産フェア「大学は美味しい!!」(実行委主催)に、道南から北大水産学部(函館市港町)と、北里大獣医学部付属フィールドサイエンスセンター八雲牧場(八雲町上八雲)が出展する。北大はガゴメコンブ産品、北里大は牛肉加工品で、道南ブランドを首都圏に売り込む。

 大学と産官連携から生まれた食品を展示販売する5回目のイベント。今回は全国34大学が自信作を売り込む。

 北大ブースでは、今回初めて函館市末広町の函館塩らーめん専門店・えん楽(吉川寿樹オーナー)が「函館がごめ塩焼きそば」を実演販売。ガゴメソースで味付けし、麺の上にも刻みガゴメを載せ、隠し味にイカ塩辛を使った同店の新メニュー。吉川さんは「上に載せるガゴメの量を通常より3倍増やし、ガゴメの粘りを存分に楽しんでもらいたい」と話す。1食550円で、1日当たり200食を提供予定。

 このほか、ガゴメのおぼろやとろろコンブなど11種類を販売する。この中には刻みガゴメが入った「たかせ」(七飯町大沼町、高瀬宣夫社長)の新商品「はこだて北の縄文の里カレー」もある。

 北大からは、焼きそばの開発にアドバイスした安井肇大学院教授や大学院生2人も参加。安井教授は「函館の食資源の豊かさや、持続可能な利用についてアピールしたい」と意気込む。

 北里大は、コーンビーフやジャーキー、カレー、ハンバーグの4品を出す。同牧場(総面積約370f)では完全自家生産の牧草だけで育てる「北里八雲牛」を生産している。草だけを与えるので、肉質は脂が少なく赤身でヘルシー。同牧場は「牛は草で飼うという原点に立ち返った畜産の取り組みを知ってほしい。消費者に安全・安心を直に発信できれば」としている。(山崎大和)


◎フグの飯ずし召し上がれ 「居酒屋よしどり」

 【乙部】乙部町緑町353の「居酒屋よしどり」では、桧山沖で水揚げされるマフグを使ったメニューに力を入れている。飯ずしや一夜干し、すり身などで、十河数男店主(68)は「フグの飯ずしは日本でもここだけだと思う。乙部の新しい特産加工品として売り込み、地元を盛り上げていきたい」と意気込んでいる。

 マフグは近海で水揚げされるが、フグ専門の調理免許がなければ食卓に並ぶことはない。十河店主は免許を持ち、店のメニューには道南では珍しいフグのフルコースが並ぶ。昨年7月には江差町にマフグ専用の工場を置き、本格的に製造に取り組んでいる。

 マフグの飯ずしづくりは昨夏に考案。試行錯誤を重ねて年末に納得のいく味に仕上がったという。丁寧な血抜きと水出し、酢漬けに一般的な飯ずしの野菜を加え、1カ月ほど寝かせる。

 十河店主によると、フグそのものには味がないため、調味具合が決めてとなったという。「身の歯ごたえと、かめばかむほどうま味が増す。コラーゲンもたっぷりで美容効果も期待できる」という。

 常連客や同級生らの口コミで人気が広まり、最近では東京からも注文が入る。首都圏では「飯ずしのほか、一夜干しが重宝され、子どもたちが喜んで食べていると聞いている。そういう話を聞くとうれしい」と十河店主。

 マフグの水揚げ量に限りがあるため「たくさんの注文があると対応できないが、在庫の限り対応したい」と話している。問い合わせは同店рO139・62・3899。午後6時〜午前零時(定休日は火・水曜)。場所は乙部町役場近く。  (田中陽介)