2012年5月29日 (火) 掲載

◎谷地頭温泉売却 条件緩和し来月再公募 価格も3億円台に引き下げへ

 函館市企業局は、昨年度から民営化に向けて売却を目指す市営谷地頭温泉(谷地頭町)について、本年度の再公募では譲渡条件を緩和し、最低売却価格を大幅に引き下げる方針を決めた。売却先に公衆浴場の経営実績は問わず、価格も3億円台まで引き下げる見通し。6月から再募集し、9月にも売却候補者を選定する。

 同温泉は1953年に開設され、長年にわたり市民に親しまれてきたが、近年は利用者の減少で赤字続き。市は温泉事業会計の経営改善に向け、2009年度に売却方針を決め、昨年10〜11月に売却先を初めて募集したが、買い手が現れなかった。

 本年度の再公募では前回の譲渡条件にあった「公衆浴場を3年以上経営した実績」を除外。土地、建物の最低売却価格も前回は約5億1500万円(税抜き)だったが、不動産鑑定士による再評価を踏まえ、前回より3割程度引き下げる方針だ。

 一方、今回も少なくとも5年間の公衆浴場の継続運営や、第三者への譲渡禁止などは変更しない。現在の第2駐車場(谷地頭町17、615平方メートル)や、隣接する未利用の土地と源泉は売却対象から外し、今後、第2駐車場は購入者の希望に沿って売却か賃貸に応じる。

 当初の売却予定額は簿価で約8億円に上り、事業者から「高すぎる」との指摘も。同局温泉課は「経年劣化や市場性を考慮した」と話す。今後は6月7日から1カ月程度、売却候補者を募集し、9月にも選定。12月に関連条例を改正し、来年3月に施設を引き渡す予定。(森健太郎)



◎スルメイカ 放射性物質検査を継続

 今季のスルメイカ(マイカ)漁解禁に合わせ、水産庁が6月から、渡島・桧山を皮切りに全道で漁獲したスルメイカについて放射性物質の検査を始める。渡島は全道最多の13回、桧山は7回の検査を予定。道南を代表する水産物の安全性を確保し、消費者の期待に応えていく。

 福島第一原発事故による海洋汚染に対応。同庁が本年度も継続して、スルメイカを対象にした放射性物質のモニタリングを行う。「水産物の放射性測定調査委託事業」で、イカやサケなどの回遊魚が対象。一方、道はホタテやコンブなどの沿岸定着性の水産物について本年度も継続して検査する。

 スルメイカの検査は、渡島が6月に1回、7〜12月に月2回ずつの計13回。函館渡島いかつり漁業協議会(会長・佐藤正美松前さくら漁協組合長)が発送作業を担い、函館市沖で捕れたスルメイカを検体(1回につき10キロ)として海洋生物環境研究所中央研究所(千葉県)に送り、ヨウ素とセシウムの有無を調べる。同協議会は「消費者に安全だと訴えることが大事。イカが捕れれば、6月4日ごろから発送作業を開始したい」とする。

 桧山の検査は6月に1回、7〜9月に月2回ずつの計7回。

 スルメイカの来遊は道内で渡島・桧山が最も早い上、漁期も長い。ほかの検査は来遊時期に合わせ日高(9、10月に4回)、釧路(8〜11月に8回)、根室(9〜12月に8回)、網走(10、11月に4回)、宗谷(8〜10月に6回)と順次行う。結果は道のホームページで公開する。

 同協議会によると、昨年は8〜12月に恵山地区の大澗漁港で水揚げされたスルメイカについて計14回検査したが、放射性物質は検出されなかった。実施主体は道と道いか釣漁業協会(札幌)から、9月以降は国の検査対象魚種が拡充され、国の検査に移行した。(山崎大和)



◎健康増進センター利用好調 前年比6030人増 団体利用や教室人気

 函館市総合保健センター(五稜郭町23)4階にある健康増進センターの昨年度利用者数は延べ4万4800人で、前年度比6030人増となった。会員制廃止による団体利用制度などが口コミで広がっていることが成果につながった。市保健福祉部は「年配の方だけでなく、若い人の利用も増えている」と手ごたえを口にしている。

 利用者数のうち、団体利用分が同3140人増の7800人。2009年度と比較すると5200人増えた。個人使用分は同1250人増の2万6700人で、運動教室の参加者は1万290人と1660人伸びている。個人使用の65%が女性で、年齢別では65歳以上の高齢者が3割を占めている。

 同センターは03年に開設。09年にはより多くの市民に利用してもらおうと会員制を廃止し、団体での使用を可能にした。同時に市の「公の施設」利用者証の対象施設となったため、個人利用が今まで以上に増えた。同部によると、「団体は高齢者らの健康サークルが多いが、最近はダンスグループといった若者の使用が増えてきた」という。

 このほか、各種運動講座や教室も好評を集めている。09年から始まった8回コースで行う運動教室はエアロビクスなど毎回定員超えする教室もあり、運動講座ではストレッチ体操などが人気を集めているという。

 同部は「運動教室は抽選漏れを防ぐため、今後抽選方法の変更を検討したい。また健康器具の更新も視野に入れ、市民の健康増進につなげていきたい」としている。

 個人利用は18歳以上の市民が対象。使用料金は400円で、65歳以上は200円。障害者は無料。団体利用は予約制で、各部屋の使用料金は市立函館保健所のホームページなどで見ることができる。(後藤 真)


◎道南4月の雇用 有効求人倍率0.48倍 23カ月前年上回る

 函館公共職業安定所が発表した4月の渡島・桧山管内の雇用失業情勢によると、有効求人倍率は0・48倍と前年同月より0・06ポイント高く、23カ月連続で前年を上回った。新規求職者が減少したが有効求職者は依然として1万人を超えており、基調判断は4カ月ぶりに下方修正。「先行き不透明な状況ではあるが、持ち直しの動きを続けている」とした。

 有効求人倍率は1〜3月には0・5倍を超えるなどリーマンショック前の水準まで回復していたが、4月にきて落ち込んだ。有効求人数は前年同月比3・6%増の5380人と24カ月連続で前年を超えている。

 雇用の先行指標となる新規求人倍率は同0・16ポイント上回る0・73倍と6カ月連続で前年を上回った。新規求人は同6・0%増の2254人となり、3カ月ぶりに前年より高くなった。建設業と宿泊業・飲食サービス業が特に好調。前月まで良かった製造業は反動減、公務・その他も減っている。

 有効求職者は同10・0%減の1万1101人と10カ月連続で前年より少ない。再び1万人台となっており、同職安は「新規求職者が大きく減少しているなど若干の明るさはみえているが、状況が改善したとは言いにくい」とする。

 合わせて発表した3月高校卒業者の4月末現在の就職状況は、求職者850人に対して就職者は805人と、就職率は94・7%となった。求職者が前月より減少しており、一部の卒業者が進学などに切り替えたとみられる。ただ45人が依然として就職できていない。(斎藤まや)


◎江差中学校改築 札幌の設計業者を選出 地域の特性生かした提案評価

 【江差】江差中学校の改築基本実施設計業務の企画提案(プロポーザル)の最優秀技術提案書が決まり、28日、町は公式ホームページで公表した。2次審査を経て、札幌市のアトリエブンク(三栖博社長)を選出。町は予定額を積算、6月の定例会で補正予算を組み、業者と交渉に入る。

 同校は築50年以上の校舎で老朽化が懸念されており、北大の森傑教授を委員長に改築・実施設計業務プロポーザル審査委員会が23日に、2次審査をヒアリング形式で実施した。学習環境の充実のほか、地元の伝統と文化、歴史的な活用、地域協働としての存在意義などを改築テーマの柱に、選考したという。

 アトリエブンクの提案書では、「路地、土地、屋根といった江差の伝統的な都市構成や町屋の特性を生かしながら」とし、校舎と体育館部分の一体化で、出来る限り廊下を作らずにその分を子どもらの活動場所に振り分ける。江差特有の強い北西風を体育館で防ぐ設計、災害時における避難拠点としての有効な機能も図る—などとする。

 2次審査の講評で、森委員長は「本プロポーザルの主旨を的確に理解し、江差という固有の文脈を組み込んだ中学校の実現へ積極的である。今後の町及び町民との綿密な対話の中で、より質の高い基本設計・実施設計が取り組まれることを大きく期待する」としている。

 町教委は、最優秀技術提案書について「あくまでもプロポーザルであり、この中にある校舎の外観などがそのまま決まったわけではなく、今後、具体的なものになっていく」としている。

 建て替えは、現在敷地(陣屋町無番地)で、2013年度に着工、15年度の完成を目指す。現校舎で最も古い造りは1960年のもので、屋内体育館を含め、文科省交付金対象事業の「危険建物」として改築対象になっている。(田中陽介)