2012年5月31日 (木) 掲載

◎西中生徒ら「鯨族供養塔」清掃

 函館市船見町にある「鯨族供養塔」で30日、ボランティア清掃が行われた。6月5日に行われる鯨族供養慰霊祭を前に、函館西中学校の生徒会役員や地域住民、市職員などが同塔周辺の草刈りなどを行った。

 同塔は近海で捕獲された鯨類の供養を目的に、1957年に建立。供養祭は2004年に調査捕鯨船「日進丸」が函館に初寄港したのを機に開かれ、今年は5日に同市船見町の称名寺で慰霊祭を行う。清掃作業はそれに合わせて毎年行い、今回で8回目。

 この日は同校の生徒10人と地域住民ら6人が約1時間をかけて清掃活動を実施。かまを手に、伸び放題となっていた雑草を丁寧に刈り取り、周辺の草やごみを回収。セミクジラをモデルにした像にホースで水をかけ、汚れを落として磨き上げていった。

 昨年に続き2回目のボランティア清掃活動に参加した3年の濱中公輝君は「地域の人と協力して身近にある貴重な文化財をきれいにできるのはいいこと。気持ちがいい」と話していた。

 6月3〜5日の3日間、日没から午後10時まで同塔のライトアップが予定されている。(平尾美陽子)



◎色鮮やかパープルアスパラ

 はこだて自由市場(新川町1)の中宮青果店では、鮮やかな紫色が特徴の「パープルアスパラ」を販売している。市場を訪れる市民や観光客らは足を止めて、珍しい旬の野菜に注目している。

 パープルアスパラは生産量が少なく、希少価値の高い野菜。同店では市内・近郊産を一束500円で販売している。昨年から取り扱っているが、店頭に並ぶ機会は少ないという。富良野や美唄が主な産地で、北海道ならではの昼夜の寒暖差が栽培に適している。

 食感はグリーンアスパラとほとんど変わらず、糖度の高さからコクのある甘さがあるという。紫色の部分には抗酸化物質のアントシアニンが含まれ、栄養価も豊富。加熱すると緑色に変色する。紫色を楽しむなら、生のサラダがお薦め。

 同店は「店頭に並ぶのは6月中旬ごろまで。入荷量も少ないので、めったに見られない鮮やかさを楽しんで」と呼び掛けている。(柏渕祐二)



◎函館市が海洋発電参入へ調査

 函館市は、海流や潮流を利用した「海洋発電」への参入に向けた調査を開始している。津軽海峡の潮の流れの速さに着目するとともに、市内の機械・金属業をターゲットにした産業振興につながる可能性を模索。政府が本年度中をめどに、実証実験を行う海域を公募する方針を打ち出したことを踏まえ、公募を視野に入れて検討を進める構えだ。

 海洋発電は、海水の運動エネルギーを利用し、水車によって回転エネルギーに変換させて発電する方式。欧米諸国で技術開発が盛んに進められ、フランスとノルウェーには潮力発電所がある。

 政府は海洋発電を新たなエネルギー政策の柱の一つに位置づける。25日に開かれた総合海洋政策本部(本部長・野田佳彦首相)では海洋エネルギーの実用化を目指し、13年度中に実証実験を行う海域を全国の自治体から公募し、早期に実験を行うことを目標に掲げた。また海域利用に関する法制度を整備する考えも示している。

 「函館国際水産・海洋都市構想」を打ち出している市は、1〜3ノットと言われる津軽海峡の激しい潮流や、市内に造船業をはじめ、機械金属系の工場が点在していることに着目。同構想が水産分野に特化していることから、工藤寿樹市長は「海洋の分野でできることがあれば取り組みたい。地元の新たな産業興しにもつながる可能性がある」と注視する。

 現在は海洋発電に関係する企業の調査を進めるとともに、北大をはじめ、公立はこだて未来大や函館高専などの学術研究機関との連携を視野に入れる。一方では漁業関係者との利害調整が欠かせないため、漁業権に関する調査も必要となる。

 市企画部は「日本では実用化されておらず、さまざまなハードルがあるが一考の余地がある。知見を持った企業や学識者とのつながりを強めて、実現の可能性を模索したい」と話している。(千葉卓陽)


◎台湾の復興航空、函館線7月から週2便

 函館と台北を結ぶ国際定期路線の開設を計画している台湾の復興航空は、7月1日から毎週日、月曜の週2便4往復運航することを決めた。当面は台湾からの送客が中心のチャーター便として、函館や新千歳など道内5空港いずれかに毎日1往復ずつ乗り入れ、9月1日から正式に定期便としての就航を目指す。

 当初は5月からの道内への定期便就航を目指していたが、「日本での申請手続きや市場調査に時間を要した」(同社)ため、7月までずれ込んだ。7月からは従来と同様に台湾客をメーンにしたチャーター便となるため、日本の個人客にチケットは販売されない見通しだ。

 7月1日からは、いずれも台北北部の桃園国際空港発着で、函館が日、月曜、新千歳が火、土曜、帯広が水曜、旭川が木曜、釧路が金曜と道内空港のどこかで毎日1往復ずつ運航。機材は150人乗りの中型機「A320」1機をフル回転し、日台間を毎日ピストン運航する計画だ。

 函館市によると、同社は2008年から函館にチャーター便を乗り入れ、10年には年間で208便(3万2945人)に達した。昨年は震災の影響で一時運休したが、国際路線では最も早い5月に再開。年間では188便(2万7219人)が運航し、函館人気の高さもうかがえる。

 同社の汪祥龍業務主任は「定期便になれば北海道旅行のバリエーションが増える。チャーターの一方的な送客ではなく、日本から台湾にも誘客し、相互交流を活発にしたい」と話す。既に台湾当局に定期便就航を申請済みで、今後は国土交通省への許認可を受け、早ければ9月から定期便に切り替える方針。

 函館市の工藤寿樹市長は「これまでのチャーター便の実績を下回らないで台湾からの観光客がさらに上積みされることを期待したい」とし、本年度後半にも台湾に観光PRのトップセールスを行う考え。市港湾空港振興課は「正式な連絡はないが、函館の経済、観光の活性化には大きなプラス材料となる」と歓迎している。(森健太郎)


◎石田さんが市に震災義援金

 函館市の観光大使で、米フィラデルフィア在往のソプラノ歌手、ニューマン大学准教授(声楽博士)の石田雪子さんが30日、函館市役所を表敬訪問し、工藤寿樹市長に東日本大震災の義援金として1800ドル(約14万2000円)を寄付した。昨年11月にフィラデルフィアで開かれた同大学合唱団によるチャリティーコンサートで寄せられたもので、石田さんは「ペリー提督による縁を大切にし、これからも函館への支援を大切にしたい」と話していた。

 石田さんは熊本県出身。函館とは1998年から公演などで関わりがあり、2002年にはペリー来航150周年記念碑除幕式や黒船来航フォーラムに出席した。

 09年5月、石田さんが音楽監督を務める同大学の合唱団とともに来函し、函館日米協会が主催した「函館開港150周年、ペリー来航155周年記念 石田雪子with函館MB混声合唱団 日米交歓ガラコンサート」(市芸術ホール)に出演した。団員や石田さんが昨年3月の東日本大震災発生時、09年に宿泊していたホテル周辺などが津波の被害に遭ったことに心を痛め、11月に「がんばれ日本」チャリティーコンサートを開催した。石田さんによると、同コンサートでは自分の小遣いの半分を出す子供や、車いす利用者らの寄付もあったという。

 この日は函館日米協会の加藤清郎副会長らとともに訪れ、石田さんは「合唱団員は自分たちが見ていた景色なので、復興支援の気持ちが強かった」、工藤市長は「アメリカと函館の強いつながりを感じる。寄付に感謝します」と話し、感謝状を贈っていた。(山崎純一)