2012年5月5日 (土) 掲載

◎10年前の思い出、再開喜ぶ…鍛神小卒業生タイムカプセル開封

 函館鍛神小学校(三島千春校長)で4日、10年前の卒業生が同校に保管していたタイムカプセルの開封作業が行われた。卒業生24人と当時の担任教諭ら5人が参加。懐かしい思い出の品と再会し、歓声を上げた。

 今年4月から同校に勤務している三島校長は、2001年度に当時の卒業学年を受け持っていて、今回卒業生98人に案内状を出していた。この日は三島校長のほか、元担任で現在函館中の沢小勤務の八坂由喜枝教諭、滝花保美元教諭、さらに中学年の担任だった後藤愼一亀田小校長、音楽専科だった加藤武司元教諭も駆け付けた。

 三島校長が校内の機械室に保管していたカプセルを開けると、「10年後の自分」について描かれた絵画と自画像、作文が出てきた。「タイムカプセルをした記憶はあるけど、何を描いたか全然思い出せない」と口々に話していた卒業生は、「探検家になりたい」「写真家になりたい」といったメッセージ付きのさまざまな絵を手に、思い出話を楽しんでいた。

 パソコンを使いこなせるようになれればと書いていた弘前大学大学院1年の古川徹さん(22)は「そんなこと書いたかなって思った。何が出てくるのかどきどきしていたし、少し恥ずかしいですね」。現在函館市内で保育士をしている福山幸奈さん(23)はリハビリの療法士を目指していたという。「何を入れたか覚えていた。こうして同級生とも再会でき、いい思い出になった」と笑顔で話していた。

 この後、当時の修学旅行の映像を見たり、学習発表会などで歌った思い出の曲のテープを聴いたりし、交流を深めた。(長内 健)



◎公共工事 大幅に減少…函館市

 函館市はこのほど、2011年度の公共工事実績(財務部調度課、企業局発注分)をまとめた。調度課発注件数は工事と工事コンサル(設計など)を合わせて239件で、前年度比36件の減少、金額も48億8837万円で同25億6675万円減と大幅に減少した。企業局と合わせた全体では311件、67億8481万円と、3年ぶりに100億円を下回った。

 市発注の公共工事は厳しい財政状況を受けて年々減少傾向にある。昨年度は北消防署改築や神山児童館の新築、弥生小学校の屋内運動場関連工事などが行われた。

 調度課発注分は受注金額上位7社までが1億円以上で、いずれも地元企業。同課によると、1位の松本組は8位の紀の國建設と共同企業体(JV)を組み、北消防署庁舎改築主体工事を受注。2位の日新建設は小鹿組(18位)、山崎建設(9位)とのJVで弥生小学校の屋内運動場新築主体工事を、3位の石井組は神山児童館の新築主体工事を単独で手掛けた。工事1件あたりの平均受注額は1346万円と、前年度比329万円の減少となっている。

 同課発注分のうち主要7工種の件数と金額は、土木が20件3億9140万円、建築が16件14億7460万円、電気が15件2億5190万円、管が9件2億90万円、舗装が63件12億4600万円、造園が13件1億6880万円、とびが16件1億3340万円。

 また11年度の企業局発注工事は72件、18億9644万円で前年度比10件、8億5119万円の減少。前年度に1件あった病院局の発注はなかった。

 本年度は函館国際水産・海洋都市構想の中核を担う国際水産・海洋総合研究センターや北消防署末広出張所の新築など、大規模な工事が予定されている。水産・海洋総合研究センターは総工費約40億円で、本年度から2カ年で工事を行い、14年度の供用開始を見込んでいる。(千葉卓陽)



◎企画【JOMON第2部B】赤澤 和也さん

 函館市戸井ウォーターパークに一隻の木船がある。約5千年前の縄文人が交易に使ったという縄文舟を復元した「丸木舟(ムダマハギ舟)」。縄文時代から続く技術でできる限りの再現を試みた。風で帆がなびくその姿は、激しい潮の流れに苦戦しながらも津軽海峡を横断した当時の雄姿を物語っている。

 2002年、船大工の技術で船を作り、青森県大間町から戸井町まで海峡を横断するプロジェクトが行われた。約30人のこぎ手がチーム交代でこぎ、約9時間にわたって渡海。戸井—大間間は直線距離で17・5キロだが、潮に流され実航海は約50キロ。こぎ手たちは縄文ロマンに思いをはせ、大自然の荒波に挑んだ。そして、平行する指揮船には、操船を指示する制作者の姿があった。

 「魚や木の実を取り、厳しい自然と共生したくましく生きた縄文人。物や命を大切にした彼らの生き方に関心があった」。きっかけは学校の教員や身内の影響からだった。関連書物を読み、独学で縄文文化の研究をした。時には仲間とともに縄文文化について語り合った。

 縄文時代の生活に造詣が深いことから、制作を請け負った。父親から教わった木造船の工法を基本に、技と経験を凝縮させた舟は全長7・7メートル、幅1・5メートル。戸井町の貝塚で見つかった「ムダマハギ形」の土製品を参考に、設計図なしに約40日間かけて制作。先人の知恵を受け継ぎ、天然アスファルトを接着剤として使用したり、漆塗の模様を施すなどできる限り当時の作り方を取り入れた。イメージに合う模様を出すのに苦労したが、「航海で縄文人の偉大さをあらためて知らされた。当時の達成感や喜びは今でも忘れない」。

 その後、旧南茅部町の各町会役員などで組織し、03年に発行された「漫画縄文の里・北の夜明け」の編集にも携わった。自然や命の尊さを伝え、同町の魅力を漫画や写真で紹介。「縄文時代の精神に子どもたちが触れるきっかけが必要。次世代にどう伝えていくか」と学校と地域との連携の必要性を訴える。

 現在は地元の市民サークル「北の縄文CLUB」に所属。造船工学の技術書に交じり、考古学や文化人類学などの本が並ぶ室内で、仲間とともに縄文時代の研究に力を注いでいる。「はるか昔に石器だけで船を造った縄文人の技術力のすごさや物を大切にする精神。物や情報があふれた現代で我々が学ぶべきところは多い」と思いを新たにする。(平尾美陽子)

 ▽プロフィール

 あかざわかずや 1929年函館市(旧南茅部町)生まれ。16歳から父親のもとで修業し、船の制作や修理を行う。当時の臼尻村営造船所に勤め、磯船や小型漁船を手掛け、1983年にアカザワ漁船工機を設立。幼小の頃から縄文時代に興味を持つ。82歳。


◎JA新はこだて ファーマーズマーケット7月末にオープン

 【北斗】JA新はこだて(畠山良一組合長)直営のファーマーズマーケット(FM、北斗市東前)が、7月末にオープンする。ゴールデンウイーク明けから既存の同JA東前事業所の改修工事に着手、名称も公募で決める。農産販売に加え、調理・加工体験室も備えるのが特徴。料理教室などで食の大切さを伝え、地域農業のサポーターを増やす考えだ。

 同JAが現在運営する農産物直売所「北斗へい屋」(売り場面積30平方メートル)は東前事業所の隣にあり、農産出荷は北斗市内の生産者が中心。渡島・桧山管内2市12町を区域とする広域JAの強みを発揮しようと、FMは管内全域から出荷者を募り、品ぞろえを拡充。店舗は東前事業所内を全面改修して開設する。北斗へい屋はFMオープンまで営業を続ける。

 同JAによると、47平方メートルに目玉となる調理・加工体験室を整備。地場の食材を使った加工・調理体験や料理教室を開いたり、農家女性が冬場にみそや漬物を作ったりして「消費者と生産者が集まる℃{設とし、他店舗との差別化を図る」と同JA。

 売り場は約180平方メートル。野菜はトマトやニラ、ジャガイモなど年間100種類以上を扱うほか、コメ、花、加工品、酒類などもそろう。フードコーナーも設け、アイスクリームなどの軽食が楽しめる。コメは袋販売のほか、店内で精米もでき、お客が白米の白さ具合を選べる。既存施設に日よけや雨よけとなる「オーニングテント」を配置、休憩スペースや地域イベント会場に使う。

 店舗南側には、駐車場(約1000平方メートル)を新たに整備する計画。

 初年度は出荷者50人程度でスタートし、徐々に拡大。3年後には年間1億円の売り上げを目指す。

 同JAは「生産者と消費者の交流施設が売り。環太平洋連携協定(TPP)問題などに直面する中、施設を利用することで地域の人に農業の大切さを理解してもらえれば」(企画室)としている。(山崎大和)


◎「にっぽん丸」入港

 商船三井客船(東京)が運航する大型クルーズ客船「にっぽん丸」(2万2472トン)が4日朝、函館港西埠頭(ふとう)に寄港した。船内では歓迎のセレモニーが行われ、乗客はあいにくの雨の中、函館観光を楽しんだ。

 函館港に本年度、客船が入港するのは初めて。同船は全長166・6メートル、8階建て相当のフロアを備える。今回は「ゴールデンウイーク日本一周クルーズ」と題し、乗客約320人を乗せて、4月27日に横浜を出発。9泊10日の日程で、伊万里(佐賀)、隠岐(島根)、輪島(石川)などを巡り、3日夜に青森を出発して函館入りした。

 歓迎セレモニーで片岡格副市長は「函館は魅力ある名所が多く、豊富な魚介類とともに楽しみ、思い出深い旅にしてください」とあいさつ。管啓二船長らに花束や七飯町特産のワインが贈呈された。

 乗船客の東京在住の男性(67)は「雨は残念だが、船から見る函館山のふもとの街並みはこれまでに見たことがない景色。また来たい」と話していた。

 同船はこの日の夜に函館を出港。大船渡(岩手)を経て、6日に横浜港に到着予定。函館港には本年度、同船を含めて客船11隻が入港する。(山崎純一)